「じっとしてられないんです ちょっとでも可能性があるなら……」
プロフィール
概要
『ワールドトリガー』の主人公の一人。ボーダー玉狛支部所属B級三雲隊隊員のスナイパー。
人物像
小学生と間違われるほど小柄な体格で、アホ毛が立っているのが特徴。
非常におとなしい性格で、自分より他人を気遣う。過去のトラウマから他人に助けを求めず、自己犠牲的な行動を取ってしまいがちである。
周囲はその傾向を危惧しており、いざという時に自分の身の安全を優先した行動を取れるよう、意識改革を行なおうとしている。
三雲修とは兄の雨取麟児が家庭教師をしていた事から親交のある幼馴染みであり、同じ中学校に通っている。修がボーダーへ入ったのは近界民から狙われている彼女を守るためだった。
狙撃手訓練で親しくなった絵馬ユズルからは恋愛感情を抱かれているが、23巻現在彼女はユズルのことを友達としか思っていないようだ…。
詳しくは戦闘能力の欄で記述するが、黒トリガー級と称されるほど、桁外れのトリオン量(ボーダー隊員で最高値の人物のパラメータ上およそ3倍、実数値は更に上とも)の持ち主。
活躍
幼少期~ボーダー入隊
トリオン量が原因で第一次大規模侵攻以前から近界民に狙われていたが、近界民が認知される前は周囲はほとんどまともに取り合わなかった。そんな中信じてくれた唯一の友達は行方不明になってしまった。また、兄の麟児も半年前に行方不明となる。
そんな中、修から遊真を紹介され、自身が持つ膨大なトリオンと兄や友人がまだ生きている可能性がある事を知った事からボーダーへの入隊を決意。
修と遊真の協力の元、3人ともB級になったら修がリーダーのチームを組み、A級昇格と近界への遠征部隊を目指すことを約束した。
ボーダー入隊に当たって、狙撃手を目指すことに決め、所属先の玉狛支部にて木崎レイジから狙撃手の基礎を教えてもらう。
レイジは当初小柄で身体能力も高くない彼女を甘く見ていたが、日がな1日打ち続ける集中力・持久力・トリオン量を目の当たりにした事で評価を改め、正式入隊までの間に本来はB級昇格後に教える事も含めた本格的な指導を行った。
大規模侵攻編
第二次大規模侵攻では出穂や他のC級隊員と共に一般人を避難させていたが、途中でラービットに狙われる。
トラウマによって動けなくなるが周囲を守ると一念発起し、アイビスをぶっ放してラービットを半壊させる。
しかし、これによりアフトクラトルに「金の雛鳥」として目を付けられてしまい、終盤戦はハイレインにキューブ化された彼女を巡る争奪戦の様相を呈した。
決着後は林藤支部長の提案を受け、修と遊真が大規模侵攻で得たポイントを特別に千佳のポイントへ移動させることでB級へと昇格し、修たちと正式に玉狛第二を結成する。
(なおこれは、「千佳ほどのトリオンを持つ隊員には、(B級から支給される)緊急脱出トリガーを持たせておくべき」と言う上層部、主に鬼怒田さんの意見による特例措置である)
B級ランク戦編
B級ランク戦では莫大なトリオン量に物を言わせたアイビスの砲撃で注目を浴び、順調に勝ち上がるが、地形破壊と隠れている相手の燻り出しに専念していたために二宮をはじめとしたB級上位陣に「人を撃てない」という欠点を見抜かれてしまう。
二宮隊・影浦隊・東隊との試合で惨敗を喫した後、ユズルから鉛弾の使用を薦められたことで活路を見出した。迎えたROUND5では鉛弾ライトニングを初披露し、周囲を驚かせた。
ROUND6で樫尾に狙われた際には、その場でジャンプをすることでワイヤーの存在を匂わせたり、王子にはハウンドを視線誘導で足下に撃ち込んで目眩ましとした隙に姿を隠したりなど、機転を利かした行動が見られた。
ROUND7では大玉のメテオラでショッピングモールを半壊させ、更にはその爆撃で奥寺を撃破、小荒井の足も削ってしまうという、千佳にとって忌避すべき「人を撃つこと」を偶然ながらも行ってしまう。
恐れていた事態に青ざめるものの、直後に修や遊真によるフォローが入ったことで気を持ち直し、その後、再びメテオラによる爆撃を行い、ショッピングモールを全壊させて東隊を追い詰め、自主的にベイルアウトさせることで生存点を獲得した。
