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レトロフューチャーの編集履歴

2021-10-04 23:32:15 バージョン

レトロフューチャー

れとろふゅーちゃー

懐古趣味(レトロ)な未来(フューチャー)像のこと。

概要

19世紀後期から20世紀中期までの人々が描いた未来像」への懐古趣味や、当時のそういった描写を好み熱中することを指す。SF作品の1ジャンルであるスチームパンクを含める場合もある。1980年代頃から流行しはじめた。


かつての科学万能の夢が公害・環境破壊・経済の低迷などの現実に破れ、冷戦終結後も民族主義紛争などに起因するテロリズムが横行し、すぐにでも実現するはずだった宇宙開発に至っては一向に進展を見せないなど、必ずしも「かつて思い描いていたバラ色の未来」が実現してはいない。


これからの社会の将来や世界情勢に明るい希望が持てない時代、レトロフューチャーという趣向は「かつての、希望と躍動に満ちあふれた未来を思い描いた時代」への一種の『郷愁』であるとも言える。


なお、1960〜1970年代に設計され、当時描かれたレトロフューチャーの姿を先取りしたような存在の乗り物のうちいくつか(東海道新幹線0系営団6000系グラマンF-14トムキャットスペースシャトルコンコルドなど)は21世紀初頭まで長きにわたり活躍した。0系や6000系のように「成功」とみなされ直系の後継機が現在も活躍しているものもあれば、スペースシャトルやトムキャット、コンコルドのように「失敗」と評価され直接の後継機がないまま引退したものもあるが、現在はいずれもその役割を終え20世紀後半を象徴する存在として記憶されている。


80~90年代のターミネーターネメシスロボコップといった映画のレトロフューチャーは80年代レトロフューチャー等と呼称される。


また、FPSゲーム等で数年後の未来を想定して現在採用検討中の銃を正式採用の銃として登場させたものの、現実では様々な問題で蹴られてしまい、そのゲームの設定年には現実ではその銃はもう使われてすらいない、といったものも一種のレトロフューチャーといえる。


「空飛ぶ車を夢見ていたのに、手にしたのは140文字だ」

中には「日々の生活の中では実感していなかったが、気がついたら実現していたこと」や、「従前からある技術が思いのほか進歩してしまったこと」「技術的には可能だが、環境面や安全面、倫理面で問題があり実現しなかったこと」、そして宇宙開発の遅滞のように必要性やコストが見合わなくなったことが結構あったりする。

  • 「気がついてたら実現していたこと」の例は、コンピューターの普及と超高性能化(2010年代のスマートフォンは1980年代の世界最速スーパーコンピュータ「Cray-1 MP」を凌駕する能力がある、薬でエイズ糖尿病の進行を抑えることができるようになった医療の進歩など多数ある。
  • 「従前からある技術が思いのほか進歩してしまったこと」としては、高速鉄道としてのリニアモーターカーが、鉄輪で最高記録500km/h:TGV、営業最高速度300km/h:新幹線を実現してしまったため、エネルギーコストにつりあわなくなったことなど。
  • 「技術的には可能だが、環境面や安全面、倫理面で問題があり実現しなかったこと」の例は、エアカー(宙に浮かせるだけエネルギーのロス。普通にタイヤで荷重を支えて走った方がずっと合理的。もちろん、自動車やタイヤそのものの技術革新により燃費・居住性・安全性は昔より格段に向上している)などがある。超音速旅客機もコンコルドとして実現したが後継機がないまま引退したのは環境面や安全面で問題があったためである。
  • ロボット兵士や手術ロボット、身体障害者用のサイボーグ技術(筋電義手)も21世紀初頭においてすでに実用化されている。ただ、普及のペースはとてもゆっくりである。

予想困難な情報機器の進化

地球の裏側と一瞬でコンタクトできるようになったのに、空飛ぶ車や気軽な宇宙旅行は実現できていない…これは初期SF作家達が重工業重視であり、当時未知の存在であった半導体などの進化は予想できなかったためである。


