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Brexit

ぶれぐじっとぶれぎじっと

Britainとexitを組み合わせた造語。イギリスの欧州連合離脱を指す。2016年6月23日の国民投票で離脱を選択した。
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概要編集

イギリス欧州連合(EU)離脱を表す造語。

2016年6月23日に国民投票が行われ、離脱が多数票を獲得した。2020年正式に離脱。


経緯編集

先の大戦の反省から欧州を政治的な地域統合体として一体化を目的に成立した欧州連合(EU)。EU内では関税を撤廃して、人・物・カネの移動を自由にした。イギリスも主要な加盟国であった。

しかし、リーマンショック後の景気後退、ギリシャ金融危機などの後始末に欧州各国で足並みが揃わず、各国の負担の格差に不満が増大。EUの共通の法律や規制に対する不満も表面化。さらに移民の増大によって貧困の格差、労働者や失業者の問題が拡大し、公共福祉対応も追いつかなくなった。そしてアラブの春ISIL問題でアフリカ中東からの難民が急増し、イスラム過激派テロリストが難民に紛れて侵入してテロを起こす懸念も高まった。

これらの問題を背景に、欧州各国でナショナリズムが目立ち出し、2013年にイギリスのデビッド・キャメロン首相はEU離脱を問う国民投票の実施を公約、2016年2月に投票日(6月23日)が決まった。

6月に入って残留派議員が離脱支持者に暗殺される事件が起こり、残留支持の勢いが高まり、国内外でもEU残留の予想が多かった。


米中が揃って残留支持派の為、日本や欧州を含めた大半の国のメディアは残留支持の報道が多かった。しかし、結果は残留票47%に対し離脱票51%の僅差で離脱が決定した。


イギリスの反応・影響編集

EU残留派だったキャメロン首相は辞意を表明。離脱派の指導者・ボリス・ジョンソン前ロンドン市長が次期首相に有力視されたが、批判の高まりに与党・保守党の党首選立候補を辞退、7月14日、テリーザ・メイ(キャメロン内閣内相・EU残留派)が保守党党首に選ばれ首相に就任した。

7月4日、EU離脱派の英国独立党ナイジェル・ファラージ党首が辞意を表明。「EUへの拠出金をイギリス国内の福祉に」と訴えていたが、EUへの拠出金を過大に示し、実際には不可能な金額を福祉に充てるとした事実が発覚した。


残留票が多かったスコットランド北アイルランド、首都・ロンドンではEUに残留するため、イギリスから独立しEU加盟を求める声が上がっている。更に離脱派が多かったはずのウェールズでも、同様にイギリスから独立してEU加盟を求める動きが急浮上するなど、連合王国解体への動きも見られる。離脱決定後のイギリス国民の間では残留派が巻き返しており、離脱派の公約の撤回や実現可能性への疑問など、投票やり直しの声も上がっているが、キャメロン首相(当時)は投票やり直しを行わないことを明言した。


為替市場では英ポンドユーロが売られた。イギリス国債の格付けは最上位のAAAから2段階引き下げられた。7月6日、ポンド安の影響でドル換算のGDPでフランスに抜かれる。


選挙を経ずに成立したメイ政権は反発もあり求心力も低かったことから現状打開の総選挙に打って出たが保守党は多くの議席を落とし過半数割れ、北アイルランドのユニオニスト政党の民主統一党(DUP)と閣外協力とかえって悲惨な状況になった。


北アイルランドの問題編集

イギリスの構成国北アイルランドの離脱後の地位を巡る問題。離脱に対する最大のハードルであった。

過去の北アイルランドは同一民族であるアイルランドとの国家統一を求めるナショナリストと連合王国の構成国としてイギリスとの統一維持のユニオ二ストとの争いがあり内戦状態となっていた。これの問題の集結としてベルファスト合意が結ばれ事態は沈静化、さらに英愛両国がEU加盟国なため移動の自由、経済活動の自由など一体化が進み帰属を巡る争いは減っていった。

