概要
女神転生シリーズにおけるアスラは登場がFC『女神転生』にまで遡る古参悪魔の一体であり、この頃は「アシュラ」表記で一般エンカウントする悪魔程度の扱いだった。
続く「デジタル・デビル・ストーリー女神転生Ⅱ」においてアフラマズダの姿を取り戻すイベントが実装され、さらに「真・女神転生」ではアスラおうがカオス陣営を率いる長として登場したことで強い存在感を獲得していった悪魔である。
女神転生世界におけるアスラ(アスラおう)が持つ最大の特徴は「属性の複雑さ」である。
かつてYHVHに敗れて“アフラマズダ”から荒ぶる“アスラ”の姿へと貶められた存在ではあるが、同時にアスラと表裏一体の“ヴィローシャナ(大日如来)”としての神性を併せ持ち、その一方で悪魔本来の姿としてもふるまうこともあり、それら複数の様相を単体、または複数含めて各作品に登場することから大幅な立ち位置の変化を見せる稀有な悪魔なのである。
これに伴って種族の遷移が目立つ悪魔でもあり、邪神や魔王に属するアスラに限らず、アスラおう自体も「魔神転生」や「デビルサバイバー2」の魔神、「真・女神転生Ⅴ」の破壊神に割り振られることで幅広い神性を表現するための工夫が施されている。
女神転生
邪神種族の悪魔で、表記は「アシュラ」。
一般エンカウントする悪魔の中でもトップクラスのレベルと能力値を誇る厄介な敵悪魔で、「ヒノカグツチの剣」入手の為に進むルートに固定敵としても配置されている。
女神転生Ⅱ
邪神種族の悪魔で、表記は「アシュラ」。
銀座の≪鈴木カンパニー≫の地下に広がるダンジョンで主人公の行く手を阻むが、ルシファーの呼びかけによって本来の姿魔神アフラマズダの姿に戻る。
なお、ルシファーが彼を説得する時の呼び名は「アシュラおう」である。
真・女神転生
天魔種族の悪魔で、表記は「アスラおう」。
アスラおうは神が降臨するために建設されたカテドラルを占拠して千年王国樹立を阻止し、神に貶められた古の神々を祀るガイア教大神殿に作り替えることを企てるカオス陣営の長である。
アスラおうと協力するカオスルートでは主人公にミカエルの撃滅を依頼し、道を開くためのアイテム“デビルリング”を作成する。
逆にアスラおうと敵対するロウ・ニュートラルルートではラスボスとして登場。かつての友を手にかけて自分の下へ乗り込んできた主人公を「偉大なる勇者様」と嘲り、交戦する。
真・女神転生Ⅱ
今作では直接登場はしないが、ケセドの仏殿を守る魔神ヴィローシャナとして姿を現す。
また、アスラおうを崇拝するガイアーズアシュラが一般エンカウントする敵として登場しており、一つの作品の中で「正邪を問わず祈る者を救う存在(ヴィローシャナ)」と「カオス勢力の重鎮を担う悪魔(アスラおう)」という二面性が鮮明に描かれている。
魔神転生
魔神種族の悪魔で、表記は「アシュラ」。
今作のアシュラは少々特殊な悪魔で、地上においてエティエンヌとミナミいずれも仲間にしなかった状態の時に出現するシナリオ44「眠れる獅子」においてニュートラル悪魔として登場し、この条件以外では悪魔合体を用いても作成できない存在でもある。
デジタルデビルサーガ
アスラ及びアスラおうにあたる悪魔は直接登場しないが、ジャンクヤードで終わることの無いな戦いを強いられる戦闘用AIたちの変身悪魔の種族が「阿修羅」として設定され、主人公のサーフはその変身悪魔が神話中でアスラの長とされるヴァルナであり、数多のアスラAIを制した煉獄の覇者であることから、アスラおうが不在の作品の中における“阿修羅の王”としてのイメージが強く描かれている。
また、戦うために生まれ戦うために死んでいく「アスラAI」や強者を選抜する人工の煉獄「ジャンクヤード」のような設定・世界観自体が、仏教の六道における阿修羅道として表現されている。
デビルサマナー葛葉ライドウ対アバドン王
