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編集内容:[[バーテミウス・クラウチ・ジュニア]]

概要

ウィザーディング・ワールド(魔法ワールド)』の人物。魔法使いの男性。

ハリー・ポッターシリーズ』に登場。

ハリー・ポッターの父ジェームズ・ポッターの学生時代からの友人。あだ名はワームテール

ジェームズ・ポッターとリリー・ポッターの居場所をヴォルデモートに売った裏切り者のシリウス・ブラックを追跡するが、返り討ちに遭う。

ピーターは周囲にいたマグルたちと一緒に魔法で吹き飛ばされ、爆死。指一本しか遺骸は残らなかった。

その勇気を讃えて、マーリン勲章勲一等を授与された。

真相

裏切り者はシリウスではなくピーター。

ピーターはマグルを巻き添えにして偽装自殺し、ネズミに変身して地下水路に逃げ込んでいた。

そしてスキャバーズとして魔法使いの純血旧家ウィーズリー家に何年もの間潜伏。

彼は不死鳥の騎士団のメンバーだったが、途中から死喰い人側のスパイに堕ちていたのである。

容姿

小柄(13歳~14歳の子供と同じくらいの身長)。小太り。鼻が尖っており、どことなくネズミに似ている。

瞳の色は薄く、髪はくすんだ茶色でくしゃくしゃ。成人後は後頭部が禿げてしまった。

前述の通り指が一本欠けている。また後に右腕の手首から上を失うも、主から魔法で作られた銀色の義手が与えられた。

二次創作ではメイン画像のように、学生時代~騎士団時代の若者としての姿が描かれることが多い。

プロフィール

誕生:1959年年9月1日から1960年8月31日の間

死亡:1968年3月下旬

血統不明 純血あるいは混血(半純血)だと思われる

家族:独身 母がいる

所属:不死鳥の騎士団死喰い人

学校ホグワーツ魔法魔術学校 グリフィンドール

ドラゴンの心臓の琴線、23.5 cm、不安定 ギャリック・オリバンダー製 (おそらく1本目の杖ではなく、オリバンダー拉致後に作らせた2本目の杖)

守護霊騎士団メンバーなので出せると思われる 出せるとすれば形態はネズミ (動物もどきと守護霊の形態は一致するため)

技能:動物もどき(ネズミ)、闇の魔術

映画版演者:ティモシー・スポール

映画版吹替:茶風林

来歴

組み分け困難者

ペティグリュー家に生まれる。血統やきょうだいなど詳細は不明。

ホグワーツ魔法魔術学校に入学。

スリザリンと熟考の結果、組み分け帽子グリフィンドールと叫んだ。

なんと帽子は五分以上に及んでどちらの寮にするべきか考え込んでいた。

これは「ハットストール」(組み分け困難)と呼ばれる極めて稀な現象であり、ハリーが出会った数多の魔法使い中で、困難者はピーターとミネルバ・マクゴナガルの二人のみである。

ワームテール

ピーターは同寮のリーマス・ルーピンと友人となった後、彼の紹介のもとジェームズ・ポッターシリウス・ブラックとも親しくなる。四人はやがてマローダーズ(※)と名乗るように。

(※強奪者あるいは襲撃者の意味。日本では訳の関係から悪戯仕掛け人と呼ばれる。)

2年次にリーマスが人狼だと判明すると、ジェームズやシリウスに助けられながらネズミ動物もどきとなった。

その姿から彼は「ワームテール」というあだ名でマローダーズ内で呼ばれるようになる。これは「ミミズの尾」の意味で、ネズミの細い尾を虫に例えたもの。

学生たちの中心だったジェームズとシリウスを英雄視して崇拝していたようで、周囲からはシリウスの腰巾着と認識されていた。寮監のマクゴナガルは「ジェームズやシリウスのようには絶対になり得ない子だった」と評しており、教師陣からは劣等生だと見なされていた。また本人自身も劣等感を抱いていた様子である。

