プロフィール
概説
『転生したらスライムだった件』に登場するキャラクター。
蛇の獣人族(ライカンスロープ)で、黒髪に金髪が幾筋か混じる(本編にまだ登場しなかったアニメ1期のオープニングでは完全な金髪となっている)独特の長髪と美しい容貌を備えた才媛。
瞳は翡翠のような碧眼。
白い無地の小袖に紅の羽織と帯を着付け、武具として錫杖を携えている。
人物
その見た目に違わず、清楚な物腰と毅然とした態度を通す。
一方で獣王国の住人らしい「弱肉強食」の摂理に準じる血の気の多さと、戦士としての強い矜持を秘めている。
後方で指揮を執る事が多いため彼女の実力を理解している者は限られているが、その覇気はヒートアップした三獣士のスフィアと魔国連邦のシオンの武辺者2人を制する程の鋭い気迫を見せる。格闘型のフォビオやスフィアと異なる近距離特殊戦闘型。
また蛇らしく相当なウワバミで、使節団として来訪した際に振る舞われた貴重な林檎の蒸留酒を樽単位でぐびぐびと飲み干してリムルを仰天させた。なおこの酒の味をアルビスとスフィアが気に入ったことが、獣王国と魔国連邦の交易を始める決定打ともなっている。
気に入ったものは物であれ人であれ、これも蛇らしさからか執着が強くなる一面もある。恋愛についてはさりげなく、しかし自分から周到に立ち回るタイプ。
スキル
獣身化
戦闘時は下半身が黒蛇で側頭部から1対の角が生えた本来の姿を見せ、錫杖も先端が大型化する。
さらに二段階の変身により、額から更に一本の角が生え全身を金色の硬質の鱗が覆う。錫杖も三叉矛に変化し、矛の先から電撃を発して範囲攻撃で一網打尽にする。
エクストラスキル「天蛇眼(ヘビノメ)」
睨み付けた相手に様々な状態異常を付与する。効果は「毒・麻痺・石化・混乱・威圧」によるステータス低下など多岐に亘り、状態異常で身動きの取れなくなった相手は蛇に睨まれた蛙の如くアルビスの矛の餌食となる。効果範囲は視界全てであり、魔力感知も使えるので危険度が増す。
ユニークスキル「制圧者(アッスルモノ)」
「思考加速、空間制御、空間移動」の空間系スキル。
相手の空間転移による逃走を防ぐなど、味方に有利に敵に不利に状況を持っていける。
空間全体に覇気による重圧をかけ、天蛇眼による状態異常の付与率を加速させる回避困難な戦い方。
更にスフィア同様「飛翔走」が使えるのか翼を持たないのに飛行が可能。
経歴
初登場は豚頭魔帝(オークディザスター)ゲルド討伐後、豚頭魔帝を討ったリムルと魔国の調査としてカリオンから送られた使節団の団長としてリムルたちと接触した。先遣隊として派遣されたが、魔国と獣王国の使者間で突発した「力比べ」を静観し、魔国側の強さを再確認して力比べを収め、礼儀を改めてようやく魔国へ入国する。
この時、晩餐で具されてりんご酒を甚く気に入り、醸造してあった樽を全て空にする勢いを見せ、酒と原料の果物を交換するという流通体制を成立させ双方の交流を開始させた。
その後、ヨウムと戦った配下のグルーシスに魔国に滞在して情勢を監察するよう密命を与えて撤収。
しかし魔王クレイマンの計略で魔王ミリム・ナーヴァの宣戦布告に遭い、首都をミリムに消滅されたうえに、魔王フレイの乱入でカリオンも行方不明になり、三獣士は獣王国の兵と民を率いて魔国へと避難して来る。
リムルの覚醒魔王化ののちは、一時的にリムルたち魔国連邦軍に加わってクレイマンの侵攻部隊の邀撃に参加。
クレイマンの重臣である「五本指」の一人【中指】のヤムザと対決し、獣身化を解禁してヤムザとその部隊を容赦なく制圧。途中、不意打ちを受けそうになるも獣身化を完全開放すると本気になったヤムザをタイマンで難なく圧倒する(加勢したゴブタ達狼鬼兵部隊が必要なくなったどころか解放した力の巻き添えを喰らうと退避させた程)。
しかし敗色を察して遁走を画策したヤムザにクレイマンの埋伏計が発動し、カリュブディスが召喚されて絶体絶命の危機に陥る。
……が、間一髪で救援に駆けつけたベニマルがカリュブディスを瞬殺。その豪胆な後ろ姿に心奪われることになった。
その後、ベニマルの長鼻族の集落「テングの里」との交渉に、兼ねてから双方で蟠りを抱えて獣王国側の使者としてベニマル率いる魔国連邦使節団に同行。
そこで里長の娘で族長代理を務めるモミジと交渉するが、彼女達は元はフレイと対立関係にあり、そのフレイと同じくミリムを盟主とするカリオン配下のアルビスが来た事で無言の圧力と勘違いしたモミジはアルビスと諍いを起こしたばかりか力加減を間違え、アルビスもモミジを侮った事であわやと言う所をベニマル、そしてモミジの母にして里長のカエデに止められ事なきを得る。
