スイス
すいす
概要
日本での正式国名は「スイス連邦」、国際的な正式国名は「Confœderatio Helvetica」(羅語)。首都はベルン。
国土全体が山岳地帯にあり、概ね南部をアルプス山脈東西に走っている。
永世中立国として有名で、欧州連合にも加盟していない。故にジュネーブ、チューリッヒ、バーゼル、ローザンヌ、ベルンといった都市には国際機関の本部が数多く置かれており、特にジュネーブには国際連合の本部が設置されている。
通貨はスイスフラン。
一部の超富裕層ではお馴染みのスイス銀行の本店があり、節税目的での潤沢な外貨を金融業で獲得している。
小国ながら地方分権が進んでおり、一部の州では直接民主主義制を採用している。
現在は他の地域からの移民も多いが、民族としてはドイツ人、フランス人、イタリア人が多い。そのため、主要言語はドイツ語やフランス語等が使用される(下記)。
使用される主要言語は、スイス語(アレマン語)、アルピタン語、ティチーノ語、ロンバルド語、ロマンシュ語である。このうち、公用語としての地位を有するのはロマンシュ語のみであり、スイス語、アルピタン語はそれぞれドイツ語とフランス語の方言として扱われ、ティチーノ語とロンバルド語はスイス国内ではイタリア語の方言として扱われている(イタリアではイタリア語とは同系統の別言語という扱い)。そのため、本来国内に母語話者のいない標準ドイツ語、標準フランス語、標準イタリア語(トスカーナ語)がロマンシュ語と共に公用語に指定されている。
アルピタン語は死語になりつつあり、代わって標準フランス語とアルピタン語の折衷したスイス・フランス語が広く話されている。
スイス語と標準ドイツ語の差異は、標準ドイツ語とオランダ語の差異に匹敵する。そのため、スイス語圏の学校における国語(すなわちドイツ語)の授業は、母国語とは名ばかりで実態は外国語学習に近いという有様である。にもかかわらずドイツ語の方言として扱われている背景には、スイス語自体が極めて多様な方言を内包しており、村一つ異なるだけで全く言葉が通じないことも稀ではないため、新たに正書法や標準語を独自に定めるよりは、全て比較的近しい関係にあるドイツ語の方言と見做し、ドイツ語を標準語にした方が効率的なためという側面も否定できない。詳しくはロマンシュ語についての記事を参照されたいが、スイスにおいてこの手の「国内のどの地域の言葉を標準語に定めるか」というのは、各地域の政治的対立をもたらすある種のタブーであり、そのタブーを犯すぐらいなら国外の多少文法や語彙の似ている別言語を標準語に定める方が国内での不毛な争いを生まないという、切実な事情もある。
ティチーノ語、ロンバルド語と標準イタリア語が分化したのは、いずれもラテン語の方言だった時代まで遡る必要があるため、言語学的には別言語と見做すべきだが、長年イタリア語の方言とされ続けてきた歴史ゆえに語彙は概ね共通しており、体感的なイメージは大阪弁と博多弁程度の違いである。
国名
前述の通り、公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つあり、正式国名もそれぞれの言語で定められている。
また日常的な話し手のいないラテン語による国名(Helvetia)もある。
- ドイツ語:Schweizerische Eidgenossenschaft (die Schweiz)
- フランス語:Confédération Suisse (Suisse)
- イタリア語:Confederazione Svizzera (Svizzera)
- ロマンシュ語:Confederaziun Svizra (Svizra)
- ラテン語:Confœderatio Helvetica (Helvetia)
国旗
赤地に白十字が刻まれた、1:1の国旗。正方形の国旗は、世界でスイス・バチカン市国の2ヶ国のみである。
