概要
「もしも○○がこうだったら」等、現実の世界を希望通りの世界に改変する能力を指す。
歴史改変とは違い、元からそうだった、今そうなったという既成事実を作り出すのが特徴。また、他人の認識だけではなく物質やそれを形成する宇宙の法則そのものを改変出来るので常識改変とも大きく異なる。
欲しいものがあればなんの努力もせず手に入り、恋愛や人間関係も自由自在。たとえ敵が現れても瞬殺どころか最初から居なかったことに出来る。それどころか自分にとって都合のいい世界や宇宙を一から作り出す事すら可能。文字通り神やチートの如き能力であり、いわゆる超能力の中でも万能かつ最強の能力と言える。
一方、あまりにも万能過ぎて物語や世界観を破綻させかねない面があり、作中に登場する際には何らかの制約が設けられることが多い(使用者が能力を自覚していない、能力者が意識している部分しか改変できない、能力の発動範囲などに限界がある、逆に能力が強すぎて制御できない等)。あるいは主人公の敵対者や中立的存在しか所持していない事も多い。
例えばMARVELコミックには「現実改変能力者の中でも更にチート級の能力を持つヒーロー」がいるが、凶悪なヴィランを現実改変で消滅させ世界を平和に……というような展開はまずない。むしろ、メンタルの強さがその能力に追い付いてない為に能力を制御できず、逆に騒動や世界の危機のきっかけになってしまうことが殆どである。
また、MCUでは「空間」を司るインフィニティ・ストーンの1つであったテッセラクト(4次元キューブ)は、コミックではインフィニティ・ストーンとは別の「使用者の好きに現実を書き換える」アイテムであり、これを巡って何度も騒動が起きている。
もちろん、4次元キューブやその派生品・模造品の力を誰がが使って現実改変をやった場合、善意・悪意どちらに基いて使おうとロクな結果にならないのは御約束である。(例:キャプテン・アメリカが実は悪の秘密結社ヒドラの手先だったという現実改変を行なう→「アメリカの理想の為なら、アメリカ政府との対立も辞さない」奴を「ヒドラの理想の為ならヒドラ上層部と対立する事も辞さない。なお、元のキャップが持っていた『どんな極悪人でも殺害はなるべく避ける』というリミッターは解除されている」という奴に作り変えてしまった→「ヒドラの理想を裏切って、私利私欲の為にヒドラという組織を利用しているだけ」と見做された上層部が粛清される)
なお、MARVELコミックでは各平行世界に「アース○○」という番号が割り振られているが、基本世界(アース616)が全地球規模の現実改変を受けた場合、現実改変後の世界には別のアース番号が割り振られる事が多い。(なお、これは「タイムマシン・タイムトラベルなどによる未来からの干渉で一時的に歴史が変った」場合も同じである)
MARVELコミックにおける現実改変は、読者視点では「新しい平行世界を作り出す」という、とんでもないにも程が有る能力とも言える。
…逆にいえば(いくらでも増やせるので)気軽に宇宙ごと抹消する様なぶっ飛んだ能力の持ち主が現れたり、それと戦う羽目になることも起きるのだが
なおメタな話をするとこれはアメコミの特色である「特定のキャラを複数の作家が動かす」事による発言や性格などの矛盾を「それは違う宇宙の話だから」と正当化するための設定である。
大元の監修を受けた作品は基本世界の話になるのだが、そうで無い部分にまで目を回せない以上矛盾が出れば「違う世界」という事にするのである。
こうする事で違う世界の同一人物が集まるという展開がちょくちょく起きるが、逆にいえば宇宙を変えてしまえばどんなめちゃくちゃも通るため、若干収拾がつかなくなって来ている。
また、『SCP Foundation』では、「ヒューム値」という現実改変能力の土台となる設定が用意されているほか、「スクラントン現実錨」などの現実改変を阻害する装備・対抗策が確立しているので、並の現実改変能力者は作中に登場する前に抹殺されている(これも先述の「現実改変能力によって物語や世界観が破綻する」事を阻止する為の設定と言える)。一方、それらの対策が通用しない強力な現実改変能力者、あるいは現実改変能力が通用しないSCPオブジェクトも脅威として存在している。
アダルト系の作品に本タグが使用されている事もあるが、流石に上記のような万能の力が登場する事は少なく、「常識改変」の意味で使用されている事が多い。