学生時代にジェームズとシリウスがスネイプをいじめた際にはジェームズとシリウスの所業を囃し立てていた(リーマスは何もせず眺めているだけだった)。

秘密の守り人

卒業後はマローダーズやリリー・ポッターと同様に、アルバス・ダンブルドア率いる不死鳥の騎士団の創設メンバーに加わる。

しかし死喰い人からの威迫と勧誘に屈し、「死喰い人に通じるスパイ」となる。

そんな中、シビル・トレローニーの予言によりポッター家に危険が訪れると、ダンブルドアはポッター家の居場所を忠誠の術により秘匿し、「秘密の守人」になろうとした。

シリウスはこれに反対、自分が守人になると主張。ダンブルドアはその要求を呑む。

しかし実はこの後シリウスはダンブルドアに無断でピーターを守人にした。これはシリウスが「まさかピーターが秘密を握っているとは誰も思わないだろう」と考えた末のアイデアである。

既に死喰い人であったピーターはヴォルデモートにジェームズ、リリー、そしてハリーの居場所を漏らし、ハロウィンの惨劇とヴォルデモートの破滅が起きる。

その後、自らを追跡するシリウスにポッター夫妻殺害幇助およびマグル12人殺害の罪を着せると、自身もシリウスに殺されたかのように指を切り落とすという偽装をして逃亡。以降、ネズミに姿を変えてウィーズリー家に潜伏し、魔法省と「ピーターがヴォルデモートを裏切った」と疑う死喰い人の双方の追及を逃れた。

スキャバーズ

ウィーズリー家では「スキャバーズ」という名を与えられ、ペットとして飼われていた。

当初はパーシー・ウィーズリーが飼い主だったが、1991年度にロン・ウィーズリーがホグワーツに入学してからは彼が飼い主となっていた。

ロンがハリーの親友となり、ホグワーツでの寮でも同室になったことから、正体がバレる3年生までハリーの傍で生活していたが、ダンブルドアの監視下でハリーを殺す勇気はなく、彼に危害を加えることは一切無かった。

ピーターは目立つことは何もしておらず、寝てばかりいた。そのためロンにはダメな奴だとぼやかれていたが、実は一度ハリーとその両親を侮辱したドラコ・マルフォイの仲間グレゴリー・ゴイルに突然激昂し、噛み付いている。

その時ドラコが口にしたのは「両親と同様、ハリーも親しくする相手を間違えたせいで死ぬだろう」という旨の、痛烈な侮辱であった。

下僕の肉

1993年度、アズカバンを脱獄したシリウスと、ホグワーツで闇の魔術に対する防衛術教授に就いていたリーマスに正体を暴かれ、殺されそうになる。

しかし「父の親友であるシリウスやリーマスを殺人者にしたくない」という理由でハリーに命を助けられ、直後、一瞬の隙に逃亡。かつての仲間と主君への恐怖心から、ヴォルデモートの下に走る。バーサ・ジョーキンズ経由でバーテミウス・クラウチ・ジュニアの生存を知ると、彼と合流した。

1994年度、三大魔法学校対抗試合に優勝したハリーとセドリック・ディゴリーリドル家の墓に誘い出すと、邪魔者であったセドリックを殺害。ヴォルデモートの父トム・リドル・シニアの骨、仇であるハリーの血、下僕である自ら右手を生贄にしてヴォルデモートの肉体を復活させた。

この時、切り落とした腕の代わりとしてヴォルデモートから銀色の手を与えられる。実はこの義手にはピーターを元より信じていなかったヴォルデモートにより、ピーターの忠義心が揺らいだときに持ち主を絞殺するよう呪いがかけられていた。

以後、ピーターは再び死喰い人としてヴォルデモートに仕えた。

ちなみに、かつての友人たちからのあだ名であるワームテールと、ヴォルデモートと死喰い人たちからも呼ばれている。

ピーター・ペティグリュー

1997年度、マルフォイ家にてハリーの首を絞め殺害しようとするが、かつて「ジェームズならピーターを殺さない」と言って自分を庇ってくれたハリーへの情が沸いてしまう。一瞬の憐憫、一瞬の躊躇いを見せてしまった。すぐにまたハリーを殺そうと思い直したものの、既に動き始めていた銀色の義手に絞め殺され死亡した。享年は37歳あるいは38歳。

このときハリーは銀色の手を引っ張りロンはレラシオを使って助けようとしたものの叶わなかった。

彼のはロンにより勝ち取られた。

ギャリック・オリバンダー製。ドラゴンの心臓の琴線。23.5センチ。不安定。

ギャリックによれば栗の杖は、「いくつもの側面を持つ、極めて興味深い木材である。この木で作った杖の性質は、使う芯の種類によって大きく左右されるうえ、持ち主の性格にも染まりやすい。」

