オーストラリアで撮影され、日本では1990年にビデオ発売、再編集した劇場版として展開された。後に1995年にTBS系列で地上波放映される。全13話。
概要
当初は全6話のオリジナルビデオ作品として予定されていたが、海外での展開を考慮し、7話追加となった。そのため、邪悪生命体ゴーデスと戦う前半と、さまざまな怪獣と戦う後半に分かれている。何気に120m越えの超巨大怪獣が5体も登場しており、昭和ウルトラシリーズより重厚感溢れた戦いが多い。
テーマとしては、環境問題への意識が強く取り入れられている。
余談だが、平成最初のウルトラマンでもある。
技術・演出
キャラクターの巨大感を表す為に、あえてビルの高さより低い身長にされている、戦い終わったグレートが飛び去る場面を真下から映す等、今までとは少し違った切り口の特撮場面が見られる。初めて人々の前に登場した際に新たな敵と間違われて一度は攻撃されるなど、「人類とウルトラマンとのファーストコンタクト」を改めて捉えなおしている描写が多い。
オーストラリアの伝統技術であるパペットも多用され、新たな個性を持った怪獣達が生まれた。
後にアメリカのケーブルテレビにて好評を博し、ウルトラマンパワードへとつながっていくことになる。
あらすじ
太陽系の第4惑星、火星…ここで、まだ誰も見たことの無い戦いが、静かに幕を開けた…。
邪悪生命体ゴーデスが襲来し、地球の火星探査船を襲う。
M78星雲からゴーデスを追ってやってきたウルトラマングレートは、何とかこれを倒すも、
ゴーデスは自らの体を細胞に分解、太陽系第3惑星、地球へと逃亡する。
ゴーデスによって破壊させられた火星探査船の生き残り、ジャック・シンドーはウルトラマングレートと一体化。
地球へ帰還し、国際軍事組織「UMA」の南太平洋支部に着任する。
その頃、地球へとたどり着いたゴーデス細胞は、他の生物に感染し、邪悪大怪獣を生み出して破壊を始める。
作品一覧
話数 | サブタイトル | 英題 | 登場怪獣 |
---|---|---|---|
1 | 銀色の巨人 | Signs of life | 邪悪生命体ゴーデス/双脳地獣ブローズ |
2 | 凍てついた龍 | The hibernator | 古代怪獣ギガザウルス |
3 | 魅入られた少年 | The child's dream | 火炎飛龍ゲルカドン |
4 | デガンジャの風 | The storm hunter | 風魔神デガンジャ |
5 | 悪夢からの使い | Blast from the past | 毒ガス幻影怪獣バランガス |
6 | 悪夢との決着 | The showdown | 邪悪生命体ゴーデス(第2形態) |
7 | 森の守護神 | The forest guardian | 守護獣ガゼボ |
8 | 姿なき復讐 -昆虫の叫び- | Bitter harvest | 昆虫怪獣マジャバ |
9 | バイオス計画 -植物都市- | The biospherians | 電脳植物バイオス |
10 | 異星人狂奏曲(エイリアンラプソディー) | Tourists from the stars | 変身生命体リュグロー/変身生命体ベロニカ |
11 | 第47格納庫 | The survivalists | 円盤生物UF-0(ユーエフゼロ) |
12 | その名は"滅亡(ほろび)" -伝説2大怪獣登場- | The age of plagues | 伝説深海怪獣コダラー/伝説宇宙怪獣シラリー |
13 | 永遠(とわ)なる勇者 -伝説2大怪獣登場- | Nemesis | 伝説深海怪獣コダラー/伝説宇宙怪獣シラリー |
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え |
---|---|---|
ジャック・シンドー隊員 | ドーレ・クラウス | 京本政樹 |
アーサー・グラント隊長 | ラルフ・コトリール | 小林昭二 |
ロイド・ワイルダー隊員 | リック・アダムス | 山寺宏一 |
チャールズ・モルガン隊員 | ロイド・モーリス | 柳沢慎吾 |
キム・シャオミン隊員 | グレース・パー | 平野文 |
ジーン・エコー隊員 | ジーヤ・カリディス | 榊原良子 |
