作中での表記は『界境防衛機関「ボーダー」』が一般的である。
概要
漫画『ワールドトリガー』の作中に登場する防衛機関。
近界民の侵攻に対抗し、「こちら側の世界」を守るために設立された民間組織。近界民の技術を独自に研究し、その侵略行為から街を守る事を主な業務とする。現在の最高司令官は城戸正宗。
公にその存在を明かして活動するようになったのは、民間人に多大な被害を出し世界から近界民の存在が認知された4年半前の「第一次大規模侵攻」発生以降。現在の本部はその復興の際建設されたものである。
それ以前からボーダーに所属していたメンバーは、現本部司令の城戸、本部長の忍田、支部長の林藤を筆頭とした玉狛支部の一部の隊員に限られており、本部上層部を含め、その構成員は現在の本部が建設されて以降に加入した者が大半を占める。
また公になる前のボーダーは旧ボーダーと称される。
故人であるが、遊真の父有吾と、迅の師最上も旧ボーダーの一員であった。現在は両名とも黒トリガーとなっている。
派閥
現在の組織内は一枚岩ではなく、近界民に対するスタンスの違いから、大まかに3つの派閥に分かれている。
- 城戸司令派
「近界民は絶対許さないぞ主義」の強硬排除派。最大派閥。遠征に積極的な姿勢を見せているため、近界民自体へのスタンスとは関係なく遠征目的で城戸派に所属している隊員も存在。
主な隊員:太刀川隊、冬島隊、風間隊、三輪隊、二宮隊、天羽月彦など
「街の平和が第一だよね主義」の専守防衛派。隊員の3分の1が所属。
- 玉狛支部派
「近界民にもいいヤツがいるからなかよくしようぜ主義」の友好派。少数精鋭の異端派閥。
なお、どの勢力も「三門市を近界民の侵略から守る」という至上の目的は共通しているため、黒トリガー争奪戦のような特例を除けば、表立った派閥争いは行われていない。
中には加古隊や影浦隊などの派閥に属さない部隊も存在している。
支部
それぞれ玉狛支部、鈴鳴支部、綿鮎支部、弓手町支部、早沼支部、久摩支部。
基本的には、週2回行われるランク戦に出られない、つまりA級を目指さない隊員たちが所属しており、仕事や学業などを優先できる。
玉狛支部以外は地域住民の窓口にもなっている。
運営
政府の支援を受けていない独立した民間組織であり、運営資金を主にスポンサーから調達していることや人員を近隣の住民(主に学生)から募集しているのもあって、市民からのイメージを大切にしている。一般的な隊服のデザインを威圧感を与えないジャージスタイルにしたり、広報担当の部隊が存在していたりする。
また三門市に存在する2つの高校、1つの大学と提携を行なっており、隊員の防衛任務の都合を付けやすい体制が整えられている。双方にボーダー隊員専用の推薦枠も存在する。
一方、三門市内での数は少ないながらも、アンチボーダー的な組織、人間が存在する事も作中で示唆されている。
活動内容
近界民撃退
最も分かりやすい基本業務。第一次大規模侵攻以来、散発的だが近界からトリオン兵が送り込まれ続けているため、座標操作によって出現位置を本部基地周辺の警戒区域に誘導し、正隊員達がシフトを組んで逐一撃退して回っている。
トリガーの研究開発
専属の研究チームが行っている業務。新しいトリガーを製造したり、隊員達が撃破・回収したトリオン兵の解析などを行う。
近界遠征
遠征艇に選抜試験で選ばれた隊員を乗せて近界の調査を行う。
機密事項であり、第二次大規模侵攻以前は世間には公表されていなかった。
近界民との交流
第一次大規模侵攻以前、現在の玉狛支部をボーダーの本部として活動していた「旧ボーダー」時代の主要業務。
現在は一部捕虜等の例外を除き、ボーダー本部が画策しての近界民とボーダー隊員との友好的な相互交流は完全に停止状態にある。
所属者
本部上層部
CV:桐本琢也
本部司令。ボーダー最高責任者。
42歳独身。身長178㎝。9月1日生まれ。おおかみ座のO型。
旧ボーダー創設時から所属。近界民を憎み、ボーダーを大きくすることに心血を注ぐ。
強硬排除派、城戸派閥のトップ。
CV:塩屋浩三
ボーダー本部開発室長。
48歳バツイチ。身長161㎝。7月14日生まれ。つるぎ座のB型。
門誘導システム開発、本部基礎システムの構築、ノーマルトリガーの量産など重要事項を数多く成し遂げた功労者。作者曰く「偉そうだが偉そうにするだけの実績がある」。城戸派。