また、栗とドラゴンの琴線が合わさると、「物欲が強くぜいたくを過度に好み、欲しいものは分別なく手に入れようとする者と相性がよくなる。」

総評

彼は無能なのか

寮監や主君からは散々な評価を受けているが、彼は愚かではあったとしても、能が無いとは言い切れないことが分かる。

  • 友人たちの助けがあったとはいえ、高等魔法である動物への変身に在学中に成功。その後は自在にネズミへの変身をする。
  • シリウスに追い詰められながらも逃げおおせる。またマグルをまとめて12人殺し、彼にその罪を被せる。その際には自分の指を切り捨てている。
  • 野生のネズミから情報を集め、アルバニアで零落したヴォルデモートの場所を突き止め、接触。
  • 魔法省の役人バーサ・ジョーキンズに自分の正体がバレそうになった際、彼女を上手くまるめこみ「夜の散策」へ誘い騙し討ちする。
  • バーテミウス・クラウチ・ジュニアとの共同戦線とはいえ、元最強の闇祓いであるアラスター・ムーディを抑え込み捕獲する。
  • 不意打ちとはいえ、強い魔力と殺意を必要とするアバダ・ケダブラセドリック・ディゴリーに浴びせ殺害する。
  • ヴォルデモートからの指示があったといえ、肉体を蘇生する高等魔法薬を完璧に調合する。しかも、その過程で自分の腕を切り落とす。

このように彼には闇の魔術をはじめとする高等魔法を使いこなせる力、そして機転と決断力を土壇場で発揮できる精神力を持つ人物だった。

結局ピーターにポテンシャルがあるとは誰も見抜けず、臆病で小心者の劣等生だと決めつけられ、教師や友人たち、恐らく本人ですら自身の底力に気づくことはないままであった。

ピーターは大切にすべき自分の才知を、ずっと間違った方向へと使い続けてしまった。

残念なことに誰一人として良い方向に導き、伸ばすことができなかったのである。

グリフィンドールスリザリンのどちらに組み分けされるか長時間組み分け帽子に思案させた「組み分け困難者」であるピーターは相当に複雑な人物であり、その根底には勇ましさと狡猾さが絡み合うようにして存在していたのだと考えられる。

グリフィンドールに入るに足る勇気をピーターが持っていたのか疑問をもつ者も多いが、土壇場だとしても並みの人間では「スパイ」「殺人」「計画的な自傷」を行うところまで振り切れるのは困難である(保守的で慎重なスリザリン生として典型的ドラコ・マルフォイにはなかなか出来ない真似だろう。)

また、ピーターも「マイノリティへの差別を許さない」「冒険好き」というグリフィンドールの特徴を体現するマローダーズの一員であったことは確かである。

そもそも、歴代のグリフィンドールからも闇の魔法使いは一定数輩出されているので、ピーターがグリフィンドールであることはそこまで不自然なことではない。

ピーターはハッフルパフに組み分けすべきだという読者もいるが、彼はハッフルパフとは迷われていない。徒労や埋没を恐れないハッフルパフと、憧れが屈折し闇に堕ちたピーターは相性が悪い可能性が高い。

彼は悪なのか

友人たちを裏切り死に追いやった上、大勢の人間を殺害し罪を擦り付け逃亡し、学生時代からの友情を破壊した張本人であるピーター。彼が闇の魔法使いであることは間違いない。

また本来の性質が臆病で、強者に従属するという卑屈な部分もピーターが疎まれる理由となっている。

しかし、シリウスがピーターに、「俺ならジェームズのために死ねる」という信念の元に自分と友人家族の命の選択を強要したことが正しかったのかは分からない。

(もっとも、シリウスの見立てではピーターは「秘密の守人」になる一年も前から闇の陣営に加わっていたらしいが……。)

シリウスがジェームズ、リーマスと共に友人としてピーターと過ごしたのは紛れもない事実である。それにも関わらず、ピーターを「おまえのような弱虫の、能無しを利用しようとは夢にも思わないだろう」と断じて守り人にしたのは、友人への態度としてはあんまりな扱いであると言えよう。

このようにシリウスがピーターのことを多方面から完全に見誤っていたのも悲劇が起きた一因だろう。さらにこの時期はシリウスとリーマスがお互いをスパイではないかと疑い合っており、ジェームズとリリーは周囲から隔離されて二人きり。マローダーズの関係性全体が既に狂い始めており、最初に崩壊したのがピーターだけだった、という話なのかもしれない。