リムルとの謁見式でモミジの誤解は解かれ、さらにカエデとモミジの実の父であったハクロウの結託でベニマルとモミジの婚約が決定。
以来、あくまで部外者である事に思い悩んで塞いだこともあったが、モミジとは恋敵同士となり、恋愛に奥手なベニマルを蚊帳の外にしつつ、正妻の座を巡って女の戦いを演じることになった。
ところが幾度も矛を交えるうちにモミジと親密になり、結論を先延ばしにするベニマルにヤキモキさせられる者同士として、双方が最大の理解者となる。
そして聖魔十二守護王の選出に際して幹部の覚醒魔王化が敢行されるも、ベニマルのみ「種の保存」が優先されて覚醒を保留される事態となった(覚醒した後だと子を作れなくなることから一族の長として後継者たりうる子がいないままなのを気にして躊躇っていた)。
これに対してリムルはベニマルへ早急なモミジとの結婚を要請。事態を知ったモミジはアルビスに事情を伝えると、共謀してどちらもベニマルに嫁ぐ策を実行して見事に成功させる。
それからはベニマルの第二夫人となり、程なくしてモミジと共に第一子を授かった。
関連人物
忠誠を尽くす主君。
三獣士の筆頭として信頼も厚く、使節団ではカリオンの名代を任された。
カリオン不在の混乱でも、君主の帰還を信じて不安を抱える国民たちを良く統制している。
三獣士の同僚。
血気盛んな両者のブレーキでもあり、スフィアとはプライベートでも酒飲み仲間として親しい様子。アルビスがベニマルとモミジの婚約に思い悩んで引きこもりになった際には、アルビスを励ましながら彼女の代理として闘技場建設を主導して成功させる。
フォビオは居丈高な態度が目に付いたが、カリュブディスの一件で丸くなり、三獣士としての在り方が板に付くようになった。……が、のちにベニマルとの結婚を掴み取るダシにされる不遇を託つ。
魔国連邦の軍司令を務める鬼人。
武人同士で互いに主君の信頼を得る副官として気脈を通じるところがあったが、先述の戦いでカリュブディスを瞬殺する強さと武将としての智略の巧妙さ、何より冷静さの裏に隠した豪胆な気質に惚れ込み、一人の異性として意識し始める。
以来、機会を見つけてはそれとなくアピールを続けるも、奥手なベニマルの気質が足枷となってなかなか関係が発展せず、さらに追い討ちにモミジとの婚約も決まってしまう。
――が、最終的にはモミジとさえ打ち解け、二人揃ってゴールインを果たした。
長鼻族の治める「テングの里」の里長の娘で、族長代理も任されている。
初対面からして最悪だった上、モミジがベニマルにゾッコンになってからは恋敵として幾度も恋の鞘当てを演じることになる。
ところがそうした諍いを通じて互いにベニマルを想う者同士として理解者となり、遂には二人でベニマルの元へ嫁ぐことを約束して結託するまでになった。
その他
Web版では登場せず、書籍化によるクレイマンの暗躍とリムルの覚醒のストーリーを重厚化するに当たって保増されたキャラクターの一人。
その中でもベニマルと縁を持ったことで、Web版でベニマルは滞りなくモミジを正妻に迎えるはずだったが、先んじてアルビスがベニマルと深い縁を持ったことで、あっという間にベニマルの側室にまで出世することに成功した。
ある意味では、三獣士でも一番の出世頭と言えるだろう。
モデルはギリシャ発祥の蛇女ラミアのようだが、能力面ではゴルゴーン、さらに衣装や錫杖の獣身化の際の枝角と東洋の龍やインドのナーガの要素も混じっていると思われる。
余談も余談だが、インド最強の魔竜ヴリトラは天災(寒期や旱魃)の具象化とされ、転スラ世界的に言えばヴェルドラのような存在である。……両者の名前が近しいのは偶然か、はたまたそれとも?
なおベニマルに嫁いだ方法というのが――
- まずフォビオに嫁いで戸籍上で彼の妻となる。
- そのフォビオとベニマルを魔国連邦の「地下迷宮」で決闘させ、迷宮主である魔王ラミリスの能力でフォビオの死を欺瞞して未亡人となる。
- 魔国連邦の婚姻のルールである「子を残す目的で未亡人を側室を娶っても良い」を利用し、堂々と未亡人としてベニマルに嫁ぐ。
――敢えて言おう。
これはひどいと。
フォビオも以前からアルビスには密かに想いを寄せており、「ベニマルに勝てれば改めて夫として認められる」と意気込んでいたが、完全に当て馬にされた挙句、自分は嘘でも死んだことになり、さらに経歴としてはバツイチの不名誉まで置き土産に残されたことになる。
……まぁ、カリュブディスの件以降、男気を上げたフォビオなら、このくらいの貧乏くじは愚痴らず引き受けてくれそうではあるが。