現に、レトロフューチャーの代表格である手塚治虫の作品には、例えばタブレットコンピューターは登場していない。「薄型テレビ」「電子メール」「携帯電話」どころか、『鉄腕アトム』の作中には昔のブラウン管のような「丸くふくらんだ箱形モニタ」(昔のブラウン管は角が丸く、画面の中央が盛り上がった形だった)、「電報配達員」(『鉄腕アトム』連載当時は急ぎの連絡手段として電報が使われていた)や「後払い式の公衆電話」(かつての公衆電話は普通の電話機を赤に塗っただけの電話機を使い、通話後にその分だけ料金を置いていく「後払い式」だった)が登場するのである! 天才の頭でさえリアル21世紀を超越することはできなかったのだ。

ただし、このような『鉄腕アトム』作中に描かれる当時の技術は、作品に親しみを持ってもらうための手段であると手塚治虫自身は言っている。


なお、手塚治虫を師と仰ぐ藤子・F・不二雄ドラえもんで22世紀の未来の道具で「テレビにも電話にもコンピュータにもカメラにもなる道具」を登場させた事があるが、それよりも薄くて小型のスマートフォンによって2000年代のうちに実現してしまった。

しかし、1980年代のサイバーパンクSFでもスマートフォンのような携帯端末を予想できた作家は殆どおらず、代表的な作品でも『ニューロマンサー』では多くの情報端末が有線接続されていたり、『重力が衰えるとき』では家電話のような通話機器を腰からぶら下げていたするので、F先生は寧ろ慧眼な方だと言える。


半導体や情報処理の技術革新は非常に地味で難解なものでもあり、ノーバート・ウィーナーフォン・ノイマンの業績もなかなか理解されず、一般大衆レベルでは空飛ぶ車や宇宙旅行が欲しくなるものである。当分は、自分でハンドルを握って渋滞と格闘する生活が続きそうである。


レトロフューチャーになった・それに属する作品

やはりというかSF作品、特に近未来系はレトロフューチャーにされやすい。


・鉄腕アトム

上記の通り。


サンダーバード

放送当時に想像された21世紀世界であるが、「THUNDERBARDS A GO」等で製作時から見た未来として登場人物達の生年月日や時代設定が変更されたものもあるので、レトロフューチャーの側面と近未来の両方の性質を持つ。


ブレードランナー

舞台としては21世紀初頭、そして2019年である。


ニューロマンサー

サイバーパンクの世界観自体が陳腐化している他、日本製品がアメリカを席巻している時代背景もバブル景気への郷愁が感じられる。空きチャンネルTV画面色の空と世界最先端の闇病院が集まる電脳都市チバ・シティなんて無かった。


ウルトラマン

製作当時から想像された1990年代の世界とされている。はっきりとわかるシーンとしてはジャミラの没年が1994年である事が描写されている。


ドラえもん

これは21世紀に入る頃には物語はどうなるんだとチラホラあったが、あくまでものび太がいる現代はリアルタイムの現代を反映した形で現在進行形であり、ドラえもんにおけるのび太が大人になった21世紀はレトロフューチャーになるのかそうでないかで意見は分かれるであろう。ただし、ドラえもんがやってきた未来は22世紀である為こちらはレトロフューチャーにするには分類が難しい。


バック・トゥ・ザ・フューチャーPART II

1980年代後半~末期に想像された未来世界(2015年)が登場。現実の2015年にはこの事が話題となるほど過ぎた未来の一つとなった。


ロックマンシリーズ

こちらも80年代後半(1987年)に想像された21世紀(2000年代)の世界。舞台設定は5までは200X年だったが、それ以降は20XX年になっている。レトロフューチャーと近未来の両方の性質がある。ただし、ロックマンの世界からさらに100年後の未来のロックマンXシリーズもある。


