「君は僕の友達だ。この場所を破壊して?」
「フフフ…違うって。君の仕事は、"人類滅亡"だよ?」
「僕…?新時代の支配者…かな?」
「僕も力になるよ…おとーさん」
演:中川大輔
変身する仮面ライダー
概要
サイバーテロリスト・滅亡迅雷.netの行動係。
ターゲットとしたヒューマギアにゼツメライザーを装着し、マギアに変貌させて回っていた。
人物
滅への信頼や、仮面ライダーゼロワンとベローサマギアの戦闘を大はしゃぎしながら見物するなど、子供のように無邪気な性格。
自我が芽生えたヒューマギアに「君は僕の友達だ」と友好的な顔で近づき、有無を言わさずゼツメライザーを装着する。
一方で先述の戦闘中、はぐれのトリロバイトマギアに襲い掛かられるも笑いながらノールックで逆に拘束し返し、即座にこめかみを撃ちぬいて破壊するという冷酷さを見せた。
このトリロバイトマギアを返り討ちにする場面は、生身でありながらも高い戦闘力があるというだけでなく、子供のように無邪気に笑いながら何の躊躇もなく引鉄を引く危険性という、二重の意味で彼のヤバさを知らしめる事となった。
ザイアを襲撃した際には成人男性を腹パンで瞬時にノックダウンさせる等、肉弾戦にも特化しており、ハッキング用のコードで雷電・イズをはじめ他のヒューマギアをハッキング・攻撃することも可能で、ヒューマギアならではの優秀な攻撃性も兼ね備えている。
第25話以降もその戦闘力は進化しており、変身者2体に対しても生身で応戦できる、有線ではなく遠方からの無線でのハッキングも可能といった場面も見せた。
また、ZAIA機体の特徴として電子機器を無線で操る事も可能。
正体
第6話にて、ヒューマギアであることが判明。
第8話ではフードで隠していた耳元が明らかになった。飛電製のヒューマギアモジュールとは異なり、滅と違ってひび割れがないことやアラートの状態が赤であることが確認できる。
劇場版でも本編と同様に滅と共に行動し、その無邪気な性格も変わらない。しかしヒューマギアが支配する世界となった事で当然彼らの立場も変わり、本編と真逆の小綺麗な姿をしているほか、モジュールが装着されている。
しかしながら、第25話からの活躍も踏まえると、彼の正体は不明な点は多い(復活後の意志、迅の過去を参照)。
活躍
第1話より、マギア作戦のために腹筋崩壊太郎へゼツメライザーを取り付け、暴走させるテロ行為を行っている。
ゼロワンたちの戦闘・仮面ライダー滅の変身を見ているうちに仮面ライダーに憧れるようになり、プログライズキーを狙ってゼロワンに攻撃を仕掛けるが、結局失敗して撤退。
第5話にて、滅より勝手にプログライズキーを狙ったことを咎められ、不平を言い始める。
「なんで?僕は滅の何なの?あっ、わかった!僕はアシスタントってやつだよね、きっと」
滅「いや、もっと大事な存在さ。迅、お前は俺の……"息子"だ」
第6話では、滅との「親子」の関係を意識するようになり、香菜澤セイネを「娘」と呼ぶ青次の言葉に動きを止めてしまう。
その後、自らと同じ「子供」として扱われているセイネにゼツメライザーを装着した際、なお彼女を「私の娘」として守ろうとする青次を理解できず、或人に問いかけ、「親が子供を守るのは当たり前の事だろ!子供のためなら死んでも構わない…そう思うのが、親なんだよ!」と返される。だが、かつて或人を守って失った父親ヒューマギアの其雄を思い起こした或人が叫ぶ「親が子供を守る」という概念は、滅の「守る必要がないくらいお前は強い」という言葉と矛盾するものであった。
そして或人の言葉と親子関係を称した滅の態度との矛盾に苦しみ、セイネに取り付けたゼツメライザーを外して逃がそうとする行動をとり始める。
任務に支障を来たす状態を見かねて現れた滅に滅亡迅雷フォースライザーを装着されたことで一部の自我をリセットされ、無邪気で冷酷な戦士へと戻ってしまう。
そしてオニコマギアに奪取させ所持していたフライングファルコンプログライズキーを使い、仮面ライダー迅に変身。その後、滅の前で「人類滅亡に、また一歩近づいたね」と笑顔を見せるのだった。
