※この項目は『星のカービィスターアライズ』の重大なネタバレとなっております。
異空の数だけ、自由に飛ぶ「ニル」がいた。
星のように 輝く彼を見て、古代の人々は 謎と共に書物に残した。
夢(ドリーム)が、闇(ダーク)が、魂(ソウル)が、心(ハート)が…
その物質に 混沌と可能性が全て集い、淵源の祖となり 生誕する。
新たに書物に残される その存在は、
破神か、星の盟友(スターアライズ)か、それとも…!?
この戦いを終え… あの星羅を超え… ニルは、ゆっくりと
次の時代へ歩みだす。蹂躙する術しか 知らぬ彼も、いつしか
穏やかな春風に 包まれながら、彼方楽園に舞い降り、心を知る。
そこでは、じゆうにとぶ。ゴハンもたべる。おひるねもする。
ずっと むかしみた、あの ゆめも みるのかもしれない。そう……
ともと であう、あの ゆめを——!
概要
※ストーリーモードのラスボス及び「Theアルティメットチョイス」難易度7までのラスボス、「魂が飛び出る辛さ」以上の難易度のラスボスの第1~3形態についてはエンデ・ニルを、「魂が飛び出る辛さ」のラスボスの第4形態についてはソウルオブニルを参照されたし。
「Theアルティメットチョイス」の最終難易度(Secret.Extra)「魂が飛び出る辛さExtra」の最終ボス。本作の最終バージョン4.0.0を締めくくる「真 破神 エンデ・ニル」の第4形態。
本名は『ニル』。ソウルオブニル同様、「終焉」を意味する『エンデ』が名前から無くなっている。
体色が白いのも同じだが、こちらは体に走っている流動する線が虹色に煌めく。また、様々な顔に変化する複数の穴は若干赤みがかっている(一部の技使用時に分かる)。
戦闘
ソウルオブニルと決定的に違うのは、おそらく新たな攻撃パターンのほうが多いこと。
ただでさえガード削り・ガード不能の特性を持つ技が多い上に避ける方法も難しいなど、歴代ラスボスが裸足で逃げ出すレベルの技を使ってくる。
ボスの1形態として片付けるにはあまりに強烈な印象を与えてくる一方、以前まで開幕で使ってきた『トモダチノワ』や『イタダキマス』は使用しなくなっている。
以下、括弧内の技名は仮称。
前半戦
序盤から本気で殺しにかかるのは当たり前なのだが、前半の攻撃パターンは1回しか使用しない。
- タノシイユメ
より隈無く弾幕を敷く上僅かにガード削りが起きるように。更に直後に12方位ビーム×3(通常のガード不可・被弾後無敵を貫通)のオマケ付き。
ビームは予告線が見えてから発射までの時間がかなり短いため多段ヒットしてしまいやすい。
削り無効の特殊なガードやギャラクティックカウンターは可能。特にダークメタナイトは通常版やソウル版同様、「ミラーズ回てんぎり」や「ミラーズウォール」、「リフミラー」といった反射技で弾幕を跳ね返せる。
- (シューターカッター)
2発撃った後移動しながら乱れ打ち。その影響で安置だった右左下端まで届くように。ドロシアソウルのものに移動が加わったような感じ。
1回目の使用時に背景が白く変化する。
- カケッコ
通常版とソウル版の2パターンが混在する。
分裂した2体が同時に攻撃。1体パターンも使うが、直前に地上を水中にする為地上ではガード・回避が出来ない。おまけに遠くにいる為合体した時に大ダメージが与えられない。
- マンメンノエガオ
4体に分裂して横一直線に並ぶため安全地帯がさらに分かり辛くなった上、一度に上端と下端の2回使用。
トゲが網目状に重なり、安置は上下反転している。最初のトゲ同士の隙間を覚えて微調整しよう。ただし大柄なキャラは引っかかりやすい。
後半戦
後半戦に入ると、これらの攻撃のみでループするようになる。
