※本記事には公開中の映画のネタバレがあります
概要
2024年公開のモンスターバースシリーズ第5作『ゴジラxコング:新たなる帝国』より登場した、
コングも髑髏島に移住したグレイト・エイプの末裔であり、彼にとっては同族の関係にある(コングも広義的にはグレイト・エイプに含まれると考えられる)。
外見はコング同様にゴリラ型の個体もいれば、チンパンジーや人類に似た細身の個体もおり、多様な模様。いずれの個体も非常に知能が高く、他の怪獣の骨などを加工した石器を使用したり、他の怪獣なら引っかかる罠(トラップ)も易々と見抜くなど、見た目だけでなく生態も非常に猿人に近い。単純な鈍器のような道具だけでなく、奴隷が回してる謎の棒まである。
作中では「火の国」と呼ばれる火山地帯に生息しているが、これはかつてスカーキングが種族をそそのかしてゴジラに戦いを挑んだが敗れた結果、この地帯に追いやられたため。またこの辺りでコングの先祖など一部の個体達は髑髏島など地上に出た様子。
マグマの近くは火山性ガスが蔓延しているが、それの耐性については語られていない。また、作中の描写を見る限りではレッドストライプスやスカーキングは縄張りを広げる・あるいは地上へと続くポータルを探す目的か火の国から進出し始めている(モナークの前線基地を襲撃したりしていた)。
本来は善なる種族として、人類と地下空洞を守護してきたが、偽りの王・スカーキングがアルファ個体となってからは、彼の圧政の支配下に陥っており、多くの個体が役に立たなかったり、用済みになれば見放される劣悪な肉体労働で苦しめられている。
重労働と虐待による影響かどの個体も体毛が薄く、体に傷が目立ち、体格もコングより小柄な者が多い。
- 肉体労働をする個体たちの前には、スカーキングの機嫌を損ねたか、作業でミスをする等したことが原因で殺されたのであろう個体が晒し首にされている様子が映っている。一瞬ではあるが、こちらもスカーキングの醜悪な気性やグレイト・エイプらの過酷な環境を象徴する描写である。
- 何のための労働かは明確にされていないが、よく見ると彼らが作業している現場の構造が前作に登場したコング族の宮殿のものと類似しているため、新たな宮殿の建築が目的と思われる。
- スカーキングの玉座の間にはハーレムが形成されており、彼の子供と思しき赤子を抱えた雌個体が大勢控えていたが、彼女たちの怯え具合を見るに愛情など一切なく、ただの欲望の捌け口として扱われていたことが窺える。
レッドストライプス
グレイト・エイプの中でも、スカーキングへの忠誠と引き換えに集団内でも上位の地位を得た個体。スーコも当初はこの内の一頭であった。普段は彼の親衛隊として、偵察から戦闘、下級個体達の監視などを務めている。
外見的特徴は同じだが、下級個体と比べると悪人面をしており、個体によっては顔にも赤く塗られている。
スカーキングに同調したのか他の同族を虐げる、コングに一度は命を救われながら即座に襲い掛かる、自分が助かるために同族を盾にするなど、種族特有の温厚さは完全に失われてしまっている。
スカーキングに忠実な兵士たちではあるものの、多くの個体が戦闘不能になっていた事を考慮しても、ポータルを通ってまでスカーキングを助けに行かなかった辺り、結局は弱肉強食に基づいて従っているだけに過ぎず、スーコのように命惜しさに止むなく協力していた個体もいたものと思われる。
実際にスカーキングを打ち倒したコングが再び火の国に戻った時、彼を見つめる群衆の中にレッドストライプスの一員と思しき個体がいたものの、誰も逆らうことなく彼を新たな王として迎え入れていた。
主な個体
- コング(Kong)
該当記事参照。
- スカーキング(SkarKing)
該当記事参照。
- スーコ(Suko)
該当記事参照。
- ワン・アイ(One_eye)
チンパンジーに似た姿の個体で、名前通り右目を失明して隻眼となっている。