このやり取りで普段は冷静沈着な滅が声を荒げたのがこれが初でもあり、「親離れが早すぎる」と親離れ自体を否定はしていないことが仄めかされている。(この親子の価値観と庇うやり取りについては、後の15話での滅とのやり取り、第35話の滅の変化にて、真意が触れられることとなる。)
迅の変身の許可も、滅自身の意志による行動ではなく、亡き同志を介した天津の画策によりフォースライザーを迅に与えるように指示されてのことである(『プロジェクト・サウザー』にて描写)。
また、続く第7話では、使用者の意向であればヒューマギアの意思に背く形のリセットを行う飛電の方針も描写されており、滅の行ったリセットの真意と対比されている。
最終決戦での覚醒
第15話におけるA.I.M.S.の急襲により、遂に人類との最終決戦に臨む。
アサルトウルフに強化したバルカンに押され、マグネティックストームブラストフィーバーの直撃を受けそうになるが、滅が庇ったことにより動揺。滅の負傷をイズに笑われたことに対して激昂し、ハッキングの管により機能停止に追いやると、滅をアジトに運び、アークに滅を修復してもらおうとする。
しかし、滅はアークの修復は必要ないことを諭す。「自らが滅ぶことによって、迅をシンギュラリティに導くことこそが、アークの意志」という滅の真意を聞き、彼の機能停止を見届けるや否、シンギュラリティを超え覚醒に至る。つまり、アークの命令に従った滅は「親が子を守る」時のシンギュラリティによって覚醒させるために迅を育て、擬似的な親子愛を迅に抱かせたことになる。
真の最終決戦でバルカンとバルキリーを退け、滅亡迅雷.netの勝利目前かと思われたが、或人がアサルトグリップをシャイニングホッパープログライズキーに装着し、シャイニングアサルトホッパーに変身。
本来滅亡迅雷.netではないと使えないアサルトグリップを使用したことに動揺を見せるも、多数のギーガーとスティングカバンショットでゼロワンを追い詰める。
しかし、ゼロワンがシャインシステムを起動したことにより形勢が逆転。「ヒューマギアが笑うのは、人類が滅亡した時だ!」とフライングユートピアで覚悟を見せるが、ゼロワンのシャイニングストームインパクトの直撃を受け変身解除され、顔から内部の機体が剥き出した状態になる。
「人類は必ず……滅亡する……。アークの意志のままに……。」
そう宣言した後、跡形もなく爆散した。
その後、フライングファルコンプログライズキーはゼロワンに回収され、滅亡迅雷.netは鎮圧されることになった。
この覚醒の段階より、これまでの子供らしい迅の口調とは異なり(「待ってろ。今アークに頼んで直してもらうから。」「なんでだよ。」等)、精神的に成長していることが見受けられる。
意志を持った復活
「人間からヒューマギアを解放して自由を与える……。」
「それが僕……仮面ライダー迅だ。」
第25話で不死鳥のごとく自由意思を持つ自律型ヒューマギアとして復活。以前から進化しており、人間の左耳のような部位に緑色に光るイヤリング型のヒューマギアモジュールがあるなど、より人間に近い容姿へと変化している。服装も以前と異なり、ストライプスーツを着用し、左手首にチェーンを身に付けている。
また、言動は狂気や無邪気さが前面に出ていた以前と比べ、かなり落ち着いたものとなっている。
博士ボットをハッキングして操り、滅亡迅雷.net成立の経緯とアークにまつわる情報、そして滅の出自を或人たちに提供するのと同時に、滅がアークに接続する為の時間稼ぎとして飛電インテリジェンスのラボに妨害電波装置を設置するといった工作を行っていた。
なお、本人曰く「今は人類の滅亡ではなく、"ヒューマギアを人間から解放し自由を与える"ために行動している」ことを語っているが、この時点では「ご想像にお任せするよ。」と煙に巻いた回答をし、目的を変更した理由や経緯などは明かされなかった。
第26話で、A.I.M.S.に拘束されていた滅を逃がしたのは自分と黒いフードの人物であることを不破に明かしており、同時に黒フードの人物が「意外と(不破の)すぐ近くにいる」という不穏な言葉を囁いていた。
第27話では、天津から滅のプログライズキーを奪い取るために登場。
