艦種は旗艦級大型戦艦、標準型戦艦、巡航艦、ミサイル型巡航艦、駆逐艦、空母、輸送艦、工作艦、病院船、強襲揚陸艦、と様々なものが存在する(帝国軍も同様の種類はある)。
なお、旗艦級戦艦に関しては、個性的(バリエーション)な艦が多く、ヒューベリオン、トリグラフ、リオ・グランデ、エピメテウス、パトロクロス、アガートラム、シヴァ、アイアース、など様々な特徴を持った大型戦艦が多数就役している。
外見
帝国軍が『拳銃』または『ビームガン』のような形状をした戦闘艦(駆逐艦や補助船を除く)であるのに対して、同盟軍艦艇は『縦長の長方体』(ライフル銃・ショットガンのような)の形状をしているのが特徴である(巡航艦や空母は横に広いが)。
これは、真正面からの砲撃戦を行った場合に、被弾面積を小さくしようと言う考慮がなされていると予想される。事実、同盟軍の標準型戦艦と帝国軍の標準型戦艦では、真正面を向いた際に、帝国軍側の方がサブエンジンやメインエンジンの張り出しがある分、同盟軍側よりも被弾面積が広くなっていることが確認できる。とはいえ、広大な宇宙空間を隔てての砲撃戦である為、それほどに効果は無いとも考えられる。
能力
戦闘能力
同盟軍と帝国軍では、同じ兵装を同じ数だけ積んでいるとは限らない。旗艦クラスは除くとして、戦場の主力である標準型戦艦を例に見てみる。同盟軍は艦首に中性子ビーム砲を8門備え付けており、帝国軍の6門という数を上回っている。数で見れば同盟軍が圧倒だが、一説には帝国軍の主砲よりも口径がやや小さいと言う見方がある。
ビーム兵器は当然のことながら、エネルギー無くしては撃つことは出来ない。しかもビームの威力や搭載数によって、艦のエネルギー消費率は変動してくる。大口径砲は威力は高くとも、消費は高い。かといって小さくては威力が低下してしまう。
しかも同盟軍は、帝国軍よりも遅れて誕生した国家である。その分だけ技術差はあり、兵力差も大きい。そこで考えられるのは、多少威力が落ちても数を揃えて迎撃しよう、という魂胆である。撃沈できなくても多大な損傷を与えるだけもだいぶ違うだろうし、現状を顧みれば、質より量を選ばざるを得なかったのではないだろうか。
それもあって、巡航艦にあっても機能性を重視し、駆逐艦ですらワルキューレの艦載機能を持つ帝国と比べ、同盟軍は相手側と比較してかなり小振りな(それでも戦力的に同位とされる)巡航艦、巡航艦をさらに小型・廉価にした駆逐艦、と機能や性能を抑えてでも数を揃えることを重視している傾向がある。
もっともこの世界での宇宙戦闘は、繰り返しになるが基本的に艦の正面で隊伍を組んだ撃ち合いがメインとなるため、純粋な戦闘能力で差は殆ど存在していない描写となっている。
電子戦能力
前述・後述の通り、同盟軍艦艇は戦闘目的の為に割り切った設計であるため、大気圏航行などの汎用性(といくらかの美観)のためにアンテナや電子戦装置といった外部へ露出する装備が少なめの帝国軍艦艇と比べると、その電子戦能力は決定的に勝る、と言われている。
ただし、劇中では原作小説の執筆時期(1980年代)というのもあって(OVAにおいても)電子戦の描写は殆どなく、また極度に発達したテクノロジーの恩恵で高度な妨害の結果、まともに電子機器が使えず、原始的な光学観測や連絡艇を使う状況がこの世界では双方ともに頻繁に見受けられるため、この優劣がそのまま艦隊戦の優劣に繋がりにくい状態にある模様。
航行能力
同盟軍と帝国軍の艦船の最大の違いは、大気圏内への突入及び離脱同時に大気圏内航行能力を有するか否かである。同盟軍の艦艇には大気圏への突入能力は皆無で、惑星に降り立つときはシャトルを利用する他ない。このシャトルを利用した場面は、劇中でも度々確認できる。
これは同盟軍の特徴的な思想の一つと見れる。戦場はあくまで宇宙空間なので、戦闘艦艇は宇宙空間に限定して運用出来れば良い、と考えたのかもしれない。また宇宙空間に限定する事で、戦闘艦の能力を別の方に集中でき、建造コストも僅かばかり易く上がるのだろう。もっとも、銀河英雄伝説では1個艦隊1万隻~1万5千隻という膨大な数になるので、僅かな費用削減でも後々に膨大な節約となる。
機動能力
また、機動面において、同盟軍艦艇は帝国軍のそれを上回っている。その由縁として、同盟軍艦艇の艦尾には、長いテールフィン(細長い板状の物)が何枚も取り付けられている。例外として新型艦『トリグラフ』や空母のような横に長い艦体を持ったものもあるが、恐らくは噴射口内部に設けられているという見方もできる。このテールフィンは、実は稼働可能なもので(とは言ってもほんの僅かだが)、これによって艦の回頭能力が上昇している。大型戦艦にも有効で、艦隊を指揮する艦としては重宝すると思われる。
また、こういった機動面の優秀さと連動して、同盟軍が艦隊運用の面で優れていると表現されている場面が確認できる。第6次イゼルローン攻防戦においてロボス元帥率いる同盟軍艦隊が、イゼルローン要塞の要塞主砲の射程距離ギリギリのラインで、艦隊による前進後退を繰り返している。この時のナレーションでも、艦隊運用のソフトウェアでは同盟軍が優位であるような事を述べている。
