長門「どうも、神城組の男前です。一方お前らダサダサね」
「ここからは地獄どころじゃねぇぞ」
「テメェは血を流す権利すらねぇ。盗んだ血を全て返してもらうぞ」
「拷問により流れる血が、彼女らのものでは駄目だ。だから、私の血と入れ替える」
「血液型が一致してよかったよ」
氷室「いや旦那、聞いてない。この量では全ての血は入れ替えられない」
「足りない分は私から直接取ればいい」
氷室「馬鹿な…… 20%の血液を抜く事になる。死ぬぞ旦那」
「問題ない。やってくれ」
氷室「危ないと思ったら止めさせて貰う」
「氷室……抜いた血は人々の為に使ってくれ」
「さぁ、準備は出来た。拷問を始めようか」
氷室「旦那……信じられねぇよ……」
流川「うお……先生……(顔色が真っ白だ……クマも凄い……)」
「老いた身体なんて要らねぇんだろ?」
「肌に水分がない。何が若返りだ」
「お前の愚行には科学的根拠が何もない」
「俺の血で生きてんだ。もっと根性出せよ」
「まだまだ死ぬな。血が足りねぇならもっと輸血してやるから」
「肉を失い、希望を失い、痛みと絶望の中で死んでいけ」
標的
老害思想から若返りと称して、科学的根拠のない情報から数多くの若い女性の血液を自身に輸血してきた大手製薬会社社長「能津裕之」に執行。
概要
外道を拘束したまま、鉈を用い死ぬまで少しずつ肉を削り取っていくという、歴代でも極めて単純な拷問。
……だが、今回の肝は拷問そのものではなく、伊集院が追加した"条件"にある。
今回の外道の身体を流れる血液は、全て被害者達から奪われたものである為、その血を拷問で流す訳にはいかないと、外道の血を全て抜いて入れ替えるというトンデモ手段に出たのだ。
とは言え外道を生かす為に人様の血は使えないと、(幸いにも外道と伊集院の血液型が一致していた事もあり)伊集院自身の血液を用いる流れとなったが、事前に用意していた輸血用血液では到底足りず、伊集院が今自分に流れている血液の20%を失ってまで全入れ替えを実施し、失血死ギリギリの状態で拷問を開始する捨て身の展開となった。
経過
盟友である情報屋伍代千隼から呼び出された伊集院は、依頼人の元を訪れ、彼女から憎悪を託された。その二日後、伍代から再び呼び出された伊集院は、今回の犯人が能津であると知り、その足で能津がカネを渡しに行く半グレのアジトに向かった。するとそこには神城組の長門がいた。彼は今回の依頼人とその姉の大ファンであり、彼女らの仇討ちの為に動いていたのだ。伊集院が今回の依頼人の事を話し圧をかけると、長門はあっさりと引き下がり、代わりに半グレの殲滅を引き受けた。アジトに入るや、長門が能津以外全員を殺害。狼狽える能津を伊集院が確保した。
拷問室に叩き込まれても惰眠を貪る能津に、流川がケツバットをお見舞いして叩き起こし、伊集院が悔恨の念を問うた。しかし能津の答えは「ロクな結果も残せない惰弱な若者どもの血は、優秀な私が使う方が国益に適う」という老害ここに極まれりという妄言だった。
キレた伊集院は能津を威圧した後、自分専用の輸血用血液全てと自身の血液の2割を使用して(人間なら佐竹博文のような特殊な個体でない限り死んでいる。伊集院も「事前に氷室に相談すれば協力は得られまい」と思い、氷室も「持たなかったらすぐ中止する」と警告した)能津の血液を総入れ替えし、顔面蒼白&濃いクマが出来るという幽鬼のような形相になりつつも凌遅刑を開始。その風貌ながらも拷問を行おうとする姿は流川と氷室も青褪めた。
全身の肉を削り落とされる想像を絶する苦痛に耐えかねた能津は命乞いをしたが、伊集院は命乞いは勿論、自分の状態もガン無視し、「血が足りないならもっと輸血してやるから、肉と希望を失いながら絶望に塗れて死ね」と言い放った。最終的に能津は更に6時間かけて全身の肉を全て削り落とされて死に果てた。