人を撃ってしまうというアクシデントはあったが、千佳本人はそれに尾を引かれることもなく精神的にも安定しており、翌日の焼き肉屋でも米を4杯ほど平らげるなど、元気な様子を見せていた。
だがその夜、ヒュースに本当は人を撃てるのではないかと問いかけられた。(同じく人が撃てない鳩原未来は人を撃った時には吐いて寝込むという明確な拒絶反応を見せていた)
それが切っ掛けで、自分が本当は人を傷つける事が怖いのではなく、傷つけた事を誰かに責められるのが怖い(ボーダーが出来てからも孤軍奮闘していたのも、誰かに責められたくないという思いが原因だった)事、自分の余りあるトリオンで無双すれば周りがどう思うかを気にしていた事、ゆえに自分が人を撃てる状況は逆に撃たなかった事を責められる状況であるという事を自覚し、そのことをレイジと栞に告白した。
レイジと栞の励ましもあって自己嫌悪から復帰した後は、改めて修たちの役に立ちたいと決意した。そして、作戦会議では修たちに「次の試合はふつうの弾も撃つ。」と宣言した。
そして、ROUND8の最終局面では修を狙う辻新之助を通常弾のアイビスで撃破する事で援護(この時辻はシールドは勿論物理的にも防御しており、鉛弾だったら防がれていた)。その後現れた犬飼澄晴は「ナイスキル」と彼女を称賛した上で二宮隊の1位を確定させるため撃ち抜いた。
自分達の試合が終了した後は仲良くなった先輩である日浦茜の戦いを見届け、茜が旅立つ日も那須隊や出穂とともに見送った。茜が出穂を自身の後任として那須隊に推薦した時には「出来ると思う」と言って、出穂を後推しした。
遠征選抜試験編
遠征選抜の事前アンケートでは、レイジと出穂はアンケートの選択肢になくて選べず、那須隊は遠征を希望していなかった。そのため、普段仲良くしている面子の中ではユズルのみを一緒に行きたい人として指名していた。一緒に行きたくない人は誰も選ばなかった模様。
チーム組み分けでは第2プールで二宮に指名されたが、ギョッとした様子。その分第3プールで仲良しのユズルが指名された際には人目をはばからず手を振って喜びを表現していた。
閉鎖環境試験では米好き故に個人の持ち込みコンテナにコンテナに入るだけの米を持ち込んでおり、これを見た二宮も焼き肉の時にも米ばかり食べてたと発言していた。
戦闘シミュレーション演習では2日目と3日目は2位と1位と好調であったが、4日目では何故か苦戦を強いられている。
その理由は千佳のユニットのスキルに攻撃時に行動力を1ポイント余分に消費する『戦闘経験不足』と、ユニットを動かす為の行動力が12とかなり低いことから、動かし方によってはターンの早い段階で行動力が尽きてしまい、ターンの後半では動けなくなってしまうという大きい弱点があるからである。
ゲーマーである国近からは「他が派手で気付きにくいけどゲームシステムと合わせて考えると致命的」と言われており、国近と同じくゲーマーで、部隊それぞれに与えられている対戦相手の部隊のユニットデータで、ユニットに関する情報が部隊ごとにランダムで隠されている虫食い状態であったが、古寺6番隊とのデータ共有で、古寺隊の二宮8番隊のユニットデータを見れたことで千佳のユニットの詳しいデータが見れた香取からは「ゲーム的にはかなり弱キャラなんじゃないの」と言い、「ターンの前半を敵の攻撃をスカして、後半だけ戦うようにすれば勝ちゲー」言って、ターンの前半を防御と回避に専念して『行動力』を温存するように設定をしておけば、ターンの後半の戦闘では人数勝ち出来ると言う攻略法を言った。二宮8番隊に対する包囲網を作ろうと他の部隊との共闘をしようとした古寺と二宮隊の負けを増やそうとした水上によって、他の部隊も二宮隊のデータを共有出来たことで、他部隊も千佳のユニットを徹底的に狙っている。
本人も苦戦の理由が自分であると自覚しているが、どうすればいいか具体的な対策が出せない状態であり、二宮が遠征選抜試験を利用して千佳や絵馬の若手を鍛えると言う考えから、自分では細かい指示は出さなく状況を見て自分で考えて動くように言っていたことで、千佳に任せる方針を取っている。そのため二宮からのフォローが無いことから、審査役のA級隊員からもこのままだと千佳が潰れると懸念されている。
