概要
お菓子やデザートのことを"スイーツ"と呼び替えるような、お洒落を気取ったり流行に乗るような人物を指すネットスラングの一種。
のちに意味が拡大し、流行に踊らされ「スイーツ」と呼んでしまうような感性そのものや、流行を一方的に広めようとするマスメディアの姿勢そのものを指すことがある。
本来の意味でのスイーツ(お菓子)好きや「スイーツ」という単語そのものを批判しているわけではない。
2006年頃からこれまでの「デザート」「お菓子」を「スイーツ」と言い換える動きがミーハーな層で盛んになり、そうしたトレンドに影響された人々たちを揶揄する表現として、インターネット上で使われ始めたとされる。
「(笑)」は「笑い」を示す表現であるが、この語の場合の「(笑)」は皮肉の意を込めた使い方である。
かねてから(笑)が皮肉や揶揄として使われること自体はあったものの、「スイーツ(笑)」という表現の大元は、おそらく当時流行していた『恋空』に代表される「ケータイ小説」の支離滅裂な文・超展開を揶揄したコピペから。
「アタシは死んだ。スイーツ(笑)」というあっけらかんとしたオチに使われている。
2007年には「ネット流行語大賞」の銀賞を受賞した。
「スイーツ(笑)」的であるとされるもの
「スイーツ(笑)」の他にも、さまざまな言葉に「(笑)」をつけることで、同等の意味(無理に作られた流行やそれに乗せられる人物を揶揄する意味)を持たせることができる。
特に、女性向けファッション誌に見られる特異な表現につけられることが多い。
など。「スイーツ」が流行した2000年代後半ごろに流行したワードが多い。
より多く知りたければ、はてなキーワードを参照。
流行の影響
元々コピペで使われていた用語が拡大されたもので、(笑)はいつしか皮肉や嘲笑の意味で使われることが多くなった。そして2020年現在ではその(笑)も廃れつつある。
なお、洋菓子をスイーツと呼びかえる文化は、1990年代後半からすでに存在しているとされている。また、「和菓子」に相当する食材を「和スイーツ」と呼び替える動きが一部であったが、こちらは現在「和」を感じさせる食材(抹茶やあんこ、寒天など)を用いた洋菓子的アプローチの菓子を「和スイーツ」と呼ぶことが多い。
日本におけるより古くからの表現で「スイーツ」に相当するのは「甘味」であるといえる。
2010年代はInstagramの流行により「インスタ映え」と称される、写真や動画で見た時の美しさ・面白みを重視する、いわば「体験」をメインとしたコンテンツが話題となった。
しかし、例えば「出来立てのおいしい瞬間を逃してまで写真撮影に没頭する」ようなものから、「写真を撮った後のゴミを片付けなかったり、映像の出来のためだけに立ち入り禁止の場所に入ったりする」「フィクションではなく現実の延長線として綺麗な美術館にいる綺麗な人物(美少女など)の外観や恋愛関係だけをテーマにして写真を撮り、本人と閲覧者の両方が展示品を一切楽しまず、一般的な価値観のように蔓延する」といった違法行為まで、さまざまな「映え」狙いの行動が問題視されるようになり、このような「流行に踊らされ、目的や体験の価値を見失い、時にモラルやマナーに反するような行動に走るような人」を「インスタ蝿」と揶揄する向きがインターネット上で見られるようになっている。また、「スイーツ(笑)」と一部重なる、もしくは置き換わるような形で使われている。
言ってはならない正論
- スイーツじゃなくて、スウィーツ(sweets)じゃね?→スイーツが浸透した後に表記を変える動きが一部であった。
- イギリスではsweetsとは飴やグミといった駄菓子の事。
- デザート(dessert)でいいのでは?→場合による。dessertには「食後に出される菓子」という意味があり、sweetsには「食後」というニュアンスは無い。よって「食後のデザート」という言い方の場合は、表現が被ってしまっているので「食後のスイーツ」のほうが正しい。
- ドルチェ(イタリア語)のほうがよりオシャレでは?→その辺りの感性は人による。また、ドルチェも先述のデザート同様「食後」のニュアンスがあり、一概に日本で使われる「スイーツ」と同じ意味合いを果たすとはいえない。
「スイーツ+(笑)」としての「スイーツ(笑)」
お菓子を題材にした作品で、笑える要素を含んだものにもこのタグが付けられる。
ただ、混乱の原因になりやすいので、特別にネタ寄りでなければ、洋菓子・pixivカフェ等のタグを付けるのをお奨めしたい。
いろんなスイーツ(笑)変換用語
左側が主に古典的な言い方。右側はちょっとオサレ(こちらも「お洒落」を揶揄する表現である)な言い方。
左側と右側が必ずしも同義という訳ではなく、総称だったり、正確には違うものだったりする。それを知らずに言い換えるところがポイントである。括弧内は注釈。
食品
- デザート→スイーツ
- 果物→フルーツ
- ホットケーキ→パンケーキ
- スパゲッティ→パスタ(本来、パスタはスパゲッティの他にペンネやマカロニ等も含む、小麦粉を主成分とする練り物の総称)
