概要
正式名称は『アンブレラ・コーポレーション』。
『アンブレラ社』とも呼ばれているが、外伝のドラマCDでは『アンブレラ薬品』と呼称されていた。
バイオハザードシリーズの最大にして最凶。そして全ての元凶。
表向きは医薬品や化粧品等を販売し世界各国にも支店を持つ大手製薬企業であり、求人広告では平等主義の下に幅広い層の人間を社員として受け入れ、能力さえ有れば10歳の少女でも幹部待遇で迎えるなど年齢や経歴に囚われない柔軟性と実力主義的な社風を持つ。
「ADRAVIL」「AQUA CURE」「Safsprin」等の医薬品が人気商品となっている。
しかしその実態は生物化学兵器の開発を主とする軍産企業であり、表向きの業務である製薬開発を隠れ蓑にしてウイルス兵器や生体兵器の開発と非人道的な人体実験を繰り返している。
更には本編で入手出来る社員の日記などの文章からは表と裏の双方の業務で一般社員の待遇の悪さや使い捨て同然の扱いを伺わせる記述が見られ、極めつけには私設の非公式な刑務所を所有し、事務員という職種に不満を持ち産業スパイに走った社員が息子共々投獄される、上司の機嫌を損ねたという理由で収監された秘書が嬲り殺しの末に獄死する等々の違法かつ苛烈な私刑行為が横行したりと、色々な意味で超絶ブラックな企業である。
複数の特殊部隊クラスの(※)私設軍隊も所有しているが、こちらも体のいい捨て駒同然の存在であり、事故発生時の隠蔽工作などに運用されていた。
劇中世界に多大な影響を与えた(健在時が舞台の作品の一部資料には「(癒着関係委により)米国政府ですら逆らえない」という記述もあるほど)企業であったが驕れる者は久しからず、シリーズの進行と共に中枢メンバーが倒されたり、自分たちの開発物の暴走で重要施設を自滅させたりを繰り返すうちに壊滅状態に追い込まれた。しかし崩壊後も企業が遺した悪しき遺産が以降の世界へと拡散し、人類は果てしないバイオテロとの戦いを繰り広げていく事になる。
※アメリカでは一定の条件を満たした上で政府から許可さえ下りれば、企業も警察組織や私設軍隊を所有する事が認められており、これ自体は違法ではない。
主な関係者
総帥
最高幹部
ジェームス・マーカス エドワード・アシュフォード セルゲイ・ウラジミール
幹部
ブランドン・ベイリー ビンセント・ゴールドマン ミレーヌ・ビアズレー アルフレッド・アシュフォード(※実際は幹部とは名ばかりの閑職である)
研究員
ウィリアム・バーキン アネット・バーキン アレクシア・アシュフォード ヨーコ・スズキ モーフィアス・D・デュバル(後に解雇) フレデリック・ダウニング(後にウィルファーマ社へ移籍) ナサニエル・バード Dr.キャメロン
情報部
アルバート・ウェスカー(以前は顧問研究員。後にH.C.F.を経てトライセルへ移籍)
所属不明
所持している部隊
U.B.C.S.
Umbrella Bio Hazard Countermeasure Service(アンブレラ バイオハザード対策部隊)の略。
アンブレラ社の開発するウイルスやB.O.W.等に依る災害・事件・事故や企業テロへの対応を任務とし何らかのトラブルが発生した場合、汚染地域に真っ先に派遣される。
部隊編制の大半が傭兵で占められた非正規部隊であり、隊員の大半は服役中の戦争犯罪人や重大な犯罪を犯して無期懲役か死刑判決を受けた元軍人、亡命軍人、元ゲリラ兵といった経歴を持つ人物で構成され、ならず者も多く贖罪不問を条件に傭兵として雇用されている。冷戦時代に東側の軍隊で軍務を経験した隊員も多い。
また、これらの一般隊員の中に潜伏し、現地の状況の調査報告、友軍とB.O.W.の交戦データの記録、アンブレラにとって有益な資料や不利な証拠品となり得る物品の回収と抹消を行う監視員と呼ばれる特殊工作員が存在する。他の隊員に投与されている物よりも効果の高いワクチンを処方され、現地での拠点や複数の脱出手段が用意されているといった特別待遇を受けており、任務の特殊性と非人道性からU.B.C.S.の中でも特に戦闘能力に優れ、金銭や自身の利害を最優先する倫理観の低い人格の隊員が選抜されている。
基本的には30名の隊員で1個小隊を編成し、ラクーンシティ事件の際には市民救出の名目で4個小隊120名が投入され、それらの部隊とは別の任務を与えられた分遣隊が派遣されていた。
実態はゾンビをはじめとするラクーン市内で発生したイレギュラーミュータントとアンブレラが意図的に放ったハンターβなどの新型B.O.W.との戦闘データを採取するためのモルモットとして使われる(「3」)、暴走したタイラントの鎮圧に出動した1個小隊が全滅させられる、ラクーンシティ地下研究所の警備とウィリアム・バーキンの警護にあたっていた部隊が共通の雇い主であるアンブレラからバーキン共々切り捨てられU.S.S.に粛正される(「ORC」)など何かと不遇な目に遭っている。
主な所属隊員
ミハイル・ヴィクトール ニコライ・ジノビエフ カルロス・オリヴェイラ
U.S.S.
