「フフッ かわいい駒ちゃんはこうして使うのよ」
CV:遠藤綾
概要
第2話で声のみで登場。ノットレイダーの女性幹部。同話にて、地球に出向いていたカッパードに状況説明を求める形で初登場する。
赤を基調とした、セクシーで露出度の高いへそ出しハイレグレオタード型コスチュームを纏っており、天狗をイメージさせる髪型と仮面が特徴。また、天狗の団扇のようなものを所持しており軍配として使用している。
その名の通り、プライドが高い自信家であり、部下をただの「駒」としか観ていない冷徹な策略家。無茶で危険なことでも何の躊躇もなく部下に命じるタイプ。
しかし自分の「駒」を適当に使うことはせず最大限効率的に使うことを目指していることもあり、部下達の中には自分が「駒」であることに誇りを持って彼女のシンパとなる者も多い。
また、第10話にて追撃の断念にノットレイ達が疲弊していた事をあげており、印象ほど部下を消耗品の様に無下には扱っていない。
プリキュアたちの事は「お子ちゃま」として見下しているが、これはプリキュアたちがいかに恵まれた環境にいるかを自覚していない事へのある種の苛立ちでもある。
ノットレイダーは母星を理不尽に奪われて失った挙句に闇に追いやられて誰からも見捨てられた悲劇の難民たちをルーツとする。生きる場所を奪われた者たちにとっては誰かから奪うことでしか生きていけない。その現実を肌感覚で理解することができないプリキュアたちのことを「親からの愛情を当たり前と思い込んでる小さい子供と同じようなもの」とテンジョウは看破しているのだ。
(なので、ノットレイダーの立場を理解できるくらいの苦難を歩んだキュアコスモに対してだけはお子ちゃま扱いはしていない。その代わりに彼女の裏切りの経緯から偽善者と嘲ってはいるが)
「守るべき物が多いほど弱点が増える」という持論があり、実際守りたい大切なものを多く抱えるプリキュアに対してはそれらを利用することで苦戦させている。プリキュアはそれすら力に換えて困難を突破してしまうのだが、彼女自身は「持たざる者」の立場にいる故か、この持論を取り下げる気配は一向に無い。
戦闘能力
知略に長けた軍師であり、統率した兵士を使う戦術を行使する。データに基づく陣形を構成させる手腕は確かだが、予測と異なる変速技は苦手と推測される。プリキュアと直接拳を交えることは避けており、個人の戦闘能力は未知数。
毎回の戦闘では撤退判断が早い傾向があり「その時々の勝ち負け」にこだわらない。勝敗は兵家の常というところか。
ダークネストによる強化後
「あおれ団扇よ! 膨れろ、歪んだイマジネーション!」
また、第12話でノットレイダーの首領であるダークネストより力を与えられた事により、軍配として使用している天狗の団扇がパワーアップ。
ネガティブな思いに囚われている人間の「歪んだイマジネーション」を増強させることで、対象の人物を巨人型のノットレイに変貌させることができるようになった。(アイワーンのダークペンのような「ポジティブな思いを強制的に闇に染めてネガティブにする」ことはできない)。
ただし、素体となった人間のネガティブな思いが深いと半ば暴走して攻撃するようになり(天宮とうま、星名春吉など)、テンジョウの指示も聞かなくなる。
ノットレイを素体にすることも可能で、この場合は単にノットレイが巨大化するだけで特別な能力は付与されない。ただし、複数体を一度に巨大化させることもできるし、暴走とかはせずテンジョウの指示に忠実に動く。
作中では、第25話と第30話でノットレイが素体にされている。
巨人ノットレイに変えられた人物
話数 | 対象 | 能力 |
---|---|---|
第14話 | 天宮とうま | いつもくわえているロリポップをハンマーに変えて攻撃する |
第18話 | 星奈輝美 | 左腕に装備された三角定規による打撃、持っているペンによるインクを使った様々な攻撃 |
第22話 | 星奈春吉 | メガネからビームを発射して攻撃する |
第24話 | イルマ | 両肩の砲台から雪玉で攻撃する |
第30話 | クク | 頭の触覚から電撃を放って攻撃する |
第34話 | サボロー | 身体中のトゲをミサイルのように飛ばして攻撃する |
