概要
2018年度NHK大河ドラマ、原作は林真理子の小説『西郷どん!』。
幕末・明治維新に活躍する、維新の三傑の1人:西郷隆盛を主人公とし、激動の時代を生き抜いた彼の生き様を描く。
ナレーションは、かつて『翔ぶが如く』で西郷隆盛を演じた、西田敏行が担当する(当初は市原悦子が担当する予定だったが、体調不良により降板した)。
登場人物
薩摩藩
西郷家
悪政が目立つ斉興に代わって斉彬が藩主になることを期待して建白書を奏上、下級藩士ながら志の高さを認められて次第に頭角を現し、主君・斉彬の側近くに仕える。
主君・斉彬が毒を盛られたことを知り、独断で斉興のもとへ詰問に訪れるが、証拠のなさと「斉彬を恨んでいる人間はほかにもいる」と斉興に一喝され、斉彬にも「小さなことにかまうな」と叱責される。
朝廷工作のため上洛していたところ、幕府の弾圧がはじまり、月照とともに逃亡、薩摩湾に入水するが、奇跡的に一命をとりとめる。
以後、奄美大島に流され、斉彬治世下の薩摩が以前より年貢取り立てが重くなったことを知る。
呼び戻されたのち、藩主・島津忠義に命じられて上洛、久光にも各藩との折衝を命じられる。
- 須賀(演・橋本愛)
吉之助、最初の妻。彼女の嫁入り後、吉之助は祖父と両親を相次いで亡くし、(吉之助本人と家族は気にしなかったが)「縁起の悪い嫁」とそしられ気を病むこととなる。
直後、吉之助に江戸出府の話が舞い込み、手切れ金の名目で路銀を渡し、江戸行きをあきらめようとする吉之助を後押しするため離縁する。
吉之助兄弟の父、年老いた両親と11人の子女を抱えて生活は厳しい。
長男・吉之助が妻を娶ったのを見届け急死する。
- 西郷満佐子(演:松坂慶子)
長男・吉之助が嫁を娶ったのを見届け病死する。
- 西郷琴(演:桜庭ななみ/幼少期:栗本有規)
- 西郷吉二郎(演:渡部豪太/幼少期:荒井雄斗)
- 西郷鷹(演:渡来るひか/幼少期:石井心咲)
- 西郷安(演:佐藤心美/乳児期:大塚心結)
- 西郷小兵衛(演:斎藤絢永/幼年期:小山蒼海)
- 西郷龍右衛門(演:大村崑)
孫・吉之助が嫁を娶る前から労咳(結核)を患い、病状を悪化させて死去する。
西郷家に仕える下男。
大久保家
久光に取り入るために囲碁を覚え、建白書をひそかに奏上する。
久光の側近として幼馴染から孤立するが、すべては吉之助を呼び戻すためであり、大久保自身は人望のなさを自覚している。
- 大久保次右衛門(演:平田満)
一蔵の父。赤山靭負の側近くに仕えていたことから奄美大島に流されるが、後に帰郷。
- 大久保福(演:藤真利子)
- 大久保キチ(演:佐藤奈織美/幼少期:吉田空)
- 大久保スマ(演:日下玉巳)
- 大久保ミネ(演:髙野友那)
- 大久保満寿(演:ミムラ)
島津家
斉興の嫡男。曾祖父・重豪に似た気質を疎んじられ、廃嫡を言い渡される。財政再建のため藩内で行っていた密貿易を幕府に密告、父・斉興の隠居を狙ったが、経済官僚として高く評価していた調所の死を招いてしまい、「お由良騒動」の引き金を引いてしまう。
毒を盛られ死期を悟るが、体調の悪さを隠し日本のための幕政改革を志す。
将軍・家定の死後、紀州藩主・徳川慶福(徳川家茂)が将軍に任じられたのを知り失望するが、西郷に「朝廷を動かすことにより、幕政改革を行いましょう」と提言され、そのための軍勢を整えようとするが、その直後に病没する。
決して無能ではなく勉学に励んでいるが、斉彬に比べると保守的であり、器量もやや見劣りする。
異母兄・斉彬を尊敬し、兄の遺志を継ごうと上洛しようとするが、父・斉興に「器量が斉彬に劣るおまえに何ができる」と叱責され、実権を父に奪われる。
父の死後、幕政改革に乗り出すが一橋慶喜に器量と見識のなさを見破られ、罵倒される。
第10代薩摩藩主、斉彬・久光兄弟の父。
祖父・重豪が作った膨大な借金を返すべく家老に調所広郷を取り立てる。祖父に似た斉彬を疎んじ、家督を久光に継がせようと画策するが、密貿易を黙認したことが幕府に発覚、隠居に追い込まれる。
責を取って自決した調所の死に斉彬が暗躍していることを察知、斉彬派の弾圧に動き出す。
隠居後、斉彬の体調悪化が毒によるものであることを吉之助に知らされ、自身が疑われていること知るが、「証拠があるか?」、「斉彬を恨んでいる人間はほかにもいる」と一喝する。
