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アカミミガメ

あかみみがめ

アカミミガメ (Trachemys scripta) は、爬虫綱カメ目ヌマガメ科アカミミガメ属に分類されるカメ。アカミミガメ属の模式種。別名ミドリガメ(幼体)。
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概要編集

ミドリガメとは、ミシシッピアカミミガメをはじめとしたアカミミガメの幼生の通称である。


センシティブな作品


分布編集

キバラガメ編集

アメリカ合衆国サウスカロライナ州ジョージア州ノースカロライナ州バージニア州南東部、フロリダ州北部)。

原記載では模式標本が指定されていないが、模式標本の産地(模式産地)はチャールストン周辺(サウスカロライナ州)と考えられている。


ミシシッピアカミミガメ編集

アメリカ合衆国(アーカンソー州イリノイ州インディアナ州オクラホマ州オハイオ州カンザス州南東部、テキサス州ニューメキシコ州東部、ミシガン州南部、ミシシッピ州ミズーリ州ルイジアナ州、メキシコ(コアウイラ州北東部、タマウリパス州南部、ヌエボ・レオン州北部)に自然分布。

アメリカ合衆国(東部、ハワイ州)、イスラエルイタリアインドインドネシアオーストラリアエジプトオランダカナダ南部、キューバシンガポールスペイン大韓民国中華人民共和国日本ベトナムポルトガルマレーシア南アフリカ共和国、メキシコ中部などに移入・定着。


カンバーランドキミミガメ編集

アメリカ合衆国(アラバマ州北部、ケンタッキー州テネシー州のカンバーランド川およびテネシー川上流域)模式産地はカンバーランド川(テネシー州)。


形態編集

最大甲長28センチメートル。オスよりもメスの方が大型になる。

背甲はやや扁平かややドーム状に盛りあがり、上から見ると幅広い卵形。

項甲板は細長い等脚台形。第1椎甲板は縦幅と横幅が等しいか縦幅の方がわずかに長いが、第2-5椎甲板は縦幅より横幅の方が長い。椎甲板にはあまり発達しない筋状の盛りあがり(キール)があるが、老齢個体では消失する。後部縁甲板の外縁はやや鋸状に尖る。腹甲の色彩は黄色。 第十二縁甲板は分かれる。


頭部は中型。吻端はやや突出し、上顎の先端がわずかに凹む。四肢は頑丈。頭部や頸部、四肢、尾には黄色い縦縞が入る。

オスの成体は吻端がより突出し、前肢の爪が伸長し湾曲する。またオスの成体では背甲や皮膚の色彩が黒や暗褐色になり、斑紋が消失する(黒化、メラニズム)個体もいる。少なくとも亜種ミシシッピアカミミガメのメスの成体は後肢の爪が伸長する。


キバラガメ編集

最大甲長27-28センチメートル(より大型化する可能性もあり)。背甲の色彩は濃緑色や暗黄色で、甲板ごとに黄色く太い筋模様が入る。腹甲には左右の喉甲板にのみ、1つずつ輪状の暗色斑や暗色の斑点が入る。

頭部や四肢、尾の色彩は濃緑色や暗黄色で、縦縞はやや太い。眼と鼓膜の間にアルファベットの「S」字やギリシャ文字の「Σ」字状の黄色い斑紋が入る。


ミシシッピアカミミガメ編集

最大甲長28センチメートル。背甲の色彩は淡緑色から濃緑色で、黄色く細い複雑な筋模様が入る。腹甲には甲板ごとに大型の暗色斑が入り、斑紋が繋がる個体もいる。

頭部や四肢、尾は緑や濃緑色、灰緑色で、縦縞は非常に細い。吻端から頭頂部にかけての縦縞は他の縦縞よりも太く、赤みを帯びる個体もいる。四肢や尾の縦縞は細い。眼後部から鼓膜上部にかけて赤や赤橙色のやや太い筋模様が入る。亜種小名elegansは「優雅な」の意。


カンバーランドキミミガメ編集

最大甲長21センチメートル。背甲は緑色や濃緑色、暗黄色で、黄色くやや細い筋模様が入る。腹甲には甲板ごとにやや小型の暗色斑が入るが、繋がることはない。

頭部や四肢、尾の色彩は緑や濃緑色、灰緑色で、縦縞は細い。吻端から頭頂部にかけての縦縞は他の縦縞よりも細い。眼後部から鼓膜上部にかけて黄色や黄橙色の筋模様がある。


分類編集

近年まで14亜種が含まれていたが、形態や生態から11亜種を独立種またはその亜種として分割する説が有力。


  • ミシシッピアカミミガメ Red-eared slider
  • カンバーランドキミミガメ Cumberland slider
  • キバラガメ Yellow-bellied slider

品種改良編集

  • アザンティック - 黄色色素欠乏。背甲の外縁や腹甲の色彩、鼓膜上部の筋模様や縦縞が白い。
  • アルビノ(チロシナーゼネガティブアルビノ) - 黒色色素欠乏。全身が黄色く、瞳孔や鼓膜上部の筋模様は赤い。

生態編集

流れの緩やかな河川、湖、池沼などに生息し、底質が柔らかく水生植物が繁茂し水深のある流れの緩やかな流水域や止水域を好む。日光浴を好んで行う。冬季になると冬眠(北部個体群3-5か月、南部個体群2-3か月)するが、南部個体群では冬季でも気温の高い日には活動する個体もいる。