なお取り返した血液は、輸血用の血液として用いられる模様。
今回の登場人物
- 能津裕之(のづ ひろゆき)
今回の断罪対象。製薬会社の社長で隠居を考えるべき年齢でありながら「些細なことでモラハラ・パワハラ言いやがって」「自分のような人間がいなければ日本は発展しないのに、若者は自分を敬わない」などとほざく、若者を見下して後進を育てる事もせず地位にしがみつく典型的な老害。
「血を入れ替えることで若返る」ということが書かれたある記事から見つけた科学的根拠のない情報を鵜呑みにして狂気に取りつかれ、自分と同じ血液型の女性たちの血液を抜き取り、自分が若返るための養分として搾取(時によっては凌辱もしていた)する腐れ外道。
尋問の際にも「無益な若者がオリンピックに行ってもどうせ下位」、「双子の姉が私の養分になったのは国益に適う事」などと彼女らの夢を踏み躙る発言をしたため上記の拷問を受けることとなり、四半日かけて全身の肉を全て削り落とされて死亡した。
今回は伊集院の血液型と一致していなければ拷問する事もままならなかった為、色んな意味で伊集院を苦しめた外道と言える。
- 北野翔子(きたの しょうこ)
今回の被害者かつ依頼人。高校3年生。双子であり、京子の妹で明るい茶髪のショートヘアの少女。
姉である京子と担当項目の幅跳びで1、2を争うほどの成績を誇る陸上選手だったが、練習の帰りに京子と共に能津の雇った半グレたちによって拉致され、拉致された廃ビルの中で血を抜かれ、姉が血を抜かれながら能津に凌辱されるのをただ見ていることしか出来なかった。しかし京子の拘束が外れたことで京子に拘束を外してもらったものの体に限界が来ていた京子に逃げるよう促される。決死の覚悟で隣のビルに乗り移り、肋骨と左腕を骨折したものの何とか逃げ切ることに成功。体に限界がきて路上に倒れこんでいた所を、伍代に話しかけられて助けを求め、伍代を通じて伊集院にたどり着き、伊集院に依頼を持ち掛けた。依頼完了後は無事骨折を完治させ、陸上で金メダルを取った。
- 北野京子(きたの きょうこ)
今回の被害者。翔子の双子の姉で暗い茶髪のセミロングに髪をハーフアップにした少女。
妹である翔子と1、2を争う成績を誇る陸上選手だったが、翔子とともに拉致され廃ビルの中で拘束され、抵抗むなしく能津に血液交換をさせられた上に翔子の目の前で能津に強姦されてしまう。前の被害者の抵抗の跡で拘束が緩んでいたことに気づき、拘束を解いた後に翔子の拘束を解くが貧血により限界が来てしまう。翔子に逃げるよう鼓舞した後に自分たちを追いかけてきた半グレたちの足止めをしたが、再び捕まってしまったため最終的に血を抜かれて殺されてしまう。
- 医者
能津に若返り治療を施していた医師。能津の狂気の引き金となった若者の血と入れ替えたら若返るという研究論文の作成者だと思われるが、実際は科学的根拠など皆無の似非医学にすぎず(能津は効果があると思い込んでいたが身体は全く若返っておらず、結局ただのプラシーボ効果でしかなかった)、おそらく人体実験が目的で血液入れ替えの施術を担当していた、能津の共犯者と言えるマッドドクター。
最後はアジトにカチコミをかけてきた長門にペンでこめかみを刺し貫かれて絶命した。
- 半グレ
能津に雇われて、若い女性の誘拐と殺害後の後始末を請負っていたチンピラ二人組。人の命をなんとも思っておらず、それどころか能津が被害者女性を陵辱するのを見て羨ましがるなど、人の心が皆無の外道。
そこそこ腕が立つようだったが、ヤサにカチコミをかけてきた長門と対峙し、長門に握手を求められたので利き手を掴みながら逆手に握ったナイフで刺そうとするも、長門に一瞬で手首の関節を外されて顔面から床に叩きつけられ、そのまま延髄を踏み折られて一人目は即死。もう一人は反応する間も与えられないまま脛椎を捻じ折られて瞬殺された。
