概要
『Fate/Grand Order』に登場するキャスタークラスのサーヴァント。
劇中で存在が示唆された、『FGO』の物語における全ての事態の黒幕と思われる人物。
配下であるレフ・ライノールらからは「王」と呼ばれている。
真名
『TYPE-MOON』世界による魔術の始まりとなった人物であり、その死と同時に神秘の衰退が加速した要因となった。
魔術協会の三部門の一つである時計塔も彼の没年である紀元前960年頃までを神代と定義している他、本来であれば彼の死を境にして大気中の魔力も薄れていき、西暦になる時点でゼロになる筈だったとされるなど、FateシリーズのみならずTYPE-MOON作品全般に少なくない影響を及ぼす重要人物。
略歴
第1部2章でレフが変貌した魔神柱の名前がソロモン七十二柱の悪魔の名を冠していたことからその存在が示唆され、続く3章で父親であるダビデから僅かに人物像が語られた。
『Fateシリーズ』で最強クラスの魔術師であるコルキスの王女メディアがサーヴァントとしてではない、つまり完全にフルスペック状態の魔術師として敗北したと明言し、魔術師では決して勝てないと宣言したほどの存在だと伝えられる。
そして、ついに第1部4章の最終局面でその姿を現す。
しかし、第1部4章に現れたのは「読書で一冊読み終えて、次の本を読む前に用を足しに行く様な物」だったらしく、カルデア陣営の特異点修復を全く歯牙にもかけておらず、七つの特異点を修復してようやく自分が解決すべき案件として考えようという程度(つまりは排除対象とすら思っていない)。
主人公の「人類を滅ぼして楽しいのか」との問いに、悪魔のような異様な形相で笑いながら肯定し、それが人類の救いだと罪悪感も悪びれもせずのたまった。
そして主人公とマシュに「人理焼却によってお前らはとっくに死んでいるも同然だから、全部諦めれてしまえば楽だ(意訳)」と忠告して行方を眩ました。
第1部7章にて、自らが送り込んだ聖杯を使って現地での配下としたキングゥとの会話では、靄に包まれ目に当たる部分から光を発する影の様な姿で登場し、ティアマトが封印によって出現できていないこと、全ての時空に存在していた光帯を回収したことを彼に告げる。その際の様子は以前に主人公たちの前に姿を現した時とは違い、冷静な口調であった。
人物
父親のダビデ曰く、残酷で悪趣味、愚者ではあるが正直者だった。
『Fateシリーズ』で過去に彼と似たような事を計画した人物に、人類を容易く絶滅し得るこの世全ての悪を使おうとしたギルガメッシュが居たが、彼はあくまで裁定者として生きる価値のある人間を選別しようとしたのであり、更に彼は人間が作り出す物には価値を見出している等、人間に対しての考えをしっかり持っている(この辺については『Fate/EXTRA CCC』を参照)。
しかし、このソロモンの場合は、人類を「死を克服できなかった知性体」と評し、死への恐怖心を捨てられなかったなら知性を捨てるべきだったと決めつけ、マシュ曰く生命への感謝が全くない、自分の価値観だけで人類史全てを焼却しようと目論む、人類種の天敵とも呼べる存在である。
ここまで聞くと明らかに身勝手な考えで人類を滅ぼそうとする外道ではあるが、生前の彼を知っているダビデの評と人類史焼却という惨状を見て感じたサーヴァントたちの評には食い違いが出ており、謎は更に深まっている。
- アンデルセン曰く、「愛の無い獣、そのくせ夢だけは人一倍」(直接対面する前の評価。ちなみに直接対面した時には「俗物」と切り捨てている)。
- エドモン・ダンテス曰く、「怨念を持たない者」。
- 天草四郎曰く、「世界の崩壊なんて夢とは呼べない。だから致命的に何かが壊れている……あるいは『何もない』」。
- ギルガメッシュ曰く、「憎しみの化身」「愚かな憎しみ」「何も残さないこと。それだけに執着した愚か者」。
ダビデによれば、最初から王だったため、そもそも人理焼却に至る行動以前に自由はなかったのだという。
ロマニ・アーキマンは当初、黒幕がソロモンであることを否定したがっていたが、魔神柱たち、一体の英霊がセイバーやランサーといった別々の側面で現界し得ること、そしてキングゥという事例からその正体を察した。曰く、『ソロモンであって魔術王を騙る者』。
