概要
カナダのメインフレーム社が制作したCGアニメ。正式名称は『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』。
これまで乗り物(ビークル)に変形していた『トランスフォーマー』シリーズとは違い、今回は動物へ姿を変えることが最大の特徴。そのため体格も歴代の戦士(兵士)たちに比べて小柄な者が多い。また、掛け声も「トランスフォーム!」ではなく「変身!」である。
それ以外の特徴として、
- それまでのシリーズと比べ登場キャラクターが非常に少ない(メンバーの入れ替わりはあるものの、両軍の総人数が10人を越えたことはない)。
- 人間のキャラクターがほぼ登場しない(人間の先祖となる猿人は終盤に少し登場している)。
などがある。結果として各々のキャラクターがより深く掘り下げられ、キャラ人気の面においても根強い作品となった。これらの傾向は和製作品である『Ⅱ』『ネオ』にも受け継がれている。
原語版は『BEAST WARS: TRANSFORMERS』というタイトルで、G1やアメコミ版の設定を取り入れた複雑な裏設定を持ち、シリアスな作品だった。また、本作は後にG1と地続きの世界であることが判明する。
声優について
会話が少なく、独り言すら発することなく進むカットが多かった。これに対して日本では初代のトランスフォーマーでも行われていたが、台詞の大幅な追加が行われていた。
特にビーストウォーズの翻訳版では音響監督の岩浪美和により、独特の語尾や方言の使用、原作ではセリフの無いカットでも矢継早にセリフを挟む大幅な脚色が加えられたうえ、声優たちによるアドリブの嵐が吹き荒れる凄まじいコメディ作品となった。これは後に声優無法地帯として語り継がれるようになる。
これは先の初代も同じく、日本人は無言のシーンを無駄と捉えて嫌うため、海外独特の間をへらすための措置である。さらに原語版はそれらも含めて暗いシーンが多いことから、あえて翻訳を無視した台詞を挟むことも多かった。
とはいえ無印のビーストはこれでもアドリブはかなり控えめであり、大きく脚色され始めたのは後半からである。さらにシリアスなシーンでのおふざけはほとんどなく、このギャグとシリアスの配分もまた成功要因になっていると言える。
何げに参加声優はガンダムシリーズなどで重要なキャラを演じてきた人材など、当時の目線としてはゴールドメンバーとも言える程、凄まじく良い声優を取り揃えている。
一方で、声優業界に馴染みの薄いメンバーを起用する大胆なキャスティングが行われている。特に初代はそれが顕著で
の三名が番組において活躍、特に柚木はその後声優業界に転身する程のインパクトを残していった。
そして岩波がキャスティングの肝として用意したのが、チームの中でも芸歴の長い千葉繁だった。千葉は岩波から「シロアリになってください=本家の雰囲気を少しずつ食い荒らして欲しい」と指示を受けたとされている。
G1や原語版のファンから批判も多かったが、この変更のおかげか玩具は飛ぶように売れ、一躍人気作品となった。これはタカラにとって良くも悪くも大きな成功体験となっている。これは言うまでもなく脚色を担当した岩浪美和の功績が大きかったがこれと言って特別な報酬はなく、思わず岩浪は「1億くれ」と酒の席で口を滑らせた。なお、メーカーからは冗談と思われて笑って流されてしまったという。その後、岩波は「昔からのファンの方々には本当に申し訳ない」としつつも「それでもビーストのおかげでTFシリーズを続けることができた」と弁解している。
この成功の勢いは凄まじく、有名な俳優の萩原聖人もこの作品を見ていたとされる。これは本人の口から出た言葉ではないが、高木渉曰く、冬のソナタの吹き替え版収録時、スケジュールの都合で高木の収録は別撮りになった。これを知った萩原は「高木渉さんってビーストに出ている人でしょ?会いたかった~」と漏らしていたと、他の声優に教えられたという。
また、当時の声優界では今以上に特別な目で見られていた田中敦子も、本作のファンだと語っていた。それを耳にした岩波が「これは出てもらわなくては」と最終作でオファーが行くことになった。
この成功を受けて、後の作品において岩浪美和がTFを担当した際には、同役でビースト時代の声優を起用したり、当時のネタを再現する機会が増えた。特に3Dアニメの『トランスフォーマープライム』でも、本作に出演していた声優が似たような役柄に転じて起用という形で参加しており、かつて演じていたキャラの口癖などをリスペクトしている。