9試合が終了して戦績が1勝4敗4引き分けで責任を感じてしまい落ち込んでいたが、試合が休みのタイミングで二宮から「なにか気づいたことはあるか」と聞かれ、自分ではどうにも出来ないと謝るが、二宮からは2日目に自分が言った「細かい指示は出さない」「自分で考えて動け」と言う方針に隊員が従ってる限り、責任は命令を出した隊長の自分にあると言われる。だが、千佳は自分の役目は自分でちゃんとしたいと言う。それを聞いた二宮は自力で解決しようとするのは良い心がけだと前置きを言ってから、自分の手に余ると感じたのなら事態が悪化する前に誰かの手を借りるべきだと言われる。
東から試験は『現状何ができないのか』『どこに問題があるか』を知るためにあると言われて、だから今回、遠征に行く前に自分自身の問題点が1つ分かったのだから、これでいいと言われ、千佳がするべき事は遠征までにこの問題点を改善させることだと言われた。その後加賀美から他の人にどう動いて欲しいかあるかと聞かれると、はいと答える。そして10試合めの相手がユニットのデータ共有をしてなかった村上10番隊でもあったことから無事勝利を得られた。
4日目は二宮8番隊と水上9番隊に注目して見ていた上層部からは、城戸司令は二宮や東と同じく遠征先でトラブルきなった場合1人で抱え込む性格だと問題があると懸念しており、『試験』のうちにそれを改善してもらう必要があると言われた。
戦闘能力
大型銃・アイビスを使用した大砲型狙撃手。
その戦闘員としての性質を表すなら「超莫大なトリオン量」の一言に尽きる。
どれほどかと言えば、彼女の入隊前までボーダー隊員トップのトリオン量を誇った二宮匡貴が「14」であるところを千佳の数値は「38」。しかもこの数値すら正確に測れていないらしく、実際の数値はもっと高いとされている。
二宮の攻撃も見るからに他のトリガー使いとは別物の威力、規模を誇るが、千佳のそれは最早同じ規格の兵器を使っているのかすら怪しく思えるほどで、計測結果は黒トリガーレベルと言われる。
その膨大なトリオン量により訓練用のトリガーでさえ、基地の壁に巨大な穴をあける程の破壊力が出せてしまう。
言ってしまえばトリオン量の寡多とは「トリガーを使う才能」そのものであり、特に威力上限を使用者のトリオン能力に依存しているトリガーを使う場合、その性質が極めて大きく発揮されることとなる。
ランク戦では、主に破壊力が使用者のトリオン量によって上下させるスナイパーライフル「アイビス」を使用。MAP兵器の如き威力で一撃で戦場を地形ごと動かしているが、その破壊力と派手さゆえに撃つ度に居場所がバレてしまうという狙撃手としては大きな欠点も抱えており、また巻き込む範囲や周囲への被害にも気をつける必要が有るため、一応スナイパーとしてはメリットばかりというわけでもない。
加えて、B級ランク戦編では「人を直接狙えない」という致命的な欠点を抱えていた。
後に、狙撃手の合同訓練で知り合った影浦隊の狙撃手・絵馬ユズルから、彼の師匠で千佳と同じく人が撃てない狙撃手だった鳩原未来がかつて考案した「ライトニング+鉛弾」の組み合わせを教わっている。この組み合わせによって人を直接狙って狙撃が出来るようになり、ランク戦でも相手を狙って狙撃が出来るようになった。
しかし本当は撃てない訳ではなく、「撃ったらどう思われるか」を気にして撃ちたがらなかっただけだということをヒュースの指摘で自覚した。
黒トリガー級の豊富なトリオンで戦術やらなにやら全てをなぎ倒す自分が周りにどう思われるか、それを気にして撃てなかっただけである。
「ライトニング+鉛弾」の組み合わせに関しては、鉛弾は本来、重くなる効果にトリオンをごっそり使っているので、射程が短い上に弾速が非常に遅く長距離狙撃には向かないトリガーだが、狙撃手用のトリガーの特徴として銃本体の構造によって射程は保証されており、「トリオン量に応じて弾速が上がる」という性質を持つライトニングと組み合わせての狙撃により、千佳の膨大なトリオン量で、鉛弾の使用により本来落ちる弾速を無理やり底上げし、狙撃として遜色ないレベルの弾速で撃ち出す事を可能としている。