第1部6章で、特異点に混ざり込んだアトラス院で出会ったホームズが、主人公らがソロモン王と相対した時の様子を聞いて導き出した推理によれば、
『ソロモン王は鏡のような性質。複数の属性を持ちすぎており、そのために相手をしている人間に反映した態度を取る』
つまり、粗野な人間が相手ならば乱暴な態度で、冷静な人間が相手ならば真摯に対応するといった具合に相手がどんな人間かで反応が変わり、好戦的な者が視れば好戦的に、温厚な人間が視れば温厚に視えるらしい。これが、マシュが第1部4章での会話の中で唐突に魔術王の態度や表情が変わったように感じた違和感の正体だったのである。
それでも、終始一貫している魔術王ソロモン自身の思考は「人間には関心が全くない、生命には価値がない」ということであり、ホームズはこれを「人間に全く関心がないために平然と人理焼却ができる」と推理した。そしてもう一つの理由として、「人理焼却の次に行う仕事に取り掛かっており、それが忙しい」からではと推測しており、魔術王が何もかも滅ぼした先に何を行おうとしているのかという新たな疑問を提示した。
「七つの特異点を修復したら相手にしてやろう」という言葉の真意は、「第七の特異点こそ絶対的な自信の表れであり、これを攻略できたなら多少関心を向けてやる」というもの。第一から第六まではレフなどの彼の命令を受けた子孫たちが覚醒して行動を起こし、各特異点となる時代に聖杯を齎すことで特異点を形成していた。しかし、第七特異点だけは、ソロモンが生きた時代よりもさらに過去にあたるために、ソロモンが自らの手で聖杯を過去に飛ばしている。そして、どの時代からも外れた場所にあるソロモンの居城=神殿の座標は第七の聖杯に示されているという。
そして第七の聖杯をカルデアが得たことにより、逆にソロモン自身も同じように時空から外れたカルデアの場所を検知。カルデア自体をソロモンの居城である冠位時間神殿へと引き寄せる。2017年という未来を迎えるためのソロモンとの最終決戦は秒読みの段階へと至った。
また、マシュに何故か興味を抱いている。その真意はフラウロスを通して知った彼女を「人間に作られた短命の者がどのように生きるか」というサンプルケースとして見ていたが故である。
ある人物が見たと思われる『FGO』世界の「冬木市の聖杯戦争」で、ソロモンは勝者であるマリスビリーのサーヴァントだった事が判明、彼からは『唯一の友』と信頼されていた。自分に求められた仕事をこなす事以外の感情はないらしく、上記の自由が無いという表現が正しい性格の様である。しかしマリスビリーから聖杯で自分の望みを叶えればいいと言われた時には、自分の表情をまるで他人事のように回想していた。
能力
一応は英霊であるが、彼は自らの死後、自らの意思で英霊として新生し、生きながらにして英霊となった規格外の存在。彼が従えていた七十二柱の魔神たちは受肉して醜悪な肉の柱の怪物『魔神柱』となり、時空を飛び越え、地球の自転を止めるための楔として打ち込まれているらしい。
なお、この魔神柱は、肉の柱に無数の眼球を持つという共通点はあるものの、個体によって微妙に造形に違いがある。
七十二柱の魔神たちは、「常に72体同時に存在する」ということそのものが概念となっており、その性質はタコと形容する方が早い。頭がソロモン、足が魔神柱たちであり、倒されたとしてもすぐに補填することが可能。
メディア・リリィをサーヴァントではなく純粋な魔術師として打ち負かした上に自分の情報を語れないよう行動を制限し、ただ視線を合わせただけで主人公の魂を監獄塔シャトー・ディフへ堕ちる様にしていた(上記で主人公を見逃したのもこれのため、エドモン曰く「見逃されたのではなく、もう終わったものとして見捨てられた」)、同じような形でマシュの夢の中にロマンに変装して現れたり等、魔術師として桁違いの存在である。
冠位(グランド)
第1部4章でのソロモンは現界するにあたって、サーヴァントとしての器が既存のサーヴァントたちとは決定的に異なっていた。
