「というわけで、お前とりあえず、指全部切るわ」
「ハナから毒って言ってるだろ。なら両方食え、コノ野郎」
「おい、あっちに解毒剤あるけど、飲みたい?」
「実は私はとても優しいんだ。さあ、これを飲めば助かるぞ」
標的
不本意ながら車で撥ねた依頼人の息子を身代わりにして極道の追跡から逃れ、自らは瓜二つな依頼人の息子に成り代わって依頼人夫妻の家を強盗した挙句、バレるや否や本性をむき出しにして依頼人に障害が残る重傷を負わせ、依頼人の夫を惨殺した外道半グレ「門田」に執行。
概要
まず真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせて足に大火傷を負わせたところで靴を引っこ抜き、肉をはがして骨を露出させた。
そして本題として依頼人がカレーチェーン店の社長夫人だったこともあって「カレー味の毒」と「うんこ味の毒」どちらかを選ばせ、依頼人の意趣返しとして錆びたハサミで指を全て切断した後に両方飲み込ませ中毒症状に陥れた。
経過
標的である門田が界隈で散々やらかしており、複数の極道組織から身柄を狙われている事を情報屋の風谷から聞いた伊集院は、先に仕留めるべく早速行動を起こす。そして門田一味のアジトにたどり着くと、既に天羽組の永瀬光一がおり、門田以外を焼殺していた。
そこで伊集院が待ったをかけると、永瀬は潔く従い更に言質を取って(拷問前のアップとして)門田の頭皮を炙り焦がして落武者にした。こうして、伊集院と流川は門田を確保した。
拷問室に叩き込まれた門田は例の如く喚き散らしたので、伊集院と流川は真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせ、更にそれを無理矢理剥がし取る事で両足の肉を焼き剥がして骨を露出させた。
おとなしくなった門田に伊集院はいつもの尋問をするが、返ってきたのは「あんなとこで轢かれる間抜けが悪い」という依頼人の息子に対する侮辱と、「会社ごと乗っ取ろうとしたらババアが気付きやがった。知らないままなら幸せだったのにな」という自らの悪事を何とも思っていない下衆の妄言だった。
依頼人の息子の名誉回復の為、これを撮影していた流川は早速それをネットの海に拡散。やるべき事は済んだと言わんばかりに伊集院は門田の両手指を錆びたハサミで全てカットし、ウンコ味とカレー味、両方の猛毒を食わせた。
早速腹痛に苦しみ悶絶する門田に、伊集院は解毒剤の存在を仄めかし、無論門田は必死に欲しいと懇願。最早使いものにならない両足を引きずって案内された方まで門田が辿り着くと、何と伊集院は解毒剤を渡してやった。
……門田に扮した流川に。
流川「私が門田です…… お腹が痛くて、解毒剤が欲しいです……」
「どうぞ、解毒剤です。これで助かります」
流川「よかった……」
門田「そいつは、私の成り代わりです…… 解毒剤下さい。お願いですぅ……」
「ああん? 一体誰だお前は?」
「『本物を見抜かない方が幸せに生きれる』って、さっき誰かが言ってたんだよ」
「お前誰だ? 顔がムカつくから毒でも食え」
明らかにバレバレな変装と茶番で自分を無視する両者を前に、毒死しそうな門田は「自分が本物です。解毒剤下さい」と必死に命乞いをするが、他人を騙って人の温情も命も踏み躙ったゴミ野郎に伊集院は「誰だお前は?」と返すばかり。
そして伊集院は上記の通り門田の戯言を丸ごと叩き返し、残りの毒を無理矢理食わせた。
それから10時間後、門田は最後まで自分が本物だと認めて貰えないまま、七転八倒の末壮絶に死んだ。
登場人物
- 門田(かどた)