鉛弾自体は対象の行動を阻害するためのもので殺傷能力がないため、千佳でも人を撃つ事ができるという点や使用時にはバッグワームを解除するのでレーダーに映ってしまうが、アイビスを使う時よりも目立たないと言う点でも相性が良い。また鉛弾とハウンドを同時に使用する事でシールドを使う事は出来ないが、攻撃手などに接近された際のカウンター技としてランク戦などで使用している。
ちなみに千佳のアイビスから発射された鉛弾は触れた相手に重石を取り付けるというよりも、被弾者を中心に四方八方に展開した巨大な重石で浮かすと言った方が正しい表現である。もっとも、鉛弾とアイビスそれぞれの性質が合わさる事であまりにも弾速が遅くなり過ぎるため、鉛弾の組み合わせ実験で試した際には、標的役を勝手出た出穂ですら、その弾速の遅さから「実戦じゃムリ」と即答しており、実戦で使ってもまず当たらない、生身の一般人でも目視で回避余裕なレベルとなってしまう。
アイビスでの大砲を中心に描写されていたためあまりイーグレットやライトニングでの狙撃描写がなかったが、ROUND5にてスパイダーでこけた香取をすぐさま狙い撃ちしたり、遊真がグラスホッパーで打ち上げた巴を撃ち抜いたりなど、入隊数カ月にして既に一定のレベルにまで達している。
彼女のB級昇格は上層部と玉狛の裏取引によるものだが、B級ランク戦編の訓練では狙撃手の昇格条件である「上位15%(を2週間キープ)」にギリギリ入っている。
また、ROUND5の香取隊・柿崎隊とのランク戦からはイーグレットに替えて銃手・射手用トリガーのハウンドをセットしており、鉛弾と組み合わせることで相手に接近された時のための切り札としている。
ROUND7でランク戦のマップが市街地Dであり、バッグワームでの隠れ合いになった時のためにメテオラを装備しており、膠着状態を打破するべくメテオラを始めて使用した時には分割せずに使用した為、たった1発で大型ショッピングモールを半壊させる程であった。ただ、射手用の射撃トリガーは使用者のトリオン量に比例して出現するキューブが大きくなる仕様であるため、莫大なトリオンを持つ千佳の場合、キューブの大きさ故に居場所を特定されやすく、相手の狙撃手にとって恰好の的になり得る。加えて、威力があり過ぎるために一歩間違えると自分や味方を爆発に巻き込んでしまう恐れがある。実際、ROUND8では発射しようとしたメテオラを弓場隊のスナイパーである外岡に狙撃されてその場で爆発させられ、危うく遊真もろとも脱落しかけた。
パラメーター
トリオン | 攻撃 | 防御・援護 | 機動 | 技術 | 射程 | 指揮 | 特殊戦術 | トータル |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
38 | 2 | 5 | 3 | 6 | 8 | 1 | 1 | 64 |
彼女を超えるトリオンは現状黒トリガーのみなのでノーマルトリガーの枠組みではトップ。
トリガーセット
メイントリガー | サブトリガー |
---|---|
アイビス | バッグワーム |
イーグレット→ハウンド | FREE TRIGGER |
シールド | シールド |
ライトニング | 鉛弾 |
※ROUND7と8ではメテオラも装備。
副作用(サイドエフェクト)
「門」の出現やそこから現れた近界民(人型・トリオン兵共に)を察知できる。
さらに、心を空にして気配を消し、自らの位置を悟らせないようにすることもできる。
警報が鳴るよりも先に敵の出現を察知することができ、同時に出現した方角も察知できる。また、気配を消すことに関しては、トリオン兵の探知を掻い潜れるほどであり、かなりの能力の高さを示している。「敵感知・気配を消す」の2つで1つの能力なのか、千佳の並外れたトリオン能力によって2種類の能力が発現したのかは明らかにされていない。
ランク戦でこの副作用が使用された形跡はない。本人が意識的に封印しているのか、対近界民専用なのかは不明。
関連イラスト
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B級以降
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木下ひなた - 中の人が同じキャラクターで14歳の中学二年生、アホ毛、キャラクターイメージがりんごと共通点が多いキャラクター