第36話 | ドン・オクトー | 墨を吐き出し動きを封じて触手で搦めとる |
第39話 | 観星中学校の校長 | 教鞭による打撃 |
偶然だと思われるが、第22話までここまでノットレイに変えられた人物は全員プリキュアの家族となっている。第24話で初めて地球外で出現させた。
テンジョウは思考を塗りつぶす能力が無いため、本音を引き出しやすいという脚本上の理由も大きいか。
過去
第39話でテンジョウが自分の過去を回想するシーンが描かれている。
その内容は非常に断片的なものであったが、どうやらテンジョウの母星は摩天楼が立ち並ぶ先進的な文明を持っていたのだが、その実態は超格差社会であり、彼女自身はその社会の中で下層階級に生まれた負け組……つまりはルーザーだったようだ。
ごくわずかな勝ち組が繁栄するために大多数の負け組から富を搾取する構造が固定化してしまったこの星では、負け組はどれだけ努力しても夢をつかむことはできない。
そして、その星では勝ち組が贅沢な生活を謳歌し快楽に溺れ笑い続けているのに対し、負け組はそれを羨みながらその日暮らしを耐え忍ぶしかなかった。
そのため、テンジョウは「笑顔」というものを「下のものを踏みにじり上に立ったものだけに与えられる特権」と認識しており、テンジョウが笑う時は常に自分が他者の上位に立っていると認識し相手を見下す時のみである。
つまりテンジョウにとって笑顔とは常に嘲笑のことであり、笑顔で人と人がつながるというような言説は心底嫌う。
こんな格差社会で育ったテンジョウは、平等とか公正とかいう言葉に全く共感できない。
テンジョウが部下を「駒」と呼ぶのも、上に立つものは下のものを見下すのが当然でそれ以外の上下関係のあり方を知らないからである。
なお、回想シーンで描かれた少し若い頃のテンジョウが路傍に佇む様子が、ストリートガールっぽいという見方をする声がネット上ではそれなりにある。
本編中では回想シーンについてモノローグなどもなく見る人が好きに解釈すればいいという形なのでこれについては正解はない。
本編での動向
初登場は第3話。ガルオウガの指示でスタープリンセスの力を奪う為に地球に赴き、おうし座のプリンセススターカラーペンを奪取。しかし、連携したキュアスターとミルキーの技の直撃寸前撤退する。
第4話では高性能のレーダーをアイワーンから受け取ったカッパードを制して再び出撃し、プリキュアを煙幕で分断させてフワ奪取に挑む。しかし兵士がプリキュアにダメージを与えることもできず、さらにえれなに邪魔された上に3人目のプリキュア『キュアソレイユ』に覚醒され、大量の兵士が文字通り一蹴された。
第5話ではスターカラーペン捜索のため歩き回っていると、プリキュアたちに遭遇。フワを抱えたまどかが隠れていることに気付き、彼女の変身を阻止すべく指示するが失敗に終わった。
このように最序盤の話ではプリキュアたちの覚醒のきっかけを作る役回りを果たしている。
第6話からはアイワーンも現場出撃するようになり、ここからしばらくは地球を舞台にする話ではテンジョウとアイワーンがメイン、カッパードは宇宙を舞台にする話での登場がメインという形になる。
第7話では4人が修理した宇宙船の破壊と2本のスターカラ―ペン奪取のためにノットレイを差し向けるも、前の戦いよりも結束が強くなったプリキュアにやられたために切り札としてノットレイに30人31脚をさせて攻撃をしかけるが、結果的に全滅したため作戦を練り直すために撤退した。
第10〜11話はノットレイダーの幹部3人がチームを組んでプリキュアを追い詰めるエピソード。
ダークネストの力でカッパード、アイワーンとともにパワーアップし、クマリン星と地球でプリキュアと二話に渡って戦う。彼女の従えるノットレイ軍団もパワーアップしており、キュアソレイユとキュアセレーネを打ち破り、一度はプリキュアを敗走させたが、最終的にはプリキュアたちが手に入れた新たなる力トゥインクルステッキによって敗走する。
第14話では天宮とうまの心にある「普通の家族がよかった」という闇を見いだし、さそり座のプリンセススターカラーペンを見せびらかしながら巨人ノットレイ化。パワーこそすさまじかったが、コントロールが効きにくいのとキュアソレイユの説得もあって浄化させられる。完全な薮蛇である。
