白い奴のパイロットは、アムロといったな……ララァ、どうすればいい!?
カタログスペック
頭頂高 | 23.0m |
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本体重量 | 150.2t |
全備重量 | 231.9t |
ジェネレーター出力 | 9,400kW |
装甲材質 | 超硬張力スチール |
スラスター総推力 | 187,000kg |
概要
サイコミュ試験型ザクをベースにジオン公国軍の開発したニュータイプ専用モビルスーツ。モビルアーマーではない。
一年戦争においてシャア・アズナブルが最後に搭乗した機体でもある。
五連装メガ粒子砲を搭載した腕部を飛ばし、それを有線式サイコミュで操作することによってオールレンジ攻撃を可能とする他、頭部・腰部にもメガ粒子砲を内蔵する。
胸部・頭部にそれぞれコックピットを有しており、頭部は分離して独立した行動が可能となっている。
機体解説
ア・バオア・クーにおいて開発が進められていたが、サイコミュの小型化が間に合わず、通常のモビルスーツの二倍のサイズで設計され、更に実戦投入の際には上腕の一部と脚部が無い80%の完成度のまま出撃を余儀なくされた(一説には脚部は最初から設計プランになかったともされている)。
出撃の際、シャアの「機体に足が無い」という指摘に対して整備士は「あんなものは飾り」であると発言している。
「モビルスーツ」にカテゴライズされるものの、機体サイズは一年戦争当時の規格(18m)を完全に逸脱する大型となっている。
必然的に被弾面積が増大しているが、積載容積も大きく確保可能であったため、9,400kwと非常に高いジェネレーターを採用している。これは“単純な数値比較ならば”ZZガンダムすら凌駕する。
なお、シャア専用ザクが通常の三倍のスピードで移動できた理由は、一説にはザクⅡの推進力に加えて隕石や敵艦などを足場に使い、踏込で推進力をさらに上乗せするというモビルスーツが人型である点、特に「飾り」とも評された足をも最大限に使いこなしていたという説があり、その操縦技術ゆえの指摘とも考えられる。
終戦直前に3機の製造が確認されており、シャアが搭乗したのは1号機であると言われている。
シャアの搭乗した機体以外の二機と開発途中だった脚部ユニットは戦闘の最中喪失(サンダーボルト版では二機を接収)したとされるが、残された機体データは後のサイコガンダムの開発に活かされる事になる。
関連イラスト
武装
- 有線式五連装メガ粒子砲×2
サイコミュ試験型ザクの武装を元に設計された両手の前腕部そのものを砲塔としたビーム兵器。
有線式であるため、素質がある一般パイロットにも扱えるようになっており、形式的にはハンマ・ハンマやドーベン・ウルフのインコムのような準サイコミュに近い。
腕を飛ばしてオールレンジ攻撃が可能であり、グフのフィンガーバルカンと同じように各指からビームを発射可能であるため、腕を射出し、更に指を曲げてそれぞれの方向に同時に攻撃を加えることも出来る。
ジオング本体の潤沢なジェネレーター出力によるメガ粒子砲の威力は絶大なものがあり、両手での一斉射で巡洋艦を容易に撃沈し、片腕の斉射でもガンダムの腕をシールドごと吹き飛ばすほどの火力を見せつけた。
一説によると数十メートルのビームサーベルを発振させることも可能だったらしいが、劇中では未使用。
- 頭部メガ粒子砲
口腔部に内蔵されたメガ粒子砲。
前腕部を両方共射出、或いは損失した場合のための装備でもあるが、これだけでも当時のMSであれば撃破可能。
頭部が分離した際には主兵装となるが、あくまで自衛の意味合いが大きい。
ラストシューティングでガンダムを破壊したのもこの兵装である。
- 腰部メガ粒子砲
腰に一対装備されたメガ粒子砲。
劇中では外壁でガンダムを待ち伏せしていた時に放った程度であるが、PS3ガンダム戦記のアバンタイトルでは連邦軍を迎撃するのに用いられている。
頭部と同様に射角が限られているため、前腕部が使用不可の状態でも戦闘が継続出来るようにするための補助火器扱いである。
ゲーム作品によっては拡散メガ粒子砲としても描写されるが、おそらく収束率と出力の調整が可能であると思われる。
あんなものは飾りです
足が装備されていない状態と、その機体に搭乗した際のシャアの内心については、1997年に富野監督が『TV版ファーストガンダムの正式なノベライズ』として著した「密会 アムロとララァ」(角川スニーカー文庫)に詳しく描写されている。
本書において、ジオングの機体性能としては、足が無くとも問題はなくむしろ機動性は高いと明言されているが、同時にパイロットであるシャアは「有機体である人類が、自然環境の中で億単位の年月をかけて辿り着いた『人型』の内包している柔軟性」に全幅の信頼を寄せているがゆえに、本機の形状に不安を持っていたと語っている。
