「タイムファイヤー!」
スーツアクター:今井靖彦
概要
シティガーディアンズの隊員(後に隊長→本部長)である滝沢直人が変身する本作の6人目の戦士で、物語中盤から登場する。
史上初の初期メンバーとカラーが重複した追加戦士であり、戦隊シリーズ初の2人目のレッドにして、未だに珍しいレギャラーの追加戦士での2人目のレッドである。
容姿はタイムレッドとよく似ているが、全身のカラーリングがタイムレッドより暗めの赤になっており、タイムレッドのスーツの白の部分が黒になっているのが最大の相違点である。また、頭部のゴーグルや胸の矢印マークが炎あるいはティラノサウルスの上顎を思わせる形状になっており、全体的により攻撃的な印象が強いデザインになっている。
とはいえデザインはよく似ているので、初登場時にはタイムレンジャーの面々も、一瞬タイムレッドと勘違いした。
一方で、何故かこのスーツやブイレックス関するデータはタックの中にも存在せず、また現代人の直人が手に入れても時間保護局は何も言ってこない等、幾つも不信な点があったのだが...
スーパー戦隊の戦士としては珍しく、特にこれといった名乗りや変身ポーズ等も無いのだが、変身後にDVディフェンダーの銃身で左手の甲を何度か軽く叩く仕草が非常に印象的であり、これがタイムファイヤーを象徴する動作になっている(これは直人の癖で、タイムファイヤーになる前から拳銃でこの仕草を何度かやっていた)。
システム
変身アイテムであるブイコマンダーに、変身者の直人がボイスコードである「タイムファイヤー!」と音声入力をする事で、亜空間ストレージフィールドからクロノ粒子と化して転送された強化スーツ「クロノギア」が、一気に全身に0.1秒の所要時間で装着されて変身完了する。
その為、タイムレンジャーのように変身前にベーススーツ姿になる必要はなくそのまま変身でき(タイムレンジャーも必要であればベーススーツは省略できるが)、タイムレンジャーのクロノスーツよりも格段に早く装着されるのが特徴。
クロノギアはクロノスーツとは異なり、各種装備を呼び出すクロノアクセス機能が排除されており、その代わりに運動能力の倍化機能や防衛機能、生命維持機能などの各基礎強化機能が純粋にアップグレードされ、それによって総合的な基礎戦闘力はクロノスーツのおよそ1.25倍に強化されている。
また、クロノアクセスができないので、専用武器・DVディフェンダーを右腰のホルスターに標準装備しており、これによって単独でロンダー囚人を圧縮冷凍する事が可能。
クロノスーツがあくまで5人の連携で犯罪者を制圧する事を目的としたスーツなら、クロノギアは単独での活動と犯罪者制圧を目的とした設計思想で開発されていると言える。
このように、タイムレンジャーとはその運用目的や設計思想は異なるものの、基本的にはクロノギアもクロノスーツと同型のスーツである。
ちなみに浅見渡は、シティガーディアンズの研究班にこのクロノギアのスーツを解析させ、最終的には量産化させて全隊員に支給する事を構想していたが、20世紀の技術や研究設備ではスーツの解析すら思うように進まず、結局実現はしなかった。
装備
ブイコマンダー
CV:デビー・リギアー
タイムファイヤーの左腕についているブレスレット型変身アイテム。ブイレックスの制御装置が変化したもので、最初に音声登録した者の声でのみ起動・操作ができる。
この音声入力によって変身及び必殺技の発動や、ブイレックスの遠隔での操縦を行う事ができる。
使用者に対して音声ナビゲートをする事も可能で、最初の戦闘では英語で直人に指示を送っていた。
DVディフェンダー
タイムファイヤーの専用武器。
ブイレックスの頭部を模したデザインをしており、「DVチェンジ」の音声コードと同時にスイッチを押す事で、ビームガン形態のディフェンダーガンと、剣形態のディフェンダーソードに変形する。普段はディフェンダーガン形態で所持している。
本体にはユニットナンバーの「6」が入っている。
タイムエンブレム
こちらは初期装備ではなく、Case File45にてシオンが開発して直人にプレゼントしたものである。
初期5人のものと機能は変わらないのだが、カラーリングがタイムファイヤーのものに合わせた専用カラーに変更されている。Case File46にて囚人の回収、Case File47にて敵への掲示と、一通りその機能は活用されている。
玩具では「タイムエンブレム Version-F」という名称が付けられている。
必殺技
DVリフレイザー
DVディフェンダーをディフェンダーソードに変形させ、ファイナルモードを発動する事で、敵をX字に切り裂いて圧縮冷凍させる技。
タイムレンジャーとは異なり、単独で囚人を圧縮冷凍する事が可能なのだが、直人自身は最初は圧縮冷凍の意味も分かっておらず、途中まで囚人を普通に倒したと勘違いして、圧縮冷凍された囚人には気付かず放置していた。
圧縮冷凍の意味が分かって以降も、囚人の回収はタイムレンジャーに任せていたのだが、Case File46にてシオンから貰ったエンブレムで初めて自分で囚人の回収を行った。
本編では、他の5人との合同技は最後まで使用しなかったが、『海賊戦隊ゴーカイジャー』ではゴーカイジャーがゴーカイチェンジしたタイムレンジャー6人による、連続斬りのベクターエンド・ビートディフェンダーを使用。
専用ロボ
ブイレックス
Tレックス型の巨大生体メカ。
タイムシャドウ同様に人工知能を搭載し、完全に自立可動しており、自己修復機能を有している。