今回の断罪対象で、名称不明の中規模半グレ集団のボス。劇中では少なくとも獅子王組の本拠地である「花宝町」と天羽組の本拠地である「空龍街」で下衆の所業を散々繰り広げていた人非人。風谷曰く「あらゆる極道組織から身柄を狙われている」との事で、恐らく京極組にも狙われていたと思われる。依頼人の息子である義之と顔が瓜二つで、それを悪用して義之に極道の追跡を押し付け、その上義之に成り代わってアメミヤカレーを乗っ取ろうと画策。しかし依頼人に擬態がバレた事で今回の凶行を仕出かし、世間と警察に対しても犯人が義之であると欺いた。
しかしながら世間と警察の目を欺く事が出来ても、天羽組の永瀬や情報屋の風谷には難なく雨宮夫妻襲撃事件の真犯人である事を突き止められ、永瀬と伊集院によって身柄を抑えられた後、最期は自分も「他人の成り変わりで死ぬ」という因果応報を強制的に味わわされ息絶えた。
- 門田一味
門田の下衆の所業に嬉々として付き合っていた生きる価値の無い外道半グレども。メンバーの一人は有田と言う名前である。最終的にカチコミをかけてきた永瀬の手によって、門田除く全員が炙りレアチャーシューと化して壊滅した。
- 雨宮幸子(あめみや ゆきこ)
今回の依頼人。空龍街で有名なカレーチェーン「アメミヤカレー」の社長夫人。息子に成り代わった門田の手で両手の親指以外と右肘の靱帯を切断され、後遺症が残ってしまう。
- 雨宮義之(あめみや よしゆき)
今回の被害者その1。アメミヤカレーの社長令息でカレー職人。赤の他人である門田と瓜二つ。偶然門田に轢かれてしまい、成り代わられた挙句、門田が仕出かした悪事を行なったと言う濡れ衣を着せられてしまう。幸い、彼を捕まえた極道が獅子王組であり、拷問の場に伊武隼人がいたおかげで急死に一生を得た。最終的に生還する事が出来、カレー職人に復帰を果たした。因みに門田の所業がネットの海に拡散された為、名誉回復は出来た模様。
- 雨宮社長
今回の被害者その2。アメミヤカレーの社長でありカレー職人。カレー職人としての腕もカレー王と謳われた程で、そのことを自負していた(生粋のカレー好きの永瀬にも旧華族で名家育ちである伊集院にも「辛いが、素材の味がクセになって堪らない」と唸らせたほど)。息子に成り代わった門田の凶行から妻を守る為、その身を犠牲にして死亡してしまう。
天羽組の武闘派構成員であり、尚且つ組長である天羽桂司の養子。「ガスバーナーの永瀬」の異名を取る狂人で、人体が焦げる匂いで白飯6杯イケると豪語して憚らない。無類のカレー好きであり、アメミヤカレーの常連客でもあった。シマ荒らしである門田一味に対する粛清に駆り出され、門田以外を炙りレアチャーシューにして殲滅。途中で伊集院と出会い彼に門田を譲ったが、拷問の前座も兼ねて門田の頭皮を焦がし海苔にした。因みに(今回だけかもしれないが)伊集院と邂逅したことがある天羽組の狂人兄貴たちの中で、伊集院のことを「旦那」もしくは「伊集院さん」と呼ばなかったのは彼が初である。
獅子王組の若手武闘派。後輩に対する制裁の際、サイコロを用いてその出目の数で殴る回数とその期間、及び箇所を決める事から「ダイスの鮫洲」の異名を取る狂人。シマ荒らしである門田を追っていたが、途中で義之に成り代わられている事に気づかず、あろう事か義之を門田と誤認したまま事務所に連れ帰って拷問にかけた。幸い、伊武の介入によって人違いとわかったものの、勘違いとはいえ無関係な堅気を傷つけた為、伊武から「死んでいいねぇ!」と腹蹴りを叩き込まれた。
獅子王組の武闘派でトップクラスの精鋭。身の丈以上の鉄棒を振り回して敵対者をグシャグシャに破壊する事から「鉄棒の伊武」の異名を取る。羨ましいか否かで全てを判断し、「羨ましくない=死」と言うぶっ飛んだ思考回路の狂人。武術の達人ゆえか、義之が門田とは顔が瓜二つなだけの別人と見抜き、彼を解放した。そして間違えて連れてきた上、拷問まで仕出かした鮫洲を制裁して、義之を病院に連れて行くよう命令した。結果的ではあるが彼の洞察力が義之の命を救ったと言える。