大掛かりとはいえ緻密な猛攻とまでは言えないと評されることもあり、攻撃威力も普通なためむしろ一歩前の第3形態、或いはバルフレイナイトEXの方が大苦戦するというプレイヤーもいる。
- オオキナウタ
ビームラッシュは5回繰り出す。
- 1・2回目:縦に3本並べて下半分→上半分の順に隙間なく攻撃する。少しでも浮上・落下が遅れると食らってしまう。下半分はカービィサイズのキャラであればしゃがんで回避可能。
- 3回目:縦に並んだ3本が隙間なく横に順に薙ぎ払う。中段が終わってから下段が薙ぎ払う直前にジャンプorホバリングで回避出来る。
- 4回目:横に並んだ4本が縦に順に薙ぎ払う。ニル本体が居る場所が(真上と真下も含めて)安全。
- 最後はニルが背景に居る部分のみが安全地帯。
基本的にガード不能(メタナイトのギャラクティックカウンターも無効)で多段ダメージだが、例外としてアドレーヌの「キャンバスにかくれる」は有効。ストーンや無敵技なら回避出来る。
撃破に手間取り攻撃パターン2ループ目に入ると激化し、特に5回目はニルの周囲が終わった直後にニルの居る場所を薙ぎ払う攻撃も追加され、しかも視認しにくい。被弾後無敵貫通なため1本食らった直後に2本目以降を立て続けに食らう事もある危険な技。
発動時には背景が青く変化した上で、ニルの体が真っ白に光り目が赤くなる演出がある。
- (ミラーアタック&ダークレーザー)
新技。2つの光の塊を出現させてそれらを回転させつつ突進し、その後光の塊に向けてレーザーを放ち、反射させて攻撃する。3の倍数回目の反射ではレーザーが斜めに飛んでいく。
2ループ目では『ミラーアタック』に相当する技の挙動が変化。8の字のような挙動で上から下へゆっくり移動させる。
『オオキナウタ』同様、レーザーは通常ガード無効・被弾後無敵貫通。ただし小柄なキャラであればしゃがんでいるだけで避けられる。元技とは違い光の塊に攻撃してもダメージは与えられない。
発動時には背景が赤く変化する演出がある。
- (デッドリーサン)
新技。ソウルボスおなじみの炎を纏い、横方向主体で広範囲を覆う突進。2ループ目では安全地帯が分かりにくい縦方向主体の突進となる。
挙動自体はマルクソウルとセクトニアソウルをミックスさせたような感じ。突進時には大量の星を出すため、お供にコックカワサキがいるなら回復の大チャンス。
発動時には背景がオレンジ色に変化する演出がある。
勝利した際の演出も大きく変化し、カービィに似た表情で穏やかな笑みを浮かべ、たくさんの星を溢れさせながら光に包まれ消滅する…というものになっている。
これまでのニルの説明文などと合わせて見ると、ただ倒して「終わり」という印象が強かった今までのニルやソウル系ボスとは異なり、「始まり」という印象を感じられる。
また、説明文も「心を消し去った結果壊れた存在へと堕ちた前作ラスボス」と対となっているような、「心を知ることで新たな生誕へ至るかもしれない希望」といった、終焉に繋がらない表現が含まれている。
ただ、フレンズハートの投擲ではやっぱりダメージを与えることが可能。
この苦行を乗り越えた先には、とある特典がもらえる。
カービィの顔を初代「星のカービィ」のそれに変化させる「プププボタン」。
カービィに似た顔の敵を倒してカービィの顔が変えられるようになるのは皮肉なのか、それとも……。
戦闘BGM
正式曲名:「組曲:星羅征く旅人 最終楽章:煌めき星」
作曲者:安藤浩和
前半こそ「第四楽章:生誕の希望」と同じだが、1ループするとピアノとコーラスが響き渡る重苦しく切ない曲調に変化する(行動パターンもちょうどこの辺りで後半戦に入るようになる)。
なおこの曲は1ループが8分弱とシリーズ内でも最長を誇る。そのためポーズかサウンドテストを使わない限り、確実に最後まで聞けないまま戦闘が終わってしまうほど。
