概要
脳は全身の部位から集めた感覚の情報を整理し、また全身に指示を出す役割を持つ臓器である。
神経細胞(ニューロン)とグリア細胞(神経細胞以外の細胞。アストロサイト、オリゴデンドロサイト、シュワン細胞など)で構成されている。
人間の脳
人間の脳は頭蓋骨の内部にあり、大きく大脳・小脳・脳幹の3つに分けられる。外観はボクシンググローブのような形をしており、小脳は親指の部分、残りの指が大脳にあたる。脳幹は大脳と小脳の間に隠れている。
脳の大きさは男性は1350〜1500グラム、女性では1200〜1250グラム程度とそこそこ性差・個人差があるが、脳の大きい人ほど知能が高いとは限らない。人体の中でも肝臓と並び非常にエネルギー消費が激しい器官で、人間の体重に占める脳の重さは2%ほどに過ぎないが、エネルギーの消費量は18〜20%を占める。
脳は非常に複雑な臓器であり、解剖してみてもその機能はほとんど分からなかった。大雑把な機能は怪我や病気で脳を損傷した人の研究で少しずつ明らかにされてきたが、細部については依然として不明である。近年、MRIなどにより生きた脳を細胞レベルで解析するコネクトームプロジェクトによって神経細胞の接続の解析が試みられているが、得られるデータが巨大過ぎて(ビッグデータ)コンピュータの助けなしには解析が困難である。
大脳
大脳は人間において非常に発達している部分で、脳全体の8割を占める。全体的に大きなしわがあり、表面部は神経細胞の細胞体が多く集まっており灰白質と呼ばれ、深部には神経細胞の刺激を伝達する軸索が集まっており白質と呼ばれる。2つの大脳半球があり、脳梁でつながっている。思考や意識、記憶、体の意識的な運動や感覚を司る。人間では言語や視覚に関わる部分が特に発達していることが知られているが、詳しいことはまだよく分かっていない。