事件のモデル
犯人が己の犯罪歴を揉み消すために自身によく似た人物を替え玉にして成り代わる、成り代わられた人物が職のスペシャリスト(但し義之氏がカレー職人だったのに対しこちらはまつ毛スタイリスト)で、後に存命していた事が発覚すると言った点から、2016年にニューヨークで発生した事件がモデルと思われる。
尚、伊集院シリーズではないが、あのアンデッドマンもヒューマンバグ時代に同じような事件に巻き込まれた事がある。
余談
伊集院が門田に焼けた鉄の靴を履かせていたが、これは中世ヨーロッパで実際に行われていた拷問であり、本来は罪人に焼けた鉄の靴を履かせて踊らせるものであった。グリム童話の『白雪姫』でも白雪姫と王子の結婚式に白雪姫を殺めようとした継母に対して、この拷問が行われている。
永瀬・伊武・鮫洲の三人は今回で伊集院シリーズ二度目の登場になったが、天羽組陣営の中で二回以上出演しているのは小峠華太・須永陽咲也・天羽桂司に続き永瀬で4人目、獅子王組陣営では伊武と鮫洲のみである。永瀬の一度目は須永や工藤亘清と共に護国蒼天会討伐に登場したが、伊集院と鉢合わせてはいなかった。満を持して二回目の登場で伊集院と鉢合わせる事になった。伊武は一度目に伊集院と鉢合わせしているが鮫洲はまだ邂逅していない。
伊集院シリーズに武闘派極道組織が出る事は珍しい事ではないものの、天羽組と獅子王組それぞれの構成員が小峠シリーズ以外に同時出演するのはこの回が初めてである。現在はお互い関わっていないが、互いが田頭組と河内組の頃からの敵対組織同士であり山本の兄貴が殺害されたり尾崎隆雄や南雲梗平が抗争で負傷させられるなど諍いが多かった。
今回、拷問中に流川がターゲットである門田に扮しているが、流川が拷問中に誰かの姿に扮するのは女装とファルコマンに続きこれで3度目となる。
本動画のタイトル及びサムネイルは、「【史上初】拷問ソムリエが…外道を許した。伊集院が救急箱を持つ」というものになっている。言うまでもなく、解毒剤をチラつかせるシーンを切り取った釣りタイトルなのだが、そもそも伊集院が外道を殺さず解放したのは「偽伊集院こと斎藤博の前例」がある。それ以前にも(ターゲットではなかったというのもあるが)殺さなかった外道には切り裂き藪沢・白武利光・狂犬長野・ガソリン兄弟らがいる。また須永陽咲也・羽柴和成・如月・秋元詩郎のように途中で外道から手を引いた者は追っていない。
ヒューマンバグ大学シリーズの話でなりすましもといドッペルゲンガーに酷似した話が出るのは、(現在はバグアカデミアに移籍したが)佐竹シリーズでも取り扱われた事がある。
関連タグ
ドッペルゲンガー なりすまし 人間のクズ ポイズンクッキング
意趣返し:伊集院が執行した刑の内容全般に言える事だが、今回はそれがいつも以上に徹底している。
腐れ生皮移植刑→ポイズンカレー・テイスティング→外道の腸内洗浄からのハードグリン
伊集院茂夫による猛毒鍋:同じく外道に毒物(ありとあらゆる毒草や毒キノコ、昆虫毒を調合して濃縮した劇毒や猛毒を超越した超毒)を食わせるポイズンクッキング回。最後に解毒をちらつかせて希望をぶち壊し、更にトドメの毒を食わせたところも共通している。
伊集院茂夫によるトンカ:「依頼人は飲食関係の家業であり、依頼内容は家族の敵討ち」「天羽組の武闘派が店の常連であり、外道のアジトにカチコミに入る」「断罪対象が拷問前に落ち武者のような頭になる」「拷問内容は糞尿を使ったもの」といった共通点がある。