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『ありがとな、小さな探偵さん』


CV:折笠愛(オリジナル版)/沢城みゆき(2021年版)


概要編集

月影島診療所の医師26歳


主人公・江戸川コナンに与えた影響や原作者・青山剛昌のお気に入り発言、容姿が整っていることから人気が非常に高いキャラクターである。


本編に登場するのは「ピアノソナタ『月光』殺人事件」と回想シーンの2回だが、コナンに与えた影響から、メディアへの露出は多い。

「コナンは犯人を死なせない」という話題ではほぼ確実に話題にあがる。

アニメでは、その後判明していった様々な作中事実や新たに登場した人物たちの関係から、追加設定解釈にて描かれた「エピソード“ONE”小さくなった名探偵」(2016年12月9日放送)のダイジェストに再登場している(ただし台詞は無く姿のみである)。

再放送を除けば実に20年ぶりの登場であり、現在の作画に合わせ新しくデザインが描きおろされていた。


公式LINEスタンプ第1弾では、コナンやと共にあくびをする場面に選ばれている。


正体編集

正体は、有名ピアニスト麻生圭二の息子である。麻生の息子だとバレないよう、女装をし、性別を偽っていた。


元々の名前は麻生成実で、成実(せいじ)と読む。

しかし、医師免許にはふりがながない事(※)を利用し、成実(なるみ)を名乗っていた。麻生成実とは過去の名前であって、現在の本名は浅井成実。浅井家に養子に入ったため、苗字が変わっている。


英語圏では読み方だけが違うというトリックができず完全に名前が違う。

(英版だと、なるみ→ナディア、せいじ→サイモン)


※現在では医師免許にローマ字表記で名前の読みを明記しなければならないため、名前の読みを偽ることは不可能。


人物編集

本来の一人称は「オレ」。実年齢に対し言葉使いが若く、少年のような口調で話す。

料理とピアノが得意で社交的。

家族を死に追いやった亀山にすら葬送曲を弾いて弔う優しい性格だった。

計画を思いついてから復讐を実行するまで実に2年もの月日が経過しており、コナンが「復讐を止めて欲しかったのでは」と推測していたように、彼の犯行が思い悩んだ末のものであった事が示唆されている。

医師としてのプライドから、小五郎に「看護婦さん」と呼ばれた時にはムッとした表情を見せて少し怒っていた(アニメでは笑顔)。


美人で女装に関しては、本人曰く「元々顔立ちが女っぽかった」との事。外見も行動も完全に女性に成りきっており、一挙手一投足を捉えるコナンの探偵眼すら騙し抜いた。ちなみに無化粧(スッピン)。

また、原作・アニメ共に直接言及はされていないが、誰も男性と気付かずに、正体が判明した後も最後まで女性である折笠愛または沢城みゆきが声を担当したことから、声質も女性のような感じであることが示唆されている。

原作では、亀山前村長が成実と性的関係を持とうとした事が示唆されている。深夜に呼び出された理由をコナンに訊ねられた時には「スケベそーな男だったから…」と微妙に言葉を濁していた(アニメではカット)。


作中での動向編集

12年前、麻薬絡みのトラブルで黒岩辰次、川島英夫、西本健、亀山勇の4人によって自宅に火をつけられ、父・母・妹を自殺に見せかけて皆殺しにされた過去を持つ。

なお成実本人は東京本土の病院で入院していたため、難を逃れることになった。


しかし、家族がそろって自殺したことを不審に思っていた成実は麻生との関係性を疑われないために女装し、24歳の時に女医として月影島に戻り、家族の死の詳細を調査する。

調査は進まなかったが、ある時亀山村長に深夜に呼び出しを受ける。成実が麻生の息子であることを話すと、亀山はおびえながら真実や暗号を暴露し心臓麻痺で死亡してしまった。

家族の死の真相を知った成実は復讐を敢行するために計画に2年費やし、亀山の三回忌を狙って、川島・黒岩・西本の3人を殺害し、復讐を行っていった。


その後、コナン(眠りの小五郎)によってトリックを暴かれると、公民館へ逃亡し火を付け、ピアノと一緒に音楽室で自殺を図る。

(なお原作での蘭などの発言から、自殺自体は推理とは無関係にもともと計画していたことが窺える)

助けに来たコナンの説得にも応じず「もう遅いよ、オレの手はあの4人と一緒、もう血みどろなんだよ…」と言い、コナンを窓へと投げ飛ばして脱出させ、最後はコナンへの感謝を暗号化した楽譜をピアノで弾きながらこの世を去った(内容は「ありがとな、小さな探偵さん」)。

これ以降コナンは彼の死を受け、二度と犯人を推理で自殺に追い込まないように決意するのだった…。

ピアノソナタ月光殺人事件


ちなみに目暮警部が指摘したように、女性同然の細腕にもかかわらず力任せの殺人を行っており、自殺直前にもコナン(体重18kg)を公民館の窓を打ち破った上で火が被らない距離まで投げ飛ばすという、とてつもない腕力の持ち主。

(それほどの投げにもかかわらず、コナンに怪我をさせなかった繊細な技には、大いなる才能を感じざるを得ない)