さらにブイコマンダーで、音声で遠隔から操縦する事も可能で、戦闘の指示や変形や必殺技発動も行える。
一方で、一定のダメージを受けて自己修復が始まると、24時間は休眠状態に入って動けなくなってしまう。
終盤のネタバレ
タイムファイヤーは未来で作られたものなので、当然ながら浅見竜也同様に現代人である直人はイレギュラーな変身者だったのだが、終盤にタイムファイヤーの本来設定されていた正規の変身者は、時間保護局のトップであるリュウヤ隊長だった事が判明する。
しかし、「タイムファイヤーの変身者は2001年の2月3日に死亡する」という歴史を予め知っていたリュウヤは、自身の死の運命を過去の人間に擦り付けて歴史を改竄する事を画策し、ブイレックス諸共2000年に送り込んで、結果的に直人がタイムファイヤーに変身する事になったのである。
ちなみにCase File49でのリュウヤの回想で、一瞬だけ本来の歴史でのリュウヤが変身したタイムファイヤーが登場しているが、当然ながら見分けは全くつかない。
現代人の直人がブイコマンダーとブイレックスを奪取したにも拘わらず、時間保護局が放置していたのもリュウヤの一存であり、タックの中にタイムファイヤーやブイレックスのデータが無かったのも、自分がタイムファイヤーの正規変身者である事実を隠蔽する為に、リュウヤが予めデータを改竄した為である。
また、前述したブイコマンダーの音声ナビゲートも、リュウヤが使う上では明らかに不要なものなので、過去の人間に使わせる為にリュウヤが後から追加したものだと思われる。
パワーレンジャーでの活躍
『パワーレンジャー・タイム・フォース』では量子を意味するクォンタムの名を持つクォンタムレンジャーとして登場。
変身者はエリック・マイヤーズで、原作同様レッドに対するライバルポジションだが、こちらは生還している。
レッドの名は既にレッドタイムフォースレンジャーで使っている為の措置と思われるが、量子はタイムレンジャーの題材である時間移動にも関わっている為、タイムレンジャー関連のレンジャーとしてはそこまで違和感はない。
追加戦士としては珍しくバトライザーが用意された。
しかも原作視点で見ると(一部を除いて)場違い全開なデザインが当たり前のバトライザーでは珍しく、シンプルながらも原作に近いイメージを保ったデザインである。
なお、前作ではレッド以外にも、初期メンバー(グリーンとブルー)用バトライザーが用意された(こちらも他作品で例が無い)為、前作との共闘回は本作のレッドとクォンタムも合わせて歴代最多のバトライザー5人装備となった。
当然、バトライザー5人の一斉攻撃によるフルボッコが発生してしまった。
フォーエバー・レッド
次作『パワーレンジャー・ワイルド・フォース』では、レッドタイムフォースレンジャーと共にワイルドフォースレンジャーと共闘し、「Forever Red」にて、歴代レッドレンジャーの1人として登場する。
シリーズ初期の展開上の都合で『五星戦隊ダイレンジャー』のレッドであるリュウレンジャーがハブられた(しかも大神龍が敵の巨大ロボ「セルペンテラ」として登場する皮肉もある)が、その穴を埋める形でクォンタムレンジャーが参戦する事でレッドが丁度10人揃った。
以上の事からパワーレンジャーシリーズの追加戦士の中では、総じて非常に厚遇されている戦士だと言える。
余談
所謂追加戦士ではあるのが、作中では一貫して初期メンバー5人と直接的な協調はせず、あくまでシティガーディアンズの一員としてロンダーズファミリーと戦う為、実質的には第三勢力的な存在と言える。
決して敵対している訳ではないが、完全に戦隊の一員にもならず、特に主人公のレッドである浅見竜也とは最後までライバル関係が続いたという、歴代の戦隊の追加戦士はおろか番外戦士ですらあまり見ないタイプの戦士である。
また、タイムファイヤーは初登場がCase File29と歴代の戦隊の追加戦士の中でもかなり遅く(直人自身はCase File28から登場していた)、これについて脚本家の小林氏は、企画外での理由によるもので脚本の都合ではなかったと述べているが、具体的な理由は不明。
ちなみに後述するが、タイムファイヤー以外のレギュラーの追加戦士のレッドはホウオウソルジャーがいるが、こちらは媒体によってはレッドとしては扱われていないので、彼を抜きにした場合は現状スーパー戦隊シリーズ唯一のレッドの追加戦士になる(それ以外の主人公ではない戦隊レッドは、いずれも番外戦士である)。
なお、直人を演じた笠原氏によると変身ポーズは宇宙刑事へのオマージュであるとの事で、粒子が固着してスーツに変化する場面や、発光させた剣によるトドメなどの要素も宇宙刑事に近しいものがある(引用元のツイート)。
関連イラスト
関連タグ
ホウオウソルジャー:17年後に登場する同じ赤色の追加戦士。ただし、こちらは媒体によっては「紅蓮」や「紺色」の戦士として扱われており、戦隊レッドとしては扱われていない。
黒騎士ブルブラック:脚本家繋がりの作品に登場する追加戦士で、こちらも最後まで初期メンバーとは協調せずに第三勢力ポジションを貫いた戦士。
バージル(デビルメイクライ):パワレン版と声優が同じ。格ゲーでは他の格ゲーにおけるバージルを意識した性能になっており、台詞もほぼ同じ。というか、パワレンの格ゲー自体どこかで見たような技が多く登場するパロディゲーム的な側面を持つ。
仮面ライダーギャーゴ:23年後に登場する、同じ演者が変身するヒーロー。愛する娘を守る為に戦う力を手にした点がタイムファイヤーとは大きく異なっている。