『いい概要だ』
『人間如きに 舐められる謂れはない』
吸血鬼達から『姑獲鳥様』と呼ばれ、恐れられる孤高の混血種。
部下や自身の派閥すら持つことなく、決められた縄張りを持たず自由に東京の街を彷徨っている。
そして、その性格は一言で言えば『弱肉強食』。
弱い奴は大嫌い。
故に強者には敬意を払い、己の持てる全力をぶつけ叩き潰す...
つまり彼はわかりやすく武人タイプの混血種である。
しかし戦闘における強さを基準とした『雅の息子達』の順位のシステムに自身も納得する反面、
自身が最下位の五男であることにに納得がいかず...
結果として雅の探す、人間側の救世主である宮本明に東都ドームでの決闘を申し出る。
比類なき強さで知られる宮本明を正々堂々、真正面から撃破し、自身の実力を雅に示すために。
『自己紹介代わりにちょうどいい いい解説だ』
『確かに、雅様からは たまに姑獲鳥と呼ばれる』
身体に孔雀のような羽根と複数の眼を持ち、彼の腹部には異形の目玉模様が浮かんでいる。
(分かりにくいが腰巻きは紐のようなもので何重にも巻き付けられており、恐らくこれは胸部の羽毛を編んで作った腰蓑であることが分かる)
その頭部は鳥類のオオハシのようであり、そして嘴の中にはその凶暴な本性を表すような獰猛な牙が何十本も生えている。
鍛え上げられた胴体は筋肉質に発達しており、見るものを圧倒する。
本来、吸血鬼は同じ吸血鬼の血液を摂取すればほぼ間違いなく激しい拒絶反応が起こり、
身体が耐えきれず即座に全身から血を吹き出して爆裂死することとなる。
だがこの姑獲鳥はその想像を絶する拒絶反応に耐え抜き、凄まじい細胞分裂能力と強大な力を得た混血種(アマルガム)と呼ばれる種族へと生まれ変わった。
また、姑獲鳥は他の混血種の血液さえも体に取り込むことができる悪食の混血種である。
更に姑獲鳥は戦闘に特化した混血種を同時に数百体集めて殺し合わせた戦いでさえも生き残り、
晴れて吸血鬼のボス、「雅様」の家族として認められた混血種の中の混血種である。
なお、『雅様には、たまに姑獲鳥と呼ばれる』というのは本人の談だが...
『じゃあ普段どんな呼ばれ方してんの?ペリカン?』なんて聞こうものならまず助からないだろう。(おそらくは人間の頃の名前で呼ばれていると考えられるが、本名は不明。)
『なんて強い能力だ』
『少しは強者が現れるかと思ったが お前では物足らんな』
嘴は想像を絶する大質量と硬度を併せ持ち、突進すれば大理石すらレンガのように容易く砕く。
そして測定不能の顎力から放たれるバイティングは、普通の人間には防御など完全に不可能である。
そして手に持った巨大な三又槍は斬鉄剣並みの切れ味と凄まじい攻撃範囲を兼ね備え、少し薙ぎ払うだけで大理石の柱をバラバラに粉砕し...そんな代物を混血種である姑獲鳥が振るえば正しく鬼に金棒、一度本気になった彼は怪力無双の修羅と化す。
また、東都ドームでの大会出場時にはこの三又鉾は更にグレードアップもとい進化し、
柄の内部に鎖が内蔵されたギミックで先端を発射するなど、魔改造も良いところな改造を施される。
戦闘経験は作中世界でも並外れており、瞬時に目の前の敵の弱点を考察し、潰しにかかる。
敵が姑獲鳥と同じアマルガムであれ、戦闘モードへと入った姑獲鳥の前には彼に一太刀浴びせることも叶わぬまま身体中を生きたまま貪り食われ、命乞いすら叶わぬ速度で残忍に殺害されている。
そして彼岸島で吸血鬼達との死闘をくぐり抜けてきた猛者、あの宮本明でさえ最初の姑獲鳥との一戦では全く歯が立たず、敗北している。
(満身創痍となった明は不意をついて彼の三又槍を折ることに成功し、それを見た姑獲鳥は『こんな武器で貴様にトドメは刺せん』と言い残し、興ざめした姑獲鳥は彼の前から一旦去っている)
姑獲鳥の身体には今まで幾度となく作中世界の怪物達と闘ってきた影響か、その鋼鉄の筋肉は超大型の邪鬼の攻撃すら余興、とばかりに容易く受け止める。
その絶え間なく鍛え抜かれた表皮は並みの刀や銃火器程度では傷一つつかず、超高圧の電流を直接体に流されても内側には伝わらず、一時的に動きを封じる以上の効果は望めない。
また、大脳を半分以上失っても戦闘には全く支障が無いばかりか、敵の攻撃に対しさらに用心深くなり...凶暴さ、残忍さも併せ持った姑獲鳥は味方の吸血鬼でさえも全く手がつけられなくなるという規格外の怪物である。
つまり分かりやすくいえば、フィジカルお化けである。