続編・シリーズ
海外版ではシーズン2・3まで製作・放映され、さらに『Beast Machines(ビーストマシーンズ)』という続編まで作られた。これらは日本において『メタルス』と『リターンズ』と題され放映された。
また、和製TFとして『ビーストウォーズⅡ』や『ビーストウォーズネオ』も作られた。
海外では前日談として『Dawn of Future's Past』とその直前の『Theft of the Golden Disk』が描かれた。
また、『リターンズ』の後日談として日本では『ビーストウォーズリボーン』、海外では『トランスフォーマーユニバース』が展開された。
あらすじ
サイバトロンとデストロン、そしてユニクロンの三つ巴の戦争が終結して数百年後の未来、セイバートロン星では両者が共存し平和と繁栄の時代を築いていた。
しかし、サイバトロンが極秘に保管していたエネルゴンの源泉が記録されているゴールデンディスクを、初代メガトロンの後継者を自称するメガトロン(ビーストメガトロン)率いる一軍が強奪。エネルゴンを狙い外宇宙へと逃亡してしまう。
唯一彼らに追いつくことができたサイバトロンの探査船「アクサロン」艦長コンボイ(ビーストコンボイ)は彼らの戦艦を追跡し、ついには両艦ともに「惑星エネルゴア」に不時着。エネルゴンの影響で変身を余儀なくされた両陣営は、惑星の生物の遺伝子情報をスキャンし、動物へ変身する「ビースト戦士」となる。
登場キャラクター
サイバトロン
正義のトランスフォーマーの軍団。名前こそ同じだが、実際はG1のサイバトロン(オートボット)とは別組織で、原語版では「Maximals」。哺乳類や鳥類に変身する者が多い。原語における変身コードは「マキシマイズ!」。
…ゴリラに変身するサイバトロンの指揮官。本編の主人公。イボンコ。
…サイに変身する戦士。心優しい副指揮官。口癖は「~ダナ」。
…ネズミに変身する戦士。チームのムードメーカー。一言多いお喋りキャラ。
…ヴェロキラプトル(恐竜)に変身する戦士。元・デストロン。ダーダー恐竜。
…ホワイトタイガーに変身する戦士。サムライっぽい口調で話す。
…隼に変身する戦士。日本語版では男性だが、原語版および漫画版では女性。
デストロン
悪のトランスフォーマーの軍団。こちらも初代TFのデストロン(ディセプティコン)とは別組織で、原語版では「Predacons」。主に虫や恐竜に変身する者が多い。原語版での変身コードは「テラライズ!」。
…ティラノサウルス(恐竜)に変身する本作の破壊大帝。コミカルなアドリブの量が圧倒的だが、策略家っぷりと冷徹さも圧倒的。通称・千葉トロン。
スコルポス(CV:遠藤雅)
…サソリに変身する戦士。初代副官。おつむが弱いヤンキー気質。
…クモに変身する戦士。マッドサイエンティストな変態キャラ。
…ハチに変身する戦士。マイペースな癒し系。口癖は「ぶ~ん」。
…クモに変身する女性戦士。本作では終始悪役。
…アリに変身する戦士。メガトロンに絶大な忠誠心を持つ。口癖は「ごっつんこ」。
その他
…旧デストロン航空参謀。スパークのみの存在となり、長い時を経てエネルゴアに漂着。
ワスピーターに乗り移り、あいかわらずのニューリーダー病を発症させる。
ナビ子ちゃん(CV:柚木涼香)
…日本版のオリジナルキャラクター。デストロン陣営のサポートプログラムである。音声だけの出演なので実体はない。やたらとハイテンションで気まぐれな女の子であり、デストロンの癒し担当として全員から愛されている。
漫画版
『コミックボンボン』にて連載されたのは「セカンド」「ネオ」「メタルス」の3作品。作者は『プラモウォーズ』を描いた今木商事。
「無印」は連載ではなく特集ページ内のみだったが、こちらは緒方信。
ストーリーの根幹はアニメに沿っているが、キャラクターの設定や話の展開はオリジナル。また月刊誌連載故に登場しないキャラやゲスト扱いされているキャラも多い。
サイバトロンのメンバーは誰かしらビーストモードをデフォルメ化されている(「セカンド」はタスマニアキッドとビッグホーン、「ネオ」はスタンピー、「メタルス」はラットル)。特にキッドはかわいいと女性読者の人気を掴んでいた。
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V(ビクトリー)orZ(ゾーン)→ビーストウォーズ→ビーストウォーズⅡorビーストウォーズメタルス