概要
『バイオハザード3』からの登場人物。『RE3』での日本語吹き替えは三宅健太氏。
モスクワ出身のロシア人。元軍人であり、現役時代は冷戦期においてソ連特殊部隊スペツナズに所属していた軍歴を持つ。身長187cm・体重102kg、血液型はA型、年齢は35歳(1998年当時)。現在はアンブレラの特殊部隊『U.B.C.S.』に所属し、D小隊B分隊隊長を務めている。階級は軍曹。作中ではラクーンシティで発生したバイオハザードにより、カルロスら他の隊員達と共に市民救助のために派遣された。
任務途中、ゾンビによって部隊が壊滅、生き残ったカルロスとD小隊の隊長であるミハイルと共に路面電車の車両内に避難していた最中、『S.T.A.R.S.』の一員であるジル・バレンタインと出会う事となる。
なお、アンブレラの幹部であるセルゲイ・ウラジミール大佐と同じくロシア人ながら英語が堪能であるが、よく聞くとニコライも所々でロシア訛りが聞き取れる。
兵士としての技能
元スペツナズの隊員だけあり、兵士としての能力は抜きん出たものがある。ナイフなどの近接武器や各種銃器の扱いは勿論の事、森林戦や市街戦、暗殺や徒手空拳による肉弾戦、果てはブービートラップの作成や解除、ヘリの操縦となんでもござれのハイスペックぶり。加えてサバイバル技術にも長けている故に、部隊が全滅するような過酷な任務でも彼だけは生還する事も珍しくなく、アンブレラ側からも高い評価を受けている。だが、同時にニコライ以外の隊員の生還率が極端に低いため、『U.B.C.S.』内では不審の目と良からぬ噂が絶えないでいた。
余談であるが、別動部隊『U.S.S.』に所属する、同じく兵士として高い能力と生還率を併せ持ったハンクとはライバル関係にあるとされているが、実際は周囲がそのような印象を抱いていただけで、当人達はあまりお互いを意識していない様子。
関連イラスト
関連人物
正体
実は彼に与えらえた市民救助の任務は表向きである。『U.B.C.S.』の中には派遣先の地域でアンブレラにとって存在すると都合の悪くなる記録や人物等の抹消や抹殺、現地に投入したB.O.W.や発生したイレギュラーミュータントの調査や情報収集を任務とする“監視員”(monitor)と呼ばれる特命を受けた隊員が紛れており、このニコライもその一人であった。
ラクーンシティに派遣された監視員は、他の『U.B.C.S.』隊員とは異なり、より効果の高い抗ウィルス剤を投与されており、更に複数の脱出手段を手配されている。
また、その監視員達を総括する前述のセルゲイとは冷戦時代からの戦友らしく、彼からはニコライの銀髪が由来なのか「銀狼」と呼ばれている。
そのニコライの本性は、己の生存と利益のためならば、邪魔になると判断すれば味方すらも容赦なく殺害する、冷酷かつ残忍な冷血漢。
作中では展開によってカルロスの親友であるマーフィーを、ゾンビ化寸前ながらまだ人間の意識が残っているにもかかわらず、「ゾンビ化前なら少ない弾丸で済む」と一切の躊躇も無く射殺。
また、上述で触れた監視員には兵士として優秀な経歴や能力を持ちながら、信念よりも金銭などの利益を至上とする者で占められている。もっとも、雇い主のアンブレラにとっては利己的な人間の方が扱いやすいという事情もあった。
ニコライもまたその例外ではない。それどころかより多くの報奨金を独占するために他の監視員まで暗殺し保有する情報の価値を高めつつ手柄を横取りする、ジルに掛けられた賞金欲しさに彼女の命まで狙うという、作中には同じ監視員で経歴や性格を含め金銭欲の塊であるタイレル・パトリックなる人物が登場していたが、それすらも可愛く見える程の守銭奴ぶりを見せる。そしてこれは、ニコライの所属・派遣先の隊員達の生還率が低い要因の一つとなっている。
しかし、それでも卓越したサバイバル技術は本物のようで
- 営業所内にて、侵入してきたゾンビの大群に襲われながらも死を偽装しつつ無傷で逃走。
- ガソリンスタンドでは、床に広がった燃料への引火・爆発を間近で巻き込まれながらも無傷で生存。