聖杯戦争のサーヴァントはあくまで人間が根源に至ろうとする目的のため、英霊を扱いやすくする都合で、本来の『決戦魔術・英霊召喚』をモデルにしたにすぎない。その原型となる本来の英霊召喚は、“文明より生まれ文明を食らう終わりの化身、人類全体に対する自業自得のアポトーシス”なるモノを討つための手段であり、そこに召喚されるのは人類最高峰の七人とされ、グランドの名を冠するサーヴァントとなる。そのグランドという器のために既存のサーヴァントたちよりも出力を大幅に上回っている。
サーヴァントとしてのそもそもの器(霊基)が違うため、通常のサーヴァントたちを一瞬で塵屑のように屠ることができるほどの圧倒的なまでの力を持つ。
しかし、倒す手段が全くないわけではない模様。事実、ダ・ヴィンチは倒す手段と居場所を探す方法がわからないと説明したのに対し、ロマンは逡巡した後に居場所がわからないとだけしか言わなかったことから、居場所さえ突き止めればどうにかできる方法があるようである。そして、決戦前のロマンがフォウに対してした独白では、魔術王には唯一の隙が存在し、そこを突くことが彼に対抗できる唯一の手段だと言ったのだが……
ステータス
筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|
E | E | B | A++ | A++ | A++ |
※ 現時点で判明している数値
保有スキル
啓示(B) | "天からの声"を聞き、最適な行動をとる。『直感』は戦闘における第六感だが、啓示は目標の達成に関する事象全て(例えば旅の途中で最適の道を選ぶ)に適応する。ソロモンが啓示を受けたのはただ一度きりだが、彼はその啓示を元に只人の手でも行える現象操作術―――即ち、魔術を確立した(それまで魔術は神に連なる者のみの業だった)。 |
---|---|
召喚術(EX) | 過去、あるいは未来から霊体を喚起する魔術。“七十二柱の魔神”と呼ばれる霊的存在を語りあげ、有能な使い魔として成立させたソロモンの召喚術は魔術の王の名に恥じないものだ。ソロモン王が残した知識に悪魔を使役する術があるが、その写本は後にレメゲトン、あるいはゲーティアと名付けられた。 |
千里眼(EX) | ソロモンの千里眼は過去と未来を見通すという。最高位の魔術師の証たる「世界を見通す眼」。 |
ソロモンの指輪(EX) | 神から授かった十指にはめる指輪。魔術の祖、王の証でもある。十の指輪がすべて揃っている場合、人類が行うあらゆる魔術を無効化し、また配下に納める。 |
字面を見た限りでは確かにハイスペックではあるが、ステータス表記だけを見れば総合的に勝るサーヴァントも決して少なくない。
ただ、彼の場合は根本的な器のランクが違っているので、この表記はアテにならない。
器のランクの違いも含めて通常のサーヴァントを基準としたステータスに反映した場合どういうステータス表記になるのかは不明だが、EX(規格外)が複数出るものと思われる。
驚愕すべきは「ソロモンの指輪」。これは事実上、魔術師である限りどうあがいても勝てないという極めて悪辣なスキルである。これと関連してか、各特異点でソロモンの意のままにさせられていたのは人間の魔術師、及びキャスタークラスのサーヴァントたちだった。
ただし、「人類が行うあらゆる魔術」という言葉は、裏を返せば「人類以外が扱う魔術は除く」とも読み取れる。例えば、魔界生まれのファースト・レディの魔法、夢魔と人間のハーフであるマーリンによる魔術など、人外の力までも無効化できるかは定かではない。
宝具
誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)
- ランク:EX
- 種別:対人宝具
ソロモン王の第三宝具。原罪のI。
各特異点に渦巻いている光の輪。幾億の光を束ねている光の輪はその一条一条が聖剣の光に匹敵しており、この宝具の熱量を上回るものは地球上には存在しない。
人理定礎を破壊し、人類史の強度を無にし、ソロモンや魔神柱の凝視で火を放ち、炎は地表を覆ってあらゆる生命と文明を焼き尽くし、残留霊子として摘出される。そのエネルギーを束ねたものがこの光帯である。
ただし、魔力を束ねる力を失えば光帯としての形を維持できずに大気に満ちるマナとして拡散し、その結果として超新星の如き爆発に匹敵する威力で発生領域を跡形もなく消し去ってしまう。
詳細は該当記事を参照。