Umbrella Security Serviceの略。アンブレラ社の保安警察。
主に社幹部の警護等を行なう他、公には出来ないような特殊任務へも従事する。特殊任務に当たっての一般的装備類は、英軍特殊部隊SASの室内突入装備に準じた物が採用されている。
言わばアンブレラの私兵部隊の中でも正規軍的存在のエリート兵士たちで、待遇が良く脱出手段も保障されるが、そんな彼らでも時にはあっさりと使い捨てられてしまう。
ロックフォート島に建設された訓練施設で隊員の養成を行なっており、かの死神も同施設の出身者であったが、前述のU.B.C.S.の様に隊員のほとんどが訳ありな経歴を持つ外部からスカウトされた人材で賄われている部隊も存在している。
主な所属隊員
ハンク ルポ ベクター フォーアイズ ベルトウェイ バーサ スペクター
掃除屋
危険度Aプラスクラスの極秘任務において投入される証拠隠滅の専門部隊。隊長を除く全隊員がUT-ユニットと呼ばれる高度な知能と自己消滅機能を持つB.O.W.で構成されており、アンブレラの幹部社員を含めた全証人の抹殺と関連施設の破壊を担っているアンブレラの私兵の中でも特に異彩を放つ部隊である。
企業の衰退
バイオハザード0 | 閉鎖した幹部養成所の再利用計画にあたって調査団を2回に分けて派遣するも、マーカス博士の遺物であるヒルの謀略によって幹部養成所と黄道特急でバイオハザードが発生し調査団と黄道特急に投入されたU.S.S.1個分隊が全滅した事により再利用計画が頓挫する |
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バイオハザード | S.T.A.R.S.を用いた実戦データの収集とB.O.W.のサンプル回収、施設の破壊を目論みアルバート・ウェスカーをアークレイ研究所に送り込むが離反され、S.T.A.R.S.も数名が生還する |
バイオハザード2 | U.S.S.によるGウイルス奪取作戦の際にウィリアム・バーキンのG生物化を招き、ラクーンシティにおける大規模なバイオハザード発生の直接的な引き金を引く。滅菌作戦によって隠蔽を図るも失敗しマスコミに事実を暴露される |
バイオハザード3 | ネメシスによってS.T.A.R.S.の殲滅を図るも失敗 |
ガンサバイバー | 部下達の糾弾による失脚を恐れたビンセント・ゴールドマンが意図的にバイオハザードを発生させ、研究施設と全社員を放棄する |
コードベロニカ | ウェスカー率いるH.C.F.によりロックフォート島の関連施設が破壊され、南極基地もレッドフィールド兄妹・ウェスカー・暴走したアレクシアの三つ巴の戦いの末に壊滅しベロニカウイルスがウェスカーの手に渡る |
アンブレラクロニクルズ | 最後に残ったロシア支部が壊滅。アンブレラの全データがウェスカーの手に渡った挙句、マザーコンピュータのデータも抹消される。後にラクーン裁判でアンブレラの極秘データが決定的な証拠となり全面敗訴。企業は終焉を迎える |
バイオハザード5 | 創設者が死亡。アンブレラは完全に過去の存在となった………かと思われたが… |
新生アンブレラ社
『7』にてまさかの会社更正法の適用により対バイオテロ専門の民間軍事企業として再建されていた事実が判明。
同作のDLC『Not A Hero』によると、2007年に旧アンブレラ社の元社員によって『旧アンブレラ社の贖罪』…即ち、旧アンブレラの残した負の遺産の根絶とバイオテロリストの逮捕を目的に創設され、忌むべき名である筈の『アンブレラ』の名を残したのも、贖罪の意識を強める意味からとの事。
勿論、アンブレラの名に対する世間の心象も考慮しているのか、社のロゴ色が赤ではなく青になっている。
業務内容は前述のとおり、旧アンブレラのB.O.W.やバイオテロを目論む犯罪者、組織の鎮圧、逮捕などであるが、一方で旧アンブレラ関係者の残した対B.O.W.の研究成果や技術を応用して、対B.O.W.用兵器の開発なども行っている様で、7本編やDLC『Not A Hero』ではそれらのひとつであるハンドガン『アルバート-01R』やショットガン『トールハンマー』などが登場する。
また、7の作中では同じ対テロ組織であるBSAAから、旧アンブレラと幾度も敵対してきた対バイオテロ戦における歴戦の猛者であるクリス・レッドフィールドを軍事顧問として招いているが、『アンブレラ』の名前に対しても憎悪を持つクリスにとって、同名の名を持ち、あまつさえ旧アンブレラ関係者が興した組織に協力する事はやはり複雑な思いである様で、DLC『Not A Hero』でも新生アンブレラに対して、完全に信用してはいない事を明かしている。
表記は便宜的に「アンブレラ社(青)」と付ける。
派生、類似企業
H.C.F.