食性は植物食傾向の強い雑食で、植物の葉、花、果実、水草、藻類、魚類、カエルおよびその幼生、水棲のヘビ、鳥類、昆虫クモ甲殻類巻貝二枚貝、カイメン、ミミズ、動物の死骸などを食べる。幼体は動物食傾向が強いが、成長に伴い植物食傾向が強くなる。

繁殖形態は卵生。周年求愛や交尾を行うが(冬眠時を除くが、冬眠しない個体群では冬季でも気温の高い日ならば交尾を行う)、主に春季と秋季に行う。水中でオスは前肢をメスの頭部の前で震わせて求愛し、メスが動きを止めると交尾する。メスは精子を数年に渡り保存する事が可能で、交尾した翌年でも保存した精子を用い卵を産む事ができる。アメリカ合衆国では4-7月に水辺の地面が露出した場所に穴を掘り、1回に2-23個の卵を12-36日の間隔を空けて年に最大5回(通常は2-3回)に分けて産む。地面が堅い場合は体内に蓄えた水を排泄し、地面を湿らせてから穴を掘る。分布域北部の個体群は年間の産卵数が少ない代わりに1回に産む卵の数が多く、南部の個体群は年間の産卵数が多い代わりに1回に産む卵の数が少ない傾向がある。卵は60-80日で孵化する。飼育下では25-25.5℃の環境下で平均93-100日、29.5-30℃の環境下で平均58-69日で孵化した例がある。発生時の温度により性別が決定(温度依存性決定)し、22.5-27℃ではオスのみ、30℃ではメスのみが産まれた例がある。北部の個体群は孵化した幼体がそのまま地中で越冬し、翌春に地表に現れることもある。

基亜種はオスが甲長10-12センチメートル(生後4-5年)、メスが甲長16-23センチメートル(生後5-8年)で性成熟する。亜種ミシシッピアカミミガメはオスが甲長10-11センチメートル(生後2-5年)、メスが甲長17-21.5センチメートル(生後5年以上)で性成熟する。


人間との関係編集

開発による生息地の破壊や、ペット用の乱獲などにより生息数は減少している。アメリカ合衆国では分布する多くの州、メキシコは国全体で、野生個体の採集は制限もしくは禁止されている。

その一方、生息地以外ではペットとして移入・定着し、生態系への影響(アメリカ合衆国内では亜種間交雑による遺伝子汚染)が懸念されている。種としてIUCNの世界の侵略的外来種ワースト100、日本では亜種ミシシッピアカミミガメが日本生態学会により日本の侵略的外来種ワースト100に指定されている。EUや大韓民国などでは輸入が規制されている。


日本編集

日本では1960年代から遺棄されたと思われる個体の発見例がある

。亜種ミシシッピアカミミガメは流通量および遺棄された個体の発見例が多く、遺棄された基亜種の発見例も少なくない事から、種として要注意外来生物に指定されている

。仮に特定外来生物に指定された場合、大量遺棄、他種が代用として大量流通することが懸念されている。

日本の各地でみられる城跡の堀などにおける、ハスの群生の消滅との関連も指摘されている。

ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている。亜種ミシシッピアカミミガメは1950年代から南部で養殖が始まり、1960-1970年代にかけてアメリカ合衆国内でも大量の個体が流通した。一方で不衛生な環境で飼育されたことからサルモネラ菌による感染症の原因(実際は食品や他の動物が原因の感染も含まれると考えられている)とみなされ、アメリカ合衆国ではアメリカ食品医薬品局により1975年以降は本種を含む4インチ(約10センチメートル)未満のカメの輸入や流通が規制された(教育用、実験用であれば流通可能な場合もある)。アメリカ合衆国内で流通が規制されたため大量の個体が輸出(1960-1970年代は年あたり500万-1000万頭、1980年代以降は再び増加し年あたり300万-400万頭)され、1980年代以降は日本やフランスに多く輸出された。

日本では主に亜種ミシシッピアカミミガメが流通し、幼体はミドリガメの商品名で販売され、祭りの縁日で『カメすくい』の遊びとして定番になっていた。2006年の動物愛護法改正などにより流通量は減少している。大量に養殖され、中にはこうしたと種と思われる個体が流通することもある。飼料で十分育つが、成長すると気性が荒くなり、一般家庭での飼育は難しくなる。

本種が由来とされるサルモネラ菌の感染が問題とされることもあるが、本種に限らず動物全般はサルモネラ菌を体内に保菌している可能性があるためむやみに生体をケージの外に出さない、生体に触れた後は手を洗う、飼育に用いた水の処理(台所などで流さない)などの簡単な対策により感染を予防することができる。

2014年1月、大手新聞社が「人気のミドリガメ輸入禁止へ」との記事を掲載し、ペットとして飼育されていたアカミミガメが大量に遺棄される事態が生じた。実際には輸入・飼育ともに何らかの制限を検討する準備段階であったが、先走った記事によってかえって環境負荷が高まってしまった。その後も継続してアカミミガメを排斥する記事を掲載しているが、その都度遺棄される個体数が増すことを、関係者は懸念している。その後その案は見送りとなった。


亀山八幡宮(下関市)編集

山口県下関市亀山八幡宮の中の「お亀明神社」には信じられないくらいの亀が密集した池がある。


亀戸天神社(東京都江東区)編集

東京都江東区の亀戸天神社にも亀が密集する池がある。本来亀とは何のゆかりもないのだが首都にある受験利益の神社であるため御礼として池に亀を放していく参拝者が多いため増えに増えた。


関連タグ編集

 ヌマガメ科 ミドリガメ

アカミミガメ(けものフレンズ)

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ヌマガメ亜科 ぬまがめあか

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