例えば、読者・視聴者・消費者が「気の強い女を屈服させる」話だと期待している成人男性向けのエロ・コンテンツで「現実そのものや事実そのものを変える」意味での「現実改変」を使って「『その女性は気の強い女』だという『作品世界内での事実』そのものを『その女性が、最初から現実改変能力を使った人物にとっての都合のいい女だった』『唐突に何の理由もなく、現実改変能力を使った人物にとっての都合のいい女に変ってしまった』という『新しい事実』で上書きする」という展開になってしまうと、読者・視聴者・消費者(特に、即物的なエロシーンだけでなく「気の強い女が屈服する/洗脳される過程もエロの一部として楽しみたい」と期待していた場合)からすると「え? 何か思ってたのと違う」となりかねないので、チート過ぎるので、作者側からすると、エロ・コンテンツ内では巧く活用するのが困難なギミックとも言える。
そもそもこの展開は「人格改変」や「催眠」に近いためジャンル違いである。
この場合「性行為は握手くらい普通のこと」と世界を改変(ターゲットだけは正気にしておく)して、それを突きつける(改変された世界のネットの情報を見せる、平然と性交にふける者がテレビに映り誰も疑問を抱かない、家族や友人が)ことで相手を混乱させるなどの場合は現実改変にあたる。
つまる所、エロ・コンテンツで「現実・事実を別の現実・事実で上書きする」という意味での「現実改変」をギミックとして使う場合、「エロ版『世にも奇妙な物語』のような話にしたい」「ふたなり化などの現実では起きない&単なる催眠などでは絶対に無理な事を起こす仕掛けとして使いたい」のでも無い限りは、結局は「催眠」「洗脳」「常識改変」「精神操作」「もの凄いAIによる(フェイクだと証明するのが事実上不可能なレベルの)フェイク動画を脅迫のネタなどに使う」などのチートはチートでも、よりチート度が低いギミックを使ったとしても大して粗筋が変らない話になる可能性が高く、「そんな大業な能力にする必要があるか?」となってしまうし、あらゆる不都合をねじ伏せられる様に「エロ漫画だからきにすんな」とぶっ飛んだ設定にしたはいいが「ならそんな力を持ってるのに何を女一人落とすのに四苦八苦してるんだ?」となってしまう。
そもそもその「不都合」こそがそのジャンルの魅力の一つになっていることもある(催眠が解けかける、催眠、洗脳し忘れていた者がドスケベな本性をむき出しにできる様になった事に感謝する等)ため無理にねじ伏せてしまうとそういう不都合故の見せ場すら潰してしまう可能性がある。
エロ漫画はなんでもアリだが、限度というものはどこの業界にもあるのである。
更には現実改変という能力のそのものに関してMARVELコミックのような「メタ的に見れば『新しい平行世界を作り出す』能力」という解釈をしてしまうと、表面上は「現実改変により好きな相手とSEX出来た/両思いになれた」という話でも、その「相手」は「好きな相手本人」なのか「下手したら好きな相手と全く違った人生を歩んできたり、全く性格が違う、単なる好きな相手と名前・DNA・容姿がほぼ同一なだけの平行世界上の別人」なのかという深く考えると興醒めになりかねない問題も生じてしまう。
一例
- 涼宮ハルヒ(涼宮ハルヒシリーズ)
- SCP-239(SCP Foundation)
- SCP-240-JP(SCP Foundation)
- SCP-280-JP(SCP Foundation)
- 崇高なるカルキスト・イオン(SCP Foundation)
- 他多数(SCP Foundation)
- 世界変換マシン(ドラえもん)
- UMA(アンデッドアンラック)
- チェンソーマン(チェンソーマン)
- スカーレットウィッチ(X-MEN)
- なお、MARVELコミックには彼女以外にも現実改変能力を持つ者が少なからず存在する。
- ラムダ・ドライバ(フルメタル・パニック)
- 常磐ソウゴ/仮面ライダージオウ (仮面ライダージオウ)
- 創世の女神(仮面ライダーギーツ)
- 浮世英寿/仮面ライダーギーツ(仮面ライダーギーツ)
- 新条アカネ(SSSS.GRIDMAN)
- ただし、改変には怪獣を介する必要があり、かなり制限が多い。
- 髙羽史彦(呪術廻戦)
- ザ・ワールド・オーバーヘブン(ジョジョの奇妙な冒険アイズオブヘブン)
