デコトラーデ「なあ。失う物はも何もねえし、落ちこぼれ下っ端三人……一緒に走ってみねえか?」
イターシャ「そうね!そうしたら見つかるかも、走る理由が!」
ヤルカー「仕方ないカー。仲間になってやっても良いカー!」
デコトラーデ「よしっ! 我ら下っ端…『サンシーター』!ここに誓う!」
イターシャ「ワルの道を!」
ヤルカー「テッペン目指して…」
「「「三人一緒に、突っ走る!」」」 (バクアゲ38)
概要
本作の敵組織・大宇宙侵略大走力団ハシリヤンの構成員の内、「現場監督」に相当する3バ……もとい3人(正確には2人と1台?)のデコトラーデ、イターシャ、ヤイヤイ・ヤルカーを指す総称。
数年前のどこかの惑星で大事なものや生き甲斐を失ってしまった三人が集まり、走る理由を見出すために結成された。
一応、従来のシリーズ作品での幹部格に当たるが、やはり「三下」なだけあって組織内の序列では低く、実際は各部隊長達にアゴでこき使われる程度の立場。
そのため3人揃って出世を夢見て、東奔西走の日々を過ごしている。
上司からの指示に了解の意味で使う掛け声は『テール・トゥ・ノーズ』。
その一環としてギャーソリンを集めやすそうな地球に先遣隊として訪れ、侵略を開始した矢先、ブンブンジャーと名乗る新興チームが阻止に現れ、彼等の手によって失敗が続くように。
結果、その失態を聞きつけた部隊長達が自ら仕切りに訪れ、息が詰まる日々を過ごすようにもなった。
特徴
悪役でそれなりの地位に就いてはいるものの、ブンブンジャーとのカーチェイス中には(相手に釣られた側面もあるが)高齢者が横断歩道を渡る際にはちゃんと停車する、お金を払ってから柏餅を買ったりする(※ただし、地球の通貨を持っていないからか、お金ではなくネジである)等々、悪役らしからぬ律儀な面を見せもする。
また、近年の戦隊悪役幹部では珍しく(上層部から叱責を受けた際に責任をなすりつけ合いこそするが)メンバー同士の間柄も良い方で、互いに激励し合ったり談笑を交わす様子(ギャーソリンを取り込んで単身ハイウェイ空間に逃げ込んだヤルカーと、それを追ったブンブンジャーとの間で交わされたカーチェイスの際には、置いてかれたデコトラーデとイターシャは空中に投影された映像を、さながらゲーム実況の配信でも見るかのようにヤルカーを応援しつつはしゃぎ合う)が度々見られる。
また、生み出した苦魔獣を無下にせずに大切に扱っている……にも拘わらず、時には彼等の能力によるとばっちり(ソウジキグルマーを生み出して早々に吸い込まれかけたり、トケイグルマーに「動くな!」と脅されるまま彼が倒されるまでずっと動かないでいる等々)によって酷い目に遭う姿も見せている。
更に上司が新たに苦魔獣を生み出す過程で、女子トイレに入ろうとした彼を全力で引き止める面もあり、走り屋としてぶっ飛んでるのを除けば、本質的に常識人寄りな気質・性格なのかもしれない。
上記の記載を総括すると、3人は威圧的な言動を見せているつもりでも、傍目では自覚の有無を問わず愛嬌を晒しているとも評価できる。
……だが、人間の悲鳴を聞いたり苦しむ様を見て喜んだり、ヤルカーが気に入っていたカセキグルマーが倒されても「玩具が壊れた」程度の反応しか示さなかったりと、やはりマフィアの一員なだけに倫理観が欠如しているらしき態度は随所で見せてはいる。
しかし、下記の無知ぶりなどを見ると、倫理観が欠いている描写は『悪辣なギャング』 よりも『真っ当な人生経験を積まずに、目先の印象の良し悪しだけで動く悪童』のようにも見える。
立身出世の願望が強いにも拘わらず、メンバー全員が致命的にオツムが弱い上に、当事者意識0のお気楽思考の持ち主なのもあり、立てる作戦は生まれた苦魔獣の能力に依存するばかりで、上司の御膳立てをも台無しにする体たらくも見せる。