ヤン・ウェンリーが初任務として任された第7次イゼルローン攻防戦でも、射程ラインギリギリのところで前進と後退を繰り返している。(ただし、意図の有った動きではなかったが)
建造工程
同盟軍艦艇の特徴の一つとして挙げられるのが、モジュール式による建造方法である。これは、武装モジュール、居住モジュール、機関モジュールに分けて、ブロック状に部品や艦体を建造し、それをつなぎ合わせて行く手法である。
これの最大の利点は、モジュール式にすることで、修理時間を大幅に減らすことが出来ることにある。破損した部分を分解し、新品のモジュールを組み込んでやれば済むだけだからだ。これは早期の戦場復帰に大いに役立つもので、しかも任務に合わせて武装を取り換えたり、機関部を交換する事も可能なのである。
その一例として挙げられるのが、ミサイル兵装を取り付けた巡航艦である。これは、艦首のビーム砲をミサイル発射管用艦首に付け替え、さらにミサイルポッドを艦隊の側面に備え付けたタイプである。これを使用したのはウィレム・ホーランド少将で、彼が指揮するミサイル艦部隊として活躍している。もっとも、これを機に後に登場していない。
派生としてだけでなく、旗艦級戦艦の建造や改修でもこの利点は大きく生かされており、別の艦艇用に設計された機関や新型装備をモジュール単位で組み込むことで労力や費用を抑えつつ高性能化している。
ただしデメリットとして挙げられるのは、規格品を揃えた反面、その企画された枠以上の新型戦闘艦には対応できないと言う点である。皮肉にも汎用性に特化しようとしたのが、逆に枷となってしまった。
また、例え対応できたとしても強引さが否めないため、既存空母の機関を再設計して採用した『トリグラフ』は、そのせいであまりにも艦幅が大きくなりすぎて係留できる場所が限られたと設定されている。
艦艇一覧
随時追加予定。
艦の表記は原作・OVA版/DNT版
旗艦級戦艦(及び艦隊司令官)
第5艦隊→宇宙艦隊 リオ・グランデ(アレクサンドル・ビュコック元帥)
第11艦隊 エピメテウス(ウィレム・ホーランド中将)
第13艦隊→イゼルローン駐留艦隊 ヒューベリオン(ヤン・ウェンリー元帥→ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ中将待遇)
第14艦隊 アキレウス(ライオネル・モートン中将)
シヴァ(エドウィン・フィッシャー中将)
マウリア(グエン・バン・ヒュー少将)
マサソイト(ダスティ・アッテンボロー中将)
トラヴィスカルパンテクートリ(ヴィットリオ・ディ・ベルティー二中将)
準旗艦級戦艦
マルドゥーク(サンドル・アラルコン少将)
標準型戦艦
空母
巡航艦
駆逐艦
エルムⅢ(ダスティ・アッテンボロー(少佐時代))
揚陸艦
工作艦
Die Neue These版
形状
2018年公開の新アニメであるDie Neue These版においては、OVA版の直線的な基本構造自体は変わらないものの、艦体の直線的な印象がより増している。細部に発光部が設けられるなどより近代的なデザインが成された。最前面の主兵装区画に主砲、副砲、電磁シールドが並び、その直後の指揮・管制区画下部に推進機関が配置され総じて艦首側が肥大化したフロントヘビーな構造となっている。
機構
艦橋部が格納式となっており、第1話の第6艦隊旗艦〈ペルガモン〉の戦闘態勢移行シーンにて、格納される(或は露出する)ように戦況に応じて上昇、沈降が可能。通常時から戦闘時へは艦橋主部が降下したうえで、複合マストが降下し収納。その上を艦内からせり出した3枚の防御壁が覆う仕組みとなっている。
なお、この仮デザイン版はイラストレーター加藤直之氏がTwitterに上げている。こちらでも艦の各ブロックが外側へ向けてむき出しになる一種の変形機構というべきものがあった。
種類
・旗艦級 (旗艦級は艦ごとにそれぞれ差別化されたデザインとなっている)
・標準戦艦 (パトロクロスをベースに指揮・管制能力、艦隊機動管制システムを廃した量産型)
・巡洋艦 (基本構造を小型化し主砲数、射程距離を減した大量量産型)
・駆逐艦 (対空弾幕での艦隊防御を主任務とした高機動型)
・哨戒艇 (駆逐艦をベースに改装された索敵用艦艇)
艦名
艦名において、原作に登場した艦名〈レオニダス〉〈パトロクロス〉〈リオグランデ〉等は、そのまま受け継がれているが、石黒版で設定された艦名〈クリシュナ〉〈盤古〉〈ペルーン〉等は、そのまま使用されておらず、それぞれ〈ジャガンナータ〉〈ゲシル・ボグド〉〈ケルヌンノス〉等との新設定艦名に変更されている。これは、制作陣が「石黒版の再アニメではなく、原作小説の再アニメ」としていることから、石黒版での独自設定は極力省かれ、新アニメ版として新設定していると思われる。