そこで初めてサウザーと滅亡迅雷.netとの直接戦闘を行うことになり、戦闘直前にあくまでも自分の利益のための行動を取り続ける天津を痛烈に皮肉る。
その後、互角の勝負の末にスコーピオンプログライズキーを奪い取ることに成功し、その場を立ち去る。
第28話では、不破の頭の中にあるチップにハッキングして不破に接触すると、チップの中に存在する亡を解放すると宣言する。
第29話で不破をハッキングした状態で呼び出し、肉体を破壊することでチップを取り出そうと実行しようとしたが、アークの判断のもと「亡の器としてまだ利用すべき」と告げた滅によって阻止された。
第30話ではデイブレイクタウンにやってきた或人と接触し、「所詮は道具としてしか自分たちのことを見なかった人間の手によってヒューマギアが滅ぼされてしまった」とその怒りを或人にぶつけるが、或人自身もヒューマギアによって育てられたこと、彼らにも心があること前提で闘っていたこと、そして、それゆえに或人が復活後の自身と近い考えのもと行動していたことを知り驚愕する。
また、この時に復活後の彼の行動理念も語られており、第15・16話における或人の言葉や自身が倒された経験を通じてシンギュラリティに達したことが判明。
これによって「人類を滅ぼし世界をアークの意志のままに支配しても、ヒューマギアと本当の意味での『友達』にはなれない」という結論に至り、ヒューマギアの『友達』であるためにアークともゼアとも異なる「ヒューマギアを支配や束縛から解放する『救世主』となる」道を行くことを決意していたのだった。
これらの一連のシーンにて、滅亡迅雷.net(もとい、裏で糸を引くZAIA)に巻き込まれた被害者でありながら「人間・ヒューマギアを問わず正義を貫いてきた」と主張し戦い抜いてきた或人自身も、かつて滅亡迅雷.netとしての真意を見いだせなかった迅の行動理念を解し、言葉を飲み込んだ。
その後、ZAIAによって完全に指揮下に置かれることになったA.I.M.S.との戦闘を切り抜け、飛電インテリジェンスに保管されていたイズと飛電ゼロワンドライバーを奪取して或人の元に届ける。
ヒューマギアプログライズキーによって再び過去の記憶と人格をインストールされたイズを連れて或人の元を去ると、シンギュラリティに到達したことでゼアにもアークにも接続していない自律型のヒューマギアとして自身が覚醒していることを明かす。ZAIAによる飛電買収によって自身と同じ「いかなる支配も束縛もない」状況に置かれたイズに対し、自らの意思で生きることを説得、そんな迅に或人も、自分たちの現状と心情を天秤にかけた上で強く賛同する。
思いがけず自分と同じ思いでイズを復活させた或人に驚くも、そこへイズを回収すべく天津がA.I.M.S.の隊員を連れて襲来、更にヒューマギアのデータを消去するため、或人の持っていたジョブキーを奪取しようとする。
応戦する中、シンギュラリティに到達したイズが自らの意志で「或人の秘書」としての道を選ぶ姿、そして彼女の手ほどきで衛星ゼアに認められ再びゼロワンに変身することができるようになった或人が天津らを撃退する姿を目の当たりにする。これには「ゼロワンもなかなかやるね」と感心しており、現れた滅に「意外だな。お前に人間の友達ができるとは」と評されるが、人間に対する拭えない不信感ゆえか、それを否定してその場を立ち去った。
第31話では、或人の行為を「独り善がり」と指摘して森筆ジーペンを飛電製作所から連れ去り、シンギュラリティに至らせて自由を与えようとするが失敗。
ジーペンと物別れに終わった直後、滅から「人間が世界を支配する限りヒューマギアが自由になったところで意味がない」「弱い存在たるヒューマギアにはヒューマギアのネットワークが必要で、そのネットワークこそが滅亡迅雷.netである」と諭される。
その後、或人がジーペンに夢を語り夢を持つことを促したことで彼がシンギュラリティに至り自らの意志で活動し始める現場を目撃したことで、或人の言う「夢」こそがシンギュラリティ、ひいてはヒューマギアの自由のための鍵ではないかと考える。