斉彬死後に復権、藩の実権を取り戻す。
死の直前、兄・斉彬の遺志を継ごうとする久光を呼び寄せ、「おまえは斉彬とちがう」と幕政に関与することを止めようとする。
- 由羅(演:小柳ルミ子)
斉興の側室、久光の母。
- 喜久(演:戸田菜穂)
斉彬の側室、子を次々に喪ってしまう。
- 島津忠剛(演・すわ親治)
篤姫の実父。
精忠組
その他の薩摩藩の人々
- 調所広郷 (演:竜雷太)
薩摩藩家老。藩財政を立て直すべく、琉球を通じて密貿易を行い、厳しい年貢の取り立てに逃亡するものが多い。斉彬の密告により密貿易が発覚、罪を藩主・斉興ではなく自身に集中させるため毒を仰ぐ。
- 赤山靭負(演:沢村一樹)
斉彬派の要人、吉之助たちの師であったが、「お由良騒動」に連座して切腹を命じられる。
- 山田為久(演:徳井優)
斉彬の側近。
幼いころ、年貢取り立ての厳しさに親に売られるところを吉之助に助けられるが結局は売られ、さらに売り飛ばされた江戸で吉之助と再会、忍びで遊んでいた慶喜とも知りあう。
その後、慶喜に見受けされ、吉之助と連絡を取りあう。
- 伊集院直五郎(演・北見唯之)
吉之助最初の妻・須賀の父、身分は低いが吉之助の器量を認めた人物のひとり。
長州藩
土佐藩
アメリカから日本に帰ってきたところを薩摩藩に捕らえられ、西郷に匿われるが、その直後、斉彬に召し出され国際情勢と西洋諸国の技術を藩士たちに語るよう依頼される。
越前藩
慶永に仕える蘭方医、腹心の部下として一橋慶喜擁立に西郷とともに動き、大老・井伊直弼が大弾圧を起こしたことにより、西郷と月照の逃亡にも手を貸す。
その直後、幕府の追っ手に捕らえられ、斬首に処される。
彦根藩
彦根藩主。のちの幕府大老。
次期将軍をめぐって松平慶永、徳川斉昭、島津斉彬らと対立、本作では斉彬毒殺のため、刺客を送り込んだことが示唆されている。
将軍・家定死後に幕府の実権を握り、「安政の大獄」を起こす。
井伊直弼の腹心。
江戸幕府
13代征夷大将軍。
病弱・暗愚の公方とみられ、世継ぎをもうけることは絶望的と考えられていることから、斉彬たちは一橋慶喜擁立のため篤姫の輿入れを画策する。
政治的には無能ではあったが、篤姫と心を通じあわせ、仲睦まじい夫婦となるも病没、井伊に「慶福(徳川家茂)に将軍職を譲る遺言状を書かされる。
家定の母、斉彬の工作により篤姫を家定の正室に勧める。
前・水戸藩主、攘夷派の要人。慶喜の父。
本来であれば、開国派の斉彬と対立関係にあるはずだが、慶喜を次期将軍に据えるという一点で手を結んでいる。
斉昭の七男、将軍職に就くことを斉昭・斉彬らに期待されていたが、島津久光の建白に従い将軍・徳川家茂の後見役に就任する。
権力を握ることを忌避していたが、側近が殺害されて後、怪物的な変貌を遂げる。
篤姫の教育係として礼儀作法のみならず、言葉遣いも矯正しようと彼女にスパルタ教育を施す。
篤姫の将軍家輿入れのため、大奥に篤姫シンパの人脈を広げようと画策する。
老中首座、開国派の要人。次期将軍に慶喜を推す斉彬の同志。
将軍・家定に島津家から篤姫を正室に迎えることを勧めるが、39歳の若さで急死。
朝廷
朝廷の実力者。左大臣、一橋派に属し、篤姫を養女として将軍・家定に娶わせる。吉之助に月照を紹介する。
一橋派の僧。幕府の追っ手に追われ、薩摩に逃れたのち、西郷と入水自殺を遂げる。
奄美大島の人々
- 愛加那(演:二階堂ふみ)
吉之助2人目の妻、長男・菊次郎と娘を生む。
- 富堅 (演:高橋努)
愛加那の兄。
愛加那の育ての父。
奄美の人々を束ねる長老。薩摩藩の搾取に苦労する。
京の人々
- とら(演:近藤春奈)
関連タグ
おんな城主直虎 ← 西郷どん → いだてん〜東京オリムピック噺〜(予定)
鹿児島弁:作中にて話されている。しかし全国放映用に本来の鹿児島弁に比べて大幅に標準語寄りのものとなっている。
奄美弁:鹿児島弁と同じく作中で話されているが、標準語訳の字幕を使用する異例の対応をとっている。
翔ぶが如く(1990年度NHK大河ドラマ)…本作で語りを務める西田敏行と島津斉興役の鹿賀丈史がそれぞれ主人公の西郷隆盛、大久保利通を、井伊直弼役の佐野史郎は隆盛・利通の同志・有村俊斎(海江田信義)を演じていた。