...しかし雅様の息子として認められた5人の息子達のうち、強さの序列としては姑獲鳥様は下位にあたる第五男であり、彼に明確に牙城と言える場所が存在していない理由でもある。
(ただ、それでも姑獲鳥様の支配する上野の周辺は"力の都市"と呼ばれ、彼の統治する縄張りとして他の息子達から認識されている。)
なお、姑獲鳥の次に強い四男である蟲の王は単独で国会議事堂を攻め落とし、ものの数分で陸上自衛隊を壊滅に追いやっている。
(蟲の王に遭遇しながらも唯一生きて帰った隊長は四肢と右目を失い、顔がかろうじて人の姿を留めた肉塊のような姿と変貌してしまった。)
そのため姑獲鳥に遭遇して痛みもなく瞬殺された人間は、彼岸島の世界基準だと相当幸運と言えるだろう。
姑獲鳥の最期
『東都ドームの大会の決勝で明を待つ』
倒れた明にそう言い残し、勝次を人質に決闘の約束を取り付けた姑獲鳥。
明は、吸血鬼が主催する東都ドームでの武闘大会に正体を隠し、参加することとなる。
東都ドームには数万人の吸血鬼たちが、集まった歴戦の猛者を口々に応援していた。
そして大会の景品には、人質の勝次がいた。
(噂では優勝者は九州と四国の統治権も手に入る...とのことだった)
狐の面と和装を着用し変装した明も紛れ込み、予選で邪鬼たちを次々に屠る。
そして姑獲鳥も同じく大会に参加したアマルガムや吸血鬼を次々に平らげ、気づけば大会も決勝戦。
自身が知らない強者との死闘に喜びを隠せない姑獲鳥は、以前は使わなかった鎖などのギミックを用いて明を苦しめていく。
観客席や無関係の観客まで戦闘に巻き込み、両者あらゆる手を尽くし戦うこととなるが...狐の仮面を被った明を当初は別人と思っていた姑獲鳥だったが、狐面の男が義手の仕込み刀を使用したことでその正体が宮本明だとバレることとなる。
しかし隙を突いて姑獲鳥の顔を切り落とし、より凶暴となった姑獲鳥は武器を捨て本来の戦闘法、すなわち素手での戦闘を行うようになる。
(そもそも彼が三又槍を使用し始めたきっかけは、雅の鉄扇に触発されたものだった)
観客を飛び道具として使用する、観客席の柱ごと引き剥がす、ドームのワイヤーを用いるなど環境利用闘法も駆使して戦う姑獲鳥との戦いに苦戦する宮本明だったが...
二人が雌雄を分かった決闘は、宮本明の勝利と終わることとなる。
顔面を真っ二つに切断されながらも奮戦する姑獲鳥だったがワイヤーで足を掬われて首を切断され、二人のドームの戦いにも決着が付いた。
力尽き果てる直前に、姑獲鳥はドームの屋上で明へと静かに語りかける。
自身の体がかつてどうしようもなく病弱だったことや、力を持たない自身に絶望していたこと。
吸血鬼へとなり、生まれて初めて自身の持つ『力』を実感したこと。
誰にも負けない男になる、そう誓ったこと。
そして、彼は明へと問いかける。
「明、俺は強い男になれただろうか?」
それに対し、答える明。
「ああ、お前は最強だったぜ」
姑獲鳥___
享年18歳にてここへ散る
宮本明がそれまで闘った混血種で最も強かった姑獲鳥は、
自身が切に戦闘を望んだ強者への敗北を受け入れ、安らかに息を引き取った。
『余...談......殺...』
その見た目のインパクトから、ついたあだ名はキョロちゃん。
チョコボールは、くちばしを開けると銀のエンゼルが入ってたりするものだが、
こちらの姑獲鳥様は、くちばしを斬り開けると機嫌が悪くなる。
彼が他のアマルガムや吸血鬼の血を口に含んでも平気なのは、ひょっとしたら、先生ェがまた忘れてるだけかもしれない。でもまあ、姑獲鳥がやるとかっこいいから良いのである。
くちばしバイティング、かっこいいもんね。
ちなみに、大会会場にいた四万人の吸血鬼は決勝後、宮本明に恐れをなして全員逃走した。
いや、そうはならんやろ
『お前は間違いなく 鳥頭だった』
作中では主人公である宮本明を倒し、己の主人である雅に実力を示し序列を更新すべく立ちはだかるが、おそらくこの行為は雅本人にはまず間違いなく無断である。
(一応言うと、雅は自身を倒そうとしてくる宮本明との戦闘を、何よりも楽しみにしている。)
仮に宮本明に勝利し、それを報告したところでガン萎えした雅様はどう思うだろうか。
絶対に、碌なことにはならないであろう。
そういった方向での頭の足らなさが、姑獲鳥が五男で止まっている原因ではないのだろうか。
(実際には、姑獲鳥の実力がいかに一般基準、吸血鬼基準でも相当に高いとは言え...