更に、目立った功績がないにもかかわらずプライドだけは一丁前に高いため、自分達の不手際はほぼ認めないばかりか、反りの合わない上司が相手ならば堂々と責任転嫁して詰るなど、場面によっては敵(=ブンブンジャーや地球人)よりも味方(=ハシリヤンの同胞)の方へ極悪非道ぶりを見せる本末転倒ぶりさえも露にする。
そんな調子であるため、一向に「宿敵ブンブンジャーを倒してギャーソリン集めをやり易くする」「真面目に任務に取り組んで上からの覚えを良くする」などの、現状打破の意識改革もまるで感じられない。
一方で、ヤルカーが見せる巨大化能力についてヤルカー自身も含め、サンシーター全員が当惑した様子を見せる等、若干ながら不可解な部分もない訳ではない。もっとも彼らの身分を鑑みれば、最低限の情報だけ渡され地球に派遣された可能性もあり、総じて苦魔獣やネジレッタよりも上な程度であるとも考えられる。またキャノンボーグなどの他の隊長の存在や裏方の存在も知らなかったり、更には地球に上層部と内通している連中がいる事すらも知らなかったりと組織の全貌に関しても知らない事から恐らくは末端として全てを知らなくていいものとして色々と情報を規制されている可能性がある。終盤辺りでは上層部がISAと結託してブンブンジャーを人類の敵として貶める作戦も伝達されていないなど既に放置されているとも言える。
バクアゲ4ではブンブンジャーばかりが新聞で報道されている現状に、腹を立てたサンシーターはサウナグルマーを暴れさせ、その場に来たTVクルーの前で自分達ハシリヤンを大々的にアピールすべく、上記の通り宣戦布告の如く喧伝を実行した。
戦闘能力
現状では、サンシーターが直接戦闘に参加するシーンは少なく、上記のヤルカー巨大化時を除いて苦魔獣やネジレッタを用意した後は、陰から見て茶々を入れたり応援しているだけで、戦力が全滅すればそろって「がくっ」と項垂れるのに加え、マッドレックスにはギャーソリン収集や囮の役割をあてがわれ、一貫して戦闘要員としてカウントされていない様子から、そもそもブンブンジャーともまともに戦えるのかどうかすら定かではない。
一応トケイグルマーを誕生させた際には、サンシーターもギャーソリンを集めるべく暴れようとした場面を見せたが、マッドレックスが戦死して以降「(マッドレックス様が勝てなかった以上)自分達がブンブンジャーに敵うわけがない」 と諦念したのか、劣勢になるや否や今まで以上に退却に徹するようになった。
だがバクアゲ13以降で、戦死したマッドレックスの後任に現れたハシリヤン改造隊長・キャノンボーグから巨大戦力・ブンブンキラーロボを与えられ、ブンブンキラーロボの馬力とデコトラーデの荒々しくもパワフルな「走り屋」らしいドライビングテクニックが存分に発揮され、ブンブンジャーロボやブンブンジャーロボポリス相手に終始優位に立つ大立ち回りを披露、幹部チームの面子を保つのに成功した。
しかし、反応速度を高めたインファイト特化のブンブンジャーロボモンスター(及び中間のブンブンサファリ単独装備)には分が悪く、キラーロボを木っ端微塵にされては「お疲れサンシター!」の新たな捨て台詞で吹っ飛ばされる新たなオチが定着した。
マッドレックスとの関係
3人が一様に「マッドレックス様」と敬称付きで呼ぶ様子から、面従腹背の考えが微塵もない程に掛け値なしに慕っている本心が分かる。
この経緯は過去にサンシーターが珍しく自責の念に駆られる程の失態を犯し、路地裏らしき隅で全員が落ち込んでいた時に、マッドレックスが現れ「役立たず」と罵倒する一方で 「だからどうした! 止まるんじゃねえ! いいか? 暴走魂フルスロットルで生きやがれ! ノーブレーキで突っ走れ! わかったか!!」 との叱咤激励を受けたのが切っ掛けとなった。