横浜極道「神城組」の武闘派。自他共に認める男前で京極組の仙石薫のようにナルシストの傾向があるが平等を愛しており、スポーツ観戦でアスリートを応援するのが趣味。
日頃から応援していた北野姉妹が外道の毒牙にかかった事を知り、報復の為に外道のヤサを洗い出してカチコミをかけようとした所で伊集院とカチ合うが、能津の身柄は伊集院に譲って、残りの外道は自分が始末する事で話をつけた。
カチコミでは能津以外の外道を瞬く間に殲滅し、伊集院からは「関節技と骨の理解は相当なレベル」「なにより空間把握能力が抜群に高い」と評されていた。
なお、長門は2024年8月16日の動画で死亡退場したが伊集院の圧に屈しなかった人物ではエルペタスのイヌワシについで2人目となった。またイヌワシと相打ちした相手は伊集院シリーズ未登場だったが、長門は同じく伊集院シリーズに登場したことがある人物たちに討たれるという初めてのケースとなった。
外道のモチーフ
「若返り」「不老長寿」の為と称して、乙女の血を搾り取って浴びるなどの凶行を繰り返し、「血の伯爵夫人」と恐れられた「エリザベート・バートリ」と思われる。
バートリの家系はどこか精神に問題がある家系であり(所謂「ブルーブラッド」を維持する為に近親婚を繰り返した結果らしい)、バートリ本人も相当ヒステリックな性格だったらしく、狂気に走ったきっかけも一説ではバートリの髪を梳かしていた女中が誤って絡まっている髪を引っ張ってしまい、彼女がキレて女中を折檻した時に返り血を浴びたからだったという。
そういう部分は自社の若い社員を「殴られず一人前になんてなれるか」と、パワハラ気質で散々詰っていた野津にも共通するといえよう。
因みに、バートリは本来であれば死以上の苦しみを与えてからの酷い死を迎えさせる刑だったそうだが、貴人だった為、死ぬまで窓のない独房に隔離という流れになったそうな。
この他にモチーフとして考えられるのはアカギ〜闇に降り立った天才〜の鷲巣巌である。彼もパワハラ気質な社長である上に老害の極みで、鷲巣麻雀により若者の血を抜いてその命を弄んでいた。
余談
伊集院シリーズで神城組の構成員が登場したこと、及び羽王戦争終結後に声優として出て来るようになった小倉ミツハル氏が出演したのは、これが初めてとなった。
被害者が双子であるのは二例目であるが、双子のうち一人が依頼人として伊集院の前に現れるのは初の事例である。
因みに依頼人の翔子が遅刻しそうになって慌ててリビングに駆け寄るシーンでテーブルの皿の配置がおかしかったり、京子が野津に陵辱されるシーンでは足の拘束が外れて京子の足が拘束具の上に乗っかっているような状態になっている作画ミスがある(前者では姉妹の母親がサラダ、京子が唐揚げを独り占め状態で食べているような描写になってしまい、後者は金的を食らわせるくらいの余裕ができてしまう)。
また長門碧が伊集院に対して藤原、流川に対して吉田と呼んだがこの由来は藤原は大阪桐蔭高校出身で現千葉ロッテマリーンズに所属の藤原恭大で吉田は金足農業高校出身で現オリックスバファローズ所属の吉田輝星と思われる。この二人は2018年の夏の甲子園決勝戦で対戦しており、その年のドラフト会議で1位指名されている(但し吉田は元々北海道日本ハムファイターズのドラフト1位指名選手であり、2023年のオフにトレードでオリックスに来た)
犬刑回など、伊集院が外道を延命する為に輸血する事は何度かあったが、その出所がある程度明らかになったと言える。しかし、この回以外で輸血用血液をどこから調達したかは不明。