戴冠の時来たれり、基は全てを始めるもの(アルス・パウリナ)
- ランク:A
- 種別:対界宝具
- レンジ:999
- 最大捕捉:?人
ソロモン王の第二宝具。魔術王の拠城である「神殿」にして、時間と隔絶した虚数空間の工房。その実態は、固有結界「時間神殿ソロモン」。
生前におけるソロモン王の魔術回路を基盤にして作られた小宇宙であり、カルデアスが地球の極小モデルケースなら、この宝具は宇宙の極小モデルケースである。
魔術王の魔力が続く限り存続できるが、魔術王が消滅すればこの特異点も玉座を残して消滅してしまう。
正しい時間軸には存在せず、この特異点の座標を示すのはBC.2655のウルクに送り込まれた第七の聖杯のみとなっている。
この空間は人類悪と言われた災害の獣「ビースト」の霊基に満ち満ちており、ビーストの眷属である魔神柱が蠢いている。
この領域は一つの生命であり、末端から中心にエネルギーを送り込むことで魔術王の玉座に計測不可能なほどの魔力を満たしている。
特異点の中心であり心臓部にあたる玉座を守るかのように、そこへと繋がるルートは塞がれている。玉座に乗り込むには末端である敵領域を破壊する必要があるが、魔神柱一体を倒すには複数のサーヴァントを必要とし、魔神柱が倒されたとしてもまた新たな魔神柱が誕生するため、七十二柱全てを殺し尽くさなければならない。
また、「○○の時来たれり」というフレーズは魔神柱のスキル名でも確認できる。
謎
カルデアではグランドオーダーの前に3体英霊が召喚されている。第二号はマシュに融合したシールダー、第三号はダ・ヴィンチちゃん。
第一号はオルガマリーの父であった前所長の死と共に消息不明とされており、前所長はカルデア内ですら第一号の存在を徹底的に秘匿していたという。
- 第1部6章でホームズが様々な痕跡を調べても、人理を焼却した『魔術王』と『ソロモン王』がどうにも結びつかず、事実、一度相対した経験のある主人公も「何かが足りない」という違和感を抱いていた。
- ギルガメッシュが千里眼を以て記した天板では、「過去と未来を視ることができて全ての悲劇に対処できるはずが、何もしない王に対する憤り」が描かれている。その中での彼が発した一言は、人理を焼却した傲慢なる魔術王として知られる人格とは若干乖離しているようにも見える。そして、終章では、この憤りを記した最後の文章での一人称が「我ら」となっていたことが判明し、そもそも魔術王とソロモンが別の存在であるかのように描写された。
- オープニング映像後半でソロモンの手の甲にある紋様と同じ柄の召喚陣らしきものが一瞬表示される(映像では光が溢れるため、何かを召喚、あるいは発動する直前だと思われる)。この紋様は終局特異点のシンボルマークにもなっており、他の特異点のマークと違い、容易に連想できる図柄が特にないことから、シナリオに関わる重要な何かなのではとファンの間で考察されている。
関連人物
配下のひとり。だが、カルデア陣営を排除できなかった彼を「子供の遣いも出来ないのか」と呆れ、『神殿』と呼ばれる場所への帰還を許さなかった。
三重人格の魔術師
短編で登場した時計塔の魔術師。彼が迂遠な自殺を図った世界では前提条件が破綻したらしく、人類史焼却は行われなかった模様。
ソロモン王は彼に協力を持ち掛け、オガワハイムを新たな特異点に仕立て上げようとした。
だが、ソロモン王はエドモン・ダンテスの本質を理解していなかったためにすぐに離反され、オガワハイムもエドモンの基準で特異点モドキにされてしまう。
さらに、主人公の魂が魔術王の邪視により監獄塔に囚われた際、エドモンはその魂をかつての恩師「ファリア神父」が自分にそうしたように導き救いだした。
第四特異点で自分の猛攻を生き残っただけでなくグランドクラスとしての正体を理解し、その内容を堂々と述べた彼に、褒美として五体を百に分け、念入りに燃やすという残酷な殺し方をした。
第七特異点での配下、正確には協力者のようであった。
冥界に安置されていたエルキドゥの遺体に、ソロモンが時空を超越させ送り込んだ聖杯を心臓として宿し、キングゥとして再起動させる。キングゥ自身は、ティアマトを目覚めさせる事により現在の人類史を終わらせ、世界を自分たち「新たなヒト」=「ティアマトの仔ら」の物としようとするが、ソロモンからすればティアマトを目覚めさせる以外の役割は期待していなかったと思われる。