第18話では新作漫画をダメ出しされた星奈輝美の弱った心を巨人ノットレイに変え暴れさせる。また幼いひかるに描いた漫画を見て馬鹿にするが「誰になんと言われようと、好きなものは好き」というキュアスターの想いに押される。
惑星レインボーでキュアコスモが覚醒した第19〜21話の連作エピソードではノットレイダーのメンバーの中でテンジョウだけが登場しなかったが、コスモの変身者であるユニがプリキュアの仲間になって地球に滞在するようになってからしばらくは、テンジョウがメインの敵として登場するようになる。
第22話では地球に来たばかりのキュアコスモと初戦闘となる。かつてバケニャーンだった彼女を裏切り者呼ばわりしつつ、家族とのすれ違いに苦悩していた星奈春吉を巨人ノットレイに変え対峙。しかしキュアスターが近づくや暴走したため困惑する羽目に。
第24話ではアイスノー星でみずがめ座のペンの争奪戦がプリキュアたちと行われる。
第25話ではユニがプリキュア仲間と心を通わせつつあることに自分で戸惑いを見せて心が不安定になっているところに、テンジョウがユニが1人で行動していたところを狙って襲撃。この時にノットレイを直接巨大化することを初めてやった。
彼女の深層心理にある新たな仲間たちから嫌われたくないという思いを揺さぶるべく、所詮は裏切り者であるあなたのことなんて誰も助けには来ないと精神攻撃を仕掛けてそれは功をなすが、なんとそこへ他のプリキュアたちが「ユニが帰ってこなくて心配だったから」と駆けつけてきて、それがコスモに勇気の心を燃やして逆転につなげる。
第26話から始まった連作エピソード・惑星サマーン編ではクライマックスとなる第29〜30話で登場。第29話ではかに座のペンを保管していたサマーンの研究施設を襲い、ララの上司であるククを巨人ノットレイと化す。プリキュアとしての活動に迷いを感じていたキュアミルキーはこの時の戦いで自分が故郷であるサマーンのみんなを助けるために戦ったという気持ちは本物だとして戦う意思を取り戻す。しかし自分がプリキュアであることを話す訳にいかなかったララは、かに座のペンを取り返して自分が持っている理由を説明することができず、結果的にララがペンを奪った犯人として指名手配されてしまうことになった。
第30話ではサマーン人たちが自らの誤解でプリキュアたちを追い詰めていく様子を面白そうに傍観していたテンジョウの前に、組織を脱退したアイワーンが現れる。キュアコスモへの復讐のために協力したいというアイワーンの言葉を受け、彼女と共同戦線を張ることに。
サマーンを管理するマザーAIを乗っ取り追われるプリキュアたちをさらに追い詰めるも、ララのパーソナルAIが心を獲得し身を呈してマザーAIに反逆したことでアイワーンの計画は破綻。テンジョウは嘆息してアイワーンをお子ちゃま呼ばわりして、ノットレイを直接巨大化させてプリキュアたちに実力行使で襲いかかる。第25話でノットレイを直接巨大化した時よりも強力であることをテンジョウは自慢しており(見た目もマッシブで胸にXLの記号がついていた)、一種の切り札だったようだが、ララのパーソナルAIの気持ちを受け取ったプリキュアたちのモチベーションはいつもよりも高く、敗走することに。撤退時はテンジョウとアイワーンは互いに責任をなすりつけていた。
第34話では地球にやってきていた宇宙人の旅人・サボローの歪んだイマジネーションを感じ取って巨人ノットレイにしてしまう。このエピソードではサボローは言葉を話せないため彼が何を感じているかは誰にも証明できないという独特の構図があったのだが、この時点でサボローが「歪んだイマジネーション」を抱えてしまっていたということだけは客観的事実である。そしてこの事実は彼を傷つけたかも知れないと不安になっていたキュアソレイユの心をより苦しめることになった。
第36話ではオリーフィオの指輪を奪還するためにドン・オクトーのアジトに潜入したプリキュアたちと戦う。この話ではユニが再びブルーキャットとして指輪を盗もうとするが色々と迷いが生じているという話で、それを見透かしたテンジョウは「バケニャーンの時は食えない相手だったけど、プリキュアになってから弱くなった」と煽りユニの心を揺さぶっている。だが、他の仲間たちがそれは弱くなったのではなく優しさに気づけただけだと反論した。
