概要
本来であれば、カンパニーロゴの表示後に物語の導入を促すオープニングデモムービーが始まるが、ごく稀に起こるとされる『電源投入直後に現れるはずのロゴが表示されないままで黒い画面が数秒続き、直後に赤の古印体で記された「すぐにけせ」の文言で画面が埋め尽くされる』という怪奇現象を指す。
検証
その1
この話題は、巨大掲示板群『2ちゃんねる』のオカルト板に立てられたスレッド「ゲームにまつわる怖い話」527番で語られたものを原典とする最有力説があり、以下はその抜粋である。
友達が真・女神転生2(SFC)やってた時の話。夜中に電源入れたら、
メーカータイトルも出てこないでまっくらな画面のまま。
で、「接触不良?」って思っていたら、真っ黒な画面いっぱいに
「すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ」って赤い文字が
びっしり現れたんだって。
そいつ、それから一切メガテンやらなくなった。
上記の書き込みでは、この現象が『真・女神転生Ⅱ』で起こったことを示しており、巷に流布している一般説での『真・女神転生』との間に食い違いが生じている。これを原典と仮定すると、現在の一般説は伝聞の誤りによって作品が入れ替わったものが定着したと推測される。
その2
数年後、レトロゲーム板のスレッド「レトロゲームの恐いバグ 2シーン目」32番に問題のプログラムに携わったと自称する者からの投書があり、以下はその抜粋である。
懐かしい・・・そろそろネタバレしてもいい時かな。
それを仕込んだの、おれです。もう一人のプログラマとグルになってやりました。
当時、いわゆる「隠し要素」を取り入れるのが流行っていた時代で、女神転生というタイトルにふさわしいものを、と、メインには黙ってやっちまいました。
最初は1/256に設定していたんですが、これだと結構な率で発生してしまって面白くない。
そこで1/65536に。初期ロットが出たすぐ後に見つかって修正されましたけどね。
今ではいい思い出です。
発売から約10年を経てようやく発見されたこの怪奇現象が「実はプログラマによる作為的な隠し要素である」とする回答の形態を取っているが、このうち「1/65536という低確率設定」が遭遇率の厳しさを、「発売直後に発見されて修正」が世間に出回った初期ロット版の希少さをそれぞれ物語っており、詳細な解説に反して確信を得られない内容となっている。
また、この書き込みでも一般説にある『真・女神転生』でのプログラミングは明示されておらず、単に「女神転生というタイトルにふさわしいもの」とだけ記されているため、正確にどちらの作品で隠し要素を仕込んだかは語られていない。
余談
この都市伝説がインターネットを介して広く浸透した頃、NHKの深夜帯情報番組『MAG・ネット ~マンガ・アニメ・ゲームのゲンバ~』が準備号として2010年3月7日に放送した『MAG・ネットβ』の中帯コーナー「まぐステ」で取り上げられた。
※この動画は検証動画ではなく再現動画であり、実際の怪奇現象を撮影したものではない点に注意。
しかし、ニコニコ動画の有志によって作られた再現動画をあたかも実在の怪異のように紹介した挙句、ATLUS関係者への電話確認の様子まで放送する、即ち「嘘を嘘と見破れなかったNHKが嘘を真実として流布してしまう」珍事的内容となった。
ところが、当のATLUSはこの都市伝説を逆手に取って販売戦略に組み込み、2012年発売のスピンオフ作品『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』で正真正銘の隠し要素として逆輸入した。これは、フライングプレイに対する警告をファンサービスに転換した開発スタッフのお遊びで、コンシューマ機の内蔵時計をソフト発売日前に設定することでも意図的に起動できる仕組みとなっており、条件を満たしてゲームを開始すると画面下部のインフォメーションバーに
「聞いた?」
「深夜に電源の落ちたテレビを見つめていると、まだ発売されていないゲームの画面が映るんだって。」
という噂話が表示され、その後に
すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ すぐにけせ(中略)すぐにけ「ギャーーー!!」
と続く。
また、翌年の2013年5月に発売された『真・女神転生Ⅳ』発売に際しても、販売提携を結んだ21社のうち16社に各購入店舗限定特典を用意する販売形態を取り、その1つであるメディアショップ『GEO』の購入特典として付随した消しゴムの帯裏面デザインに「すぐにけせ」を採用した。
