ゲルトゲルト
げるとげると
宇宙海賊バルバンの4軍団のうち、イリエス魔人族に属する魔人の一人。
骸骨が青い甲冑を着込んだような、奇っ怪な見てくれが特徴であり、他の魔人族の面々と同様に、目元は髑髏を模した仮面で覆っている。骨が軋む音に由来してか、時折「ギーシギシギシ」と奇声を発することもある。普段は鏡の中に住んでおり、イリエスに招集をかけられた際にもそこから姿を現している。
反り返った刃を持つ長剣と、髑髏の紋章が大きく配された盾で武装しており、この盾を左右に展開させることで内部に仕込まれた鏡が露出し、そこから発せられる光線で相手を六角形の鏡の中へと封じ込める「鏡封じ」なる技を使うことができる。
また、長方形を描くようにして剣を振るい、それによって生成した巨大な鏡の中に相手を封じる「鏡縛り」は、登場して間もない超装光ギンガイオーでさえも自力で打ち破るのは至難の業である。
これ以外にも、自らの手駒として3体の死神人形を使役することも可能で、主に敵からの妨害に対する迎撃に用いられる。
ワンガワンガの敗北により、イリエス魔人族による作戦行動も出鼻をくじかれる格好となったが、成り行き上とはいえブルブラックを「倒した」という成果は上げており、ゼイハブ達からもそれについては一定の評価を与えられながらも、一方では「それで気を抜くようなてめぇじゃねぇよな?」と釘を刺されたのを受け、イリエスはゲルトゲルトを呼び寄せ次なる作戦を実行に移させた。
かくして、市街地に繰り出したゲルトゲルトは鏡封じによって人々を次々に鏡の中へと閉じ込め、急行したギンガマンに対しても転生の暇すら与えず、リョウマとヒュウガ以外の4人を同様に鏡の中へと封じ、早々にその場から切り上げてみせた。
ゲルトゲルトの狙いは、鏡へと封じた39人の人間を生贄として、封印を解く魔術の中でも最大の効力を発揮する魔法陣を敷き、これを用いての儀式によってダイタニクスにかけられている封印を解くことにあった。先の市街地での作戦行動で生贄を定数揃えきったゲルトゲルトは、その儀式を妨害の入らぬよう実行に移すべく密かにとある廃工場へと移動し、さらに死神人形を護衛として配置することで万全の態勢を整えた・・・はずであった。
が、ゲルトゲルトの唯一とも言える誤算は、この時ギンガマンの側に戦士として経験豊富なヒュウガがいたこと、そしてそのヒュウガをリョウマとともにまんまと見逃していたことにあった。実際にヒュウガはゲルトゲルト達が撤退する際、ヤートットの1人にカオリグサの実を付けており、その匂いから狙い通りゲルトゲルトの潜伏先を突き止めていた。
結果、そこへ踏み込んできたリョウマとヒュウガによって死神人形達も次々と打ち破られ、ゲルトゲルト自身も儀式の完遂を待たずして2人の炎のたてがみにより盾を破壊されたことで、生贄とされていた人々の奪還を許してしまう。計画が破綻し、怒りに燃えるゲルトゲルトはヤートットと共に迎え撃つが、獣装光ギンガマンの銀河の戦光を喰らい敗れ去った。
それでも巨大戦では、鏡縛りの術によって超装光ギンガイオーの動きを早々に封じ、これを徹底的に痛め付けるなど一時優位に戦いを進めてみせるが、ここでもそれを覆すきっかけとなったのはやはりヒュウガであった。ブルブラックの遺志を引き継ぎ、黒騎士としての力を得たヒュウガはブルタウラスへと合身すると、すかさず繰り出された野牛鋭断の前にゲルトゲルトも呆気なく瞬殺され、超装光ギンガイオーも無事解放されたのであった。
デザインは野崎明が担当。先に登場した2体のラインに沿いつつ、西洋の骸骨剣士を自分なりにアレンジしたものであると語っており、造形の段階で濃紺の鎧がより明るめなブルーに、青と赤に塗り分けられていた盾のカラーリングについても赤から白に、それぞれ変更が加えられている。死神人形についても別途デザインが起こされているが、これについては野崎の手によるものではないという。
CV担当の八代は、スーパー戦隊シリーズへは前々年の『激走戦隊カーレンジャー』(WWワリッチョ役)以来の参加であり、同時に前話にてワンガワンガを演じた辻村真人と同様に、本作が東映特撮における最後の出演ともなった(八代は本作から5年後の2003年に死去)。