第39話にてダークネストから「手段を選ぶな」と釘を差され、何らかの方法で手に入れたへんしんじゅを使いジョー・テングを名乗り観星中に潜入。変身前のプリキュアに近づいてフワを奪い取ろうと策を練る。プリキュアたちはその正体に気づかずむしろ信頼を置くようになり、作戦はかなり順調に進んでいたのだが、笑顔を大切にするえれなと接し続けることにテンジョウが耐えられなくなり(このあたりは上述の「過去」の節も参照)、フワのことそっちのけでえれなから笑顔を失わせようとする嫌がらせに固執してしまう。結果的にこのせいで正体もバレて作戦は台無しになってしまった。
姿を変えてプリキュア達を騙す作戦は他のシリーズにも見られるが、今作では比較してもかなり終盤になって行われている。もう一度言おう。かなりの終盤になって行われている。
しかし、それまで人目につかないところで行われていた戦闘行為がこの回で直情的に行われた事で第三者の目に触れたため、フワとプルンスの存在やララの正体が露見する結果となり、翌週カッパードがそれを元にしたプリキュア達を貶める作戦に利用するという役割を果たしている。
余談
モチーフと名前の由来
名前の由来はモチーフと思われる「天狗」と空の上を意味する「天上」だと思われる。
ちなみに鞍馬天狗の『鞍馬』とはヒンドゥー教のサナトクマラから転じた言葉だと言う説があり、そのサナトクマラは神智学では金星から来たとされる。
それだと天狗(てんぐ)+令嬢(れいじょう)-グレイ(宇宙人のタイプ名)でこうゆうネーミングになったかもしれない。
また偶然だろうが、河童と同様に天狗も、前作で登場していた妖怪である(はぐたんの記事の「はぐたん成長・行動記録」第30話を参照)。
中の人
演じる遠藤綾氏はプリキュア初出演である。
- 彼女の代表作といえば『マクロスF』のシェリル・ノームで知られ、既にランカ・リーを演じた中島愛がハピネスチャージプリキュア!で愛乃めぐみ/キュアラブリーを演じている事からFの歌姫コンビが揃う運びとなった。→超時空要塞プリキュア
- なお、テンジョウのデビュー戦である第4話は天宮えれな/キュアソレイユの覚醒回でもあり、敵幹部と味方プリキュアが共に初登場して拳を交える話であったが、これはマクロスシリーズ的には新旧歌姫対決だったりする。
- 今作のプリキュアでも香久矢まどか/キュアセレーネ役の小松未可子、ユニ(マオ、宇宙怪盗ブルーキャット)/キュアコスモ役の上坂すみれと艦隊これくしょん-艦これ-に出演している。(同作には他におうし座のプリンセス役の川澄綾子が、また歴代プリキュアからも中島を始め8人が出演。)→フリートプリキュア!、キュアイムヤ
- 妖怪ウォッチシリーズでも、フミちゃんとコマさんの役を演じていた。(他にも妖怪のお仲間が・・・。)→プリキュアウォッチ
映画スター☆トゥインクルプリキュア_星のうたに想いをこめて
冒頭シーンのみだがノットレイを率いてプリキュアと対峙した。
単独映画にTV本編の敵幹部が声ありで登場するのは、お菓子の国のハッピーバースディ♪のブンビー以来となる。
なお、声なしも含めればマナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレスのジコチュートリオ以来。
関連イラスト
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プリキュアシリーズ内の関連キャラ
ベニーギョ:プリキュアシリーズにおける怪人系のデザイン、ピンクの肌、赤を基調とした露出度の高いコスチューム等の共通点がある敵女性幹部繋がり
シャーキンス:天狗モチーフのプリキュア敵幹部。上記のベニーギョと同期でもある。
プリキュアシリーズ外の関連キャラ
緋扇かるら 天空(怪魔妖族):「赤を基調としたカラーリングが特徴で、女性の天狗キャラ(前者はグラマーな所も共通)」つながり。
ウルトラマントレギア:配色を除けば外見が非常によく似ている4