- スタープラチナ・オーバーヘブン(ジョジョの奇妙な冒険アイズオブヘブン)
- シオン(転生したらスライムだった件)
- ミスター・VTR(キン肉マン)
- 神刀・雨御前(文豪ストレイドッグス)
現実改変に似た能力を持つキャラ・存在
- マジンガーZERO
- 「起きる可能性が少しでも有れば、それを実現させる」という能力「因果律兵器」と、「平行世界で起きた事象さえも観測する」能力である「高次予測」を持っている。
- この2つの能力を併用した場合、「『この世界』では不可能(実現確率や発生確率が0%)だが、他の平行世界では起きた現象を、『この世界』でも引き起す」という「現実改変とはメタ的に見れば新しい平行世界を生み出す能力」という解釈での「現実改変」に、かなり近い事(いわば、複数の平行世界の「現実」をミックスして、新しい「現実」を作り出す)が可能と言える。
- ただし、「ある人物と、その人物が好きな誰かが両思いになる(もちろん、そんなしょ〜もない事に使う為の能力ではないが)」ような事象が「『この世界』では実現可能性は完全に0。かつ、高次予測で観測可能なあらゆる平行世界でも起きていない」(例えば、「ある人物」「ある人物が好きになった誰か」の少なくとも片方が、「この世界」を含めた高次予測で観測可能な範囲内のあらゆる平行世界の「外」にしか存在しない)のであれば、その事象を発生・実現させる事は出来ない。
- 現実改変と呼んで差し支えないほぼ「全能」の能力(それも現実改変やその類似能力の中でも、かなりチート)だが、あくまで「観測可能な平行世界群内で起き得る事象を具現化する」能力であり、「『その世界』を含めた観測可能な全ての平行世界」内では完全な絵空事であるような事象や、そもそも観測可能範囲内の全平行世界で誰も空想すらした事が無いような事象を起こしたり、そのような事象が万が一起きた場合への対処には使えない上に、その「全能」は、もう1つのほぼ「全知」の能力が有ってこそ有効活用出来るものであり、もし「全知」が「全知」ではなくなる状況が起きた場合は「全能」の力の方も大きな制約を受けてしまう(例:観測可能な平行世界群内に超合金Zは存在しているがガンダリウム合金は存在しない→観測可能な平行世界の外からガンダリウム合金を装甲に使った巨大ロボが出現する→超合金Zの方がガンダリウム合金より、遥かに頑丈で熱・冷気・化学反応による侵食などにも強くて戦闘用巨大ロボットの装甲素材として見た場合に弱点・欠点も少なかったとしても、「超合金Z製の装甲が破壊される」事象は具現化出来るが「ガンダリウム合金製の装甲が破壊される」事象は具現化出来ない)のである。この制約が最終決戦で思わぬ足枷となった。
- 異能生存体/キリコ・キュービィー
- いわゆる主人公補正に、もっともらしい理屈を付けた存在/能力/特性。本人が望んでも作品中では絶対に死なないし、死ねない。
- 良く使われる喩えが「異能生存体と単純な全能力・全スキルが異能生存体より遥かに上の誰かを、後者が確実に死ぬような環境に置いた場合、後者は当然死ぬが、異能生存体は何故か奇跡のような偶然が因果律や確率を無視してるとしか思えないレベルで発生した結果生き残る」というもの。
- 異能生存体である人物が死の危険に瀕した際は「因果律干渉にしか思えない事象が発生」「理屈の上では起き得るが実際に起きる確率はほぼ0の事象が、何故かたまたま起きる」「通常の人間では有り得ない超回復能力」などの限りなく現実改変に近い事が起きて、その人物は生き残ってしまう。
- ただし、これは「本人の願いを叶える能力」ではなく、あくまで「現実改変・確率操作・因果律干渉レベルの事象が結果的に発生する、この特性を持つ者を何としても生き残らせる現象」であり、かつ、当事者(異能生存体本人)にはほぼ制御不能である。異能生存体としての特性が発動する際には「異能生存体本人にとって大事な誰かが極めて危険な目に遭う。最悪は死ぬ」「惑星が1つ滅ぶ」など異能生存体本人にとっても本人以外にとってもありがたくない副作用を伴なう事が多い。
関連タグ
メタフィクション:一部の現実改変はこの要素を持つ。
タイムパラドックス:結果的には似た事態を引き起す場合も有る事象。ただし、「望んだ結果になる」ように事態を制御するのは、現実改変より遥かに困難である。