そしてまた、「足を飾り」と言い切ってしまうような技術者がパイロットの意向を無視して兵器の開発を主導しており、更にはエースパイロットであるシャアがその機体に不安を持ったままガンダムとの決戦に挑まなければならないような事態が、ジオン公国が組織体として終焉に迫っている事を如実に表していると評している。
バリエーション
パーフェクトジオング
脚部を装着したジオングの完成型。プラモ狂四郎、MSV、機動戦士ガンダムC.D.A.若き彗星の肖像に登場。
詳細はパーフェクトジオングを参照。
グレート・ジオング
SDガンダムGジェネレーションに登場するジオングの発展形。
詳細はグレート・ジオングを参照。
ジオング高機動型
ギレンの野望シリーズに登場するジオングの高機動型バリエーション。
ジオングにスラスター・バーニア類を追加装備した機体であり、追加装備としてプラズマリーダーを有する。
脚部は省略されており、宇宙での使用に特化した機体となっている。
キケロガ
ジオン軍の次期主力機開発プロジェクト「ペズン計画」に於いて開発された試作型モビルスーツ。
ジオングの前進的な機体であり、本土決戦に備えて開発が進められていたが小型の機体に多くの装備を詰め込んだために設計に無理が生じ、開発は試作段階で中止されている。
武装は腕部にジオングと同様の有線制御式メガ粒子砲を装備している他、両肩に大型メガ粒子砲2門を装備している。
元来は機動戦士ガンダムの構想案に於いて名前が挙げられた機体であり、その後ボードゲーム『トワイライト オブ ジオン』にてデザインが起こされた。
ネオ・ジオング
機動戦士ガンダムUCに登場する大型モビルアーマー。モビルスーツではない。
ジオングの名を冠しているが、実際にはシナンジュをコアとした別種の機体である。
詳細はネオ・ジオングを参照。
ジョング
ザンスカール帝国が宇宙世紀150年代の技術でジオングを再現した機体。
詳細はジョングを参照。
グラン・ジオング
松浦まさふみの漫画作品、機動戦士ガンダムムーンクライシスに登場する機体。
テロ組織『ヌーベルエゥーゴ』の首魁であるタウ=リンが搭乗。
脚部を持つモビルスーツではあるが、通常の腕の外側に巨大なサブアームを有する。
独自武装であるアンチ・ファンネル・システムは全てのフィールドを抑え込む作用があり、
Iフィールド・ジェネレータを発動させていると身動きが取れなくなる。
ジオング(サンダーボルト)
『機動戦士ガンダムサンダーボルト』に登場。シャア・アズナブルが搭乗したジオングを第1号機とし、量産された機体。デザインはほぼシャアのジオングと変わらないが、肩、胸部に『ZEONG 02』と機体ごとにナンバリングされている。ほぼ完成真近だったが、ア・バオア・クーの決戦でジオン公国は敗れ連邦にガサ入れされてしまい日の目をみることは無かった。やはり足が無い。
が、月日は流れある者が宿敵を倒すために立ちあがったという・・・
単行本16巻限定版付録「MSデザインワークス」にて、正式名称が「パーフェクトジオング」である事が判明した。
胸部に地球連邦軍のエンブレムが付いているが、見た目がアレなので同士討ちのリスクが孕んでいる。
こちらもニュータイプ専用機だが、非ニュータイプが操縦する際にニュータイプをサブパイロットとして搭乗させるべくコクピットが複座式になった他、モニターも全天周囲型となっている。
足を取付ける予定だった部分にはプロペラントタンクを取付け、ハイスピード戦闘が出来るようになっている。また、スカート部分には隠し腕がある。
立体物
1/144 HGUC MG BB戦士 リアルBB戦士 SDガンダムフルカラーにてラインナップ。
各々劇中同様のギミックが再現されているが、 有線サイコミュの再現用部品が金属シャフトやリード線と異なる。 ※SDガンダムフルカラーには、組み込まれていない。
BB戦士 リアルBB戦士 SDガンダムフルカラーには、パーフェクトジオングへ換装するためのオプションパーツが同梱されている。
余談
富野監督の当初の構想では全身がビーム砲を持つ各部位に分離して攻撃を行う機体であったらしい。その構想は後の作品に登場したターンXで実現する。
ジオングの元ネタがUFO戦士ダイアポロン第5話「鉄騎兵+円盤鉄人=破壊軍団」に登場する円盤鉄人である事は余り知られておらず、富野監督はマイナーな作品から引用したなと実感した。
類似関連メカ
円盤鉄人・UFO戦士ダイアポロン第5話に登場したメカ獣で、上半身人型下半身円盤はジオングに影響を与えたと言える。パイロットはダザーン軍団で一番ダイアポロンと対決したヒドー隊長。
ルザルガ・銀河漂流バイファム前半に登場したククト軍の宇宙戦用ARV。ジオングと同じ上半身人型下半身足無しのデザインで序でにメカデザインも同一人物。シャロン・パブリンがジェイナス号の銃座で撃墜し、初めて人を殺した事にシャロンが戦慄した場面は有名。
ドロンキング・平成ヤッターマンの最終エピソードに登場したドロンボー最終メカ。パッケージがMGプラモデルで、格好はまんまジオングの代物で、駄目押しはメカデザイナーの人もネタとギャグにしたのは本当に一本取られた。