カラ松事変

からまつじへん

『おそ松さん』(第1期)に登場するエピソードで、第5話Aパートのサブタイトルである。

毎度毎度チビ太の店で飲みちらかし、食いちらかしたあげく、ツケばかりためていくおそ松兄弟に、ついにチビ太の堪忍袋の緒が切れた！！

何が何でもツケ代を請求しようと強硬手段に出た彼だったが、首尾よくことは進むのか？！

※本作の公式サイトから引用

概要

『おそ松さん』(第1期)に登場するエピソードで、第5話Aパートのサブタイトル。初回放送は2015年 11月3日(2日深夜)で、カラ松のメイン回である。

なお、同日に放送されたBパート『エスパーニャンコ』については該当記事を参照。

ストーリー (ネタバレ注意)

相変わらずおでんのツケを一向に支払う気配が無く、今回もいつも通り食い逃げをした6つ子達。そんな彼らに対して遂に堪忍袋の緒が切れたチビ太は、人質としてカラ松を誘拐し身代金代わりに今までのツケの分を支払えば彼を解放するという条件で解決しようと試みる。

翌日、海のド真ん中に建てられた柱にカラ松を縛り付けたチビ太は松野家に脅迫電話をかけ、彼が満潮で溺死する前にツケを払うように要求する。当初は間違い電話という勘違いで切られたり、応対が支離滅裂でまともな会話が成立しないトラブルに遭うものの、3度目の正直に出たチョロ松を通して彼らにこの経緯を伝える事が出来た。

しかし、5人にとっては全員が金欠＆兄弟内での借金合戦で肝心の身代金が用意出来ない状態で、彼以外の4人は救出に消極的だった。その上、丁度松代が持って来た近所のおすそ分けの梨に魅了された彼らは誘拐の件をすっかり忘れたまま喜んで食べ始めてしまった。

彼らのリアクションを電話越しで全て聞いてしまったカラ松は、その日の夕方にチビ太の計らいで立ち寄った居酒屋で家族のまともじゃない応対と梨が食べられなかった事への悲しみと悔しさから号泣してしまう。その様子を不憫に感じた彼は最終手段として真夜中にカラ松を松野家の前で火炙りの刑を仕掛け、自身の未払いのツケと6つ子達の兄弟愛を同時に取り戻そうと試みる。

だが、夜中に起こされてブチ切れた5人はそれぞれ身の回りにあった物をカラ松に投げつけ、そのまま再び就寝してしまった。この結果に最早手の打ちようが無いと確信したチビ太は、既に気絶してしまった彼だけを急いで解放しそのまま去ってしまった。

余談

原作との類似点

『おそ松くん』(第1作目)では、エスパーニャンコが登場した32話Aパート『ほんとのこというな』と誘拐をネタにしたBパート『10万円の怪電話』の構成で放送されている。
- 後者は、作中で6つ子の誰かが巻き込まれたと思いきや実際に攫われたのはチビ太で、彼を助ける為に必要な10万円を支払う事を両親が一時渋る展開になっている。その為、ファンの間では今回のエピソードの元ネタではないかと考えられている。

反響と裏話

作中では、終始カラ松が不憫だった描写から放送後にファンの間で「ギャグとして流せない」といった批判が公式に寄せられたり、SNSやpixivなどでは今回のエピソードに関する二次創作が数多く投稿された。
- ただし、6つ子が酷い目に遭うシーンは原作の頃から既に存在している為、今回の騒動はこのような前例を知らなかった事から起きてしまったと考えられている。
- 例えば、『いじわるイヤミをおっぱらえ』(電子書籍版の第4巻)では悪戯でカラ松がコショウを仕込んだビールをイヤミに出したが、当時未成年であるにも関わらず逆に彼から口移しで飲まされてしまう展開になっている。
このような経緯から、本作の公式Webラジオ『シェーWAVE おそ松ステーション』の第3回では今回のエピソードに関する解説コーナーが急遽設けられる事になった。
- 同回では、ゲストとして参加したカラ松役の中村悠一が彼の扱いの悪さを嘆く視聴者からの投稿や質問に対して「カラ松は出オチタイプで、喋って無視されて終わるっていうコントや役割になっている」と答えており、パーソナリティーを担当するイヤミ役の鈴村健一も「我々もカラ松の扱いをゲラゲラ笑ってるので、どんどんやって欲しい」という意見を出している。
- また、中村本人のカラ松というキャラクターに対する解釈や収録現場でのキャストの反応も紹介されており、全体を通して彼が不遇な扱いを受ける役割については肯定的な内容のコメントを残している。
1期12話『年末スペシャルさん』のキャストコメンタリーでは、一松役の福山潤と十四松役の小野大輔が「エスパーニャンコ回はカラ松をより不憫に見せる為に作られた良い話」や「カラ松のオチに持っていく為の壮大なフリ」とコメントしている。
- また、福山はインタビューなどでも「あれはカラ松に対する悪意ですよね」やBパートの『エスパーニャンコ』に対して「(Aパートを受けて)あれは良い話なんかじゃないですよ」と言っている。
更に、2016年2月26日に発売された第二松(BD・DVD)の特典の1つであるリーフレットに掲載された台本の終盤で"カラ松が死んだ"という一文から、今回のエピソードはギャグ漫画でよくある死亡オチである事が判明した。
- また、同リーフレット内でのインタビューで中村は「Bパートはカラ松が復活する為の話」と語っている。

その後の展開

2016年4月22日〜6月5日まで開催された『おんせん松さん』のスタンプラリーでは、カラ松が「誰にも探してもらえないのは辛いものだぞ？」や「メ、メモリーがぁ」と述懐する後日談のような台詞が登場している。
『おそ松さんのへそくりウォーズ』で『WCギリシャ神殿』というアトラクションの小話の1つでは、ギリシャ神話の神様に怒った人間のチビ太が寝ていたポセイドン役のカラ松を海上の杭に縛り付けるセルフパロディのようなシーンがある。
2017年 9月27日に発売された6つ子達それぞれのエピソードをまとめた『松セレクション』では、カラ松編に今回のエピソードが収録された。
2期11話『復讐のチビ太』では、再び堪忍袋の緒が切れたチビ太が一松を先に報復した際にカラ松が彼が犯行を起こしたのではないかと最初に気付いている。
2期10話Aパート『カラ松とブラザー』や2期19話Dパートの『デリバリーコント』では一松が投げた石臼が、2期19話Cパート『バレンタインデー』では十四松がカラ松に思っている事を伝えようとした際のイメージの中に彼が縛られた姿と包帯姿の2つが登場している。