生存フラグ
せいぞんふらぐ
生存フラグの例
(主にファンタジー作品で)戦闘で追い詰められる
不思議な力に目覚め、生き残る。ただし、主人公とその周辺の最重要キャラにしか適用されない限定的なフラグで、特に親友や師匠などの場合はむしろ壮絶な最期を遂げる死亡フラグである可能性が高い。
主人公クラスとて無事では済まず、力の暴走や記憶喪失などのデメリットを被ることも多い。また、別に勝利が約束されるわけではないため、その時付き従っていた従者などは普通に死亡したりする。
強力な攻撃を受け、爆煙に包まれる
「やったか!?」と言われたらまず確定という強力な生存フラグ。
大抵余裕で突っ立っているか、多少はダメージを受けるも反撃に転じる契機となる。そのまま攻撃した側が絶望に苛まれ、死亡フラグを立たせる所まで行くことも少なくない。
ただし、これは敵方にも適用されがちなフラグであり、その場合は高確率で味方側に死亡フラグが立つことになる。
また、「覚えていろ!」などといいながら逃走し、再戦フラグに繋げるというパターンもある。
敵に敗北するも、止めを刺されない
理由が「気が変わった」とか「殺すには惜しい奴だ」などといった感情論ならばさらに強化される。
例えその際に瀕死の重傷を負っていたとしても、次回にはしっかりと回復しているはずだ。
ただし、年齢指定が入る作品では死ぬより酷い目に遭う場合もあるので必ずしも命が繋がったから良いという話でもなかったりする。
物語冒頭での、明らかに格上の敵との戦闘
いわゆる「負けイベント」で、何かと理由を付けて放免されやすい。
特にラスボスクラスが子供を襲った場合はまず間違いなく成長を待ってくれる。
この効果は時間経過と共に薄れてゆき、概ねストーリー中盤には消失する。ただし、作品によっては新章の開始をこのイベントで飾っていることもある。
これも敵方にも適用されがちなフラグで、敵から見たラスボスである主人公と早い段階で対峙しておくと、後々パワーアップして再登場できたり、寝返って正義の味方になれたりと、その後も長い付き合いに発展できる可能性が高くなる。
前者の「パワーアップして再登場」する例はガーランド(ファイナルファンタジー)、後者の「味方になる」例はクロコダイン(ダイの大冒険)など。
処刑前に猶予が与えられる
「最後に何か言い残すことはあるか?」などと聞くのがテンプレ。機転を利かせて反撃に出たり、仲間の増援が到着したりする。
「来るな!近づくとこいつを殺す!!」などと処刑と引き替えに何らかの要求を図った場合も同様。
『走れメロス』のように捕まっている人間自身が交渉によって妥協策を勝ち取ることもある。
封印される
ファンタジー色のある作品や対象年齢の低い作品を中心に見られる。
子供が見るのでむやみに死亡シーンを描けない、ストーリーが過度に暗くなりすぎるのを防ぎたいといった大人の事情が絡んでいることも。
人間やそれに準じた知性を持つキャラクターの場合、上記「牢などに放り込まれる」に準じた扱いで、その封印は最終的に解かれることが多い。少なくとも封印された状態のまま殺害されることはほとんどない。
特に魂をn人分集めて生贄にするといった儀式の場合、遅くともそれが実行される直前までには阻止される。
とは言えほとんどの場合そのタイミングは敵の幹部クラスを倒した後であるため、ストーリー上の扱いは死亡退場した場合とそう変わらなかったりする。
悪役や怪獣の類の場合、基本的に二度と解放しないことを前提に封印する。ただし、「殺せないので封印するしかない」という消極的な理由が付けられていることも多く、特にシリーズ物では次回作での復活フラグになる可能性も同時に生まれたりもする。
虐殺
悪役の中にはたった一人を殺す・捕まえる為に無関係な人まで皆殺しにしようとする輩が定期的に出てくるが、モブキャラを何人殺そうとも、肝心のターゲットにはまず逃げられる。
基本的に「たまたま不在だった」とか「犠牲者達が身を挺して逃がしてくれた」といった主人公補正を見せ付けるエピソードに終始するが、稀に「自分だけが助かりたいが為に他の人を盾にした」といった主人公側も外道だったというオチが付くことも。
当てはまる人物の中には、かのイエス・キリストもいる。
「こいつ(自分)が死ねば良かったのに・・・」
誰かから強い恨みを買うパターンと、身代わりを買って出るほどの尊敬を集めるパターンがあるが、いずれにしろ彼らの思いは成就しない。
後者レベルになると、主人公補正と言うよりむしろ「死ねない呪い」と解釈されるケースも出てくるが・・・
一見役に立たなさそうなアイテムを持っていく