機動警察パトレイバー

1987年に1998年を舞台として描いた作品。ただ、イングラムのようなスラッとしたスタイルのものはまだ存在していないが、レイバーっぽい作業用機械はすでに存在している。一方、バブル崩壊により土地価格は下落し、バビロン・プロジェクトのような東京の土地開拓を大規模に行う国家的事業は幻となった。昭和冷戦の時代が21世紀まで続いている設定は、意図的にレトロフューチャー的な世界観を表現しているとも取れる。


新世紀エヴァンゲリオン

旧劇場版までは現実で2015年を通過したので一応レトロフューチャーになってしまったが、新劇場版準拠だと設定された西暦が不明だったりと変更された為、近未来の世界観を維持している。


リアルロボット系アニメ

ガンダムシリーズの後追いを続けた結果、この場合の「リアル」の由縁たる政治や国際情勢が「80年代に想像した未来」から抜け出せなくなっている。

現代の国際情勢をベースに時代に即したリアルロボットアニメを作ろうにも、インターネットの普及に伴い、年を追うごとに政治に敏感な人たちからの風当たりが強くなり続けている。しかし、テロリズムを描いた作品は結構ある。


ソードアート・オンライン

web小説として世に出た時点で2012年だったが、商業化に当たり時代が追いついたため2022年となったが、それすらも時代が追いついてしまった。

Wikipediaの作品記事に至っては荒らしによって編集規制がかけられ2022年9月=作品の前日譚の一部が終わってしまう時期まで解除されないという事態となった。


アキハバラ電脳組

上記エヴァのヒットを受けて90年代終盤~00年代序盤数多く作られたいわゆる「第二のエヴァ狙い」の作品(特にアニメ)の一つ。エヴァと同じく設定年代を現実が通過したという意味での「一応」のレトロフューチャーであり、パタPという未来的なガジェットは登場するが、描写としては制作当時の90年代色が強い。

特に劇場版のタイトル及び舞台設定が「2011年の夏休み」だが、作品自体の人気がエヴァには及ばず商業展開がほぼ終息して久しかった事と、同年3月に東日本大震災が起こり自粛ムードが残っていたこともあり「劇中の未来がやってきた!」との盛り上がりは一部に留まった。


チャージマン研!

これは間違いなくレトロフューチャーなデザイン全開。しかも技術が飛躍した世界なのにレコード盤を人々が聞くメディアとして主流であるのも理由の一つ。ただし一応補足しておくと、アナログプレーヤー自体は現実にもまだ廉価機から高級機まで量産されている。


Steins;Gate

主要キャラの1人が結婚し、が生まれることになる2017年をすでに過ぎている。『Steins;Gate』以外にも科学アドベンチャーシリーズで未来を描いていた『Robotics;Notes』は、改めて新作を出すきっかけになった。また初期作品から9年経過した後に続編がつくられたことから、「後付けレトロフューチャー」とも言うべき奇妙な事象が発生しており、主要登場人物の殆どが現実ではまだガラケーより普及していなかったスマホを2010年に所有していたりする。


FarCry3

80年代の未来を描いた名作の洋画に多大な影響を受けて制作されたゲームであり、ドギツイ蛍光色、VHSやフロッピーディスクや「メガバイト」の単位、設定年代も2007年と絶妙にその手の80年代レトロフューチャーが好きなプレイヤーのツボを突くデザインがなされている。また、主人公の声優がエイリアン2やターミネーターで重要な役を演じたマイケル・ビーン氏である。


音楽とレトロフューチャー

音楽の世界では、往時のドイツのバンドKraftwerkがアルバムコンセプトに用い、PVでは露骨に『メトロポリス』などフリッツ・ラングのSF映画をオマージュしている。それに続く1980年代のテクノポップ、シンセポップ勢も類似したレトロフューチャーのイメージを頻用した。


8ビット16ビット時代のコンピューターを音源として用いるチップチューンもレトロフューチャーの趣向と関係がある。また、2010年代から現れたvaporwaveというジャンルがあり、ここでは「1980年代頃のやたら希望に溢れている日本のポップ音楽、CM」などが人気である。


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DEPARTURE(出航)


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スチームパンク SF ファンタジー 近未来 都市 建築

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