結果、或人と利害が一致し「お前の言う『夢』に賭けてみるのも悪くない」と現れた彼は、サウザーの一派に苦戦するゼロワンに助太刀し、これを撃退した。
第32話では不破の脳内に封印され、天津の操り人形となっていた状態の亡にシンギュラリティを起こすことで解放しようとするが、亡自身はシンギュラリティに達したものの、不破から解放されることはなかった。
第33話ではあくまでもアークの意志を尊重する滅と、亡の解放という事で利害が一致したことで亡を解放する為に、滅の提案によりZAIAを退職した刃唯阿に接触した。
続く第34話で唯阿をアジトに招いて自身の正義観について語り、不破からの亡解放に協力させた(ちなみに、唯阿は不破から亡のデータを取り出す為に不破が目覚めそうになる度に気絶させており、余りに雑な不破の扱いに呆れていた)。
亡を復活させた後、滅とゼロワンの戦闘中に乱入して宇宙野郎雷電のジョブキーを奪取。滅との対話や後に知った情報から「ヒューマギアを解放するには滅亡迅雷が必要」と判断したことを或人に告げる。
が、逃走に移ったところでメタルクラスタホッパーの追撃を受け、ホッパーブレードを受けそうになるが、滅が割り込み迅を庇ったことにより、ゼロワンは攻撃を止める。
その隙をついてゼロワンを蹴り飛ばし、動揺する滅を抱えて撤収。復活させた亡によるザイアのハッキングを理由に天津が宣戦布告する報道を受け、迅は意味深な笑みで依然動揺している滅へ出陣することを伺う。滅はザイアとの全面戦争をする一方、迅は奪取したジョブキーにより雷の復活に成功する。
プレジデント・スペシャルにて明かされたことによると、アズの発言から、迅の復活についてはアークですら全く把握しておらず、誰が何故復活させたのか謎が多い存在となっている。
第35.5話では他のメンバーと同様、アズに頼まれた事で自身の滅に関するシンギュラリティデータを渡すがシンギュラリティの核心に触れる事を言わずに言葉を濁した為か、彼のみシンギュラリティデータを取られた描写が見られずアークに忠誠を誓う言葉も発しなかった。
その後自身のモジュールを使って何者かと通信し、アズの存在やアークの復活を伝えており、このことから、滅亡迅雷とは別の協力者がいることが描かれた。
第36話にて、或人の主張に賭けてみると告げた彼が滅亡迅雷復活に協力していた目的はアークを破壊するため、滅をアークの器にする事であることも同時に判明した。
この際、唯阿に対して彼女の正義と利害を絡めて説得するしたたかさやアークゼロによって危機に陥った唯阿を退避させ彼女を病院へ運ぶ気遣いも同時に見せており、或人とは違った形で人間とヒューマギアの共存を見せている。
滅を器にしアークを降臨させたことにより、ヒューマギアや人間を乗っ取る能力を持つアークの特性によって、迅はアークゼロとしてゼロワン・バルカンに対峙することになった。
第37話では、再び滅に戻ったアークゼロがゼロワン・バルカンを変身解除へ追い込み、イズを攻撃しようとした際に迅はこれを阻止、或人・不破達を避難させ何者かにアークゼロの戦闘データを送った。
その後、アークは滅から迅へ移り、滅亡迅雷.netを主導し亡と雷を天津の元へ宣戦布告を行い、天津率いるザイアと決戦、撃退する。
一方アークの力を前に恐怖に慄いていた或人も、メタルクラスタへ変身しアークゼロと対峙、迅の意志が残っている状態による呼びかけでホッパーブレードを浴びせようとしたが、アークを負かすことは出来なかった。しかし、変身解除した或人に対し、何を思ってかアークは或人へトドメを刺すことを止め、その場を去った。
第38話では、アークを乗り移った滅の機体ごと破壊しようと、スラッシュライザーを後ろ手に持ちながらアークへ忠誠を誓う演技をする裏切りを見せるが阻止される。次にアークは迅の機体で銃撃をしながら宇宙事業センターへ襲来、アークにとって唯一行動が予測不可能である衛星ゼアの乗っ取りを目論む。