2022年8月11日に開催された『星のカービィ30周年記念ミュージックフェス』では、「組曲:星羅征く旅人」が全楽章通しで演奏された。
スクリーンには編集されたゲーム映像が流れるのだが、最終楽章:煌めき星のGB音源風パートにおいて映されたのは撃破され笑顔を浮かべるニル、そして初代のステージ開始デモであった。
この演出の意図について公式からは特に触れられていないが、星誕したニルの未来象を明確に予感させるものとなった。
なお、昼の部での熊崎信也ディレクターのコメントによると、この曲は「レクイエム」とのこと。
考察
今作もいくつかの過去作品の要素を散りばめた特徴が見られ、正体についての説も多い。
- カービィとダークマター族は同じ存在から生まれた
ソウルオブニルの解説文に「集うエネルギー次第でニルは様々な存在になりうる」とあるが、これについてカービィのような善のエネルギーでカービィのような存在が生まれ、悪のエネルギーでダークマター一族のような存在が生まれるとの解釈も出来る。ダークマインドやダークゼロなど、同族と思われる存在も同じなのかは不明。また、この説を正しいとするとカービィはダークマター族と同じ物質(存在)であるという可能性が高まる。事実、ダークマター族であるグーイはカービィと同じコピー能力を持っている。
ニルのカービィ顔はゲーム発売後、変化の途中に必ずなる顔としてカービィ=ニル説がよく挙げられたが、NINTENDO DREAM7月号にて明かされた「何を感じたか不明だが、生まれた時最初にカービィを見て真似した」ことや、「生まれさせた者に染まる性質」という設定によりこの説は少し遠ざかっている。
ダークマター族関連も「ニルの始祖を闇にしたのはダークマター族」という考察もあるため不明。他には「伝承や性質含め様々な可能性があるのだから、一部のキャラやモノではなく惑星規模、一世界規模でいいのでは?」という考察がある。
- ニルはポポポ説
解説文の意味深な文や容姿と顔の表現から「カービィにそっくり」と言われているが、実は初代カービィは開発中に「ポポポ」という仮名があった。しかし、HAL研究所と海外の諸事情で没となり、この名称は歴史から葬り去られてしまう。公式サイドでエンデ・ニルとポポポの関連を説明していないがユーザー間では「闇の物質が入り込んでエンデ・ニルとして生まれてしまった」「ニルがifのカービィ」「ハイネスがポポポを蘇らせようとした」など、色々な考察が為されている。
またハイネスは「一族を皆ことごとく封印し銀河の果てヘと追いやった! それでも飽きたらずか歴史からその存在さえ一片も残らず消し去ろうとしたぁ!」と発言しているため、おそらく没となったキャラクターは任天堂(HAL研究所)によって葬りさられたと解釈できる。名前の「終焉」と「無」の意味とポーズ画面の文章から、ティンクル・ポポだった頃の開発の打ち切り=終焉、企画が白紙=無にされたことを暗示しているとも考えられる。
解説文に「じゆうにとぶ。ゴハンもたべる。おひるねもする。」もポポポ本来の設定がなかったことにされている。
今作自体、カービィシリーズにおけるファンサービスは過去最大の規模となっており、ヘルパー搭載はSDX/USDXとGCで開発中止になったカービィゲームから、そして設定資料で没となったボスや過去作品に出ていたキャラクターなどを多分に意識した要素が全面に押し出されている。没要素やシリーズ全体を意識して作られたコンセプトも、このような説が生まれる土壌となったようだ。
- ニルは没となったポポポの世界そのもの
ニルの一部設定がメタな出来事を別の形の出来事にして世界観に溶け込ませたものなら、「ずっと昔見た夢=テストプレイしているときのゲーム画面と、その夢を見なくなっている部分にあたる発売中止」「異空の数=ゲームの開発数」「目覚めさせし者に染まる=発売したもの、ハードも含むなら画面の色、ドット、3D」「闇を生み出し続けていた=開発で没になった要素」という解釈ができる。