この「すぐにけせ」ネタはペルソナ5でも確認されており、物語の序盤に竜司とSNSでチャットで会話する際、主人公のセリフ選択肢に「すぐに消せ」がある。
「すぐにけせ」のようなもの
HOS
『機動警察パトレイバーtheMovie』で登場したOSで、画面を「BABEL」の文字で埋め尽くす演出があり、ゲームボーイ版ではこれを再現した裏技がある。
サンダーフォースV
テクノソフトの代名詞となったシューティングゲーム『サンダーフォース』シリーズのうち、シューティングゲーム史に一石を投じた第5弾『サンダーフォースV』で登場。
ラスボスに限り、エリアボスとの戦闘直前に各種分析情報を表示するアナライザーが全て「Unknown(分析不能)」としか答えられず、演算処理の過負荷に耐えきれずにバグを起こしつつも想定外の危険をプレイヤーに伝えるべく、赤文字で記された「ALERT!(警戒せよ)」の文字で画面を埋め尽くす。
資料映像(24:55~)
銀魂
アニメ版205話「食事はバランスを考えろ」で登場。
警察庁特務機動部隊『真選組』で監察を務める山崎退が、ある事件を追って張り込みを続けていた20日目以降に精神を病み始め、満30日目で遂に漫然とした日々に耐えきれず精神崩壊を迎えた際、凄まじい心の闇を垣間見せた。
資料映像(01:34~)
ニンジャスレイヤー
とあるエピソードで突然文中を侵食するかの如く表記される謎の「罪罰罪罰罪罰罪罰…」がある。
デジモンストーリーサイバースルゥースハッカーズメモリー
必須クエストの1つ『YHS☆428』のクエストの締めとして、当該クエストの黒幕・哀れな少女が赤い文字でひたすら笑っているシーンが挿入される、詳細はダゴモンを参照
UNDERTALE
虐殺ルートのラストシーンにて。
赤文字で記された「999999999」のダメージ数値で画面が覆い尽くされる。
資料映像(03:57~)
※UNDERTALEのネタバレ注意
ビッグモーター副社長構文
社内連絡用のLINEメッセージの内容が「教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑死刑教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育教育」というもの。
うさぎパズル
ゲーム途中画面内に出てくるボタンを押して放置、見知らぬ場所に来たら右を押しっぱなしにする。すると…
すぐにけせの文字が大量に現れたと共にうさぎが…
そして「背後にとても嫌な気配がする」という同作者の別ゲーに飛ぶ。
長くなるので説明は割愛する。
結論
いずれも話題の出処は2ちゃんねるであるが、上記の隠し要素を含むとされる最初期版のロムカセットを解析し、これが真実であったとする報告例は皆無であり、そもそも2ちゃんねる自体が「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」(西村博之・談)とする不文律を明示しているため、あくまでも検証が極めて困難でありながら幾ばくかの真実性を帯びた噂話、いわゆる都市伝説の域を出ないものである。
ただし、女神転生シリーズを作り続けているATLUSでは作品の開発が始動すると決まって不可解な事故や災難が頻発した事実があり、今でも関連タイトル開発の際は必ずスタッフ全員で日蓮宗寺院・法明寺が管轄する『雑司ヶ谷鬼子母神堂』へ参拝して受ける厄払いを伝統としているため、直接の因果関係こそ不明とは言え女神転生が取り扱う世界観と相まって弥が上にも真実味を与える役割を果たしている。
ところが、渦中の『真・女神転生』開発から26年目となる2018年、女神転生シリーズの始祖『デジタル・デビル・ストーリー』シリーズから開発に携わり、ゲームの根幹となる設定を担当したゲームクリエイターの鈴木一也が「すぐにけせ」にまつわるインタビューに応じたところ、
「巷の噂はデマ。当時のプログラム担当者に確認を取ったから間違いない。ただ、完全なデマとは言い切れず、実は2作目に『すぐにけせ』を表示するプログラムを仕込んだ事実はあった(要約)」
と驚愕の真相を明かし、15年に及ぶ「すぐにけせ」論争に
- かつて『女神転生Ⅱ』に「すぐにけせ」を仕込んだのは真実
- それを『真・女神転生』に仕込んだとする巷の都市伝説は嘘
と開発首脳の証言で終止符を打った。
【衝撃】真・女神転生の都市伝説「すぐにけせ」の真相が判明 / 開発者が話す開発秘話