曖昧さ回避
- 「強化ポリスチレン」のこと。プラモデルの関節部に用いられる素材。以下に解説。
- 同人サークル「キオ式PVサウンド連合」のこと。ニコニコ動画
- "Karnofsky Performance Status" (カルノフスキー指数)の略。がん患者の生活能力を示すスコア。
- 「KAT-TUN Premium Show」のこと。
もしかして…『機動戦士ガンダム00』に登場する反政府組織「KPSA」。アリー・アル・サーシェスやソラン・イブラヒムが所属していた。
KPS (強化ポリスチレン)の概要
バンダイとポリスチレンメーカーが約2年の歳月を掛けて共同開発した、プラモデル、ガンプラの可動部分に用いられる、オリジナルブレンド(配合)の新素材のこと。
普通のプラモデル部品であるポリスチレンより質感に粘りがある素材で、曲がりやすくて割れにくく、表面に光沢の無いことが多い。柔らかさはポリプロピレンに近いが、普通に塗装ができ、接着もできる。
パッケージや説明書では両方PS(ポリスチレン)表示なので区別できないが、曲がりやすい、爪を立てて跡が残るなど、少し触れば簡単に見分けられる。
KPSはABS樹脂製の部品を完全代替し、「HGUC νガンダム」「HGUC ガンダムTR-1[ヘイズル]」のように元々はABSを使用していた既発キットもABSランナーがそのまま新規ロットでKPSランナーに変更された機体もある。
変わった例だと「MG 1/100 クロスボーン・ガンダム」系列の「MG 1/100 クロスボーン・ガンダムX1(パッチワーク)Ver.Ka」以降の再販を含めたアイテムからは負荷のかかりやすい部分のみABSのままで残りはKPSに置き換わっている。他には「MG エールストライクガンダム Ver.RM」のフレームはABSのままだが、ガンダムベース限定品のクリアカラーVer.はKPSフレームに置き換わっているというものも。
ポリキャップの役割もある程度代替し、「HGACリーオー」など、PC-002ランナーに依存しない関節部分も概ねこれで構成されている。
こちらのサイトによれば、「MG ガンダムAGE-1 ノーマル」(2012年02月25日発売、公式)がKPS初採用キットとのことで、2012~2013年にかけて本格投入が始まった。
鉄血のオルフェンズのHG IBOの多くは内部フレームがこのKPSで構成されており、フレームの共通という作中設定を見事に表現してその名を上げた。
カラバリについてはグレー系だけではなく、HGCEストライクフリーダムガンダム(REVIVE)やHGガンダムリヴランスヘブンでゴールド、ガンダムW系のクリアカラーでシルバー寄りのガンメタリックなどが確認されており、一応メタリック系にも対応しているようだ。
名前は"Kyouka PolyStyrene"の略。冗談のようだが、プレスリリース(下記外部リンク参照)にも掲載された、正式な由来である。元々は模型誌上で仮名として発表されていたが、いつの間にか正式名称となった。ただし海外では通じないためKeeper polystyreneの略として紹介している、とのこと。
特性
既存のポリスチレンやABS、ポリエチレン(ポリキャップ)、軟質樹脂(透明サーベルパーツなど)、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン、コトブキヤが関節部などに採用)といった素材とはまた違う特性があり、扱いには多少慣れが必要で、まだまだモデラーの間でも研究途上といったところ。
長所
- 可動部のポリキャップを挟み込む構造が不要で、単純な軸のはめ込みだけに出来るため、内部フレームのような小規模の可動部を構成しやすい。この素材のおかげで「HGACウイングガンダム」は背部ウイングの大まかな色分けをクリアしながら90°以上跳ね上げる事が可能なほどの広い稼働を実現している。
- 部品点数が減り、組み立て難易度とある程度の価格の低下効果がある。なかには仕様素材がポリパーツすらないPSのみのキットも存在する。
- 部品が軽量でキットが軽くなる。ただし、軽すぎて素立ちなどで不安定となる場合もある。
- 可動部の保持能力が高く、カチッとポーズが決まる。ABSに比べると摩耗による劣化は少なく、軽いこともありブンドドに向く。特にΖガンダムのビームライフルのような「変形収納でグリップが根本から折れるギミック」には適しており、PSやABSだとすぐに垂れ下がる問題からは脱却しつつある。
