概要
北海道札幌市中央区の桑園駅から函館本線にほぼ並行して石狩川右岸を通っている地方交通線。桑園発着の列車はなく、桑園駅から札幌駅までの1区間は函館本線に乗り入れる。
沿線に北海道教育大学の校舎や北海道医療大学などがあるため学園都市線という愛称がついている。駅案内などではほぼこの愛称しか使われていないため、札沼線と言っても通じないことがある。
路線名の『札沼線』は、以前に留萌本線の石狩沼田駅まで運行されていたことに由来する。
新十津川駅~石狩沼田駅間は1972年6月19日に廃止され、また2012年の一部区間電化の際に非電化で残っていた北海道医療大学駅~新十津川駅間についても、2020年5月7日廃止(定期列車の最終運行日は4月17日で、18日以降の定期列車は運休扱い。COVID-19蔓延・非常事態宣言発令に伴う措置)となった。
- 1943年から1944年にかけて石狩当別駅から石狩沼田駅までの区間が不要不急線に指定され休止(1943年石狩月形駅~石狩追分駅間、1944年石狩当別駅~石狩月形駅間と石狩追分駅~石狩沼田駅間)されたが、1946年から1956年にかけて休止区間の営業が再開された。しかし区間によっては営業再開が遅すぎたために新十津川駅以北が廃線になる遠因となった。その後も北海道医療大学駅以北の営業区間も輸送密度200人未満の大赤字となり、地元自治体との協議を経て廃線とバス路線への転換方針が決められた。
- 新十津川駅と函館本線・根室本線の滝川駅の間は石狩川をはさんで約3kmしか離れていないため、バスでの連絡が可能(もちろん徒歩連絡も可能)であったほか、浦臼駅から函館本線の奈井江駅までバスで20分で連絡が可能になっていた。
2012年6月1日に桑園駅〜北海道医療大学駅間が電化。同年10月27日にはこの区間の営業列車はすべて電車化された。一部千歳線方面の直通列車も設定されており、運行本数もあいの里公園駅までは概ね毎時往復3~4本と多い。
現存する電化区間の輸送密度は広島地区の可部線に匹敵するレベルで、特定の区間までは都会並み(実際札幌という大都市の都市圏内なのだが)の輸送密度や列車本数を誇る一方、そこを過ぎると途端に過疎地域のローカル線同然になるギャップの凄まじさも、三段峡駅まで運行していた頃の可部線にどこか似ていた。
2020年10月、あいの里公園駅〜石狩太美(太美)駅の間に新駅が設置されることが発表された。場所は太美駅から約300m離れた所にあるロイズの工場付近で、地元からの請願駅のため建設に係る費用は全て地元負担(駅舎はロイズ、駅前広場は当別町の予定)。駅名は「ロイズタウン」駅となり、2022年3月改正により開設された。
駅一覧
電化区間(現存)
※便宜上、札幌からの乗り入れ区間も掲載。
※全区間Kitacaエリア。
駅番号 | 駅名 | 乗り換え路線 | 備考 |
---|---|---|---|
01 | 札幌駅 | JR北海道:函館本線(旭川方面)・千歳線、札幌市交通局(札幌市営地下鉄):南北線・東豊線(さっぽろ駅) | |
S02 | 桑園駅 | JR北海道:函館本線(小樽方面) | |
G03 | 八軒駅 | ||
G04 | 新川駅 | ||
G05 | 新琴似駅 | 札幌市交通局(札幌市営地下鉄):南北線(麻生駅) | |
G06 | 大平駅 | ||
G07 | 百合が原駅 | ||
G08 | 篠路駅 | ||
G09 | 拓北駅 | ||
G10 | あいの里教育大駅 | ||
G11 | あいの里公園駅 | 特定都市制度の札幌市内の駅はここまで | |
G11-1 | ロイズタウン駅 | 2022年開設。早朝深夜の一部普通列車は通過 | |
G12 | 太美駅 | 2022年3月改正で「石狩太美駅」から改称 | |
G13 | 当別駅 | 2022年3月改正で「石狩当別駅」から改称 | |
G14 | 北海道医療大学駅 |
2020年5月7日廃止区間
駅名 | 備考 |
---|---|
北海道医療大学駅 | 現存 |
石狩金沢駅 | 1944年7月21日休止、1946年12月10日営業再開。車掌車を流用した駅舎。 |
