概要
『ウルトラマンZ』第21話のサブタイトル。脚本は鈴木智、監督は武居正能。
2020(令和2)年11月21日放送。
ウルトラシリーズひいては特撮作品における定番の『過剰な防衛戦力の投入による防衛組織の激震』という一大事件で、『Z』の物語の後半編における大きな転換点(ターニングポイント)となったストーリーである。
D4自体の説明については異次元壊滅兵器D4を参照。
次回予告
地球防衛軍により開発された対怪獣用新兵器“D4”!
凄まじいその威力に、兵器の使用に反発するハルキ達!
そんな時、厄介な怪獣 ケルビムが現れた!
次回、ウルトラマンZ。「D4」
ウルトラ増えるぜ…!
ナレーション:ウルトラマンゼット(CV:畠中祐)
登場怪獣
あらすじ
東太平洋上の中ノ島実験場にて地球防衛軍による対怪獣最終兵器の爆破実験が行われた。その兵器とは殺し屋超獣バラバの角を基に開発された異次元壊滅兵器「D4」であり、その威力は実験場の周囲1㎞を空間ごと消滅させるという凄まじいものだった。
実験映像を見せられたストレイジの面々が戦慄する中、クリヤマ長官は「防衛軍上層部の命令により、特空機3号キングジョーストレイジカスタムにD4の技術を応用した新兵器『D4レイ』の搭載が決定された」事を発表する。
ハルキやヨウコはその過剰な威力に懸念を示し、ユカも「異次元のエネルギーがもたらす作用が予測できない」「いくらキングジョーでも十分な運用データが無ければどんな問題が起きるか分からない」という技術的理由で使用に反対するが、クリヤマは「防衛軍上層部はD4の威力がアンダーコントロールだという見解」「搭載作業後に試験射撃を行うことでデータを収集する」と語る。
ハルキは「自分たちだけでも怪獣は倒せる」と主張するが、クリヤマは「我々はウルトラマンの助けで怪獣を撃退できているに過ぎない」「ウルトラマンは不確定要素であり、いつ彼が地球を去るか分からない」と応える。
当のウルトラマンであるハルキはなおも食い下がるが、ヘビクラに制止される。更にクリヤマが「自分も本音ではD4レイ使用に反対だが、決定事項なのでどうする事も出来ない」と頭を下げた事で何も言えなくなってしまう。
要件を伝え終えたクリヤマは胃痛を訴えながらストレイジ統合基地を去ろうとするが、その途中で保安課のアサノ・タケシとすれ違う。アサノは左目を光らせ、不気味な笑みを浮かべていた……
特空機の格納庫には既にGAFJから派遣されたユウキ・マイが現れ、バコさんの制止も聞かずにD4レイの搭載を終えていた。戸惑うハルキはウルトラマンゼットに相談するが、地球人の意志を尊重するゼットは「地球人が自力で怪獣を倒せるようになるのは良い事」「力を持つか否かは地球の人類が決める事だ」と応え、ハルキに「自分がどうしたいか」を問いかける。
一方、中ノ島実験場に突如として隕石が飛来。その正体はD4のエネルギーに引き寄せられて現れた宇宙凶険怪獣ケルビムだった。更にケルビムはストレイジ統合基地目掛けて飛行を開始、ヘビクラはキングジョーとウインダムでの迎撃を命令するが、そこにクリヤマが現れ「防衛軍総司令部の決定により、キングジョー単独で出撃し、D4レイを実戦投入せよ」と高圧的な口調で命令する。当然ハルキは反対し、D4レイの技術的信頼性に懸念を抱く整備班もユウキと口論を繰り広げていたが、ケルビムの狙いがD4だと睨んだヨウコは、その危険性を承知で出撃を強行する。
統合基地の周囲には更に多数の隕石が降下し、飛来したケルビムの発した重力波によって孵化・増殖を始めてしまう。ヨウコの不利を悟ったハルキはウインダムでの出撃を主張するも、様子のおかしいクリヤマはそれを退けD4レイでの攻撃に固執する。遂に激怒したヘビクラは「作戦の指揮権は自分にある」と主張し、ハルキの出撃を許可した。
キングジョー、ウインダムは多数のケルビムに襲われ苦戦を強いられる。ハルキがウルトラマンゼット アルファエッジに変身し、キングジョーとの連携攻撃で一匹のケルビム撃破に成功するも、空からは更に多数の隕石が降り注いでいた。しかし、ユカが大気圏外のデブリ帯にケルビムの繁殖を指揮する「マザー」の存在を発見した為、宇宙へ行けないキングジョーは地上に残り、ゼットがマザーの対処に向かう事になる。
宇宙空間で超巨大なマザーケルビムを発見したゼットはデルタライズクローに変身して立ち向かう。一方、地上ではケルビムが増殖を続け、ヨウコが窮地に追い込まれていた。
統合基地ではクリヤマがなおもD4レイ使用を命令し、ユウキもそれに同調する。ヘビクラは命令を拒絶し続け、ユカは早くゼットが戻ってくるよう祈っていたが、嘲りの表情を浮かべたクリヤマは「ウルトラマンは戻ってこない」と断言する。
ゼットはベリアロクの力でデスシウムスラッシュを発動、マザーケルビムを八つ裂きにして撃破した。しかし、無数のケルビムの火球を浴びてキングジョーは絶体絶命だった。クリヤマはヘビクラを押しのけ、狂喜に満ちた口調でD4レイ使用を命令する。そして、死への恐怖と葛藤で壮絶な表情を浮かべたヨウコは、遂にD4レイの引金を弾いてしまう。
発射されたD4レイはケルビムの群れを瞬時に消滅させたものの、同時に凄まじい規模の次元崩壊が発生。キングジョーは駆動系に大ダメージを受けて機能停止し、街は周囲の空間ごと破砕され消滅しつつあった。駆け付けたゼットがゼスティウム光線を照射して崩壊を食い止めたものの、次元崩壊の中心にいたキングジョーとヨウコは大爆発に巻き込まれ、かろうじてゼットに助け出された。
結果としてケルビムは殲滅され、街も巨大なクレーターを残して消滅したものの、住民の避難が住んでいたため被害は最小限で済んだ。その様子を見たヘビクラは「確かにD4レイはアンダーコントロール(コントロール未満)だ」と皮肉を吐いたが、クリヤマは意にも介さず満足げに帰っていった。一方、ユウキは「ウルトラマンのあの力があれば……」と更なる力への羨望・欲望に満ちた言葉を漏らしつつ、狂気を帯びた笑みを浮かべていた。
その後、ストレイジ全隊員を格納庫に招集したクリヤマは「今回の作戦で作戦班、整備班が総司令部の命令に従わないという重大な事案が発生した」と主張。それを理由にストレイジの解散を発表する。隊員たちが驚きと失意、怒りに包まれる中、ヘビクラは「ヘッ!」と反抗的な呟きを漏らすのだった。
余談
D4の実験が行われた中ノ鳥島は、明治時代に太平洋上・日本の最東端に位置すると報告されたが、その後の調査で存在を否定された、実在しない幻島である。なお、この空撮シーンは寒天を用いたミニチュアが使われている。しかもなんとウルトラマンネクサスの異形の海以来15年ぶりの技術である(参照)。ミニチュアの映像は次回作『ウルトラマントリガー』第6話でサタンデロスが上陸した映像として流用された。
関連タグ
叫ぶ命…ウルトラマンZ第12話のサブタイトル。こちらはZの物語前半編における大きなターニングポイントとなった一話である。