しかしイギリスがEU離脱を決めたことから眠っていた問題が噴出、離脱後現在のような平和が脅かされる可能性が出てきた。

イギリスがEUと離脱した場合もちろん構成国の北アイルランドも一緒に離脱となる、しかしその場合アイルランドとの物理的な壁などの国境を作らなければEUからの人と物の流入を止めることが出来ない。アイルランドは引き続きEU加盟国なため人と物の自由な移動を制限することが禁止されている、なのでアイルランド経由でイギリスに入国出来てしまう。

だが物理的な国境を復活させた場合自由な移動が制限されアイルランド統一を求める声が高まりIRAなどテロの脅威や住民同士の衝突が危惧される。

ならば北アイルランドは特別な地域にして国境を復活させないとすればいいかと言えば違い別の問題がある、イギリスの統一問題である。国境は復活させず北アイルランドに限り人と物の自由を認めた場合EUからの流入を防ぐために北アイルランドと他の地域の往来で国境が生じてしまい北アイルランドが連合王国から切り離されてしまう。

残念ながらアイルランドとの自由な往来と北アイルランドの連合王国としての統一は両立する事は不可能である。どちらか一方しか選べずそもそも選ばないことで和平を保っていた、どちらを選んでも反対派からは絶対に受け入れることが出来ない問題なためベルファストの合意で生まれた和平の崩壊がある。

この二者択一の問題にイギリス政府はナショナリスト側の案、つまり北アイルランドを特別な地域にする事を選んだ。北アイルランドはEUの関税地域に残り通関の国境はアイリッシュ海に引かれた。

危惧された事であったが和平崩壊までは起こっていないものの不満を持ったユニオニストの不満が爆発し暴動が起こっている。


EUの立ち位置

加盟国アイルランドの立場に立っておりベルファストの合意から続く和平を守るため北アイルランドを特別な地域にする事を求めている。


イギリス政府の立ち位置

メイ、ジョンソンと離脱を優先するために北アイルランドを特別な地域、もしくは一時的に特別な地域に適用することでEUと合意した。

しかし国は二分されているため法案が通らずカオスとなった。


各国の反応・影響編集

アメリカ編集

バラク・オバマ大統領は残留を支持して企業も同様の傾向があったが、離脱決定後はイギリス国民の意思を尊重すると発言。ドナルド・トランプ氏は離脱を支持し、離脱決定を賞賛。

尚、トランプは残留派の多いスコットランドで離脱派会見を行い、その無神経さが非難を浴びることとなった。

オバマは離脱するとTTIPが滞るので残留を支持した。

その次の大統領であるトランプは国力の劣るイギリスとの二カ国での優位な経済協定を求めているので残留派に対する攻撃、離脱派を煽るとイギリスの国政にツイッターで介入した。

ジョー・バイデン大統領は離脱の決定を尊重し、またベルファスト合意遵守をイギリスにもとめている。当選前のBBCのメディアに‘I’m Irish’(私はアイルランド系だよ)と短く返したエピソードがあるが自信がアイルランド系である事が大きい。


中国編集

習近平は残留支持派。混乱の影響でEU向け輸出が滞って中国経済悪化の可能性があり、ユーラシア構想が実現困難となり、さらに台湾チベットウイグルなどの独立推進派を勢いづかせる可能性もあり、中国としては困る要素が多い。

また、AIIBの崩壊にも繋がる方向になることから残留を支持した。


日本編集

安倍晋三首相や経済界を含めて残留を支持した。

日本時間24日昼頃に開票結果の大勢が判明し、同時間帯に唯一開いていた先進国の金融市場である東京証券取引所では日経平均株価が1286円33銭(7.92%)下げ、値幅では史上8位、率では史上9位の暴落。

為替市場は円高、ポンド安に大きく動いた。1ドル=106円台から一時99円台へ。1ユーロ=121円台から一時109円台へ。1ポンド=160円台から一時133円台へ。1ポンド=1.50ドルから一時1.33ドルへ、1ユーロ=0.76ポンドから0.83ポンドへ。