本中小屋駅 | 1944年7月21日休止、1946年12月10日営業再開。車掌車を流用した駅舎。 |
中小屋駅 | 1944年7月21日休止、1946年12月10日営業再開。車掌車を流用した駅舎。同駅付近は鉄道写真の撮影スポットとして知られていた。 |
月ヶ岡駅 | 1958年7月1日開業。ログハウス風の駅舎が特徴。 |
知来乙駅 | 1958年7月1日開業。田んぼの中にホームがポツンとある様が印象的だった。 |
石狩月形駅 | 1944年7月21日休止、1946年12月10日営業再開。石狩当別~新十津川間で唯一列車交換が可能な駅だった。 |
豊ヶ岡駅 | 1960年9月10日開業。周辺を鉄道林に囲まれており秘境駅として、また同線を代表する撮影スポットとして非常に有名だった。しかし実際はすぐ近くを国道275号が走っている。 |
札比内駅 | 1943年10月1日休止、1946年12月10日営業再開。小さくも趣深い駅舎で知られた。 |
晩生内駅 | 1943年10月1日休止、1946年12月10日営業再開。札比内とよく似た駅舎だった。 |
札的駅 | 1960年9月1日開業。 |
浦臼駅 | 1943年10月1日休止、1946年12月10日営業再開。現在駅跡は代替バスの停留所となっている。 |
鶴沼駅 | 1956年11月16日開業。駅周辺にドライブインがあった。 |
於札内駅 | 1959年12月1日仮乗降場として開業、1987年4月1日旅客駅に昇格。 |
南下徳富駅 | 1956年11月16日開業。非常に小さな板張りホームが田んぼの中にポツンとある、強烈無比なロケーションで知られた。 |
下徳富駅 | 1943年10月1日休止、1953年11月3日営業再開。 |
中徳富駅 | 1956年11月16日開業、2006年3月18日廃止 |
新十津川駅 | 1943年10月1日休止、1953年11月3日営業再開。JR北海道函館本線・根室本線の滝川駅まで石狩川をはさんで3kmしか離れていない。 |
1972年6月19日廃止区間
駅名 | 乗り換え路線 | 備考 |
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新十津川駅 | 上記参照 | |
石狩橋本駅 | 1943年10月1日休止、1953年11月3日営業再開 | |
上徳富駅 | 1943年10月1日休止、1953年11月3日営業再開 | |
北上徳富駅 | 1956年11月16日開業 | |
南雨竜仮乗降場 | 1956年11月16日開業 | |
雨竜駅 | 1943年10月1日休止、1953年11月3日営業再開。現在跡地には駅碑と僅かな遺構が残る。 | |
中雨竜仮乗降場 | 1956年11月16日開業 | |
石狩追分駅 | 1944年7月21日休止、1956年11月16日営業再開 | |
渭ノ津駅 | 1956年11月16日開業 | |
和駅(やわら) | 1944年7月21日休止、1956年11月16日営業再開 | |
中ノ岱駅 | 1956年11月16日開業 | |
碧水駅 | 1944年7月21日休止、1956年11月16日営業再開 | |
北竜駅 | 1944年7月21日休止、1956年11月16日営業再開 | |
五ヶ山駅 | 1956年11月16日開業 | |
石狩沼田駅 | 日本国有鉄道(国鉄):留萌本線 | JR北海道留萌本線の駅として現存 |
使用車両
現在の使用車両
過去の使用車両
電化前はキハ40系やキハ141系、キハ201系が使われていた。また、電化直後の2012年から2014年頃までは711系電車が一時的に使われていたこともある。さらに過去には石狩当別駅~新十津川駅間でキハ53形500番台や近郊型改造されたJR北海道色のキハ56 148という珍車がいたこともある。
なお末期に非電化区間で使用されていたキハ40 400番台は従来のキハ40よりも大幅に出力が増強されたもので、外観もJR北海道のコーポレートカラーとは異なった塗色を纏っていた。
SL時代には苗穂機関区(現在の苗穂運転所)のC11やC56が客車や貨車を牽引していた。