「ザギバスゲゲルに進むまで、無駄な力は使いたくないの」
「どうせ、ズやベの奴らは、すぐにダグバに殺されるでしょう」
『どうでもいい殺しはさっさと終わらせて、もっと大事なゲームを早く始めたい』(ネット上に書き込んだ文面より)
データ
呼称 | 未確認生命体第44号 |
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身長 | 201.0cm |
体重 | 182.0kg(俊敏体) / 213.0kg(剛力体) |
主な犯行現場 | 東京湾上空のレインボー航空706便→さんふらわあ |
特色/力 | 形態の変化、腰回りの装飾品の武器への変化、水中移動、怪力(剛力体) |
死亡場所 | 太平洋上の海中 |
人間体/CV | あらいすみれ |
登場話数 | EPISODE37「接近」~EPISODE41「抑制」 |
概要
未確認生命体(グロンギ)のうち、ゴ集団に属するサメ種の怪人。警察からは未確認生命体第44号(人間態としては未確認生命体B群10号)と呼称されている。
ゴ集団としては3人目となる女性型の個体であり、眼鏡をかけたOL風の人間態を持つ。全般的に服装の派手さが抑え目なゴ集団の中でも、その出で立ちはひときわ地味にして、現代人から見ても全く違和感が無いものとなっている。とはいえ、違和感は無いながらも全体的に見ると「グレーのスーツに黄色のネクタイ」という、OLにしては派手で目につく着こなしをしているため、根本の服装センスはやはりグロンギといったところとも言える。
その見た目に違わず、グロンギとしては比較的に理知的かつ落ち着いた気質の持ち主であり、口調もまたそれに見合った柔和なものとなっている。見た目通りの美声でもあるが、怪人態になると芯が強くドスの利いたものへと変化する。
また、所持品の一つであるノートパソコン(NEC・Lavie)の操作にも長け、インターネットの使い方までも習熟しているなど、グロンギの中でも特に現代社会への高い浸透ぶりを見せたうちの一人でもある。
一方では後述したゲゲルの内容からも窺えるように、そうした印象とはまるで裏腹なグロンギらしい残忍な側面も持ち合わせている。実際、ベ集団やズ集団の生き残りがダグバによって「整理」されていることを聞いた際には、まるで他人事のように記事冒頭にも示した台詞を発するなど、同族であっても下位の存在に対しては極めて冷淡な素振りを示してもいる。
また、子供などの弱者を標的としている点については、同じゴ集団のジャラジとも近似している一方、そのスタンスは多分に相違していたりもする。標的をじわじわと心身両面から嬲り殺すのを楽しみとしていたジャラジとは対照的に、ジャーザの場合はあくまでも自らのゲゲルを「ザギバスゲゲルに進むための通過点」と捉えているがゆえに、それに向けての力の温存を企図した合理的な計算に基づく行動であることが、作中でも度々明示されている。
能力
サメの特性を持ち合わせていることから、水中での活動を得意としており、また陸上においてもその実力を遺憾なく発揮することができる。
また、戦闘の状況に応じて異なる形態を使い分けることができるという、それまでのゴ集団の面々とは一線を画した能力を有してもいる。基本形態の「俊敏体」は、ドラゴンフォームと同様に素早い動きを得意とし、また強化形態の「剛力体」は、タイタンフォームさえも凌駕するパワーを発揮する。外見上の変化としては、茶褐色だった体色が灰色に転じていること、それに肩や腿などにヒレ状の棘が生える、といった点が挙げられる。
折しもジャーザによるゲゲルが始まる少し前には、科警研による調査によってゴ集団の武器の変化のメカニズムが解明され、グロンギにもクウガと同様の形態変化能力を持つ存在がいる可能性が指摘されており、ジャーザの登場は正にその可能性に対する一つの裏付けともなった。
(上記のイラストは剛力体。横に添えてあるタトゥーは、太ももの内側に配されている)
腰元の装飾品を変化させることで、他のゴ集団の面々と同様にこれを武器として振るうことももちろん可能である。
俊敏体では銛へと変化させ、槍投げの要領で標的めがけて投擲するという戦法を得意としている。スピード重視とはいえこの形態でも、抵抗の多い水中から凄まじい勢いで銛を投げることができ、その勢いたるやクウガの生体装甲を貫通し、そのまま昆虫標本の如く壁に磔にしてしまう程である。
剛力体では、筋骨隆々となった体躯に合わせて大剣へと変化させており、前述した並外れたパワーを活かして相手を押し切る戦法を取る。切れ味も抜群で、周囲にあった金属製の物体もたやすく切り裂いてしまう。