7月14日現在、株価は16500円台に急騰、円も1ドル=104円台を推移しているが、イギリスの政情不安に対する懸念は払拭されておらず、今後の動きも注目されている。


ドイツ編集

アンゲラ・メルケル首相はイギリスに追随して離脱が相次ぐEU崩壊の懸念から、残留を支持していたが離脱決定により、イギリスの時間稼ぎを許さない方向にシフトを変えている。但し、極右政党・ドイツの為の選択肢は移民排斥とEU離脱を支持しており、2017年の総選挙での躍進が懸念されている。


フランス編集

オランド大統領は残留支持だが、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首は離脱を支持しており、2017年に行われるフランス大統領選挙において「大統領に当選したらEU離脱の国民投票」を行うことを選挙公約に加えている(その後撤回)。


ロシア編集

ロシアプーチン大統領は、他の指導者とは一線を画して、離脱を支持しているものの公には出していない。

イギリスが離脱すればEUが弱体化し、ウクライナ侵攻遺体する対露制裁も弱まって、うまくいけばEUがロシアに対抗できない勢力になることを目論んでいる。事実、ラジオスプートニクの報道では完全に離脱支持を明言した。


イラン編集

イランロウハニ大統領は声明を発揮していないが、パールス通信の報道の傾向だと英国のEU離脱を支持した。


EU編集

移民の流入制限は厳格にし、経済政策は他のEU加盟諸国と同等の利益をできるだけ確保しようとするイギリスに対して冷淡な動きを見せており、懲罰の意味も込めたイギリスの一刻も早いEU離脱を求めている。


離脱を巡る混乱編集

そして、2017年(平成29年)3月12日に、英国のデーサービスEU離脱担当相がBBCのインタビューにて、2019年3月頃に英国のEU離脱すると述べた。


リミットの迫った2019年01月にイギリスのEUからの離脱の条件を纏めた協定案が英国議会で230票という歴史的な大差で否決、その後も2度に渡って否決となりイギリスは混迷を深めた。この歴史的な否決の背景は離脱派からは結局EUのルールに縛られる、残留派からはそもそも離脱に反対なため成立すると離脱が決まってしまう、DUPからは北アイルランドを仲間外れにしているといった理由から来ている。

一時は合意なき離脱で行くと思われたが土壇場で延期が決定、2019年10月末まで伸びた、求心力のなくなったメイ政権は強硬な離脱を主張していたジョンソンへと政権が交代、しかしそれでも離脱の協定案は議会を通過せず。

この状況を打開するため下院は解散総選挙となった。

2019年12月12日の総選挙で過半数を超える議席を取り勝利した保守党率いるジョンソン政権は2020年1月末の離脱を宣言した。

過半数の議席を有しているため、以後は離脱交渉はスムーズに進み2020年2月1日離脱した。


詳しい記事はこちら


離脱後編集

イギリス・EUが協定を結んだ事もあり大混乱は避けられた、というより新型コロナウイルスの流行で離脱以外で社会が混乱になったためイギリスの人手不足など離脱に生じる問題が起こるよな状況でないと言える。

ワクチン政策では独自政策を打ち出したイギリスがEUより成功しているため悪いこともあるが良いこともあるといえる。

離脱後に起こった問題

  • イギリスでは魚介類を大陸に売っていたが関税手続き復活により鮮度が悪化、漁場は取り戻したが売り先は手放す状況になった。また新鮮な野菜の輸送が出来なくなったためスーパーでは品切れなど物不足も起こっている。
  • 北アイルランドではそもそも離脱協定案がアイルランド統一派寄りの内容であるためユニオニストの不満が爆発し暴動が発生した。
  • 離脱後イギリスの金融会社の資格をEU側は保証していないためロンドンの相対的地位が下がった。

関連項目編集

Grexit Greece+exit ギリシャのユーロ圏離脱。2012年6月のギリシャ議会総選挙の結果、ユーロ圏残留を選択した。

Bremain Britain+remain イギリスの欧州連合残留。Brexitの対義語。

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