余談
正体考察
- エドモン・ダンテスに協力を持ち掛けるもすぐに離反されてしまうが、この時も相手の本質を勘違いしていた。人の本質や在り様を正しく認識できない、或は認識がそもそもズレているのかもしれない。
- 第1部6章で判明した彼の性質から、表面的な物しか認識できない可能性も浮上した。
- そもそも「彼は正規のグランドキャスターではなく、その座に無理矢理自分を割り込ませた部外者なのではないか」という憶測もあった。ちなみに、グランドキャスターの資格を持つ者の例としてソロモン、ギルガメッシュ、マーリンの3人が挙げられている。
- もう一つの可能性としては、魔術王はソロモンの『別の側面』、つまり『オルタ』であるというもの。ロマンもその可能性について言及している。
−turas réalta−
第1部奇数章を描く漫画版『−turas réalta−』においては、予定を早めて第三特異点に出現した。(メタ的な言い方をすれば、この漫画の担当章の関係で、第四特異点がダイジェスト形式になることが確定していたため出番が早まった)当然原作同様、読者に強烈なインパクトを与えた。
まず、気まぐれでその場にいたフランシス・ドレイクの首を刎ねた。マーリンによる幻術がギリギリで間に合ったため、何とか生存したものの、藤丸達に同行していた清姫は、安易に近づけば殺されることを本能的に察知して怯えていた。
さらには、臨戦態勢をとっていた清姫の背後に一瞬で回り込んだり、藤丸の喉元に迫っておきながら、「気まぐれ」と称して危害を一切加えないなど、その場にいたサーヴァント達を一瞬で撃破した原作とはまた違った形で、読者に底知れぬ緊迫感を与えた。
また、この漫画版の場合、乱暴な言動をするモードレッドや、意地悪な発言をするアンデルセンがいなかったこともあってか、「人間には関心が全くない、生命には価値がない」という自分の素の性格が前面に押し出されていた。唯一性格を変えたのは、藤丸が挑戦的な態度で「だったら何をしに来た?」と訊ねてきたとき。この際は「七つの特異点を修復しても、自分を倒さなければ意味がない。それともお前たちは私を倒せると思っているのか?(要約)」というように、藤丸の挑戦的な態度を反映したかのような言動をし、その後は素の性格に急に戻っている。
そして原作と同じように忠告した後に、「この言葉を聞き入れないのなら、灰すら残らぬまで燃え尽きるのが貴様らの未来だ(要約)」と言い残し、行方をくらました。
関連イラスト
関連タグ
TYPE-MOON Fateシリーズ Fate/GrandOrder
※ ここからは終局特異点『冠位時間神殿 ソロモン』に関する壮絶なネタバレがあります。
正体
人理焼却の黒幕は、魔術王ソロモンの遺体に巣食った人理焼却式・ゲーティアだった。
が、そちらに関しては固有の項目で語る。
ここからは上述の魔術王を名乗ったモノではなく、本来の英霊としてのソロモンに関して記述する。
我が名は魔術王ソロモン。
ゲーティア、おまえに引導を渡す者だ。
プロフィール
概要
カルデアの英霊召喚、その成功例第一号。
マリスビリー・アニムスフィアによって秘密裏に召喚され、冬木の聖杯戦争に参加し、勝利を収めた冠位の魔術師。彼からは『唯一の友』と呼ばれており、願いを叶えるよう言われた際、無意識の内に確認を取るほど切望していたと思われる願いを叶えた。
その願いとは……
外見
見た目はゲーティアが名を騙っていた時と違い、穏やかな表情、そして顔の化粧・三つ編みに結ばれた髪に付いていた目玉の模様・背後に存在していた禍々しいオーラが存在せず、髪のハネが幾つか少ない。
だが、一番の違いは見える範囲で指輪を一つもはめていないという点。
隠れている左手に、かつての召喚時の触媒となった十番目の指輪のみをはめていると推測される。
真実
ソロモンという王、その本質は一個の人間ではなくエルサレム王国を栄えさせるために神へと捧げられて作り出された機構であった。そのために生まれてからずっと感情を抱くという自由さえ無かった。王として執り行った事業も啓示による神の指示の下に過ぎない。千里眼であらゆるものを視てもそれに意見する自由ですらも無い。生前の彼は最期までそうであった。