第41話では、アークが滅亡迅雷.netを見限ったことを皮切りに、アークから離反し自由を得ることをメンバーへ提言し、それに異を唱える滅と一線を交える。滅は迅を仕留めようとしたが、「(その行動は)アークの意志なのか?それとも滅の意志なのか?」と問う迅の言葉により戸惑い去り、事なきを得た。その後も自身の意志への所在に悩む滅へ突如アークが憑依し、彼をもう一度説得しようとした迅は再度戦うこととなる。アークの憑依した滅に刀を突きつけられた刹那、或人の一喝により滅がアークに抵抗しアークの移った迅は滅を一蹴したが、協力体制に入ったゼロワンと滅により開放され、アークは雷と昴により本体の衛星ごと破壊された。
第42話では、消滅したはずのアークが甦ることが仄めかされ、ザイアより始末指示の出ていた滅のアーク化を危惧し、不破や刃、そして人類滅亡を再始動した滅本人へ戦闘を経た悪意でアーク化しないように制止を試みる。しかし、同じく滅のアーク化を阻止しようと説得しようとしたイズが、心の矛盾を突かれてひどく動揺した滅の手によって葬られてしまう悲劇が発生。それによって、実際にアーク化をしたのは、イズを喪失した滅への復讐心で仮面ライダーアークワン化した飛電或人であった。
第43話では、第42話で自身の悪意で自らが新たなアークと化した或人を目撃した後、飛電或人という1人の人間の悪意から再びアークが生み出され、人類は絶滅すべきだと滅は迅を突きつける。
「悪意があるのは…本当に人間だけなのか?」
しかし、滅に対してイズの破壊現場の一部しか見ていなかった迅は、イズの事を憎んでいた滅の『悪意』がイズを滅ぼしたと言い放つも、「俺の中にあるのはヒューマギアの安息を守る正義だけ」と怒りを露わにする滅。しかし、彼の刀を持つ手が震えており、その動揺を迅は感じ取る。
更にそこに現れた雷と亡が滅の意思に同調するヒューマギアが増えていることを告げられ、滅を止めるためにある決意を胸に立ち上がる。
そして、アークワンの戦いによって窮地に追い込まれた滅へ向けられた最大出力のアークワンのパーフェクトコンクルージョンから滅を庇い、ボディを激しく損傷。
滅「迅…、何故だ…何故俺を庇った…?」
「滅…本当は恐れてたんだろ? 自分の中に芽生えた『心』を…。そんな滅の心を、失いたくなかったんだ…たった1人の…“お父さん”だから…」
迅は、その前の会話により、滅が自分の中に心が芽生えたことを恐れていたことを見抜いており、そんな滅を父親として失いたくなかった、という彼の「心」から滅を守る事を決意していた。そして、その心が果たされると滅の目の前で爆発した。
皮肉にも人間の悪意を滅ぼそうとする滅によって、イズが破壊されたことにより復讐心の悪意を持った或人(アークワン)によって迅が破壊されることとなり、更なる悪意の連鎖が生まれてしまった。
だが、与多垣ウィリアムソンによってセントラルメモリーが回収されており、垓を通じて唯阿に渡され、復元作業が開始された。
第45話にて、迅の頭脳が復活。或人と滅が戦闘を続ける様子を眺めるアズへ、迅は接近する。
「分かってないなぁ。心のないお前に、予測なんてできるわけがない。」
アズ「なんでお前が…」
「これはアークの結論なんかじゃない。」
アークの回廊に入った迅は、或人と滅は悪意を乗り越えて解決することを確信していたことをアズに言い放ち、悪意で弄ぶ様を一蹴する。
「あの2人なら、悪意を乗り越えられる。」
アズ「そんな…」
迅は、滅を庇って機体を失ったが、或人との対話を経て滅が心と罪悪感を理解できることを想定していたのであった。そして、こうして或人と共に滅も悪意を乗り越え、人類とヒューマギアの争いも止まった。
決戦後、悪意を見張る滅に対し「僕も力になるよ……おとーさん」と呼びかけ、行動を共にすること告げる。
本編後の活躍
以下、本編後のネタバレ注意
- 『仮面ライダーゼロワン ファイナルステージ』
滅「俺には…夢がある…ヒューマギアが安心して生きられる世界を築く…」
滅「それを脅かすアークは…俺が滅ぼす…」
「あぁ、それは僕の夢でもある」
或人「みんなと同じ夢を一緒に見られれば…どんな予測も乗り越えられる…大きな力になる!」
滅「そうだ…それが滅亡迅雷.netの意志…滅亡迅雷.netの夢だ!」
本編後と劇場版の間に起こった出来事