これ以降、マッドレックスからの激励を胸に、彼からどれだけ手酷い扱いを受けようが不満を持たずにつき従うようになった……のだが、彼の存在が余りにも大き過ぎる弊害か、サンシーターは常にマッドレックスと他の幹部を比較する悪癖を持つようになっている。
実際にマッドレックスとは真逆のスタンスかつ、互いに反目しあっていたキャノンボーグに至っては不倶戴天の関係となり、最終的には(結果論でもあるが)彼を裏切り間接的な死因となる、続くディスレースが採った尊厳破壊そのものの策の実態を知るや否や、それを破綻させる策謀を実行した後にキャノンボーグと同様に見捨てる等々、組織から見て獅子身中の虫になる危険性も秘めている。
更にサンシーターの方もまた、彼の叱咤激励を受けた(のに加えて、デコトラーデの「負けたと思わなければ負けではない!」との信条が悪い意味で噛み合ってしまった)結果、却って自らの行き当たりばったりな行動を助長させた(=「とにかく止まらずギャーソリンを集めれば良い」とした思考停止に陥り、彼等の自省と向上心の両方を失わせた )ようにも見え、ある種の飼い殺しに近い状態に陥っていた。
余談
- 名前の由来は前述した “「三下(組織内の下っ端、取るに足らない者の意)」と「seater(=~人乗りの車)」のダブルミーニングである” と公式サイトでも言明されており、彼らより上の立場の者達がいる旨も示唆されている。
- 過去のシリーズ作品では、ガイアーク三大臣(『炎神戦隊ゴーオンジャー』)や脳人三人衆(『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』)等々、戦隊と協力した3人組の敵幹部もおり、前述した悪役らしからぬ側面と併せて「サンシーターもまた同様の道を辿るのでは?」と見る向きもある。
- 上記のガイアーク三大臣や脳人三人衆だけでなく、宇宙暴走族ボーゾック(『激走戦隊カーレンジャー』)も戦隊と和解し、その協力もあって黒幕の打倒に成功し、彼らも更生してそれぞれの道を歩んだ。もしかすると、サンシーターも彼ら同様更生して人間と共存する可能性もあり得るだろう。
- また、序盤で早々に上層部から叱責を受ける、非道になろうともなり切れていない姿から「『五星戦隊ダイレンジャー』のゴーマ3ちゃんズを思い出す」との声も。
- あるいは直属の上司が早々に登場&退場した直後に、新幹部の傘下に半ば強制的に加入させられた現状から「『百獣戦隊ガオレンジャー』のツエツエとヤバイバポジになるのでは?」とも見られている。
- 彼らが掛け声に使うテール・トゥ・ノーズとは、カーレースで前走車後に後走車がピッタリついて走る状態を意味する用語であり、転じて「どこまでもついていく」などの意味合いで使われている。
- 「人型の幹部が2人に、非人型の幹部が1匹」のメンバー構成は、本作のメインライターを務める冨岡淳広曰く「3人組の悪ズッコケといえば2人と1匹と相場が決まってるんです」との弁であり、同時に冨岡やブンブン役の松本梨香が参加していたテレビアニメの三悪も意識している事情が、公式サイトで示唆されている。奇しくもこの三悪の1人の演者は、前年度放送の『王様戦隊キングオージャー』にも敵幹部として出演していたりもする。
- バクアゲ13やバクアゲ30でブンブンジャーのお面をつけた際の配役はヤルカーがレッド、デコトラーデがブルー、イターシャがピンク。
- リーダー格のデコトラーデがレッド役にならない構図に若干の違和感もあるが、むしろ「主役ポジションを子供に回してやり、その周りを両親が担当する形でブンブンジャーごっこに興じている家族に見える」と視聴者からは好評。