CV:島田敏
ボーダーメディア対策室長。
39歳独身。身長167㎝。6月2日生まれ。うさぎ座のA型。
あらゆるメディアに対応する敏腕スポークスマン。三門市にアンチボーダーの組織が少ないのはこの人のおかげ。城戸派。
CV:竹本英史
ボーダー外務・営業部長。
33歳独身。身長177㎝。5月17日生まれ。ねこ座のB型。
ボーダー資金調達・対外交渉すべてを1人で裁く凄腕。
昔は悪の組織で金集めをしていたとかなんとか。この人が居ないとボーダーがとても困る。城戸派。
CV:草尾毅
ボーダー本部長。防衛部隊指揮官。
33歳独身。身長181㎝。10月16日生まれ。みかづき座のA型。
旧ボーダー創設時から所属。A級1位部隊隊長にして個人総合ランク1位の太刀川慶の師匠であり、ボーダー本部においてノーマルトリガー最強の男。
専守防衛派、忍田派閥のトップ。
CV:桑島法子
本部長補佐。
25歳。身長164㎝。7月22日生まれ。つるぎ座のA型。
元攻撃手の防衛隊員。本部長に恋心を抱いているが、任務を優先するために隠している。忍田派。
ボーダー玉狛支部支部長。
34歳。身長179㎝。11月2日生まれ。とけい座のAB型。
旧ボーダー創設時から所属。主人公たち及びその師匠たちの直属の上官でありながら、未だに謎の多い人物。
友好派、玉狛派閥のトップ。
隊員
総勢約300名の隊員を、訓練生のC級隊員、主力部隊のB級隊員、精鋭のA級隊員、黒トリガー使いのS級隊員に振り分けて運用している。
各ランクの隊員に付いては下記を参照。
S級隊員
CV:中村悠一
ボーダー玉狛支部所属の元S級隊員。現在は黒トリガー「風刃」を本部に返却したため、S級から降格し単独のA級隊員扱いを受けている。
三雲隊の三人と並ぶ、この漫画の主人公の1人。
CV:代永翼
ボーダー本部所属のS級隊員(黒トリガー使い)。
城戸派。単純な戦闘能力ならば同じく黒トリガーを使用した迅悠一をも上回り、ボーダー内最強と言われる。
一方でその戦闘を行う姿があまりに人間離れしている事や周辺の被害に対する配慮が欠如している事から、ボーダーのイメージダウンを招くとしてメディア対策室長の根付栄蔵は彼の出動に難色を示していた。
チーフエンジニア
隊員
約600名の戦闘員を訓練生のC級隊員、一般隊員のB級隊員(約100人)、精鋭のA級隊員(約30人)、黒トリガー所持者のS級隊員に振り分けて運用している。
正隊員であるA級・B級隊員には撃破数に応じて給与が出る(A級隊員は基本給も加わる)他、侵攻などの事件後は功績により論功行賞(特級~二級)としてポイント+報奨金が与えられる。
入隊希望者はまず、基礎体力テスト・基礎学力テスト・面接を受けるが、実際は会場に仕掛けられた計測器で測ったトリオン能力で判定されている。判断基準は殆どがトリオン量の寡多で決められており、基準値以上のトリオン能力を有していれば犯罪歴があったりしない限り落とされることはない。
逆に体力、学力、面接での成績が優秀であっても、トリオン能力に乏しい場合は落とされる事が殆どで、その場合はオペレーターやエンジニアなど戦闘員以外の業務に回される事もある。
受かった場合は仮入隊扱いとなり、個人の素質などからボーダーが適正と判断した訓練用トリガーが1種類支給される。
その後、1月・5月・9月の年3回設定されている「正式入隊日」にC級隊員として入隊し、ボーダー本部にてまず「入隊指導」を受ける。
なお、大規模侵攻後は入隊希望者が増大したため、入隊式は月に1度実施されるようになった。
正隊員(B級隊員)に上がるためには、自分の所持する戦闘用トリガーに設定されたポイントを「4000」まで上げる必要がある。
なお、ほとんどの隊員は「1000」スタートであるが、仮入隊時に高い素質を認められた隊員はその限りではない。
ポイントを上げる方法は「週2回の合同訓練でいい成績を残す」または、「ランク戦でポイントを奪い合う」の2つ。
合同訓練は「地形踏破」・「隠密訓練」・「探知追跡」・「戦闘」の4種あり、満点の場合各20点。
また、月に1度入隊式が行われるようになってからは、仮入隊期間が確保できなくなってしまったため、仮入隊期間での査定の代わりにバトルロイヤル方式での訓練が行われるようになった。