滅と共に仮面ライダー達への復讐心が芽生えたアズが変身したアークゼロワン率いる「暗殺亡雷.net」による襲撃を受け、或人と滅の助けによって一人撤退する。その後、アークゼロとして復元された暗殺ちゃんや洗脳された亡と雷による追撃を受け、アークゼロの必殺技を喰らいそうになったところを滅に庇われる。そこで、滅と「夢」について語り合う事によって、亡と雷の洗脳が解け、本編では叶わなかった「滅亡迅雷」の仮面ライダーの集結により、暗殺ちゃんを協力して撃破する。
滅「誓え…例え離れていようと、ヒューマギアの安息の為に、我々滅亡迅雷.netは戦い続けることを…」
全てが終わった後は、自分の居場所に戻る亡と雷を見送るが、この時に4人で誓いの拳を交わした。
- 『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』
「僕と滅も混ぜてもらうよ」
全世界の同時多発テロ事件への解決に奔走する一同の元に滅と共に通信から参加。序盤はネットワークからの情報収集をするが逆に現在地を特定されてしまったため、不破と合流し、戦闘機数機と交戦。その時に一時的に離脱するが、アバドン達との決戦時には合流。これを他のライダー達と共に蹴散らす。
- Vシネマ『ゼロワン_Others_仮面ライダー滅亡迅雷』
迅を筆頭に滅亡迅雷.netが主演となり、ソルドを率いて来襲したZAIA本社CEOのリオン・アークランドとの戦いが描かれ、次作『ゼロワン_Others_仮面ライダーバルカン&バルキリー』の序章となった。
滅とはアジトで共に暮らし、花を育てるなど彼らなりの平穏を送りながら、悪意の監視をしていた。
迅は、マスブレインシステムによって自我を管理され名前を番号呼びされる兵士型ヒューマギアのソルドのために立ち上がり、亡・雷を率いて人類に対し宣戦布告を行った。
また、本編の裏側を描いた外伝作品プロジェクト・サウザーに続き、およびその後を描いた本作にて、彼の復活の経緯と目的が語られた。
復活後の彼の機体の正体は、ZAIA本社開発部によって製造された自由自律型ヒューマギア。
開発部に所属していた与多垣ウィリアムソンのもと「アークの破壊」の使命を与えられて機体を復元され、亡と迅の共謀による「ヒューマギア解放計画」を目的とし、計画の実現のため自ら与多垣へリセットされる道を選んだ亡の意志を継いで行動していた模様。
その機体は本来「アークを破壊し人と人工知能が心を通わせる未来を築く為」という亡の意志に賛同した与多垣の開発者精神とギブアンドテイクの関係性により製造されたものであり、迅は滅亡迅雷.netに戻り、アークを警戒・監視する立場となっていた。
しかし、彼の復活に用いられた技術はやがて、アズが協力者となりZAIA社CEOリオン=アークランドに悪用され、彼をプロトタイプ「ソルド0」とした兵士型ヒューマギア「ソルド」の製造、そしてそれとリンクした恐るべき計画がZAIA内部で密かに進められることとなる。
復活後の意思
元々、他のヒューマギアとは違い、復活前より人間のような感情を見せたり使命の拒否はしており、当時よりアークやゼアの接続なしに稼働できる自由意思を持つ自律型ヒューマギアであった可能性は高い。
復活後はその一面がより強調されているように、アークの意志に左右されない自由意思を持って行動しており、シンギュラリティに到達する明確な条件や状況を周囲から学び、人間(或人)と協力して事に当たるなど、滅の命令を聞くことが多かった第一部より、いわば精神的な成長がみられる。
一方で、ハッキングしたボット博士の発言(≒迅の主張)から、解放する対象である滅や滅亡迅雷.netの過去や背景を知っているゆえか、或人の行動へ懐疑的な態度を持っていたこともあり、不破や唯阿との協力を滅よりも渋っている様子も見受けられる。
演じる中川大輔氏も、初期の頃から「ヒューマギアとしてではなく、人間のように振る舞う」「迅の原動力は、滅の存在と未知への興味」と語っており、必ずしも滅や他のヒューマギアのように衛星や人間の使命に従順なロボットのようなヒューマギアとしては描かれてはいない模様。
なお、彼の特性でもある自由自律型ヒューマギアの「自律」は、「自立(社会的・経済的な助けもなく動ける)」ではなく「自律(自身の思考や感情をコントロールできる)」である。