- データ放送では、視聴者が選んだブンブンカーが3位になった場合、1位と2位のお祝いのカレーをレースの合間に食べてしまうという手柄を立てている(テレビ朝日の番組のデータ放送説明より)。
- 物語が進むにつれハシリヤンの悪行が彼らの様なギャグで済まないように深刻化しつつありこのままハシリヤンに所属していたら彼らの命も危うい事から「早く離反しろ」と心配するファンの声もある。
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注意標識『この先ネタバレ注意!』
自らのハンドルによる暴走と他者にハンドルを握られた暴走は、同じようで大違い(バクアゲ46)
マッドレックスの死の真相を知り、ディスレースを見捨てるも、そんなディスレースですら平然と捨て石にするスピンドーのやり方に疑問を感じつつも、戦死したマッドレックスの為に頑張ろうと意気込むサンシーター達。そこにグランツが現れ、ヤルカーにイグニッションキーを差し込み最強の苦魔獣、クルマジュウグルマーに改造する。
サンシーターはクルマジュウグルマーへと生まれ変わったヤルカーと共にブンブンジャーに勝負を挑むが、クルマジュウグルマーが突如我を失い暴走を始めてしまう。
Cオレンジ「体内のギャーソリンがオーバーヒートを起こし暴走しているんだ!このままでは、あいつごと辺り一帯が吹っ飛んでしまうぞ!!」
イターシャ「ヤルちゃん止まって!爆発しちゃう!!」
デコトラーデ「止まれ!!これじゃあ、マッドレックス様の最期と同じだ!!」
グランツは最初からヤルカーも使い捨ての鉄砲弾にするためにクルマジュウグルマーとしての力を与え、マッドレックスやディスレースのように自爆させ、ブンブンジャーを始末するつもりだった。しかし、ブラックとオレンジの協力により、クルマジュウグルマーは倒され、ヤルカーも元に戻すことに成功した。
しかし、ヤルカーから溢れ出したギャーソリンに、グランツが呼び寄せた大量のエリートヤルカー軍団が群がり始め、ギャーソリン大暴走体のクルマジュウグルマーを形成する。
デコトラーデ「エリートだのなんだの言ったって、結局アイツらも使い捨てかよ……!」
イターシャ「そんなのかわいそうよ!」
デコトラーデ「なぁ……下っ端にも意地があるとこ、見せつけてやろうぜ!!」
ブンブンもビュンディーも出撃出来ず、ギャーソリン大暴走のクルマジュウグルマーに対抗する手段がないブンブンジャー。そこに現れたのは、キラーロボに乗り込んだサンシーターだった。
デコトラーデ「見てるか、スピンドー!?」
ヤルカー「お前の思い通りにはならないカー!!」
イターシャ「もう誰も、使い捨てになんてさせない!!」
助けて貰った借りを返すためにキラーロボを駆るサンシーターはクルマジュウグルマーと互角の戦いを繰り広げると、クルマジュウグルマーにキラードリルを突き刺し、空高く飛び立っていく。
デコトラーデ「これが俺達の暴走魂だァ!!」
サンシーター「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」
キラーロボとクルマジュウグルマーは高速で空を上昇していき赤熱化していく。そして……
デコトラーデ「俺達が!!!」
サンシーター「「「サンシーターだァァァァ!!!!!!」」」
空高くでキラーロボはクルマジュウグルマーと共に爆散。最期まで"暴走魂"という自分のハンドルを握り続けたサンシーターはキラーロボと運命を共にした。
奇しくもその散り様は、かつて自分のハンドルを取り戻し、遥か宇宙で散って行ったマッドレックスと同じだった……。
…と思われたが、次回のバクアゲ47で重傷を負いつつも生きていた。
スピンドーに対しては「愛想が尽きた」として実質離反したことが明らかとなった。