ゴ集団の中でも精鋭中の精鋭なだけに、両形態共に耐久性もかなりのものを有しており、俊敏体ですらゴ・ベミウ・ギを一撃で倒したライジングドラゴンの攻撃に耐えるほどの強靭さを見せ付けている。もっとも矛先で貫かれたベミウに対し、ジャーザの場合は足を斬りつけられたのみという違いもない訳でもないが。
ともあれ、これらの能力や特性を有するジャーザはグロンギの中でも、紛れもなく高い実力の持ち主として看做されており、後述のゲゲルで「243人を殺す」と豪語した際には、同格の存在であるバベルからも「お前にはたやすいゲゲルだ」と評されており、その口ぶりからジャーザ本来の実力がこの程度のものではないことが示唆されてもいる。
作中での動向
ザザルによるゲゲルの最中、ガドルの招集を受けバベルとともに姿を現したのが、作中での初出となる。この時点で既にザギバスゲゲルに進むことを全く疑いもせず、時同じくしてゴオマが殺戮に及んでいると聞き及んだ際にも「殺されたくないからって、まだ頑張ってるみたいよ、ゴオマのヤツ」と、至って冷淡な反応に終始している。
ザザルがゲゲルに失敗し、ゴオマもまたダグバによって粛清されてから10日余り後、作中における2000年10月8日にジャーザもゲゲルに挑むこととなる。期間は5時間、目標人数は567人と、これまでの数々のゲゲルの中でも特にハイペースかつ驚異的な規模であるが、それに加えて「インターネット上の掲示板に、犯行場所を予告する書き込みを残し、その内容通りに殺害を実行する」というルールも提示している。
「10月8日11時、空を渡る虹の中で243が消える。そして16時、海に浮かぶ太陽の上で324が消える」
これはリント(人間)に対するヒント、挑発行為であると同時に、かつてのガルメと同様に敢えて自らの行動予定を大っぴらに明かすことによる、一種の「縛り」を企図したものであるとも解釈されている。
その手口は、前述の「犯行予告の中にある語句に合致した名前の旅客機や客船」にて、複数の標的を1ヶ所へ追い詰め、銛で纏めて串刺しにして殺すというものである。犯行場所の選定も全くの無計画ではなく、老人や子供といった抵抗力の弱い乗客が多数いることをあらかじめ調べ上げた上でのものであり、ここからも前述したゲゲルへのスタンスが窺い知れる。
新東京国際空港にて犯行予告を書き込んだ後、10.11.a.m.にバルバと接触しゲゲルを開始したジャーザは、「空を渡る虹」ことRAS(レインボー航空)706便に乗客として乗り込み、離陸直後に怪人態へと変貌するや、パニックに陥り通路にひしめいていた乗員・乗客をまとめて銛で貫き、目標通り243人の殺害を完了すると、そのまま海へと逃げ去っていった。
被害者の大半はシルバーエイジツアーの老人客ばかりであり、犯行直後には敢えて標的から外していた機長へと、「ヒントは出した。5時間で567人。このままなら楽勝だ。」とのメッセージを警察に伝えるよう言い残してもいる。
逃走の過程で、東京湾内にて自らの姿を捕捉・追跡に当たっていた海上保安庁の巡視艇にも襲いかかり、豊洲方面へと向かっていたジャーザであったが、事件発生を知らされた警察も巡視艇からの連絡によりその動きを既に読んでおり、五代もジャーザを迎え撃つべく豊洲埠頭へと急行、ライジングペガサスへと超変身して彼女の到来を待ち受けていた。
・・・が、そのライジングペガサスの特性が災いし、付近から感じられたただならぬ気配に注意が向いたほんの一瞬の隙を、ジャーザは文字通り突く形で海中より銛を投擲。対応しきれなかったクウガの左肩を貫いてその動きを封じると、自らはまんまと上陸を果たし行方をくらましたのであった。
この時受けた甚大なダメージにより、五代が2時間の間変身不能に陥ったのを他所に、ジャーザはバルバに対し、
「ドグググ ガゲス ボヅバゲ デゴギデ ゼベ ザギバスゲゲル」(もうすぐ会えると伝えておいて。ザギバスゲゲルでね)
と、ダグバに対するメッセージを余裕たっぷりに告げ、次の犯行の舞台と定めていた「海に浮かぶ太陽」――即ち客船さんふらわあへ向かうべく再び海中へと没するのだが・・・この間合同捜査本部も、掲示板への書き込みから次の犯行現場が苫小牧行きの「さんふらわあ えりも」であること、そして乗客として多数の子供達が乗船していることを突き止めていた。
海上保安庁の協力を得て、巡視船あかぎに同乗した一条が出港した「さんふらわあ」の後を追う一方、インターバルを経て変身能力を回復した五代もまた、ゴウラムを活用して空から「さんふらわあ」へと向かい、船上にて再びジャーザを待ち受けることとなる。記事冒頭にも示した書き込み内容の外道さに、ジャラジの一件のように激しい怒りを募らせながらも、船上にて心を鎮めていたクウガであったが、そこにまたしても海中から銛が飛び出し、その主であるジャーザも程なく姿を現すに至った。