『コードベロニカ』より登場した、アンブレラのライバル企業。
かつてはエイダ・ウォン、アンブレラから転身したアルバート・ウェスカー等が所属していたが、現在に至るまでに具体的な組織としての規模は不明。しかし、アンブレラの主力商品の一つであったハンターを周辺機器と併用する事で兵器としての実用性を向上させるなど、技術面では同等のものを有している。
『7』にも名前のみ登場しており、それによると「コネクション」なる組織に技術協力し、最新型B.O.W.を生み出すのに一役買っていた事が判明した。
ウィルファーマ
『ディジェネレーション』で登場する企業。アンブレラ崩壊後、製薬業界で頭角を現し、T-ウィルスのワクチン開発と量産を担っていたが、インドで行った新薬の臨床実験(実際はT-ウイルスワクチンの実験)で多数の死者を出し世間からバッシングされた上、ワクチン開発担当者の一人が、研究用に入手していたT-ウィルス、G-ウィルスをテロ支援国家への横流しとそのデモンストレーション代わりのバイオテロを行っていたことが発覚し、企業としての信用を失ったところを後述するトライセルに買収された。
トライセル
『ディジェネレーション』、『5』で登場する企業。元々はヨーロッパの古い海運商であったが、創業者のトラヴィス一族(『5』に登場する主要幹部エクセラ・ギオネもトラヴィス一族の末裔である)の一人が記したアフリカ探検の記録集を独占し、そこから得た新種の動植物の発見やそれを活かした新薬開発や、未開拓の鉱山、油田などの開発に手を伸ばした結果、アンブレラと肩を並べる大手企業へと成長。アンブレラの崩壊後は、製薬部門で頭角をあらわした。
表向きにはBSAAをはじめとする対バイオテロ組織のメインスポンサーとして巨額の資金援助を行い、前述したウィルファーマに代わってT-ウイルスのワクチンの製造を行う献身的な存在とされているが、その裏ではアンブレラの後を継ぐ形で凶悪なB.O.W.の製造や運用を行っており、一部の関係者によって様々な戦場に横流しされている。また、社員の中にはアンブレラ残党も所属していたと思われる。
ほぼアルバート・ウェスカーの世界征服のための駒に等しい存在であり、『5』で主要幹部と黒幕が死亡し、その黒い一面が公にされた。
『リベレーションズ2』では既に壊滅した事が明言されている他、『アンブレラコア』では壊滅後、廃墟と化した本社が敵対組織からのバイオテロによってゾンビの巣窟にされている。
ネオアンブレラ
『6』にて登場。ネオとは言うが、アンブレラとの直接的関連は無し。また、生物兵器研究を行っているが資金源調達のための表の顔も存在せず、主な任務も各地の戦場における反政府勢力に対する資金や武装、B.O.W.の援助など、実質的にはテロ組織である。
しかし、アメリカの上層部の人間がスポンサーとなっていたためにその必要はないくらい資金は潤沢、資源も上層部や顧客絡みでポンポン手に入るため、ある意味最良の環境で研究を行っていたともいえる。
結果生まれたとんでもないウイルスとB.O.W.を世に放ち、世界を崩壊の一歩手前まで追い詰める。しかし、スポンサーと指揮官が死亡、本拠地や活動拠点もそれぞれ壊滅した。
関連タグ
バイオハザード 企業 ブラック企業 腹黒企業 変態企業 全ての元凶 B.O.W. AQUA_CUREの彼女
アンブレラ社(現実)
バイオハザードに登場するアンブレラと同じロゴを使用した企業が2013年にアメリカのバージニア州で創業している。
もちろんちゃんとアメリカで商標登録がされている。
もっとも製薬会社ではなく、銃火器のパーツを製造する企業であるが(ゲーム内の本家アンブレラもマインスロアー等といった対B.O.W.用の武器を開発する部門が存在する)。
残念ながら元ネタとなった企業がゾンビものであってもアメリカで現在も流行っているゾンビハンターブームには乗っておらず、バイオハザードマークや緑色を使ったゾンビハンター系の火器は出ていない。
サイトはこちら
なお
エアソフトガン系パーツを出しているMadbullがライセンスを取得しており、エアソフトガン用のレプリカパーツが日本でも入手可能となっている。