外から見れば、王国を栄えさせるためには手段を選ばない残酷な王にも見えたであろう。それこそ彼を最も近くで見てきた七十二柱の魔神たちが憎悪を抱くほどに。
そんな彼は死後にサーヴァントとしてマリスビリーによって召喚される。そして聖杯戦争を勝ち抜き聖杯を手に入れ、願いを叶える権利を与えられたことで、神の意思に寄らない己の願いを初めて口にした。
英霊としての全ての力を放棄して人間になりたいという願いを。
その願いは叶えられ、彼はロマニ・アーキマンとして生まれ変わった。
しかし、彼は人間になる直前に人類滅亡という光景を千里眼で目にしてしまった。
だかその理由を確認する間もなく、力は失われた。
そこから人類滅亡という未来を回避するために一人の人間として密かに人生をやり直した。安らかな夢を見たことはなく、人類滅亡の魔の手が伸びる夢を毎晩見るほどに切迫詰まってでも、世界中を旅しながら紛争地域にも従事する医師となった。
人間として無理をしていると悟ったことで全てを明かした友はいたが、それ以外の誰が敵なのかはわからず、表面上は友人関係になっても一切信用しなかった。そして一人の医者として寿命が少ない無垢な少女を請け負った。
そんな人物であったが、Xデーが始まるその日に信頼できる者ができた。それは最善を尽くす平均的な人間だった。
その日から始まったグランドオーダーは決して生半可なものではなく、どう考えても何回も死んでいるような状況でも、多くの縁を築いたことで彼らは最終局面までたどり着いた。
そして少女が命を燃やし尽くして守り抜いた光景を目にしたことで、臆病者は臆病者であることをやめた。
関連人物
生前
実の父親。
子育てにはあまり関心が無かったという。ファンの間では元凶の元凶扱いされていることも。
ただし、ダビデの息子たちの多くは非業の死を迎えているため、ソロモンには愛以外の全てを与えたと解釈するファンも少なからず存在している。
ブリシサン
時計塔学院長。現代にいたるまで魔術協会の三大部門である時計塔の頂点に立つ謎の人物。
少なくも二千年を生きてきたとされて居たが、実はソロモン王の弟子の一人であったことが、『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』マテリアルにて明かされた。
時計塔創設以来、伝承科(ブリシサン)を直属の学科として受け持っている(自身の名を冠していることから伝承科を創設した初代も彼と思われる)。
『TYPE-MOON』世界における魔術史において神代はソロモンの死までと定義され、彼の死後千年後の西暦の始まる頃には大気中の真エーテルもゼロになるとの展望が示されていた。
しかし後の時計塔学長となるソロモンの弟子(=ブリシサン)が「神秘を学問として残す」と決意し世界各地に魔術都市を創設したという。
ブリシサンと同様にソロモン王の弟子の一人(『型月稿本』にて明かされた)。
Fate/Grand Order
英霊としてのソロモンを召喚し、共に冬木の聖杯戦争を勝ち抜いたマスター。
彼を「友」と呼んでおり、聖杯戦争の勝者としての願いを叶え、現世に留まる事になった後も関係は続いていた。第2部以降の後の物語においてもその因果は深い影響を残すことになる……
彼が初めて信頼した、最善を尽くす平均的な人間。
能力
ステータス
筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|
E | E | B | A++ | A++ | A+++ |
保有スキル
陣地作成(A) | 魔術師として自らに有利な陣地である「工房」を作成する。エルサレム神殿を作り上げた彼の手腕は陣地作成において最高峰とされる。 |
---|---|
高速詠唱(C) | 魔術の詠唱を早める能力。高速ではあるが、心配性が災いしてたまにミスをする。 |
道具作成(C) | 魔力を帯びた器具を作成する。契約に特化してしまったのか、道具作成能力は並レベル。 |
啓示(B) | "天からの声"を聞き、最適な行動をとる。『直感』は戦闘における第六感だが、啓示は目標の達成に関する事象全て(例えば旅の途中で最適の道を選ぶ)に適応する。ソロモンが啓示を受けたのはただ一度きりだが、彼はその啓示を元に只人の手でも行える現象操作術―――即ち、魔術を確立した(それまで魔術は神に連なる者のみの業だった)。 |