- 総合病院内では、報酬の独占のために前述の監視員の一人であるタイレルを射殺するが、まだ息があった彼の手榴弾による道連れの回避のために窓を破って脱出(なお、この部屋は四階であり、さらに夜間のため窓の外は視界が劣悪である)。当然生存しており、しかも病院一階にはいつの間にやら病院の爆破解体のための大量の時限爆弾を設置済み。
……奇術師かこの銭ゲバ男。
『RE:3』において
監視員というキーワードは登場しないものの、タイレルの善玉化もあって、今作では唯一の人間悪役として活躍する。生存と利益優先の性格も『3』より強調され、最後のファイルである契約書の内容とジルに敗れた後の行動から、こちらのニコライは利益のためならより良い条件を求め、それまで契約関係を築いていた雇用主すら裏切り、平然と敵対または別組織に寝返る可能性もある危険人物となっている。
なお、前述のファイルからは新手の契約先に関する名称などの情報は覗えないが、当時のアンブレラの敵対会社と言えば……
本作における動向は登場と同時にリメイク前と同様にマーフィーを射殺、ミハイルとジルを見捨て、T-ウイルスワクチンの作成者ナサニエル・バードを殺し、研究所にてトラップとB.O.W.起動、爆撃続行ための証拠品ワクチンを破壊するなど、彼に関わる悪事は非常に多い、また、最後の対決では彼がカルロスとジルを殺害する特殊ゲームオーバームービーがある。
またミハイルは、奇襲されたとはいえ思考能力がないゾンビに対してU.B.C.S.があっけなく壊滅してしまった事や、まるで避難を妨害するかのように不自然に鍵がかけられた地下鉄のゲートに疑惑を抱いており、これらもニコライの裏工作である可能性が考えられる。
ミハイルから問い詰められると不敵に笑い、ネメシスが地下鉄を襲撃するや否や、その隙にジルとミハイルを閉じ込めて殺させようとした。
この時、まるでネメシスが来ることを予想していたかのように妙に落ち着いており、武器を構える素振りを見せず、ネメシスの襲来に驚くジルとミハイルを尻目に静かに背を向けて歩いていた。
ワクチン回収組に参加せずに地下鉄に乗ったのも、ネメシスに襲われて死んだと見せかけてカルロス達を裏から妨害・抹殺し、バードを殺害してあわよくばワクチンを横取りしようとするためと思われる(ジルが生きていたので、カルロス達に裏切りがバレたが)。
プレイヤーが勝利する場合でも、ジルに撃たれ負傷するもののニコライが死亡する展開にならないが、今作はジルとカルロスがニコライを見捨てて脱出するため、リメイク版における彼の生死や(もし設定が『ガンサバイバー』と『UC』に繋ぐ場合)脱出手段は不明である。
いずれにせよ、いざという時に引き金を引けないジルを嘲笑い、ジルを庇うカルロスに「こいつといると死ぬぞ」という発言は、後の時系列を考えると滑稽に思える(現に、カルロスは不明だが、ジルは後に数々のバイオテロから仲間と共に生存し続けている)。
登場作品
『ガンサバイバー』……ニコライが提出した報告書として、名前のみ登場。
『アウトブレイク』……最終シナリオにて、ニコライらしき人物が登場。
『アンブレラクロニクルズ』……セルゲイが彼に宛てた手紙として、名前のみ登場。
『オペレーション・ラクーンシティ』……一部シナリオで登場。この時点で『re:3』のキャラ付けに近くなっており、ウルフパックの妨害をしてくる。妙にハイテンション。
実写映画版
俳優 ザック・ウォード
「おい、嘘だろ!?」
原作同様、「U.B.C.S.」に所属しているが、こちらではカルロスの副官で階級は軍曹。
カルロス達と共にラクーンシティへ派遣されるも部隊は壊滅、更にアンブレラに見捨てられたため、生き残ったカルロスとユーリ(のちにゾンビ化して射殺)と共に離反を決意する。
ゲスで腹黒な原作版とは打って変わって、ゾンビ化してしまったユーリを最後まで見捨てず助けようとするなど仲間思いであり、カルロスから相棒として信頼されている。このことからファンから「綺麗なニコライ」と呼ばれている。
その後、小学校でゾンビ犬に襲われていたジルとアンジェラを助け、颯爽と現れて自己紹介をするもそこで死亡フラグをたててしまい、直後に二匹目のゾンビ犬に飛びかかられた際に倒れてしまい、更に別のゾンビ犬に襲われて死亡。