レッドストライプスのリーダー格で、コングが最初に交戦したグループの内の一頭。
ただし、彼の身分は高くはないようで、近衛兵からは突き飛ばされたり蹴飛ばされるなど雑な扱いを受けていた(小説版ではもともとスカーキングの副官を務めていたらしい)。
仲間より先にコングの罠に気付くなど勘が鋭く、仲間をけしかけて相手を拘束し攻撃するなど戦略にも長ける。
だがその性格は利己的かつ卑劣。身を守るために仲間を盾にしたり、怒りに任せてまだ幼いスーコを容赦なく殺害しようとするなど陰湿そのもの。
レッドストライプスの中では最も活躍しており、コングの追跡やポータルの場所を見つけて彼に報告するなど要所要所で暗躍していた。
ぞんざいな扱いをされてはいるものの、王であるスカーキングには忠実で、状況を事ある毎に報告したり戦いの時も彼を援護していた。しかし上述の性格と自らの怒りを優先して援護を放棄し、スーコの命を狙った事から、彼もまた我が身可愛さゆえに従っていただけと思われる。
- ストーンフィスト(Stonefist)、キャッチャー(Catcher)
どちらもゴリラに似た姿のレッドストライプス。どちらがどちらを指すのかは不明。ワン・アイ、スーコと共に最初にコングに襲いかかったグループのメンバーである。
どちらも極めて冷酷で下劣な性格をしており、コングを取り押さえて身動きできなくさせ、痛めつけようとした他、片方は崖から落ちそうになったところを助けてもらったにもかかわらず、石器のナイフで彼を刺し殺そうとした。
- ブーツ(Boots)
ゴリラに似た体格だがコングより小柄で、体に白い斑点模様を持つ個体。
気弱な性格に加え、過酷な労働のせいか疲労が溜まっていたようで、岩の運搬作業で渡された岩を抱えきれずに落としてしまったため、レッドストライプスの一員である監督役に執拗な罰を受けていたが、そこで手を差し伸べてきたコングに助けられる。
エンディングでは監督役を任されたのか作業現場を眺めていたところ、スカーキングを打ち倒したコングが再び火の国に訪れた際、彼を見つめる群衆の中で敬畏の眼差しを向け、彼の雄叫びに応じて群衆と共に歓声を上げた。
物語に影響するキャラでは無いものの、他の個体と比べてスクリーンに登場する機会が多く、所謂グレイト・エイプにおける一般人代表キャラだった。
- ナロード・フィンガー(Gnarled_finger)
チンパンジーに似た姿をした、スーコと親交のあった老齢の個体。名前は「節くれのある指」を意味する。
多くの個体と同じく過酷な環境で肉体労働を課せられているが、温厚で慈悲深い性格をしており、火の国に帰ってきたスーコにマーキングが無いことに心配の眼差しを向けたり、スカーキングの威嚇に怯える彼を身を挺して庇ったりするなど種族本来の性質を残している(一部では、スーコと血縁関係にあったのではないかとする考察がある)。
スーコとは家族だったのか親友だったのかなど詳細な間柄は不明だが、お互いを心配し合う素振りを見せているためかなり深い親交があったようである。
映像に映るのはほんの数分程度でしかなかったものの、「ボスに目を付けられた子供を親(保護者)が守る」「ボスに逆らった者が見せしめに○される」といった模範的世紀末を身を挺して表現した事で、スカーキングが救いようのない悪党である事を強調したり、スーコがスカーキングと決別する流れを決定づける重要な役割を果たしたキャラと言える。
劇中での活躍
虫歯の治療から帰ってきたコングが地下空洞世界の未探索領域にたどり着き、気配を感じ取って探索していたところで、スーコ、ワン・アイ、ストーンフィストとキャッチャーの四頭で奇襲を仕掛けるも、返り討ちに遭って一頭は転倒したところで頭を潰される。もう一体は崖から落ちそうになったところでコングに助けられるも、即座に恩を仇で返して殺そうとする下劣極まりない行動をとった所為でコングの反撃を喰らい、今度こそ奈落の底に消えた。