内容としては、1グループ5人に分かれて仮想空間で戦闘を行い、1人倒すごとにポイントが+120点されるというもの。この訓練は4試合行われ、すべての試合で全員を倒した場合、合計1920点ものポイントが加点されるため、抜きん出た実力者をより迅速に正隊員(B級)に引き上げる事が可能となった。
そこからA級隊員に上がるためには、1~4人+オペレーターで隊を作り、B級ランク戦で勝ち抜く必要がある。
このシステム上、B級には部隊を組んでいない単独の隊員が存在するが、A級に単独のまま上がることは不可能となっている。現在はS級からの降格扱いとなった迅のみが、例外的に単独でのA級隊員という扱いを受けている。
なお、隊員の多くが10代後半~20代前半だが、これはトリオン器官の成長限界が20歳前後のためである。そのため、学業との両立をスムーズにさせるべく、2つの高校(普通校の三門市立第一高等学校と進学校の六頴館高等学校)と提携している。ただし、進学の自由は認められているため、他の学校へ通う者もいる。
兵種
使用トリガーと戦闘距離により分類されており、合同訓練やランキング戦も同分類で分かれて行う。
役職は下記の通り。
兵種 | 漢字表記 | 内容 |
---|---|---|
アタッカー | 攻撃手 | 主にブレード型トリガーを使う近接戦闘ポジション。高い攻撃力を有する戦闘の花型であり、特に相手を倒す直接の役割を担うことが多い |
ガンナー | 銃手 | 銃を使う中距離戦闘ポジション。射程というアドバンテージを得る反面火力が下がる |
シューター | 射手 | 銃を使わずにトリオン弾を直接操る中距離戦闘ポジション。銃手よりも射程や命中精度で劣るが、状況に合わせて弾丸の能力を調整出来る |
スナイパー | 狙撃手 | 狙撃銃を使う遠距離戦闘ポジション。撃ち合いは想定されておらず、隠密戦闘が基本となる |
オールラウンダー | 万能手 | 攻撃手と銃手or射手を兼任するポジション。認定されるには、各トリガー6000点以上持つ事が条件となる |
パーフェクトオールラウンダー | 完璧万能手 | 通常の万能手に加えて狙撃手にも対応したポジション。荒船の定義では攻撃手、銃手、狙撃手で各8000ポイント以上持つことが条件らしい。その条件に該当する隊員は木崎レイジのみで、正式なポジションなのかは不明 |
トラッパー | 特殊工作兵 | 罠を用いて戦闘を補助する特殊ポジション。現状かなり少数 |
スポッター | 観測手 | 詳細不明。該当するのは片桐隊の尼倉亜澄のみ |
オペレーター | - | 敵味方の位置や視覚情報の補助等のバックアップを行う。各隊に必ず1名在籍 |
ランク戦
ボーダー内で行われている模擬戦。個人(ソロ)戦と団体(チーム)戦が存在する。
なお、団体戦は各チーム原則週2回行われる。
個人ランキング
個人(ソロ)戦は互いの合意の元で1対1で対決し、所持トリガーの持ち点を奪い合う。
所謂「レート制」を採用しており、所持点が自分より高い相手に勝った場合多くの点が入るが、少ない相手に勝った場合は点の入りが少なくなる。
なお、C級隊員と正隊員の対戦は原則禁止となっており、それでも行う場合は双方が合意した上で持ち点のやり取りは無しという条件が付く。
ポイントは隊員自身ではなく隊員の使用するトリガーに付随するため、複数のトリガーを使用している場合はその中で最も点の高いトリガーのポイントが個人ランクとして適用される。
各ポジションの個人ランキングは以下の通り
作中でポイントが変動している隊員は判明している最も新しい時点でのものを記載。
- 個人総合ランキング
※使用トリガーの中で最もポイントの高いトリガーを比較して算出。使用全トリガーの合計値にした場合の1位は木崎レイジ。
- 攻撃手ランキング
順位 | 隊員名 | ポイント | トリガー | 備考 |
---|---|---|---|---|
1位 | 太刀川慶 | 45961pt(18巻) | 弧月 | 個人総合1位 |
2位 | 風間蒼也 | スコーピオン | 個人総合3位 | |
3位 | 小南桐絵 | 弧月 | ||
4位 | 村上鋼 | 12042pt(11巻) | 弧月 | |
5位 | 不明 | |||
