「・・・亀?僕は人間じゃなくて、元々亀だと言うんかて?」(第31話)
演:今川杉作(第22~28話)→ 成瀬富久(第29~最終話)
概要
物語中盤から登場する、絵本作家志望の青年。一人称は「僕」。資料によってはダイレンジャーの7人目の戦士と扱われる場合もある。
恰幅の良い体格と黒縁の眼鏡、それに名古屋弁での喋りが特徴で、ペットとして複数の亀を飼っている。性格はのんびり屋で、とある一件がきっかけで都会派気取りの知の隠れた優しさを知ってからは、彼を慕うようにもなる。
初登場の際、コウと白虎真剣に遭遇し脅かされて追っ払われたり、ゴーマ3ちゃんズと出くわし慌てふためいた末に、通りがかりの将児とリンに助けを求めたりと、当初から何かとダイレンジャーと絡む事が多かったが、公園の池で偶然拾った水晶玉を拾ったのをきっかけとして、その運命も大きく変化していく事となる。
正体
それから程なくして、亀夫は老道士・虞翻から、自分の正体が元々亀――それも単なる亀ではなく超気伝獣ダイムゲンである、という事実を知らされる事となる。
六千年前のダイ族とゴーマ族との戦いの中で、前者に味方して戦ったダイムゲンは、一方で平和を愛し戦いを嫌うその性格からある時忽然と姿を隠し、以来人間(シュラ族)の姿へと変えて人間社会の中で暮らし、転生を繰り返した果てに自分の本当の姿さえも忘却の彼方に追いやっていたのだった。
実は亀夫の正体が明らかになる予兆は、その少し前から既に出始めていた。前述の水晶玉は実はダイムゲンの天宝来来の玉であり、その力に触れた亀夫は度々小さなカメ(アカミミガメ)へと変化したり戻ったりを繰り返していたのである。
虞翻から事実を知らされてなお、それをにわかに受け入れられずにいた亀夫であったが、ゴーマの企みから自分を救うために知が窮地に立たされた事を知り、これを助けるべく自らの意思で天宝来来の玉を手にし、再び戦いに身を投じる事を決意するに至った。
これ以降、自身の天宝来来の玉と同化する事により、本来の姿へと任意に姿を変えられるようになったが、一方で大神龍の襲来(※)や嘉挧とシャダムの決闘等、波乱の前兆を感じ取った際には小さな亀の姿に不完全に変化する事もあった。いずれの姿でも、亀夫の姿の時と同様に人語での意思疎通は可能となっている。
物語終盤、ダイレンジャーの5人が嘉挧が立てた2本の塔を死守する際、魔拳士ジンやクジャクらと共に各々のメンバーに関わりの深い者として、奮戦する5人の前に幻影として現れ、知を激励してみせた。この時幻影として現れた面々は、その過半近くが既に故人であったが、もちろん亀夫はこの時点でも健在であり、直後の巨大ザイドス戦では亀の姿のままダイムゲンに変身し戦闘に参加。また閉鎖されていたダイレンジャー本部の地下に、ゴーマ宮につながる秘密の通路がある事を亮達に伝えた。
ゴーマとの最終決戦では再び人間の姿に戻っており、コウと共にゴーマ宮に駆けつけるが戦闘には参加せず、三度飛来した大神龍の攻撃によるゴーマ宮の崩壊と6人の帰還を見届けた。作中での出番はここが最後であり、50年後に開催されたダイレンジャーの同窓会にも出席せず、またその時点での動向についても触れられることはなかった。
備考
記事冒頭にも示されている通り、演者が2人いる亀夫であるが、これは当初亀夫役であった今川が体調を崩して降板し、成瀬がその代役として起用された事によるものである。このため、成瀬の初出演回となる第29話では前述の亀夫の変化の予兆と絡め、恐怖のあまりにやつれて人相が変わってしまったという形で、急な演者の交代に対応している。
成瀬は前々年の『鳥人戦隊ジェットマン』にも、戦隊メンバーの一人である大石雷太役としてレギュラー出演しており、同作以来本作で(変則的な形となるが)再び戦隊メンバーを演じる事となった。また成瀬の出演により、奇しくも本作には『ジェットマン』のレギュラー出演者が期せずして、複数レギュラーとして名を連ねる格好ともなった(成瀬以外には小田切長官→コウの母の三輝みきこや、トランザ→魔拳士ジンの広瀬匠がこれに該当する)。