そんな物であっても重要な場面で役に立つ場合がある。コインなどの硬いものは銃撃戦の前に胸ポケットへ入れておくと吉。
だが、その効力は一度きりであり、なおかつ守ってくれたことを自慢すると今度は死亡フラグに転じてしまう。
一応、それが控えめであるなら「あの時のお守りが守ってくれた」といった感じに生存フラグの効果が復元されることも。
成功率が極端に低い手術・必殺技など
それに「今までに一度も成功したことがない」や「最後の手段」などが加われば成功率は確定クラスになる。むしろ「失敗する可能性は低い」とか「確実に成功するだろう」「簡単な手術だし問題ないよ」など、成功率の高さが強調される方が危ない。
概ねこの手の確率は反比例するものと考えてよい(成功率1%を宣告される→実際は99%)。
命中自体は容易だが反動が大きい諸刃の剣なパターンもこれに準じる。
「二度と戻れない」と言われる場所へ突入する
危険なダンジョンの類に主人公が挑戦すると、巧みに脱出方法を編み出し初めての生還者になるのが常である。
ただしサブキャラ以下の重要度のキャラが同じことをすると、普通に帰らぬ人となる。
過去の失敗から、上司からプレッシャーを掛けられた悪役キャラ
失敗続きの悪役キャラが、これ以上の失敗を許さない上司から激しいプレッシャーを掛けられると生存するケースが多く、中には光落ちして善玉キャラになることもある。
恋人からの呼びかけ、キス等
時に愛は瀕死の人間を生き返らせるほどの力を発揮する。『白雪姫』などもこの範疇か。
ただし、クライマックスで行われた場合、そこでシーンが途切れて生死不明なままエンディングを迎えることもある。そういった場合
A「本当に死んじゃったのかなあ」
B「バカ野郎。あいつが死ぬわけねえよ」
といった流れで締め括られる。
乗るはずだった飛行機・列車などに乗り遅れる
乗る予定だった便が事故に遭い、結果的に難を逃れる。特に急いでいる時に些細なトラブルに巻き込まれたり、やけに犬などのペットが絡んでくるとその可能性が高まってくる。
アニメや映画だけの話でもなく、実際にも明石家さんまが同様のシチュエーションを経験している(逆のケースとして、いつも乗る会社の便が満席で、仕方なく別の会社の便に乗ったことから事故に遭遇してしまった坂本九もいるが)。
ただし、主人公が予知能力を持っていた場合は例外で、死の運命に次々と晒される死亡フラグになり得る。例:ファイナル・デスティネーション
「幸運艦」の類に配属される
史実で言う戦艦長門・駆逐艦雪風のライン。例え味方が負けてもその艦だけは必ず生き残ってきたという性質の持ち場を指す。
ただし、それら以外の艦からすれば一緒に出撃するだけで死亡フラグも同然なため、割と紙一重の分の悪い賭けとも言える。配置換えなどもってのほかである。
また、あくまで「運」とは結果論であるため、戦争が続く限り死亡フラグは立ち続ける。現に同じく「幸運艦」の名を冠しながら終戦を迎えられなかった船だって何隻もいた。
新兵器・珍兵器で攻撃される
敵側が「今週のビックリドッキリメカ」的な物を繰り出してきた場合、むしろ通常攻撃以上に生存率が高くなる。
そんなもので初見殺しされても何の感慨も生まないので、解析して対策を練る展開にした方が確実に熱くなるというご都合主義が働くため。
新兵器のトンデモ度が高ければ高いほど確実な生存フラグとなり、互角に渡り合えるようになってくるとメインキャラからも脱落者が出る危険が生じ始めるという反比例を描く傾向にある。
連載物で、死をほのめかした状態で回を跨ぐ
敵の攻撃が迫ってきて絶体絶命!→つづく、というのが代表的なパターン。
バラエティ番組などで「この後、予期せぬ事態が!」といったセリフの後にCMを挟んで視聴者の期待感を煽るのと同じで、次回も視聴してもらうためのマーケティング上の手法に過ぎないことが多い。
実際には普通に逆転できたり、シミュレーション上の話だったりする。
物語大詰めで直面する大問題
「ラスボスが遺していった爆弾を自力で解体しなければならない!」など。ここまで来て死人を出しても後味が悪いだけなので、基本的に被害を回避できる。
死亡フラグを立てすぎる
次はコイツが死ぬぞ、という期待感を煽っておいていつまでも殺さないことで、他のキャラが死ぬ時の意外性をもたらす作者の罠だ。
メタ発言
登場人物が死亡フラグの概念を理解していたり、「こ、ここまでか……」などと死期を悟った場合、少なくともそれが原因で死ぬ可能性は大幅に下がる。
理由はもちろんその通りにさせてたら物語が終わってしまうから。