- ハヤシライス→ハッシュドビーフ(ハッシュドビーフをご飯にかけたものをハヤシライスと言う)
- ビーフシチュー→ビーフストロガノフ(ストロガノフはご飯にかけて食べる物である)
- ベイクドチーズケーキ→ニューヨークチーズケーキ(ベイクドチーズケーキはよく加熱するタイプのチーズケーキの総称であり、ニューヨークチーズケーキはその1つ)
- バーベキュー→BBQ
- ラズベリー→フランボワーズ(英語→フランス語)
- 飲み物→ドリンク
- 昼飯→ランチ
- 夕飯→ディナー
- 出前→デリバリー
- 持ち帰り→テイクアウト(英語圏では"take away"や"carry out"の方が一般的。但し"take out"でも通じはする)
※バイキング→ビュッフェ(スイーツ(笑)と勘違いされがちだが、バイキングは日本で初めて食べ放題方式を導入した店名が由来の言葉であり、一般名詞としてはビュッフェの方が妥当)
衣服
- パンツ→ショーツ
- ズボン→パンツ・スラックス(厳密には、スラックスは緩いズボンの事である)
- 短パン→ショートパンツ
- ジーンズ・ジーパン→デニム(厳密には、デニムはジーンズに用いられる生地そのものを指す)
- チョッキ→ベスト
- タンクトップ→キャミソール(タンクトップの中でも特に腰丈の短いものをキャミソールと呼ぶ事が多い)
- Tシャツ→カットソー(カットソーはcut(裁断)とsew(縫製)を合体させた言葉であり、つまり裁断と縫製したものは全てカットソーなのである)
- 腹巻→ウエストウォーマー
- サンダル→ミュール(ミュールはかかとが高くかかとに留め具の無い女性用のサンダルの一種)
- ハイヒール→ピンヒール(ピンヒールはハイヒールの中でも特にかかとを高くする部分が細いものを指す)
- 背広→スーツ
- 上着→アウター
- 下着→インナー
- つぎはぎ→パッチワーク
- 水玉模様→ドット柄
※スパッツ→レギンス(一見スイーツ(笑)と思われがちな言葉だが、和製英語から英語になっており、正しい表現に変わったと言える)
その他
- ソフト→アプリ(アプリケーションとオペレーティングシステムの2つを合わせてソフトウェアと言う)
- 漫画→コミック
- アニメ→カトゥーン
- 骨董→ビンテージ
- 温泉→スパ
- 美容院→サロン(サロンは元々応接室や談話室を指す言葉であり、それが何故かサービスを提供する店を指す言葉として用いられるようになった。特に美容院の事を指すならば頭に「ヘア」をつける方が適当)
- 筆箱→ペンケース
- おかっぱ→ボブヘアー、セミショート、ミディアムヘアー(ショートやミディアムといった言葉はあくまでも長さに関する言葉であり、おかっぱ=ボブヘア以外の髪型も含む)
- おさげ→ツインテール(狭義のツインテールは結ぶ位置が耳と同じかそれ以上であり、耳より下で結ぶものをおさげと言う事が多い)
- お団子頭→シニヨン(日本語→フランス語)
- カツラ→ウィッグ
- ヘアピース→エクステ
- リュックサック→バックパック(ドイツ語→英語)
- 手提げ→トートバッグ
- アクセル→スロットル(アクセルは加速する事、もしくはその為に踏む自動車のペダルの事を指すのに対し、スロットルはエンジンの吸気の流入量を調節する部品の事である)
- 噴射口→バーニア
- 園芸→ガーデニング
- 薬局→ドラッグストア
- 昼寝→シエスタ(日本語→スペイン語)
- コンドーム→スキン(スキンは不二ラテックス社の製品名であり、一般名詞としてはコンドームが適当)
- 体重計→ヘルスメーター
- ダウンロード→インストール(ダウンロードは、ファイル等の情報を入手し端末に読み込む事である。インストールは、コンピューターにソフトウェアを追加し使用可能にする事である。順番があるとすればダウンロード→インストール)
- 店→ショップ
- できちゃった結婚→おめでた婚
- 高輪大木戸→高輪ゲートウェイ
なんだ、炒り卵とスクランブルエッグ程度の違いか。…と思ったあなた、スクランブルエッグは単なる洋風炒り卵ではなく、バターなどでとろみを残したもので、日本語の炒り卵の指す所とは違う。上記の言い換えもニュアンスだけでなくジャンルそのものの変化を伴うものもあることを踏まえる必要がある。
変遷と風化。
冒頭の記述の通り、おしゃれっぽい雰囲気や目新しさを狙った言い換えである為、鮮度が落ちると、新たな言い替えに淘汰されて死語と化すか、逆に普通の単語として定着するか、どちらかとなる。元となった「スイーツ」の現状が、どちらであるかの判断は読者諸氏に委ねる。
また、新語をスイーツ(笑)と揶揄するばかりであるのも考え物である。意味が異なるのに言い換えであるかのように言葉を用いる愚かな場合はともかく、誤り等無く単に言い換えただけのものであれば用いられて然るべきものであり、あまりにそういった言葉を知らないと「流行に疎い化石人間」であると逆に揶揄されてしまう可能性も低くないだろう。
関連タグ
スイーツ(笑)(表記ゆれ)
お菓子の方の関連タグ