6位 | 生駒達人 | 11177pt(18巻) | 弧月? | |
米屋陽介 | 9825pt(11巻) | 弧月 | ||
緑川駿 | 9721pt(11巻) | スコーピオン | ||
辻新之助 | 8393pt(18巻) | 弧月 | ||
荒船哲次 | 8266pt(11巻) | 弧月 | ||
笹森日佐人 | 7452pt(18巻) | 弧月 | ||
三浦雄太 | 7402pt(18巻) | 弧月 | ||
小荒井登 | 7280pt(18巻) | 弧月 | ||
奥寺常幸 | 7188pt(13巻) | 弧月 | ||
熊谷友子 | 7119pt(11巻) | 弧月 | ||
空閑遊真 | 5172pt(11巻) | スコーピオン | ||
影浦雅人 | 4780pt(13巻) | スコーピオン |
※影浦雅人は、罰則のペナルティによる減点10000ptを差し引かれた上で4780pt。
※一条雪丸は、6位の生駒と順位を争っているという記述があるため5位か7位のどちらかだと予想される。
- 銃手ランキング
- 射手ランキング
- 狙撃手ランキング
※絵馬ユズルはポイント不明だが中学生組トップであると明言されている。判明している中での中学生の最高位は緑川駿の9985pt(93話)。
- 万能手ランキング
※万能手のランク算出方法は不明。
B級ランク戦
B級ランク戦(団体戦)は、2月、6月、10月の年3回、3カ月かけて行われる。
順位に合わせて上位・中位・下位の3グループに分けられ、同じグループの3~4チームが一同に会して戦う。対戦カードは暫定順位に合わせて逐一組まれ、最終的に1~2位の隊には、A級への挑戦権が与えられる。
対戦の模様は、本部の専用会場で実況中継され、支部のモニターにも放送される。
実況は他の隊のオペレーターが行い、さらに解説として非番の隊員2名が呼ばれる。
ちなみに、この実況は武富桜子がその必要性を熱心にプレゼンした事で後から作られた制度であり、解説のキャスティングも彼女によるものとなっている。
基本ルールは以下の通り
- 敵の隊員を撃破した場合+1点。トリオン漏出過多で脱落した者については「もっとも多くダメージを与えた」と判定された隊に点が入る。
- 時間内に決着が着いた場合、生存者がいる隊に+2点。なお、点数は何人残っていても一律で、時間切れの場合はどの隊にも点が入らない。
- 任意の緊急脱出は「半径60m内に敵の隊員がいない場合」に限る。なお、範囲内に隠密中の敵隊員がいた場合は失敗となり、エラー表示がされる。脱出に成功した場合、他の隊へ点は入らない。
- ステージ選択権は、対戦する中で最も順位の低い隊に与えられる。様々な傾向のステージが用意されている他、天候・時間も指定可能。
- ステージ毎に戦闘区域が指定されている。なお、境界線に見えない壁などは用意されておらず、任意・事故問わず範囲外へ出てしまった場合は強制脱出となる。
- 制限時間はステージの広さに合わせて45~60分の間に設定される。
- 戦闘開始時、各員の転送場所は全てランダム。ただし、一定距離以上の間隔は空けられている。
なお、個人戦・団体戦共に対戦の様子は全てムービーで録画されており、隊員は各自の端末(スマートフォンやパソコン)で自由に視聴可能である。
トリガー
ボーダーが近界民の侵攻に対抗するために不可欠な武装。
詳細はリンク先を参照。
旧ボーダー
元々は近界民との交流をしていた組織であり、現在の玉狛支部が旧ボーダーの本拠地であった。
メンバーは当時19名。玉狛支部が使用しているエンブレムが旧ボーダーのエンブレムであり、また、方針も旧ボーダーのものである。
3つの近界の国と同盟を結んでいたのだが、本編開始より5年前、同盟国の1つが敵国に襲われるという事態が発生。同盟を組んでいた旧ボーダーはこの戦線に加わった。
玄界に戦火が広がる前に何とか敵国は押し返したものの、この戦いにより10名が死亡。何名かが黒トリガーとなった。
因みに、玉狛が使用するエンブレムの上側に存在する3つの丸が、それぞれ同盟関係だった近界国家を表している。
城戸司令が怖い顔になって今のボーダーに繋がるような方針を進め始めたのはその頃からであったという。玉狛支部の面々の殆どは旧ボーダー出身。
詳しいことは162話ショックも参照。