存在そのものが生存フラグな人たち
主人公
死んだら物語が終わってしまうので、少なくとも正史においては死なせるわけにいかない。と言うか殺す予定があるキャラを主人公とは普通呼ばない。
ただし、最終作(最終回)ではその必要が無くなるため死亡またはそれに準じた状態となる場合がある(「主人公の死」が「最終回の上手い締め方」と解釈された時代さえある)。
具体例を挙げると滅茶苦茶強い宇宙恐竜が現れたり敵のモンスターから子供を庇って犠牲になる、突然現れた過去に倒したはずの敵が自爆しようと目論み皆を守るために爆弾に突っ込んで行く、はたまた今までの戦いとは無関係な一介のひったくり犯に刺されるなど。
主役が複数いたり、子供を作っていたりすると更に危険。物語の途中であっても「主人公の交代」という一イベント扱いで容易に話を続けられてしまうからである。
逆に、作品・主人公が高い人気を誇っていて「主人公の死で終了」というオチが大不評だった場合、それを外史に格下げして続編で何事もなかったかのように復活する事もある。例:車寅次郎
ラスボス
主人公同様、存在が物語の目的に等しいため、どんなに死亡フラグを立てようともまず死なない。推理物などアリバイ工作として自ら死亡フラグを立て回ることさえある。
ただし、役回りが倒されることである以上、その保証はクライマックスまでにはほぼ確実に消失する。もっとも、自害したり第三者によって殺害されたりと必ずしも主人公の手にかけられるとも限らないが。
ヒロイン・ペット・マスコット・ネタキャラ等
別に物語上必須でないが、殺す必要性も薄いため、客寄せパンダ的に最後まで出ずっぱりになることが多い。
たとえ作者が許しても、編集やスポンサーが許さないというケースもしばしば。
マイノリティー
異民族・障害者・同性愛者等。居なくなるとその属性を持つ視聴者がごっそり離れる可能性がある上、下手な殺し方をすると差別問題に発展する恐れもあるためやはり温存されがちである。
他との複合である「紅一点」や「面白黒人」などはそれだけでほぼ勝ち確と言われるほどの強力な生存フラグとなっている。
逆に言うと、メイン格に複数の女性がいる作品では普通に女性の退場者も出るように、メジャーになればなるほど死亡率が上がっていくというある種のジレンマを抱えてもいる。
また、バトル物かつ心身共に健康な場合、「○○族の意地を見せてやる!」的な理由で死に急ぐキャラもしばしば出てくる。
コメディの登場人物全般
単純に笑えないためまず死なない。むしろ即死級のダメージを食らってナンボという風潮さえある。
ただし、「この人でなし!」式に死亡と復活を繰り返す世界観も存在するため、他とはかなり異なる理由で油断は禁物である。
異能生存体
→当該項目参照。
生存フラグの「フラグクラッシャー」
死亡フラグとは異なり、生存するかと思われたキャラクターが予想を裏切って死んでいったというケースが語られる事は殆ど無い。
これはそんな事をしても誰も得をしないというマーケティング上の理由と、死亡フラグは回避しても次があるが、生存フラグは基本的に一度折れるとそれっきりという演出上の理由がある。
例えば「架空戦記」というジャンルは基本的になんでもアリの大乱闘であるが、それでも駆逐艦雪風は異能生存体であり、沈まないことを前提とした駆け引きをするのがお約束である。その方が圧倒的に画になるからだ。
これに反した展開をあえて期待するのは、そのキャラがよほど嫌われている場合か、もしくは人の死を見るのが好きな物好きくらいだろう。
正史から外れるメディアミックス作品やクロスオーバー作品であっても、「原作では死亡したキャラクターが生存する」ケースは非常に多くとも(例:スパロボ補正)、逆は圧倒的に少なく、数えられるほどしかいない。
これも原作で生きていたキャラクターを不用意に殺してしまうと、そのキャラが果たしていた役割も一緒に消えてしまい、代わりの展開を全てオリジナルで用意しなければならないという非常にリスキーな状態に陥ってしまうからである。
ただし、ゲーム作品においてはプレイヤーが敵陣営を操作できる(=敵が主人公)場合があり、そのストーリーが原作に準拠していると正史では負けていた戦闘に勝利して結果的に生存フラグを折れる事がある。
根本的なストーリーの違いで生死が変わるというケースはあり、例えば『ロックマンエグゼ』シリーズの敵キャラクター・Dr.リーガルは、『ロックマンエグゼ5』(ゲーム)では記憶喪失となりながらも生存するが、鷹岬諒版(漫画)ではフォルテに、アニメ版ではデューオに殺害されて死亡している。