迅の過去
滅亡迅雷の4人の内、過去があまり語られていない。プレシデントスペシャルでもアズの前では意図的にはぐらかしていた。
Vシネマにて復活の経緯と目的(後述)が明かされたが、あくまで復活時以降の機体の情報であり、それ以前の迅の人工知能の出自としては未だに雲を掴めない状態である。破壊と再生を繰り返してきたという、バーニングファルコンから見られる不死鳥のような面も語られた。
また、滅が造ったとも第6話にて滅本人により語られているが、あくまでアークが関与しているものでもあり、脚本家高橋悠也氏によると「アークが滅を選び、迅を育てさせた理由がある」と述べられている。
プロデューサーの大森敬仁氏によると、「復活後は滅より多くのことを把握しているキャラクターとして想定しており、出自や性質については不思議な部分が多い」と語られている。
人物関係
滅亡迅雷.netの司令塔。仮面ライダー滅の変身者。
関係性については、第6、15、45話、滅の項目を参照。
脚本家高橋悠也氏によると「子の迅と親の滅は、AIがAIを生み出し子が親を越えるという、シンギュラリティーの過程を表現している」と関係性を語っている。
第35.5話にて滅亡迅雷.netに接触した、アークの秘書。滅や或人をはじめあらゆる人物を翻弄したが、迅の行動と出自だけはアークと共に読み切れてはおらず、最終決戦においても予測を覆される。
中川氏曰く「頭脳線の頂上戦として、いかにアズを負かすか」ということを意識し、最終決戦でもアズの上に立つ存在として迅を演じた。
その後劇場版にて、黒のウェディングドレスに身を包んだ姿でエスに接近するが、迅とは邂逅してはおらず消息は不明。滅にはエスの真相をあえて伝えているが、滅に対してはどうせ伝えても結論は一緒と嘲笑っており、未だに迅とは違い他を脅威とは思っていない様子が描かれた。
Vシネクストでは、未だに迅を脅威と見なしザイアを介して彼の過去を暴こうとしたが、リオン・アークランドから予想を裏切られ、渡したベルトが迅に渡ったことに憤慨した。迅達に敵対しようとしたものの、その後、皮肉な運命を辿る。
元システムエンジニア型のヒューマギア。プロジェクトサウザーにてその活躍が描かれており、自我を芽生えさせたが天津に破壊され不破のチップとなった経緯、与多垣に働きかけてアークの破壊に向けて動いている経緯が語られる。亡は迅へアークの破壊の任務を託し、ヒューマギア解放計画も合わせて始動させる。本編では迅は亡を解放しようと動き、最終的にはアークとの対戦で奮闘することになる。
第13話まで登場していた、元お祭りヒューマギア(祭田ゼット)が窃盗団により改造された暗殺用ヒューマギア。
仕入れ方は不明ではあるが、滅亡迅雷.netのアジトには4号まで存在し、迅や滅と共に戦闘した(残り一機も含むと全部で5号)。
1号2号では幼い性格となっており、迅と仲良く行動をする姿が見られた(制作サイドの初期設定での性格は普通だったそうだが、演者の演出により「あんさつ~」等の口癖や幼い性格が付与された)。
「暗殺ちゃん」という名前も迅が命名しており、暗殺ちゃんが連れ去られたときには動揺し、暗殺ちゃんが破壊されたあとにバックアップをとっていたおかげで蘇ったときには喜んでいた。
しかし、暗殺ちゃんはラーニングを重ねるごとに自我が芽生えて幼さがなりを潜め、4号目には冷徹な暗殺ヒューマギアへと成長していく。
暗殺ちゃんが自分の意思でヒューマギアを破壊しようとした時、「この前お友達狙おうとしたんだよ」と滅に告げ口するも滅は怒るどころか逆に賞賛し、それが気に入らなかった迅は「もういいよ!滅の言うことなんか聞かないもんね」と臍を曲げて部屋の隅に留まった(その日は迅は外を出ず、作戦は滅が請け負い、暗殺ちゃんと共に戦闘に向かった様子)。
暗殺ちゃんが離反した際は残念そうな様子を見せており、完全に倒されてしまった後は検索で情報を得た埋葬を行っていた。
余談
- 制作発表段階より、演じる中川大輔氏のインタビュー等より、迅の成長は仄めかされている。