- ポリスチレンとほぼ同様に塗装できる。ABS部品のような塗装の難しさ、ひび割れの心配はない。
- おおむね最初からマットな質感の落ち着いた表面を持つ。特に表面処理しなくても塗料は乗りやすい。
- ゲートの切り離しが楽に出来て、切断面も平らに切りやすい。小さめのゲートなら手もぎも可。
- 薄刃ニッパーやナイフで丁寧に切り取り爪でこすることで、簡易的なゲート処理が可能。
短所
- 形状にもよるがポリキャップ関節より重量に弱く、人型なら12cmから15cm程度の全高が最適で、20cm以上の大きさでは保持が困難な場合もある。例として「MG ターンX」は全体の分離ギミックのせいで腕の保持力が重量に耐えられず関節から抜け落ち、「1/100フルメカニクスガンダムバルバトスルプスレクス」はガンダム・フレームが分解し直立すらままならなくなるといった弊害が起きている。そのため、1/60スケールのPGやHGながらPG並のサイズを誇る「HG 1/144 デストロイガンダム」では、KPSでは重量が弱すぎるため、内部フレームは全てABS樹脂(ものによってはPOM樹脂も)となっている。また、KPSを多用している合体モデルでも合体後は関節に負担がかかり、たちまちへたってプラプラになる、といったことが起きている。
- 経年でへたりやすいが、ポリキャップ関節とさほど変わらない場合もある。組み合わせ次第ではそれ以上の保持力をもつものもある。
- ABSと比べて部品そのものが柔らかいため強度が低く、細かい部分やランナーが変形しやすい。曲がっても折れにくいが、可動部を強引に動かすと人力で捩じ切れてしまうこともある。特に「MG 1/100 フリーダムガンダムVer2.0」を始め該当のフレームを使った商品(「MG 1/100 ジャスティスガンダム」「MG 1/100 プロヴィデンスガンダム」「MG 1/100 エクリプスガンダム」では関節部が捩じ切れる報告が多数出ている(もっとも、これは股関節などのスライドギミックを構成するパーツ類が細かすぎるという欠点があるためであるが)。そのため、MGの可変機体では従来通り強度の強いABSを採用しているものもある。
- テンションが掛かってたわんだ部分や、切断部が白化しやすい(切断部分の白化は爪で擦ることで改善し、塗装やレタッチでも防止・修復できる)。「RGガンダムエクシア」の初期ロットは腕部パーツのはめ込みがきつすぎてKPSパーツが耐えきれずどうしても白化してしまう仕様になってしまっていた(その後金型改修が入り改善された模様)。
- PSやABSと違ってメッキ加工が出来ない可能性が出てきている。「HGCEストライクフリーダムガンダム 光の翼DXエディション」で通常版の非メッキ加工のゴールドメタリックだった関節用ランナーがKPS製だったのに対し、ゴールドメッキが施されたこちらではABS素材に変わっていたため。一方グロスインジェクションの方は多用されているので特に問題はないようだ。
- 細かい切削はしにくく、可能な限り「削る」よりも「切る」工作で処理する必要がある。
- 削る場合、丁寧にできるだけ大きい番号からヤスリを掛けないと、表面が毛羽立ったようになってしまう。冷凍庫でパーツを冷やすと多少マシにはなる。
- スジ彫りはかなりやりにくく、なおかつ毛羽立つため細い線が引きにくい。これも冷やしておくと多少マシになる。
その他
- ニッパーで切り離す時は従来のプラスチックと異なり、独特の感触がある。
- リサイクルではポリスチレン(PS、樹脂識別コードは6)で分別。
- ランナー部分をスクラッチの関節部品に流用する人もいる。
- 主にコトブキヤのフィギュアパーツやキットに使われるエンプラ(エンジニアリング・プラスチック)のPOM(ポリアセタール、ジュラコン)、PA(ポリアミド)はKPSより高性能だが高価で塗装に関しても不向き。(コトブキヤ以外ではグッドスマイルカンパニーや香港、中国の模型メーカーが使用している。バンダイではPGのユニコーンガンダム系列や30 MINUTES SISTERSのネヴァリアとトウカイテイオーから使われている。)
- KPSはバンダイ製品以外にもアオシマ製品などにも採用されている。ただし上記の欠点を踏まえ、敢えてABSを使い続けているキットも存在している。