紅蓮属の悪魔で、「アスラおう」表記。
作中で受理できる別件依頼「超国家的重要依頼」は国家を鎮護する役目を持つ大日如来が『真・女神転生』におけるカテドラルの戦いに感応して闘神の神格(アスラおう)の姿を取り、アカラナ回廊を辿って未来へ向かおうするアスラおうと葛葉ライドウが交戦するというものである。
アスラおうの目的はカテドラルの地の戦いに勝利することで在りし日の姿、アフラマズダへと返り咲くことであり、戦闘に勝利したライドウがアスラおうとして戦いへ赴くか、大日如来として元の時空へ戻るのかを決めることなる。
ライドウとの戦いを純粋に楽しみ、己の力を飛躍させるものと喜ぶアスラおうの好戦的な面を打ち出しつつ、アスラおうが自身を「永遠の戦いを担う光明神」と称するように女神転生シリーズにおける“大日如来=アスラおう=アフラマズダ”の構図が強調されたシナリオとなっている。
真・女神転生SJ
魔王種族の悪魔で、「アスラ」表記。
魔王アスラは第四のセクター・デルファイナスを支配する悪魔であり、己をかつて人間から畏敬を持って奉られた天魔と称する。当初は肉体を石像化させた状態で精神体(悪霊 カタチなきもの)だけを遊離させて調査隊クルーに寄生し、殺し合いを行わせていた。
アスラの目的は「霊を研磨しあう機会」を与えることである。
シュバルツバースから逃げる事だけを考える調査隊の弱腰を論うとともに私欲を貪り星を傷つける現在の人間を「低俗極まる霊」と唾棄し、シュバルツバースの出現は“試練”であること、互いが殺し合った果てに「美しいカタチ」を持つ人間が残ることを主張する。そして、強者のみが生き残り力無き者は死に絶える混沌こそが人間の霊を美しいカタチに引き上げる世界であることを説く。
また、今作のアスラには独自の設定として地母神アシェラトが真の姿として設定されている。
カオス陣営の長でありながらも加護をもたらす光明神としての側面が強かったアスラおうに対して、魔王アスラは力がすべてを支配する弱肉強食の掟、弱き者は生きる理由すら与えられないカオスの暗黒面を象徴する悪魔として描かれている。
真・女神転生Ⅳ
破壊神種族の悪魔で、表記はアスラ。デザインはSJ準拠である。
チャレンジクエスト「サムライ&ハンター共闘戦線」では王子一帯を荒らし回る悪魔として人外ハンター協会と敵対している。
当クエストのアスラは悪魔として特に大した存在ではないが、とある悪魔の力を受け継ぐノゾミが主人公と知り合うきっかけとして設定されており、続編にも繋がる転機とも称すべき一節である。
真・女神転生Ⅴ
破壊神種族の悪魔で、表記はアスラおう。
サブクエスト「有翼日輪争奪戦」において太陽神の証である“有翼日輪の紋章”をアモンから奪った悪魔として登場。
アスラおうはミトラスと共にトウキョウ駅前に陣取っており、アモンの依頼を受けて自分たちの前に現れた主人公を太陽神への道を阻む“辺境の若神”と罵って襲い掛かってくる。戦闘後は敗れ去ってなお未練がましい言葉を残すミトラスに反して、アスラおうは「日輪は勝者のもの」であるがゆえに己たちを打ち倒した主人公の手中に収めるべきものであると認めて潔く明け渡す一面を見せている。
なお、当クエストのアスラおうはアリオクを倒した存在である主人公を「勇者気取りのナホビノ」とも呼んでいる。
ペルソナシリーズ
『P3』以降「太陽」のコミュ(コープ)MAX特典として君臨し続けており、アルカナが「太陽」とされている理由は言わずもがな。
『P5』では「太陽」コープの解禁が早いためか、初期レベルが76と他のシリーズより低め。
基本的には物理ステータス寄りで、太陽神であるが故か火炎系の攻撃も得意であり(『P5』では核熱中心)、登場当初からバステを無効化する専用スキル「不動心」を持っているのも特徴。
ちなみに、英語版での名称はそのまんま「Asura」。