赤十字社・赤新月社運動は、1863年にスイスのジュネーブに結成された「五人委員会」を前身としている。そして1864年にはジュネーブ条約が調印され、国際赤十字組織が誕生した。スイスとの関わりが深い本組織のシンボル「白地に赤十字」は、スイス国旗の色を反転させたものである。
経済
世界屈指の高所得国であり、小国ながら経済競争力が非常に強い。
多言語国家であることやスイスの法人税の低さを背景に周辺国からの富裕層や企業の移転も数多い。
最低賃金はなんと2,600円で、国民の平均年収は日本円で1,073万円(日本の医者の平均年収の約9割)とどちらも世界最高クラスである。
一方で税金や義務となっている各種保険料、さらに天引きではなく自分で払わねばならない所得税、公共料金や健康保険料の高さもあって手元に残る金額はあまり多くはない。加えて高価な交通費や保育費、高物価もあって殆ど手元に残らない。そのため、最低賃金では貯蓄に回す余裕はなく、賃金は上昇しないのに各種費用は上昇して厳しいという状況は他国と大差ない。
時計産業が盛んで、時計メーカーの本社や工房などが国内にある他、毎年時計の見本市であるジュネーブサロン、バーゼルワールドが催されている。
また銀行業もよく知られている。『スイス銀行』はその匿名性、守秘性の高さで有名。
山地で産業に恵まれず傭兵業が盛んであったため「戦争によって国を築き上げてきた」と称される。
『スイス銀行』で知られる銀行業も、それに伴い発展したものである。
この気風もあってか永久中立を掲げる現在も「他国へ侵略はしないが、侵略者は五体満足で返すな」とばかりに国民皆兵の重武装中立国家である。
男子は20〜30歳の間に兵役につくことが義務づけられており、女子は志願のみである。
国防
兵役に就いたものは除隊すると60歳までは予備役兵として登録され、いざ戦争が起これば軍に復帰し、そのため国民の一人ひとりに民間人であるにもかかわらず小銃が支給されている。
それでいて、戦争が起こった際に国民はどのようにゲリラ戦を戦えば良いか、メディアなどを利用した間接侵略にどう対応するべきかまで記された書籍「民間防衛」が一家に一冊必ず配布されている(日本でも和訳され売られており、書店・通販で入手可能)。
こうした国民の国防意識の向上を促すスイス政府の政策が、中立を掲げどの国とも同盟を組むことなく、200年以上にわたって国家の独立を守り平和を保ってこれた所以である。
その反面銃規制がゆるく、貸与されている小銃以外にも銃の購入が可能であり、一般人にも銃の携帯が認められているため、アメリカ合衆国の陰に隠れているが、実は銃犯罪大国でもある。州ごとに銃規制の内容が異なり、州によっては銃を持っていなければ結婚が認められないという法があったほど。
貸与された銃で犯罪を起こした場合、軍法で裁かれるために犯罪に使用されることは少ないが、自殺に用いられることが起きている為、現在では自宅での所持を希望した予備役兵には銃の本体のみを貸与し、平時は弾薬は持たせないことになっている(訓練時や有事に招集した際に弾薬を与える。自宅保管を希望しなかった予備役兵には弾薬と共に銃を与える)。
また1999年に全国統一の銃規制が行われ、一部の銃火器やアクセサリーの所持が禁じられ、銃によっては所持可能であっても許可を必要とする事となった。
国民皆兵の為に銃の管理はアメリカなどに比べると緩いと思われがちがだが銃規制前から意外と厳しく、弾薬と銃を別々に保管することを義務づけている。運搬以外で公共の場所で銃を携帯する場合には必要である理由を提示したうえで厳しい審査や試験を通ればライセンスが発行されて携帯が可能となる。
日本との関係
実は日本とは長い交友関係があり、政治家のエメ・アンベールが遣日使節団の団長として派遣され、徳川幕府と修好通商条約を結んだのが始まりであり、2014年には国交樹立150周年を迎えた。
また、日本への献身的な人道支援も行われており、ディディエ・ビュルカルテ大統領は、北朝鮮による日本人拉致問題について真剣に考え、要請があれば北朝鮮との対話の調整役を務めると仲介役を買って出ている。
一番読まれている日本の漫画は少し前のデータではワンピースだった。