※ 以下、イベント『虚数大海戦 イマジナリ・スクランブル』中盤~終盤のネタバレ注意!
わたしは、わたしは……!
わたしは、クリュティエで、ゴッホです!
クリュティエ=ヴァン・ゴッホです!!
プロフィール
真名 | クリュティエ=ヴァン・ゴッホ |
---|---|
クラス | フォーリナー |
性別 | 女性 |
身長 | 140cm |
体重 | 39kg |
出典 | 史実、ギリシャ神話 |
地域 | 欧州(ゲームマテリアル)、オランダ/ギリシャ/虚数空間(書籍マテリアル) |
属性 | 混沌・悪・地 |
好きなもの | 痛い事 |
嫌いなもの | 過ぎた批判 |
設定担当 | amphibian |
ILLUST | きばどりリュー |
CV | 高橋花林 |
外なる神が恣意的に作り出した、つぎはぎの英霊。
概要
『Fate/GrandOrder』に登場するヴァン・ゴッホの正確な真名。
『FGO』世界においても男性であった「ゴッホ」が少女の姿で現界した理由。それは、外なる神が恣意的に作り出した、画家のゴッホの霊基とギリシャ神話に伝わるオケアニスの一柱であるクリュティエの霊基が混在された「つぎはぎの英霊」、即ち不完全な複合サーヴァントだったからである。
同じく複数の英霊を掛け合わせたサーヴァントにはネモや新宿のサーヴァントがいるが、彼女はその掛け合わせのプロセスが他の面々に比べて非常に粗雑(劇中では「つぎはぎ」と呼ばれていた)であり、その結果として、アイデンティティや人格へと重篤な悪影響をもたらしていたのである。
フォーリナーの先輩であるアビゲイル同様、第3再臨になると、クリュティエ要素が強く出る。
青白い肌に変化している他、黒白目になっているなど今まで登場したフォーリナー同様に人間離れした見た目をしている。クリュティエが水にまつわる存在であるためか、ゴッホを連想させるヒマワリの他にもクラゲのようなモチーフも合わさっている(神話原典では、クラゲの要素はない)。
真名
ギリシャ神話に登場する海神オケアノスと女神テテュスの娘、『クリュティエ』。
3000もの姉妹で構成されていると云われる、水のニンフ「オケアニス」の一柱。
彼女はその中で唯一、太陽神アポロンの寵愛を受けており、相思相愛の恋人となったのだが、程なくして極めて女癖の悪いアポロンはペルシャ王オルカモスの娘・レウコトエに浮気してしまった。
嫉妬に狂ったクリュティエはオルカモスに虚偽を含む讒言を吹き込み、怒った王にレウコトエを殺させてしまう。こうして恋敵を死に追いやったが、(自分が先に浮気したとは言え)そんな卑劣な真似をした彼女へアポロンが愛を向けることは二度となかった。つまり彼女は自らの手で、求めていたはずの愛を完全に壊してしまったのである。それでもアポロンを愛することを止められなかったクリュティエは、彼の化身である太陽を見続けた末に、やがて一輪の花へと姿を変えてしまった。
この花はヘリオトロープ(太陽を常に見続ける、の意味)だとされ、元々は別の花(ヨーロッパ原産のビッグヘリオトロープ)を指していたが拡大解釈された結果、後世の芸術においてはヒマワリに変わったとされることも多い。また、ヘリオトロープには白い色のものや薄紫の色のものが存在しており、その色は第2臨や第3臨の彼女の肌の色に似ている。ペルー原産のヘリオトロープは、ヨーロッパ原産のものよりも花が小ぶりで香水の材料になる程の非常に強い芳香を持っているという。
マテリアルによると霊基の80%は狂気のニンフ・クリュティエのものとされている。霊基再臨するとヒマワリやクラゲの意匠が現れたり、その血液が人間のものでは無いのも、その正体がオケアニスの一柱であるクリュティエであったため。残り15%が虚数由来のブラックボックスで、便宜上の真名となっているゴッホの要素は記憶と画才のみとなっており、霊基の僅か5%に過ぎないという。
