目玉親父「水神は変幻自在だ! 時には雨となり、時には霧になり、時には雲になり、果ては北に行って雪となる! そうやって太古から何人にも気づかれずに人間を喰ってきた恐ろしいやつなんじゃぞ! 蒸発したくらいで消えはせん!」
概要
『墓場鬼太郎』、鬼太郎夜話、及び『地獄の水』に登場する神にして妖怪。
神と称されるほどの絶大な生命力と戦闘力を有する液体生物であり、劇中トップレベルの強さを誇る敵キャラ。
全身が極めて水に近い物質で構成されており、あらゆる物理攻撃をすり抜け、たとえ蒸発してもすぐさま離合集散し、どんなに体をバラバラに分裂しようが死ぬことは無い。更に触れた物体を生物・非生物問わず溺れさせた上で溶かして捕食、更に普通の水と混ざっていくらでも体積を増減できる。また、体を無重量空間の中の水玉のように変えることで、飛行することもできる。ただし、なぜか高級水着は溶かせなかった。
劇中での動向
墓場鬼太郎(三洋社版)
森脇(アニメでは協森)社長から大正時代に借金をしていた為、メシ代欲しさに取り立てに来た鬼太郎から借金返済を命じられるが無視。ラチがあかないと判断した鬼太郎にしびれ薬を撒かれ、ビニール袋に詰め込まれて身柄を差し押さえられた。
ところが水神様は隙を見て脱走、巨大な水玉に変貌を遂げると町の人々や自衛隊を飲み込み、溶かしながら洪水と化して鬼太郎たちの住む下宿「ねこや」を襲う。
鬼太郎とニセ鬼太郎はねこやの屋根に這い上がるが、その屋根ごと太平洋まで流され、海水と合体した水神様に完全に追い詰められてしまう。そこにアドバルーンに掴まったねずみ男が飛来。召使になることを条件に救助された二人は、ねずみ男の住むアパートで新たな生活を始める。
しかし水神様はまだ諦めておらず、水源地から水道に潜り込み、運悪くニセ鬼太郎が犠牲となってしまった。
非常に厄介な能力を持つ強敵だったが、同じアパートの住人でガマ令嬢との交際を目論む人狼の登場により流れが変わる。
ひょんなことから鬼太郎と知り合った人狼は、事情を聞くと豊富な財力にものを言わせ、水神様が隠れ住む水源地に大量の石油を投下し、マッチで点火。全体を燃え続ける油に包まれては蒸発して逃げることも叶わず、水神様は退治された。
鬼太郎夜話(月刊漫画ガロ掲載版)
基本的に『墓場』のリメイクなので同様。ただし読みは「すいじん」。
水玉化しての飛行シーンはカットされた。
最期はドライアイスで凍らされた後、コンクリートに混ぜ込んで封印された。
アニメ『墓場鬼太郎』
読みは「みずがみ」。
ストーリーは三洋社版に準拠した展開となっており、人狼に石油を撒かれて焼き殺される。
オリジナル要素として、鬼太郎の養父である水木青年が
「じゃ!」
の一言であっさり見捨てられ、水神に溶かされるという酷い最期を迎えている。
ただしこの最期は、いつもその存在がフェードアウトしてしまう彼に対する、製作スタッフからの餞だったとか。
短編漫画『地獄の水』
1966年8月に『週刊少年マガジン』に掲載された前後編の短編。鬼太郎は登場しないが、実質『墓場鬼太郎』の水神の話のリメイクと呼べる作品。
元々はヒマラヤの奥地で水神使いと名乗る人型妖怪(呪術師?)と共に暮らしていたが、主人公・凡太の父率いるヒマラヤ調査隊により封印を解かれた為、激怒した水神使いと共に大暴れする。
凡太親子への復讐のために水球化して人々を溶かしたり、高潮と合体して凡太の父を溺殺したり、凡太の友人・正吉が破片を誤飲して溶けたりしたが、最後は凡太と自衛隊により水源地に50tもの石油が巻かれて焼死。水神使いも警官に射殺される。
ゲゲゲの鬼太郎(2期)
第22話「地獄の水」に登場。話としては同名の短編とほぼ同一で、第2期で最も人的被害を出した妖怪が一柱。
雪崩と合体してヒマラヤ調査隊を皆殺しにしたうえで、ゲゲゲの森に助けを求めに来た調査隊隊長も津波と合体し鬼太郎ハウス諸共飲み込んで殺害。更に無関係な市民を溶かして捕食、洪水と合体して走行中の0系新幹線を押し流し乗員乗客を全滅させるなど暴走の限りを尽くし、遂には水道水と合体して都民皆殺しを図るも、油が弱点と見抜いた鬼太郎により水源にいた本体を油で包み込まれ、焼き殺される。
ゲゲゲの鬼太郎(6期)
第42話「百々爺の姦計 妖怪大裁判」において、目玉おやじが昔語りの中で水神のねこや襲撃に触れている。
6期では第1話から度々、鬼太郎の養父である水木青年の存在が語られているが、この昔語りでは「ワシらは水木と共に店の二階に間借りして」と一緒に生活していたことが語られたのみで、水神様事件での彼の生死は不明。こちらのキャラクターの詳細については「水木(鬼太郎誕生ゲゲゲの謎)」を参照。
余談
『ゆるゲゲ』にも水玉の姿で登場した他、ラ●エルのような正八面体に変形した。
『最新版ゲゲゲの鬼太郎』に登場する水ころがしや、「週刊実話」版に登場するムーン大王は水神様がモデルになっている。