吹き替えや字幕によっては名字がジノフェフになっているものもある。
「ニコライ・ジノビエフ軍曹だ、よろしく頼む(キリッ」
ゾンビワンコ「ガウッ!」
↓
カルロス「ニコライ……」
「ニコライだから何かやらかすだろう」と思っていた原作を知る視聴者の予想を裏切り、ゲスでも腹黒くもないキャラとなった彼だったがあまりにもあっさりした死にっぷりや上述のセリフとその流れは若干ネタにされた。
むしろ、オリジナルキャラのティモシー・ケイン少佐の方が原作のニコライみたいなキャラになってる(錢ゲバではないが)。
余談
ニコライの生死について
初登場作品である『3』では、シナリオ進行によっては追跡者に殺害される、または乗っていたヘリをジルによって撃墜されるなどして死亡するが、時系列ではラクーンシティ崩壊後にあたる『ガンサバイバー』にてニコライが提出した報告書、『アンブレラクロニクルズ』ではセルゲイとの手紙のやり取りが確認されており、この時点ではヘリで脱出し生還した展開が正史扱いとなっていた。
ただ、前述通り最新作『RE:3』においては脱出手段が不明、すなわち彼の生死は分からず仕舞いとなっている。
一応ジルとカルロスが脱出に使ったヘリの横にもう一機ヘリがあるため、それに乗って彼も脱出した可能性はある。
しかし、ジルが乗ったヘリはラクーンシティを破壊するために撃ち込まれた巡航ミサイルによる爆発の衝撃でふらふらになっていた=脱出はかなりギリギリだったことが描写されている。もし数分遅れで彼がヘリで飛び立っていた場合、さらに爆心地に近い空域において激しく揺れるヘリを胸が負傷した状態で飛ばすということになるため、脱出できたかは非常に怪しいものとなっており、現時点では明言されてはいないものの、死んだ可能性が極めて高い。
ミニゲーム
『3』のミニゲーム「The Mercenaries」では、カルロス・ミハイルと共に操作キャラクターとして登場。初期装備がハンドガンとナイフのみ、予備弾薬が無く回復アイテムはブルーハーブ一個、救急スプレーが三本、更に救助者からの報償がハンドガンの弾薬のみと非常に難易度が高い。ただし、ナイフで敵を倒すと通常の二倍の賞金獲得と八倍の残り時間増幅の効果を得られるため、極めれば誰よりも多くの獲得賞金を叩き出すダークホースと化する。
ちょっとした小ネタ
初期のキャラクター案では、同じロシア出身かつ『U.B.C.S.』所属のミハイル・ヴィクトールとは兄弟(善人の兄と悪人の弟という、ジノビエフ兄弟)という設定があったが、決定稿では性格面は反映されているものの血縁関係については没となった。
更に細かな余談として『3』のゲーム中の彼のグラフィックモデルは胴体部分(頭部以外)が実は前述のタイレル・パトリックに流用されている(実際には身長に関してはキャラに合わせて調整されており、タイレルの設定案にはそれらの旨のメモ書きがある)。
※アスペクト出版、『バイオハザード3 ラストエスケープ 公式ガイドブック 完全征服編』より一部を参照。
関連タグ
ディラン・ブレイク…同じくアンブレラに雇われた傭兵。こちらは逆に仲間思いの人物であったが、ラクーン事件で雇い主に振り回されて仲間を失った経験が原因でニコライにも劣らぬ冷血漢へと成り果ててしまい、皮肉にもラクーン事件から長い月日が経った後にジルと対峙する事となった。
ザンギエフ…中の人(ゲーム版)が同じカプコンキャラ繋がり。こちらもロシア人であるが、性格はまるっきり正反対の善人。
鷹岡明…中の人と軍事(こちらは日本の防衛省)関係者である点、ニコライに負けず劣らぬ卑劣漢である点が共通している。
クラフト(ロックマンゼロ)…同じく中の人(吹替)が同じカプコンキャラ繋がり。当初から敵側の人物であるが、ニコライとは逆に根は善人で最終的に黒幕を見限った。
クレイジー・マッシュ…ルパン三世『ヘミングウェイ・ペーパーの謎』の登場人物で、傭兵かつ提示された条件が良ければ仲間や契約を結んでいた雇用主を平然と裏切るなどの共通点がある。