概要
さよなら運転とは、交通機関における路線(航路)や車両(機体)などが廃止・退役する際に、それを記念して行われる運行ことである。鉄道やバスの場合は『ラストラン』、航空機の場合は『ラストフライト』などとも呼ばれる。交通機関全てにおいて使用される言葉だが、鉄道において多く行われているため、pixivでもほとんど鉄道関連のイラストに多くタグが使用されている。また、特別運行を行わない場合でも、最後の営業運行のことをさよなら運転と呼ぶことがある。
さよなら運転のパターン
定期運行後に特別運行を行うケース
一般的にさよなら運転とはこのことを指す。定期運行を終了後、引退を記念した特別便を臨時便やツアーとして行い、車両や機体を引退させる。
例
- 2018年10月13日、小田急電鉄が7月に定期運行を終了した7000形LSE車両の特別団体臨時列車(ツアー)を運行。
- 2006年9月30日、日本エアコミューターが日本国内での旅客運用を終了したYS-11のラストフライトツアーを実施。(参照)
鉄道車両の場合、廃車(解体)設備を有する車両工場への回送を兼ねて、工場最寄り駅までのさよならツアーを行う場合もある。また、疫病の流行や自然災害などで運行を取り止めた例もある。
例
運行会社・運行路線廃止のケース
その会社や路線を走る最終便にて、廃止を記念した式典が行われることがある。特別運行などは行わない。この場合、車両や機体は別会社に売却されたり、別路線で活躍したりすることもある。
鉄道路線やバス路線の場合、災害・疫病の流行などで線路・道路が被害を受け、そのまま運行を再開せずに廃止になることもある。
例
定期運行で運行を終了するケース
特別運行を行わず、定期運行終了をもって、車両や機体そのままを退役させる。事前に最終便を告知する場合もあるが、近年では主に鉄道において、トラブル防止や人が集まるのを防ぐ観点から、運行終了後に引退した旨を発表する例が増えている。
例
最終便を事前告知した例
運行終了後に発表した例
その他
小田急電鉄の向ヶ丘遊園モノレールのように、車両に不具合が発覚し、そのまま運行を取り止め、路線も廃止になったケースもある。また、アントノフAN-225ムリーヤのように、退役の予定が無かったが戦争や災害などによって突然車両や機体が破損してしまい、さよなら運転を行えない場合もある。
記念装飾など
運行終了を記念して、車両や機体に『ありがとう』『さよなら』などのメッセージをラッピングし、運用する場合もある。鉄道車両の場合、ヘッドマークを取り付ける場合もある。
例
- 2006年3月10日:ボーイング747SR-100(JA8157) 参照
- 2017年3月31日:E2系(北陸新幹線用のN編成)
- 2020年2月~3月:JR東海700系新幹線車両(C53編成・C54編成)
- 2021年3月~10月:JR東日本E4系
- 2022年2月~2023年秋:小田急電鉄50000形VSE車両(全車)
メリットと問題点
退役する車両や機体を最後に見ようと、多くの鉄道ファンや航空ファンが集まるため、臨時便を走らせ乗ってもらったり、グッズを販売し買ってもらったりすることによって、収益化できるというメリットもある。しかし、ファンが集まりすぎたことによって、通常業務や一般利用者に影響が出る、撮影目当てのファンが私有地に入ったり違法駐車をしたりするなどの問題発生している。
退役する車両ばかりを趣味の対象にする鉄道ファンのことを、葬式鉄と呼ぶ。地上を走り、ファンも多い鉄道では、必然的にこの問題も多くなり、前述の通り事前告知無しで車両を退役させ、運行終了後に発表する事例も増えてきた。
近年では、運行終了後に車両基地で有料撮影会を行ったり、博物館で引退セレモニーを行うなど、新しいお別れの方法を模索している。