一つ上の四男にさえ勝てるかどうか怪しい彼にはこれ以上の下剋上は厳しい...と言わざるを得ない)
だが事実として、確かなことがある。
宮本明は彼に『お前が間違いなく(今まで闘ってきた邪鬼やアマルガムの中で)最強だった』と実際に言っており、実際姑獲鳥が斧神や炭鉱の姫など最強格の邪鬼やアマルガムと対戦したとしてもおそらく始終優位に戦闘を行うことができるだけの実力を保持しているのは確かなのだ。
姑獲鳥は悪くないんよ。
が、問題としてはやはり...今後間違いなくインフレしていくであろう『雅の息子達』との戦いで
『フ...やはり姑獲鳥は息子達の序列でも最弱...』
となってしまうのか、あるいは
『今思い直せば、最初の方に居た姑獲鳥って能力少ない割に強かったよな』
となるのだろうか。
それは、彼らの主人たる雅のみぞ知る事となっている。
なお、あれだけ初戦で宮本明を追い詰めたと言うのに鉾の先を変えてからは...
正直言って、あまり有効なダメージを彼に与えられていない。
(鎖とか使ったギミックは斧神戦で散々痛い目見たから、明さんは慣れていた...などの説がある)
コイツが姑獲鳥
見ての通り
矛の先を変えたら
勝利の矛先が変わってしまった奴だ
『早く関連用語を知りたい 今はそれだけが私の楽しみだ』
関連した用語
- 『彼岸島』
本作の元々の舞台。...なのだが、現在は空気である。
というのも、主人公もラスボスも両方東京にいるからである。映す価値なし。
人間側の登場人物
本作の主人公であり、人間達の噂では『救世主』と呼ばれている。実は20才。
凄まじい戦闘力を誇っており、数十メートルの巨大生物すら数秒も経たずに瞬殺している。
明さんに懐きつつあるスーパーな小学生。
まだ幼いながらも戦闘センスはずば抜けており、目を離すとアマルガムを討伐していたりする。
宮本明達一行が地下鉄内で救出した26歳のアイドル。
発見された当初の彼女はドルオタの吸血鬼に暴行されかかっていたものの、明達の到着により形成逆転。吸血鬼を包丁で刺し殺した。
その後は明さん達と共に行動し、吸血鬼へのトラウマを克服すべく闘いに参加する。
明さんと行動を共にする、3m以上の巨体を誇るスキンヘッド&眼帯スタイルの男性。
普段は陽気で義理人情に熱いタイプの彼はパーティーのムードメーカー的存在だが、一方で弟の秘密について詮索する者は無表情で鏖殺する闇も抱えている。
決め台詞は「やりましたね明」!!
チュー 🐀 チュ-
吸血鬼側の登場人物
本作のラスボスであり、吸血鬼達から『救世主』と呼ばれている。最近、めっちゃ暇。
雅様の元側近の、姑獲鳥よりもずっと古くからいるアマルガム。
彼が死に際に放ったセリフは、漫画界でも最悪の言葉として語り継がれている。
雅様が島にいた頃より仕えていた、姑獲鳥よりもずっと古株のアマルガム。
西洋キリスト教の悪魔、バフォメットをモデルとした見た目をしている。
姑獲鳥とは全く面識がないが、両者の性格は非常に馬が合いそうである。
彼との戦いの途中に出現した、なんとなくインパクトの強い邪鬼。
多分、読んだ人であれば姑獲鳥の次くらいにはなんとなく覚えているはずだ。
姑獲鳥と面識がある....どころか、なんと姑獲鳥相手にタメ口で世間話を行うほど旧知の仲らしい力の都市の混血種。
5つの異なる貌の付いた巨体と大鎌が特徴的で、また登場時には大会に姑獲鳥が出ていることに驚いた様子でまさか……賞品の九州欲しさに大会に出場したのか?などと困惑混じりに発言した。
その後は姑獲鳥様の三叉鉾の前に圧倒されてかませガムと化してしまい、わずか一話で絶大なインパクトと魅力を放ちながら散華していった。