結局、ピーターはヴォルデモートと死喰い人たちを恐れ、彼らに分があると判断して闇に与してしまった。そしてリリーの犠牲によりヴォルデモートが破滅すると、今度は死喰い人側からも追われる身となった。彼は以後、誰の仲間にもなれずに他者を欺き害していくことでしか生き残れなかったのである。

しかし最後はハリーの「君は僕に借りがある」という言葉を聞き、自分がハリーにかつて慈悲をかけられたことを思い出した。かつて友に抱いた憧憬や親愛、感謝はずっと心の底に残っていたのだ。(スキャバーズ時代にドラコにハリーとジェームズを侮辱された際の反応が、何よりの証明である。)

上記のことからまとめると、裏切りは裏切り、人殺しは人殺しであり、ピーター・ペティグリューが自己保身に走った悪人であることは否めない。ただ、自らの死を恐れるのは人として当然な感情であるし、死に様も考慮すると真に邪悪な人間とは言い切れないだろう。

ヴォルデモートの登場により人生の歯車が狂ってしまった魔法使いの一人、とも言える。ヴォルデモートさえいなければ彼にもまた違った道があったのかもしれない。

余談・裏話

切り落とした指

ピーターが切り落とした指は原作では人差し指だが、左右どちらかは明確に描写されていない。シリウスとの「英雄的対決」を評価されて授与されたマーリン勲章勲一等のメダルと共にピーターの母親のもとに送られている。

映画版では左薬指の第二関節から先がない状態にある。結婚指輪を嵌める指というイメージ通り、左薬指は「愛の絆」を意味し、ピーターは親友たちの友情という絆を切り捨てたことの暗喩とも推察できる。

もう一人のペティグリュー

原作者J・K・ローリングの初期の下書きにおいて、本編のシビル・トレローニーのポジションに相当する占い学の教授にイーニッド・ペティグリューという女性が存在していた。

初期段階でこのイーニッドがピーターとどのような関係なのかは不明だが、同じ名字なので母親あるいは、原作には登場しない姉妹や親戚の可能性がある。

またイーニッドが闇の魔術に対する防衛術教授を担う設定も当初想定されていたようで、ハリーの4年次、6年次に教え、7年次はリーマスと共同で担当する予定だった。

ネズミとヘビ

ピーターはネズミに変身する。対して、ヴォルデモートは、スリザリンのシンボルであり自らのパートナーである蛇に自分の顔を近づけている。蛇はネズミを食べるが、まさにヴォルデモートに出会ってしまったが故に人生が崩壊してしまったピーターの運命にはピッタリの喩えだろう。

ゲーム版

なんとゲーム『ホグワーツの謎』にも登場。魔法省と死喰い人の双方から逃走の最中に闇の魔法使いも多く所属する秘密結社「R」の一員に加わっていた(要するにこの人の仲間である)。ウィーズリー家のペットとして潜伏しながら強大な後ろ盾を得ることに成功していたわけである。が、結局敵前逃亡という形で離反してRからも追われる身の上となっている。主人公からも存在を知られるが、忘却術をかけて隠蔽している。

もっとも、ゲーム版は原作者であるJ・K・ローリングは一切監修には関わってないので公式設定なのかは不明。

関連タグ

ハリポタ 親世代 悪戯仕掛け人

スキャバーズ ワームテール

属性が類似しているキャラクター

ネビル・ロングボトム……ハリーは3巻で初めてピーターの話を聞いたときに、ネビルと彼のイメージを重ねていた。裏切りが露見する前のやり取りであるため「劣等生だがいざというときにガッツを見せる」という部分が彼と重なったのかも知れない。実際は多くの面で対照的な人間であったが。

ねずみ男……ねずみ、禿げた汚らしい見た目、強い者に媚び、自己保身と利益を優先して仲間を裏切る、善と悪の狭間を行き来する人物、戦闘力が低いように見えて実は強力な技を持つなどと共通点が多い。ただし、ペティグリューがヴォルデモートへの恐怖から永遠に仲間と袂を分ってしまったのに対し、ねずみ男は自ら平気でコロコロ寝返ることが多く、一方でたびたび鬼太郎側に舞い戻ったり時には仲間や惚れた女性のために動いたりもする。

編集内容:[[バーテミウス・クラウチ・ジュニア]]