スタンレー・ハガード | ジェイ・ハケット | 津田英三 |
ブリューワー将軍 | ピーター・レイモンド・ロウェル | 飯塚昭三 |
ウルトラマングレート(声) | 岡部政明 | |
ナレーター | ジョン・ボネー | 藤岡弘(第1~6話)/内海賢二(第7~13話)/玄田哲章(次回予告) |
字幕版では、ウルトラマンの掛け声やカラータイマーのSEの違いが挙げられるが、セリフが回しが大きく異りストーリーが違うエピソードもある為、もう一つのウルトラマングレートともいえる内容になっている。
メディア展開
ソフト化
海外制作ということもあり、版権が複雑で、VHS、LDが発売された後、長い間DVD以降のメディア化はされてこなかった。しかし、2016年6月末になって、2017年2月27日に待望のBlu-ray BOXが発売されることが電撃発表され、多くのファンを驚かせることになった。
漫画版
放映当時、講談社の児童誌『テレビマガジン』にて島本和彦による漫画版が掲載されていた。長らく単行本化されていなかったが、前述のBlu-ray化に伴い小学館から単行本が発売された。
児童向けということもあって、「30分の内容を決まったページ数で収めるのは不可能」と判断した島本により、Bパートのみがコミカライズされ、Aパートはあらすじだけで紹介されていた。
作品はそこまで本編から乖離してはいないものの、漫画界一暑苦しい島本氏が書いただけあって、戦いの最中ウルトラマンゼアスのようにグレートが大きく口を開けるなどのオリジナル演出が挟まれており、リュグロー戦ではグレートが肩口を切り裂かれる、シラリーが首を斬り落とされてもなお襲い掛かって来るなど、幼児向けにしてはバイオレンスな描写も散見される。
また、最終章である「永久なる勇者」のみ前後編になっており、最終回ではTV版とは異なる終わり方を見せている。
また講談社『ヒーローマガジン』1991年1月号に森藤よしひろによる読切漫画が掲載された。
アメコミ版
Ultracomics版とNemesis Comics版がありNemesis Comics版ではジャック・シンドーが死亡。その後、グレートは日系アメリカ人エース・キムラと一体化し、ゴーデスは悪のブルーウルトラマンを生み出した。
CS放送
2020年7月25日から、海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」で吹替版が放送された。
公式配信
2020年9月4日から、グレート生誕30周年および『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』登場を記念してYoutubeのウルトラチャンネルで字幕版が配信される。恐らく世界展開を意識したこの配信に際して「ビデオで吹替版しか見てないからオリジナルで見るのは新鮮な気持ち」などと好意的な意見もあるものの、やはり「やるなら日本語吹替版を配信して欲しかった」と落胆する人の方が多かった様である。
小ネタ
オーストラリア版ウルトラマンの新ウルトラマンや怪獣のデザインには初期のウルトラシリーズのデザイナーでもあった成田亨がオーストラリア版ウルトラマンのために金色と黒ラインの「ウルトラマン神変」を描き上げたものの、円谷プロとのトラブル事情もあり、成田亨登版には至らなかった。
特撮ファンとして知られる俳優の京本政樹が深くかかわっており、主人公の日本語吹き替えや主題歌を務めている。「グレート」という名も、オーストラリアの世界遺産・グレートバリアリーフに由来し、京本が名づけた。また、グレートのNG版の着ぐるみを使用し京本自身が監督・主演の『ウルトラマンマサキ』という短編映像作品を作った。
チャールズ・モーガンの吹き替えを担当した柳沢慎吾は、およそ四半世紀後に製作された『ウルトラマンオーブ』で主要キャラクターの1人である渋川一徹役を演じた(渋川の役どころがビートル隊の「隊長」であるため、結果論ではあるが、アーサーを吹き替えた小林氏がムラマツ隊長と相まって「新旧キャップ」の構図となった)。ロイド・ワイルダーの吹き替えを担当した山寺宏一も、同作の劇場版にてガピヤ星人サデスの声を担当している。
関連動画
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