また、コナンにすれば助けるつもりがあっさり窓から投げられてしまい、自殺を食い止められなかったことが、同じ状況で本来の新一の姿であれば体格面で助けることが出来た可能性も高いため、結果は推理で追い詰めて自殺させてしまっただけで、助けることができなかった己の非力さを悔やむ事になってしまう。

ちなみにこの一件、コナンが非常に重い責任感を背負うことになったが、コナンは推理を放送室から呼びかける形で行い、成実と同じ場所にはいなかった(自分と小五郎の姿を見られない方が正体がバレにくいため、この行動は自然なことではある)。つまり、コナンはその場にいた警察に成実の身柄の確保を一任したと思われ、間近にいた成実を取り逃がした警察にも責任があると言える。


余談編集

コナンの信条編集

コナンは後の事件で、服部に対して「お前、人を殺しちまった事はあるか?」「犯人を推理で追い詰めてみすみす自殺させちまう探偵は…殺人者とかわんねーよ…」と語り、この件での成実の姿を思い浮かべていた。

この会話は平次の行動にも影響を与え、後に大阪で起きた別の事件にて、自殺しようとした犯人を平次が止めることにも繋がった。


作者は犯人が死亡するという結末について「今回は」と最初から決めていたと語っている。が、決めていた事は覚えているが、その理由は忘れてしまったらしい。


コナン役の高山みなみは未だに成実の一件を心にとめてコナンを演じていると2014年にインタビューで語った。

一方でこのような悲しい形ではあるが「コナン(新一)の成長には必要不可欠な話だった」とこのエピソードを評価する声も少なからず存在する(事実第一話での蘭とのやりとりで新一は世間からもてはやされてたことでかなり天狗になっていた)。


ただし、上記の信条があるとはいえ、コナンでは阻止出来ずに誰かがいたから犯人の自殺を阻止するという運絡み(悪くいえば都合のいい展開)になる事もあり、特にリブート版の少し前に放送されたテレビドラマの撮影中での事件では、京極がいなかったら推理で追い詰めて犯人の自殺を許すという失態を犯している(この時は、京極と同様に運動神経の高い世良もおり、京極が手伝う前に2人で犯人の自殺を阻止しようとしたが阻止できなかった)。


また、「コナンは犯人を死なせない」と書いてあるが、月影島と同じく離島が舞台となったアニメオリジナルエピソード『森川御殿の陰謀』では犯人が推理後にコナンの目の前で亡くなっている(ただし、この犯人は余命が僅かだった事による病死)。

他にも、コナンがいない場所では犯人が自殺したり、複数犯の場合は殺し合いになった例もある為、「コナンは犯人を死なせない」というよりは「コナンの目の前で犯人を自殺させない」が正しいといえる。

事実、作中では某名探偵の孫と違い、事件解決後、収容先の施設で自殺未遂を繰り返す犯人に生きる気力を与えるといった真似は回想を含め一切しておらず、その後の展開を描いたというケースもほとんどない。


命日編集

原作ではピアノソナタ月光殺人事件は小五郎の言及によれば、ゴールデンウィーク中の2日間に渡って連続発生し、成実はその2日目に亡くなっている。

正確な命日は不明だが、5月4日生まれである新一の誕生日に非常に近い事になる。


コトヤマ編集

2017年4月に青山剛昌2億冊突破記念で少年サンデー作家が青山作品キャラのイラストを描く企画が行われた。ほぼすべてが『名探偵コナン』、『YAIBA』の主要キャラで埋められる中、『だがしかし』の作者・コトヤマはただ一人、成実の全身画という異質なイラストを投稿。お祝いコメントもほぼ成実というキャラの感想になっており、色んな意味で存在感を放っていた。


イタリア版編集

イタリア版の吹き替え版では成実の正体は「麻生ヨウコ」という女性となっている。

麻生圭二の長女で、死亡した弟の成実の名前を捩った名前を名乗っていたという設定になっており、兄妹姉弟に代わり生存した方も入れ替わっていた。


まさかの同日放送編集

成実が登場した『ピアノソナタ『月光』殺人事件』は2021年にアニメ1000話記念として、リブート版が前後編放送されている。

前編は3月6日に放送されたが、この日はフジテレビ系で放送されたアガサ・クリスティ原作の『死との約束』(脚本は三谷幸喜氏が担当)も放送されており、『ピアノソナタ』の結末は後編(3月13日)ではあるものの、結果として『コナン』では唯一推理後に犯人が自殺したエピソードと犯人が推理後に自殺した作品が同日に放送される形となった



関連タグ編集

名探偵コナン 麻生成実 女医

江戸川コナン

ピアノソナタ『月光』殺人事件 名探偵コナンの犯人

???:同じく女装して、女性のふりをしていた犯人繋がり。こちらは劇場版限定の黒の組織のメンバーであり、浅井成実と比べ遥かに冷酷非道な性格である。また、この人物は男性声優が担当しているが、コナン以外の作品を含めても男性声優が女性を演じる事はほとんどない為、映画を見る前にパンフレットを見て犯人が分かってしまったファンもいた

佐伯航一郎:こっちは金田一少年の事件簿の『秘宝島殺人事件』の犯人。女装した女性そっくりの男性という共通点がある。(ドラマ版では最後に死亡したという点も共通している)。

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