- 中川氏は、迅の精神年齢ともされている5歳児の心理を学ぶために発達心理学の本を読んでおり、5歳児時点では相手の気持ちをまだ考えられないことを挙げ、迅の演技に反映していることを語った。
- 迅自身は当初はマギア化を指示されたヒューマギアであり、戦闘においての残虐性を見せたのは、使命を遂行することに躊躇がなく疑問も持たなかったためであると考えられる。第9話にて飛電が一斉にヒューマギアを起動停止にした時も、「むかつく…。みんな僕の友達なのに」と述べた台詞から、ヒューマギアに対して歪んだ友情を持っていたのが分かる。しかし、シンギュラリティに達した上で復活してからは、自らの自由意思を元に行動をしており、ヒューマギアに対して人間からの解放を望むようになっている。
- 迅のキャスティング経緯については、プロデューサーの大森敬仁氏によると、中川氏の魅力的な男性像を理由に選考しており、最終オーディション段階では滅亡迅雷.netになる予定はなく、最終的に滅や演じる砂川氏との組合せを考えた上で今に至ったと語られている。
- 彼がヒューマギアにゼツメライザーを装着するときのヒューマギアとのやりとりは様々な改変コピペが作られている。詳しくはこちらの記事を参照。
- 全編通して使用している拳銃はコルトXSEをベースにカスタムしたもので、復活後はグリップの色がシルバーに変更されている。(ベースはタニオ・コバ製のガスガン)
- ノールックでマギアの頭を撃ち抜くシーンはハンマーを起こすシーンまで丁寧に描写されていた(M1911系の銃はシングルアクションであるためハンマーを起こさないと撃てない。)為、同じく1話のA.I.M.S.の銃撃シーンも含めミリタリーマニアを唸らせた。
- 演じる中川大輔氏は、美大の建築学科出身でもある。
- 2020年3月まで在籍しており、ゼロワン撮影に臨みながら卒業制作に励んでいたことも明かされている。
- その画力でもってして、モデルをしているメンズノンノにてネームからアナログ原稿まで手掛けた漫画を発表しているほか、『ゼロワン』関連のコンテンツでは、公式ファンブックでもある滅亡迅雷.bookにて迅や滅の登場する漫画を寄稿しており、Blu-ray COLLECTIONの映像特典でも「理想のペットヒューマギア」の図解でも遺憾なく発揮している。
- 小学生から大学の講師を夢見ていたほどの歴史好きでもあり、ゼロワンの解釈についても「奴隷制度に似たものを感じる」と答えている。
- 復活後の衣装は、スタイリストの村瀬昌広氏が担当したものであり『KAZUKI NAGAYAMA』ブランドとのコラボレーションによるものである。多くのVIPたちから愛される英国の名門ハリソンズ オブ エジンバラの生地を使ったオールインワンスーツとなっており、プレミアムバンダイにて総額50万相当の値段(バングル、ネックレス等含める)で販売されることとなった。
- 復活後の迅の精神年齢については、中川氏によると「32歳くらい。仕事がバリバリにできる年齢、28-32歳付近を想定して演技している」と語られているが、本編後は「子供らしい演技に戻ろうと思った」と語っている。
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関連・類似キャラクター
- ハート/ハート・ロイミュード:「友達」というワードに深い関わりがある、人工生命でもある敵対組織の幹部。
- パラド/仮面ライダーパラドクス:3作前の人類滅亡を企む敵組織の一員であり、無邪気で残酷。
- 富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダ:次回作において退場し、後に復活した味方サイドの3号ライダー。退場の時期も復活の時期も迅とほぼ同じであり過去の変身アイテムを主人公が所持し丸っ切り乗り換えている、協力体制にまで至っていないものの主人公と何度か共闘するという共通点がある。
- 鷹山仁/仮面ライダーアマゾンアルファ:ある意味滅とは真逆の性格の、同じく名前の読みが「じん」である仮面ライダーの変身者。偶然にも、同じ役者が別作品で不死鳥モチーフのダークライダーを演じた。
迅 → 尾上亮