この5%の『ゴッホ』は、ベースとなっているクリュティエは曲がりにも神霊であるため人間であるゴッホは相対的に霊基の5%しか占めていないという意味であることが幕間において判明している。
彼女が英霊となった経緯(ネタバレ注意)
『FGO』でもたびたび言及されていた「領域外の生命」……外なる神々が、実数空間へ侵攻・征服するための尖兵として用意したサーヴァント。ただし、尖兵とは言ってもゴッホ自身を直接操れたわけではなく、精神を崩壊寸前にしてノーチラスに放り込むという人間爆弾じみた扱いであった。
原則「外なる神」である邪神は人類側では対処はおろか認識することすら不可能な存在だが、同時に邪神も世界の外側から内側(実数空間)に直接乗り込むことはできなかったために、虚数空間にその足掛かりとなるもの(邪神が降りるための依り代、前線基地)の構築を画策していたという。
そして、邪神が侵略のための足掛かりとして選んだのがフォーリナークラスのサーヴァント、そして彼らが乗り込める虚数潜水艇・ノーチラス号であった。この作品におけるサーヴァントの殆どは虚数空間と実数空間を行き来できる力を持つ組織・カルデアとの繋がりをもっていたからである。
邪神(特に、サーヴァントのゴッホを召喚した邪神)が立てた筋書きは、
まずフォーリナーのサーヴァント一体を虚数空間に召喚
↓
次にそのフォーリナーに働きかけ、カルデアが擁するフォーリナー達をノーチラス号に集めさせる
↓
最初に召喚したフォーリナーとカルデアのフォーリナーをまとめて「神化」(≒発狂)させ、自分たちが降臨するための依り代にする
というもの。
画家ゴッホは、その「最初に召喚するフォーリナー」として選ばれた存在だったのだ。
外なる神はその縁でゴッホが持つ宝具『星月夜』が秘める性質に目を付けており、上手く利用すれば最も容易に自分たちが降臨する条件を満たせるとして、眷属に変えた彼を召喚しようと試みた。
だが英霊となった当のゴッホには(史実でのゴッホは、一向に画家として大成しない己を悔いるあまり、狂気に陥り死を選んだが)、本作オリジナルの背景である「「自分の絵画作品が外なる神と繋がってしまい、拒んだ果てに自ら命を絶った」ことに基づく制約、即ち「邪神の狂気には絶対に屈せず、万が一そうなりそうなら自殺する」と言うある種の対抗手段的な性質を持ち合わせており、サーヴァントとして召喚しても肝心の宝具が絶対に開放させられない様になっていたのである。
この事を知って困った外なる神だったが、次に目をつけたのはかつて世紀末の新宿を発端に行われており、後に歴史の闇に消えていった「英霊と幻霊、神霊と英霊など複数の霊基をかけ合わせる事で、同じ能力・宝具を持ちながら完全な別人である人工サーヴァント」を作り出す技術であった。
そして「猛烈な自罰感情」「太陽を向き続ける花と縁深い」という共通点から親和性があり、なおかつ自死を選ばなかったクリュティエを選別。彼女の肉体にゴッホの記憶と自認と才能を与えたサーヴァントを作り出すことによって、自決のリミッターを封じようとした……というのが事の真相である。双方の霊基がミスマッチを起こして精神が汚染されていたのも、邪神からすれば狂ってくれた方が都合がいいからで、性格の相性を無視した掛け合わせは半ば意図的なモノであるといえる。
彼女の人格は『ゴッホ』とも『クリュティエ』とも異なったものであり、宝具『星月夜』を安定して使えるようにするために調整されたことが、幕間の物語1において彼女の口から語られている。
該当イベントでの活躍
外なる神により虚数空間に召喚された後に、ノウム・カルデア内部から同じフォーリナーである葛飾北斎を「呼び」、彼女の力によって虚数空間を改竄しており、然る後にカルデアに保護される。