そして最後に残ったワン・アイは頭に石を投げ付けられながらも逃げおおせる。
襲撃に遭っても同族との出会いを望んでいたコングは、スーコに道案内をさせて王国へと向かい、長旅の末に辿り着いた王国で、グレイト・エイプたちが過酷な労働を強いられている光景を目の当たりにする。
そこで岩を落としたミスで執拗に虐げられていたブーツにコングが手を差し伸べた。しかしそれに怒って詰め寄る監督のレッドストライプス。
コングはこれを拳で黙らせ、監督のレッドストライプスは失神。これを一足先に帰還していたワン・アイがスカーキングに知らせた事で両者が睨み合う事態になる。
他所者のコングに対し、威圧しながら近づくスカーキング。そしてコングが歯抜けであることに気付くと指を指しながらそれを笑い、周囲にもそれを強制する。
だが、近くにいたスーコの態度が気に食わなかったのかスーコに迫るスカーキング。その時、スーコと親交のあったナロード・フィンガーが怯えながらもスーコを庇い、スカーキングは一度引き下がる。
だが引き下がった先で邪悪な笑みを浮かべると、あろうことかナロード・フィンガーをマグマに蹴り落として殺害。スーコは親愛なる者を失い悲痛な叫び声をあげる。
そしてこれらの非道な行いを見たコングは激昂、戦いに発展した。
※この際、ワン・アイを筆頭とした全員が決闘の合図のゴングを鳴らすかのように、一斉に雄叫びを上げながら地面を叩いていた。
戦いの中でシーモの攻撃により右手を負傷したコングが撤退すると、スカーキングの命令でワン・アイ率いるレッドストライプスが追跡。
何頭かはコングの作った罠の振り子岩に潰されたり落とし穴にかかるなどで脱落したが、ワン・アイ達は最後の罠を見抜いて崖下へコングを追い詰めるも、これまでの経緯でコング側に付いたスーコがその罠を起動させた事により生き埋めにされる。
だがワン・アイは仲間を身代わりとすることで生存。引き続きコングとスーコを追跡し、彼らが逃げ込んだ先にイーウィス族の隠れ家と地上に繋がるポータルを発見。戻ってこれをスカーキングに報告したことで十数体のレッドストライプスたちが彼に付き従い、地上への侵攻を開始する。
そこでポータルが存在する空間へ到着するも、トラッパーが連れてきたヴァータシーンの大群に足止めを受けたばかりか、イーウィス族の手により重力反転が発生。
多くの個体が無重力状態に翻弄されてまともに戦うことができず、更には救援に駆けつけたモスラには糸で拘束され、ゴジラには軽く一蹴されるなど目立った活躍ができずに次々に戦線から脱落していった。
- 基本的に敵には容赦しないゴジラだが、今回はスカーキングとシーモを優先していたためか、もしくはある程度の事情を理解していたのか適当にあしらうだけで済ましていた。
そんな中でも、ワン・アイのみはスカーキングを援護すべくコングに襲いかかるも、スーコに岩を投げ付けられたことに怒り、標的を彼に変更。重力が元に戻り、あわや転落という状態になってもなお執拗にスーコを追い詰めて殺害しようとするが、逆に彼に蹴り落とされて遂に転落。奇しくも初戦でコングに襲いかかった仲間と同じ末路を辿った。
- ワン・アイ以外の個体がどうなったのかは描写されていないが、モスラの糸で身動きが取れなくなっていた状況や、その後完全に物語からフェードアウトしていることから、恐らく無重力状態が解除されると同時に全員落下死したものと考えられる。実際に該当のシーンをよく見るともがきながら落下している個体が写っている。
その後、ゴジラとの共同戦線によりコングは激戦の末にスカーキングを打ち倒し、スーコ、シーモと共に火の国へ帰還。その姿を見たグレイト・エイプたちは暴君の支配からの解放を悟るとともに、新たな王の誕生を称えて一同で歓声を上げた事により、新たなる帝国の幕開けとなった。