『諸君(リスナー)!! これより始まる怪傑浪漫!! 目眩からず見届けよ』
『私は救世たる義賊の紳士 ジェントル・クリミナル!!』
プロフィール
犯罪行為を配信し 世に問うは偏った正義
現代の義賊を名乗る神出鬼没のアウトロー
―――僕のヒーローアカデミア 公式キャラクターブック2 Ultra Analysisより
概要
紅茶とヒゲをこよなく愛する自称『現代の義賊』。
「歴史に名を残す」という自身の夢を叶えるために、自ら撮影した犯罪動画を6年もの間インターネットに投稿している。
某ドラマの刑事のように、紅茶を高いところから注ぐ気取ったスタイルを好むが、下手なのでビチャビチャこぼして熱がるのが常。
人物
英国紳士風の風貌を装っているのは「紳士的な義賊、ジェントル」という自身のキャラクター性を演出するためであり、生まれつきの銀髪や自慢のヒゲを除けば、存外若々しい青年であることが分かる。
敵としてはそれなりの月日を警察の捜査網から逃げ遂せているが、作成する動画は「商品の偽装表示を行ったコンビニで強盗を働き、駆けつけたプロヒーローを個性で蹴散らす」などと、緻密な計画に反してスケールの小さいものが多い。
それもコンビニの不正問題への抗議と名前を売るために行っているため、金を出すよう要求はするものの、その金は「出演料」と称してそのまま置いていく。
当然ながら動画は定期的に削除されており、義賊というキャラ設定に反して一般的な認知度・好感度はあまり高くない。寧ろ、世間からははた迷惑な小悪党として扱われている。
相棒ラブラバとのコミカルなやり取りやお互いを信じ合う姿、悲壮感溢れるがどこか間が抜けた転落人生など、悪役ながら人間味のあるキャラクターとして描かれた。
個性
個性は『弾性(エラスティシティ)』。
触れた無機物に弾性をもたせ、跳ね返るようになる。対象は空気にすら及ぶ。
一度付与すると自身では解除出来ず、徐々に弾性が落ちていく形で自然消滅する。
地面や空中で、さもトランポリンを跳ねるように移動したり、空気の膜で反射する盾を作ることも出来る。膜を重ね掛けすることで、人間や無生物などを足止めすることも可能。
変化させたものの見た目は変わらない為、本人の記憶以外ではその場所を認識する事は出来ない。
これは利点でもあるが欠点でもあり、周りからすると急に見えない障害物ができるので罠のように使える反面、付与した弾性はすぐに消せないこともあって、思いがけない事故に繋がることも。
必殺技
- ジェントリーリバウンド
自身の前方に空気の膜を張り、向かってきた相手を跳ね返す防御技。
- ジェントリートランポリン
目の前の地面に弾性をもたせ、向かってきた相手を上空にはね上げさせる行動阻害技。
ジェントルにとっては移動技。跳ねた先の空気にも弾性を与え、更に跳ねて移動していく。
- ジェントリーサンドイッチ
空気の膜を何重にも重ね、相手を押しつぶす拘束技。この技はジェントルの美学に反するためあまり使いたがらない。
また、この技が使用された際はラブラバの"個性"による補強がされていたが、彼女の"個性"と性格上、拘束力などがどこまで底上げされてしまうか読みづらいため、加減が難しくなる。
経歴
元はヒーローを目指す青年
学生時代は「歴史に名を残す偉大な人物になる」という志のもとヒーローを目指していた。
しかし、元々悪意こそ無いものの思考がどこかずれていたことが災いし、四度も仮免試験に落ちて留年し、高校から自主退学を勧められる落第生だった。
18歳の時、転落しかけたビルの清掃作業員を助けようとして、救助に来たヒーローを妨害してしまい、結局間に合わず清掃員は重傷、自身も公務執行妨害で逮捕されてしまう。これにより高校を退学し、世間から誹謗中傷を受けて家庭は崩壊、両親から勘当された。
オールマイトが「学生時から逸話を残しているヒーローは、多くが考えるより先に体が動いていた」と結んでいるが、彼の場合は皮肉にも体が動いた事で転落人生の幕開けとなってしまった。
悪に身を堕とす。夢を失った青年から夢見る義賊へ
フリーターとなった22歳の時、成績優秀でプロヒーローになった同級生・竹下と再会したが、彼からはすっかり忘れ去られていた。
(※邪険に扱われるだけなら、竹下の性格が悪かったで済む。忙しさの余り思い出している暇が無かったのなら、それはそれでしょうがない。しかし彼は「思い出そうとしたが思い出せず申し訳なさそうに誰なのかを尋ねてきた」のである。彼にとっては数少ない知人に最も痛烈な対応を取られた形であった。)
そんな自分の現状を再認識し、「夢」を思い出してしまう。
「どんな手段を使っても歴史に名を残す」と誓い、高校で学んだ犯罪学などを活かし、犯罪を通して歴史に名を残す義賊の男「ジェントル」になる為の準備を始めた。
芳しくない反響の中現れた、1人のファンとの出会い
数年後、苦手なハイテクを学び動画デビューまで漕ぎ着けるが、再生数は伸びず稀のコメントも辛辣だった。
そこに、ジェントルの動画を見てファンになったという少女・相場愛美――後のラブラバ――が自宅に押しかけてきた。住所を割って来たと話す彼女のことは、正直粗相した程恐かった。