アナザーディメンションヒーローズではジャマハートに入っていた思念によって、ボスとそれに関連する部屋を作っていた。
ポポポも世界の一部とするなら、これもポポポ説のようなものにもなる。
初代星のカービィはオリジナルではなくポポポの内容を変更したものであるため、ポポポが夢の友ならカービィに何かを感じて顔を真似た理由の一つとして考えられる。
『あつめて!カービィ』にはポポポアイランズやカービィの中から「ゆうしゃのこころ」という謎の存在が出ており、スターアライズのエンディングタイトルのことがあるとはいえ、ポポポ要素が全部ニルに入ってはいないと思われる。
- エンデ・ニルとの名前的つながり
ドイツ語では、エンデは「終焉」、ニルは「無」を意味している。しかしこれを日本語の語呂合わせにすると「円(縁)で似る」と読める。
またニルを数字の語呂合わせにすると「26」と読める。これはティンクル・ポポ(星のカービィ)が発売予定になってからちょうど26年になったことと重なるため、これもポポポ説を後押ししたらしい。
上述するように2018年11月30日に配信されたアップデート第三弾にて登場した、星誕と撃破特典としてカービィに初代スキンが追加された事から、この説は更に濃厚になりつつある。
余談
- ニルも他のボスと同様に登場時に名前が表示される演出があるが、その背景が『星のカービィ3』のぼすぶっちにおけるゼロ戦の背景(SFC版の物、VCは色が違う)とほぼ同じものになっている。更にポーズ画面でのニルの立ち絵のポーズは、『3』の「ぼすぶっち」のクリアエンディングにてアドの書いたゼロのイラストのポーズと酷似している(下をまっすぐ見つめている)。
- 因みにニルはラテン語由来の命名であり、英語ではゼロの意味も含まれている。加えて前作のラスボスの伏線同様、スターアライズの発売日は『3』の発売日の約20年。更に言えば同作はハートを集めることが目的なゲームでもあった。
- 今作では救われることなく退場したキャラクターが出ていた過去作と違い、三魔官やハイネス、そしてニルまでもを含めた全員が救われている。
- 倒すことで獲得できる得点は莫大なものになっており、通常ならば多くても15,000点のところを、ニルの場合は86,555点となっている。
- クリアボーナス99,999点がもらえることも考えれば桁外れであり、タイムボーナスの起点も70,000点となっている(ボーナスが尽きるには1時間56分40秒も必要)。
- 第1〜3形態の撃破で10,000点ずつ加算されているため、仮に撃破まで30分かかったとしても、ニル1体倒すだけでS辛のトータルスコアを軽く追い抜いてしまう。得点のレートが非常に高いExだが、それでもニル撃破で得られる得点はざっと計算してトータルスコアの1/3以上を占める。
- 「星誕」をそのまま翻訳するとStar Arise、つまりラスボス名がタイトル回収となる。
- 次回作では冒頭の「そこでは、じゆうにとぶ。ゴハンもたべる。おひるねもする。」を実現した新キャラクターが登場した。
- 魔神形態と天使形態のニルが使用する技「巨悪と執念の冠」の演出にて登場する、マスタークラウンに似た王冠らしき物体の詳細が語られることはなかったが、『Wiiデラックス』でのマホロアソウル戦の背景に映る漆黒の脈打つ球体はニルに酷似している。
関連項目
ソウルと関係するキャラ |
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「君を見ていると、ずっと昔からおともだちだった気がするよ」