召喚術(EX) | 過去、あるいは未来から霊体を喚起する魔術。“七十二柱の魔神”と呼ばれる霊的存在を語りあげ、有能な使い魔として成立させたソロモンの召喚術は魔術の王の名に恥じないものだ。ソロモン王が残した知識に悪魔を使役する術があるが、その写本は後にレメゲトン、あるいはゲーティアと名付けられた。 |
千里眼(EX) | ソロモンの千里眼は過去と未来を見通すという。最高位の魔術師の証たる「世界を見通す眼」。 |
ソロモンの指輪(EX) | 神から授かった十指にはめる指輪。魔術の祖、王の証でもある。十の指輪がすべて揃っている場合、人類が行うあらゆる魔術を無効化し、また配下に納める。 |
宝具
誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの(アルス・アルマデル・サロモニス)
- ランク:EX
- 種別:対人宝具
ソロモン王の第三宝具。
ゲーティアが扱うのは人理焼却を前提とした効果なので、本来とは変質している可能性が高い。
本来の効果は不明。
戴冠の時きたれり、其は全てを始めるもの(アルス・パウリナ)
- ランク:A
- 種別:対界宝具
- レンジ:999
- 最大捕捉:?人
ソロモン王の第二宝具。
固有結界・時間神殿ソロモン。
ゲーティアによるものは領域全てが魔神柱で構成された空間の形成だが、ソロモン曰くソロモン七十二柱は本来はあのような醜い肉の柱でない別の姿。魔神と称されているが実際は魔神などは存在せず、ただの七十二の用途をもった使い魔にすぎない。更に悪魔の代名詞でもあるが、悪魔の概念はソロモンの死後に出来たもので謂わば後付けで無関係だという。
ソロモンの宝具はもっとシンプルでスマートであのような禍々しい怪物を使役するものではないと語っているので、この宝具もまた、ゲーティアのそれとは異なる可能性が高い。
訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの(アルス・ノヴァ)
- ランク:D
- 種別:対人宝具
- レンジ:−
- 最大捕捉:1人
「神よ、あなたからの天恵をお返しします……全能は人には遠すぎる。私の仕事は、人の範囲で十分だ。第一宝具・再演。『訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの(アルス・ノヴァ)』」
ゲーティアではなく真のソロモン王が持つ、本当の第一宝具。
ソロモン王が全能の指輪を天に返した「人間らしい英雄」の逸話を宝具として再現したモノ。
彼がそれまで為し得た偉業・奇跡・魔術、その全てを手放す別れの詩。
詳細は該当記事を参照。
余談
キャスタークラスでありながら聖杯戦争に優勝する、優勝した英霊とマスターが共に聖杯で願いを叶えているなど色々な意味で珍しい英霊。
特にキャスタークラスでの優勝は(『Fate/stay night』でのBADENDやマルチエンドが盛り込まれた『Fate/unlimited codes』を除けば)現状Fate作品では唯一となる。
優勝出来た経緯は公式で語られてはいないが、ファンの一部からはソロモンのスキルである「ソロモンの指輪(EX)」が要因ではないかと推測されることがある。
このスキルは十の指輪全てが揃っている場合、人類が扱える全ての魔術を無効化し配下におけるという設定のため、魔術術式で作られた聖杯戦争と言うシステムそのものを乗っ取り、サーヴァントを令呪で自害させるか強制退去させることも可能なのではないかという推測がある。
この推測が正しければ、「聖杯戦争」と言う括りであれば間違いなく最強……と言うか過去最大級に反則のサーヴァントと言えるだろう。
関連イラスト
関連タグ
ダビデ:父親。本物・偽物含めて彼の正体を見抜いていた節があり、終局をクリアして初めて解放される幕間の物語でその心情が語られる。
テウルギア・ゴエティア:ソロモンの宝具名の元ネタであるレメゲトンのうち、何故かこれだけはゲーティア用にもソロモンにも選ばれていない。