銛をドラゴンロッドへと変え、さらにライジングドラゴンへと超変身して迎え撃つクウガに対し、ジャーザは足にライジングスプラッシュドラゴンを打ち込まれながらも、気合で封印エネルギーを霧散させるとそのまま剛力体へと変身。対抗してタイタンフォームへと変身したクウガをパワーで圧倒し、勝負は剣同士の鍔迫り合いへともつれ込む。
しかしクウガに対しなおも優位に立ちながらも、先程とは逆に一瞬の隙を突かれてクウガにライジングタイタンへの変身、そして2本のライジングタイタンソードの生成を許してしまい、結果それによる斬撃に続けてのダブルライジングカラミティタイタンを受け、クウガもろとも海へと投げ出された末に海中にて敢え無い最期を遂げた。例によって大規模な爆発が生じたものの、難を逃れた五代は巡視船に拾われ事なきを得ている。
だがその裏で、五代の動向を監視し彼が負傷する遠因となった白服の怪人物――ダグバもまた、修復を終えたバックルを手に入れ完全な姿と力を取り戻しつつあったのである・・・。
派生作品
『仮面ライダーディケイド』
同作では、第3話にて描かれた「クウガの世界」にて、ン・ガミオ・ゼダの能力によりグロンギに変貌した人間の中に俊敏体が複数登場している。また、武器のうち銛は同じくクウガの世界に登場したゴ・ベミウ・ギが、大剣はメ・ビラン・ギがそれぞれ使用している。
『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』
大ショッカーの怪人として俊敏体が登場。
備考
デザインは俊敏体・剛力体ともに青木哲也が担当。当初はエイをモチーフとした、非女性型の怪人として想定されていたため、ギザギザの牙やエラなどといったサメの要素は装飾品で表現し、なおかつ装飾を髪のように後ろに垂らすことで女性らしさを表している。また頭部の耳状の意匠は、「シュモクザメの目」的なイメージが盛り込まれているという(参考リンク)。
最初の犯行が行われた際、706便からの通信を受け取った航空管制塔の職員は、いずれも当時助監督として本作に参加していた鈴村展弘(チーフ)、田澤裕一(セカンド)、柴﨑貴行(サード)が演じている。鈴村曰く、元々田澤が英語を喋れることからこのシーンを助監督達でやることとなったという(参考リンク)。
また、「さんふらわあ えりも」に向かうために海中へと飛び込むシーンは、ジャーザの動きを追いかけてカメラも一緒に水の中へと飛び込んでおり、撮影は当時いのくままさおの助手であった倉田幸治が、スーツアクターは伊藤慎がそれぞれ担当している(参考リンク)
EPISODE41のクライマックスを飾る「さんふらわあ えりも」上での戦闘は、当時実際に大洗~苫小牧間の航路を就航していた、同名の客船がロケ地として使用されている。さんふらわあはこれ以前にも、東京~高知航路の便が映画『仮面ライダーV3対デストロン怪人』の撮影に使われており、「最強でサメ(海属性)の怪人の戦いを相応の舞台で繰り広げられないか」という発想から出された船上での戦いという案を汲む形で、同船でのロケへと繋がったという経緯があった(参考リンク)。
広い船上とはいえ、アクションに使えるスペース自体は限られていることから、撮影に際しては事前のロケハンに基づき、アクションの際に壊す作りものをいくつか用意した上で、これを持ち込んで撮影が行われている(参考リンク)。また、作中で戦闘が行われたのは苫小牧に向かう途上であったが、撮影自体は大洗から苫小牧までの行き帰りで行われ(参考リンク)、船上は殊の外風が強かったことから、撮影に使用したマットが海へと飛ばされてしまったという(参考リンク)。
このさんふらわあ えりもを追う「巡視船あかぎ」も、海上保安庁の全面協力を得て実際の巡視船が撮影に使用され、同乗しているのもやはり本物の保安官である。あかぎがさんふらわあへと向かうカットの撮影は、前出の鈴村・倉田の両名が漁船に乗って行われているが、巡視船の速さに漁船が引き離され、監督の石田秀範からの怒号でスイッチの入った漁船の船長が、壊れんばかりの勢いで船を飛ばしたという逸話も残されている(参考リンク)。
演者であるあらいの胸囲89cmというナイスバディを反映してか、怪人態もかなりの巨乳として造形されており、剛力体への変身時には左腕によって左右の乳房が寄せられて深い谷間が形成されているのが確認できる。Pixiv上でも、その点を踏まえたイラストが複数投稿されていたりもする。
関連タグ
ゴ集団 最強3人衆 ゴ集団最強3人衆 ゲリザギバスゲゲル サメ
未確認生命体第○号
ゴ・ザザル・バ(43号) → ゴ・ジャーザ・ギ(44号) → ゴ・バベル・ダ(45号)
ラ・ドルド・グ(B群9号) → ゴ・ジャーザ・ギ(B群10号) → ゴ・ガドル・バ(B群11号)
外部リンク
Web archive「仮面ライダークウガ」公式サイト kuuga dimension GURONGI