血清提供などでカルデアに協力していたものの、虚数探索が最終海域に至る直前、突如自傷行為に走る。彼女自身は一時的に沈静化していたものの、敵に操られ潜入していた北斎に加え、邪神の狂気にあてられて暴走を始めたネモ・マリーンズから自身の真実を聞かされたことがトリガーとなって、フォーリナーとして覚醒。カルデアから離れた場所での自死を示唆し、ノーチラスから消失。
その後第5海域で霊体が超巨大化していることが発覚、改竄状態下の虚数空間の性質(形だけでなく本当の意味で碁盤になっており、同一勢力で包囲したエリアの内側はその勢力のものとなる、というもの)を利用したカルデア一行により、霊体内に取り込まれた本体が摘出されて、救出される。
この時、同じく複合された存在であるキャプテン・ネモからの言葉によって邪神を精神的に振り切り、自分がクリュティエであり、またゴッホでもあるという矛盾した存在であることと向き合い、受け入れることで「雅号ゴッホの、ギリシャ出身の小娘」として、生きていくことを決意する。
自分を受け入れてくれる場所があると分かったからか性格が多少明るめ(これ以降は、自傷癖やヒステリーの頻度も減っている)になり、これまで見せることのなかった心からの笑顔を浮かべた。
その直後裏切った間者によって第二次虚数大海戦が勃発してしまうも、救出される際自身とリンクしていた邪神が撃退されたためか悪影響を受けず、頼もしい味方として事態の収拾を成し遂げた。
全てが終わったあと、虚数空間にあふれ出た余剰リソースで聖杯を生成し、虚数空間の復元とノーチラスの帰還に寄与した。その後に現実のカルデア(マスターの布団)に渡ったようである。本来はそうするつもりはなかったようだが「触手が抜けなかった」ために事故って引きずられてしまったらしい(本人曰く「ミスって、来ちゃいました」)。ちなみに、事故発生時の台詞が生々しい。
能力
第2、3霊基の彼女は、使用する能力も水のニンフとしての要素が強くなっている。
モーション中では、頭部のクラゲの触手で刺し貫く、闇のキャンパスから現れた黒い花弁を突き刺す、絵筆の動きで出現させたクラゲ型のビットで敵の魔力を吸収する、頭からサイケデリックな光線を放つ、絵の具のエネルギーを収束させた七色の渦に巻き込むなどという攻撃を見せている。エクストラアタックでは、敵の背景にキャンパスを出現させた後に、地面から生やした触手で花の絵を書いて、その闇の絵の具のエネルギーを敵陣にも浸透させて汚染するという攻撃を取っている。
宝具
星月夜(デ・ステーレンナフト)
- ランク:EX
- 種別:対人宝具
- レンジ:1〜5
- 最大捕捉:25人
「斯くて祈りは星を得ませり。」
「懸けまくも畏き水の司祭よ、風の貴公子よ。夏日星の大輪より一滴の狂気に換えて、今一度星辰を永眠の座へと導かん。wgah'nagl fhtagn!『星月夜(デ・ステーレンナフト)』!!」
サン・ポール療養院の窓からの光景を想い描いた、幻想的な絵画。その人智を超えた世界観がカンバスからあふれ、固有結界を形成し、現実を侵食する。対象の霊基を精査、改竄する効果を持つ。フォーリナーに対して用いれば、邪神をその身に宿す脅威を簡単に量産できる禁断の宝具である。
詳細は該当記事を参照。
黄色い家(ヘット・ヒェーレ・ハイス)
- ランク:A+
- 種別:対軍宝具
- レンジ:1~5
- 最大捕捉:8人(味方)/ 99人(敵)
第二宝具。ゴッホの才を開花させる転機となり、ゴッホの夢の破綻の舞台ともなった、南仏アルルの居宅を絵で再現する。本人曰く、かつてゴッホの手が届いたもう一つの外なる力。バフとデバフを両立した支援系宝具で、敵に対しては南仏を苛む風・ミストラルの嵐を、味方に対しては手厚い加護を与えるが、一方で味方に不和の呪いも蔓延させてしまうというデメリットも持っている。