そのまま動画投稿への協力を申し出を受けるも、流石に実行側は手伝わさせられないと一度断るが、なんやかんやあってその情熱に押し切られ、相棒とすることになった。
ハッキングのプロを自称する彼女の助けを借りて企画・編集した動画は見る見るうちに再生回数が伸びていき、ヒーローに見つかっては逃げ、警察に投稿動画から追跡されるも全て煙に巻き、何度アカウント削除されても上げ直しては早や6年。積み重ねた迷惑行為により、ある意味では有名なヴィランにまでなった。
動向
自身の更なる飛躍を目指して、近年セキュリティ体制が疑問視されている雄英高校に目を付ける。そして、雄英文化祭で厳戒態勢の敷かれた状況下での不法侵入を果たし、その面子を丸潰れにする事で名を上げようと企てるが、買い物のために偶然校外に出ていた緑谷と出くわしてしまう。
こだわりの紅茶「ゴールドティップス・インペリアル」について口を滑らせた事がきっかけで、昨晩たまたまジェントルの動画を目にしていた緑谷に、一瞬で正体や企みを看破され、戦闘に突入。
緑谷の方も、もし警報が鳴るような事態があれば文化祭が即刻中止されるという事情があり、逃げるジェントルを必死で追撃する。緑谷は仲間とエリの笑顔のために、ジェントルは相棒ラブラバのために、互いに譲らぬ想いをぶつけ、死闘を繰り広げるが、実力を着けた緑谷に敵わず敗北。「これまで戦ってきた誰より戦い辛かった」と、ある意味最大の賛辞を贈られた。
その後ラブラバの罪を少しでも軽くすべく、駆けつけたハウンドドッグ、エクトプラズムに自首を申し出る。
「『ジェントル・クリミナル』はヒーロー落伍の成れの果て」と自嘲しつつ連行されてゆくジェントルの言葉に、緑谷も「自分もそうなっていたかもしれない」と感じ、この人知れず行われた激闘は心に刻み込まれた。後に緑谷は、歴代ワン・フォー・オールとの会話の中で、『戦って止めるしかなかった敵』としてマスキュラー、ステイン、オーバーホールと並んでジェントルの事も回想している。
逮捕後は警察に諭されたことで己を見つめ直し、ラブラバと共にゼロから再スタートを切ることを決意した。
余談
- 老けて見えるが実はまだ30代。作中で言えば相澤やミッドナイトとほぼ同年代である。
- ジェントルの目縁は元々普通だったが、ラブラバのコンプレックスだった隈に心中を察して、パートナーとして迎えコードネームを与えた時に目の周りを黒くした。
- アニメ版第4期の後続番組が『ハクション大魔王2020』であり、3月14日放送回に声優つながりでジェントル→ハクション大魔王というバトンタッチ予告が披露された(ちなみに、緑谷出久の声優もこの役で出演している)
関連イラスト
関連タグ
紳士 ジェントルマン 動画投稿者 迷惑系 哀しき悪役 小悪党
ネタバレ注意!!
「人生やり直せねえなん言う奴はな
結果を急ぐせっかちな野郎だけさ」
「少年!!
君はまだ、誰かの笑顔の為に戦っているのかい!?」
「私はあの時 落ちる人を助けたかった」
「その気持ちに嘘偽りはなかった!」
「ただ…助けたかったんだよ!」
出久
「ジェントル……ジェントル・クリミナル!!!」
3月に勃発したヒーローの超常解放戦線との全面抗争に発展した大規模掃討作戦後、撤退した死柄木とAFO本体によるタルタロス陥落後、撹乱のためニア・ハイエンド脳無とタルタロスからの脱獄囚を利用して7ヶ所の刑務所を襲撃し、各地の受刑者の集団脱獄を起こしたのだった。 しかし唯一脱獄が起きなかった刑務所が1ヶ所だけあった。
ジェントルが収監されていた水葛刑務所である。
この刑務所にはAFOの指示を受けたマスキュラーらが襲来し、囚人たちに「好きにしろ」とだけ伝えて撤退。
脱走を図る囚人たちの前にジェントルは震えながらも「明るい未来」や「大切な人への想い」を最後まで捨てずに立ちはだかり、警察の応援が到着するまでの間、たった一人で個性を駆使し、ボロボロになりながらも有に1万を超える囚人全員を生かした状態で脱獄を阻止したのである。
駆けつけたゴリさんも感謝の意がこもった言葉をかけ、「ラブラバに逢いたい」というジェントルの要求に応えた。
そしてヒーローとAFO一派の第二次決戦の場で緑谷の前に姿を見せて再会を果たす。
スケプティックのハッキングにより墜落してゆく雄英・天空の棺をラヴァーモードで発動させた『ジェントリー スーパーラヴァー』を使用し、落下を防いだのだった。過去に自身の善意から転落してしまった人生であったが、明るい未来を示せる人になりたいひとりの少年と戦い、敗北。捕まってから自身のオリジンを再認識し、これまでの贖罪を今ここで果たし、正義の歴史を刻む紛れもないヒーローの姿がそこにあった。
逢えなかった時間が愛を一層強くする
ラブラバとも再会し、二人してお互いの愛を深く感じつつ、落下をスケプティックの魔の手から守る為に奮闘する。
そして、ジェントルと同じく、出久を"救けたい"という志を持つ元プロヒーローがひとり…………
ネタバレ込みの余談
彼の"個性"『弾性(エラスティシティ)』もといElasticityとは一般的には弾力、伸縮性、順応性という意味で知られているが、それだけでなく不幸より立ち直る、挫折からの再起という意味も持っており第二次決戦でのジェントルの活躍を思うと感慨深い意味も持った言葉である。