シナリオでは最終決戦直後に使用している。劇中描写からして魔力充填(≒NPチャージ)の効果は在る模様。そして、説明通り、効果対象である自身とフランケンシュタインに呪いがかかった。
タンギー爺さん(リュ・ぺー・タンギー)
- ランク:不明
- 種別:不明
- レンジ:不明
- 最大捕捉:不明
クリュティエ=ヴァン・ゴッホには使えない宝具。元ネタはパリの画商であるジュリアン・フランソワ・タンギーをモデルにした肖像画であり、背景に浮世絵のあるジャポニズムを象徴する作品。
楊貴妃が本来とは違う宝具を言う際に使われた物で、彼女が言った効果は描かれた老人や各種題材が動き出すというもの。ゴッホ本人によると、彼女的に割と穏やかな時に描いた作品であり、邪神は興味が無かったため使用不能であるそう。因みに、二作品があるがどちらが使われるかは不明。
関連人物
生前
生前に恋をしたとされる、ギリシャ神話の太陽神。ただし、クリュティエ=ヴァン・ゴッホはゴッホとしてのアイデンティティしか持っていない為に、彼を見ても特に関心は起きない模様である。
しかし、イベント『ミステリーハウス・クラフターズ』では、クリュティエとしての記憶を取り戻していた事が判明し、イベント中においては彼と対峙して「太陽」との訣別の意を示したのだった。
レウコトエ
アポロンの浮気相手にして恋敵であった、ペルシャの王女。
彼女を死に追いやってしまった事には、負い目がある模様。
本人同士の面識はないのだが、血縁上は実の大甥にあたる。
具体的にはアキレウスの母方の祖母がクリュティエの姉妹。
作品を見たゴッホが衝撃を受け、作風に強い影響を与えたとされている、日本の浮世絵師。
北斎と同時期に活躍(後輩)していたとされており、北斎からは小僧呼ばわりされている。
父・北斎と娘・お栄が同じ浮世絵師で高名だったため、融合を果たした父娘サーヴァント。
ゴッホは父・北斎の絵にも影響を受けたとされており、マイルームでは出会って喜んでいた。
Fate/Grand Order
元来ならば無関係な幻霊を掛け合わせたサーヴァント。ただしこちらは「ヘシアン」と「ロボ」双方の意識・記憶同士が潰し合う事なく共存し合っており、ゴッホの在り方とはやや異なっている。
恩人のネモが、別の世界線で似た状態のサーヴァントとなった姿。サーヴァントとしての名義や能力・重要性は後者の方にあるのだが、人格や容姿はほぼ前者の方が占めているなど共通点が多い。
彼女に依り付いている邪神が、第二宝具の外なる神と夫婦関係にある。
元の英霊を性転換させた影響も受けているのではないかという噂もある。
直接の関係は無いのだが、霊基再臨を繰り返すごとに何かが壊れていく者達繋がり。
彼らの変貌も痛々しく、見ていて辛いものがある(後者は後に克服したもの繋がり)。
混ぜられた側であるエンプーサが、呼延灼の能力と記録を有しているという、本作のゴッホに近い在り方をしている。このエンプーサもクリュティエと同じく、ギリシャ神話が出典の女怪である。
複数の英霊(神霊)が複合されている存在(大抵は3人以上が混じるために、ゴッホよりも多い)。
ラムダ曰くゴッホもクリュティエも格は低くはないらしくハイ・サーヴァントに似ているという。
アポロンの被害者仲間。
余談
一説では、第3再臨におけるクラゲとヒマワリのブーケのような外見は、日本がかつて打ち上げた人工衛星ひまわりを元にしているのでは?という説がある。理由として同イベントで実装されたネモの名前から名付けられた太平洋の到達不能極は「ポイント・ネモ」と呼ばれており、そこはルルイエの所在地であり「人工衛星の墓場」という別名を持っているからではないか、と思われている。