概要
1981年10月、第2期の仮面ライダーシリーズ終了に伴い、引き続き石ノ森章太郎を原作に迎え、東映特撮としてはロボット刑事以来8年振りとなるフジテレビとの企画共同でスタートした。スタート時のプロデューサーは仮面ライダーでおなじみ平山亨P。
各作品の世界観は「ぱいぱい」と「いぱねま」を除いて共通性がなく独立しているが、シリーズに一貫して原作の石ノ森氏の作品世界の異質さ・不思議さを共通の特徴としており、シュールな脚本で知られる作家・浦沢義雄が全作品において脚本として関わっている。また、彼とつながりのある劇団『WAHAHA本舗』(柴田理恵など)のメンバーが大勢出演していることでも知られている。
他の東映特撮シリーズである仮面ライダーシリーズ・スーパー戦隊シリーズ・メタルヒーローシリーズは何度か放送時間の変更があったが、本シリーズは(原則的に)一度も放送時間は変更されなかった(日曜日午前9時00分~9時30分【関東】)。ただしローカルセールス枠であったため放送日時差し替えや放送そのものを見送った系列局も少なからずある。
初期にはロボコンの延長的な教育的要素がいくぶんかあったのだが、ペットントン以降浦沢義雄がメインになると80年代フジテレビ・軽チャー路線らしいぶっ飛んだ内容が続くようになる。
ただ流石の浦沢脚本もネタ切れ気味になり、1987年と1988年には浦沢がサブ脚本に移って少年漫画色が強めの探偵団2部作を放送した。
探偵道具のTVCMも格好良く、後のミステリーブームを彷彿とさせる。女の子が「覇悪怒組」「魔燐組」の秘密基地ごっこをしていたらおままごとだと勘違いされてしまうあったあった話なども。
その後は変身ヒロインを扱った作品にスイッチ、浦沢節完全復活。シリーズ末期(『美少女シリーズ』)は女児向けにシフトした(この他、それ以前にも人外と少女モノの『どきんちょ!ネムリン』でも一時的に女児向けをやっていた)。
「シュシュトリアン」終了後は、東映アニメーション製作のアニメ枠となり、2021年秋の改編時点も続行中。詳細は、ドリーム9の記事を参照。
終了から既に25年以上経過しているが、今なお根強い人気を持つ作品群であり、2012年の映画「MOVIE大戦アルティメイタム」ではポワトリンが登場した。
『美少女シリーズ』(ぱいぱい~シュシュトリアン)について
不思議コメディの中で特に有名なのが美少女シリーズ。タイトルロゴも衣装も、カラーヒロインの項目にあるようなカラフルな仕様ではなく、伝統芸能や民族衣装をモチーフにしたシンプルな仕様になっている(なおかつ、女児好みのキラキラした夢や魔法の要素もある。いわば、りなちゃに花とゆめの要素を織り交ぜた感じである)。プリキュアシリーズのようなキャラデザとはまた違った良さがあると言っていいだろう。
その一方で物語としてはシュールかつ社会風刺コメディーであり、毒が強く、女主人公の周りの人々は女児の理想とは言い難い性格が多く、少女漫画で言えば第三者視点で楽しむ女児向けギャグマンガに近い。
だが、作品によっては女主人公の想い人や婚約者のイケメン(ゲスト含み)が登場し、OP・ED・TVCMなど、女主人公≒視聴者を意識したシリアスな内容もある。ついでに百合シーンとかBLもある。あの出川哲朗がキスシーンを演じていたことも(なお、キスされた被害者は某光戦隊のピンク)。
難しいシーンは男性のスタントマンがヒロインを演じているが、意外と本人アクションの場面が多い。ヘロヘロなアクションもまた見どころ。
「美少女シリーズ」の玩具は良く言えばガーリーでかわいく、悪く言えばターゲット以外が買いづらいデザインであり、当時インターネット及び動画サイトがなかったために過小評価されてしまった面もある(ぱいぱいとシュシュトリアン以外がパンツルックでユニセックスな要素があったにもかかわらず)。
シリーズは打ち切りに近い形で終了したが、ネット上では、ぱいぱいにあやかっていた元女児、複数名でシュシュトリアンごっこをしていた元女児の話などが聞ける。
漫画版
徳間書店の「テレビランド」にて、おおよそ石ノ森のアシスタント陣(中島昌利、山田ゴロ、井上良平など)の作画によって連載が行われた。
その一方で本シリーズ後半となる「美少女シリーズ」からは小学館の「ぴょんぴょん」にてタイアップ漫画連載が行われた。こちらの作画者は「谷沢直(ぱいぱい、いぱねま)→井口ユミ(ポワトリン、トトメス)→玉井たけし(大龍宮城)」となっている。
しかしながらシュシュトリアンだけは1992年の「ぴょんぴょん」休刊(ちゃおへの統合)を受けて連載が叶わなかった。ただしシュシュトリアンの小学館漫画版に関しては読み切りという形で当時の「小学四年生」に掲載された。この作画を担当したのは「ぱいぱい」「いぱねま」を担当した谷沢直である。
その結果として谷沢直は小学館において「東映不思議コメディ美少女シリーズ」の始まりと終わりに立ち会った漫画家となった。この経験は後に『愛天使伝説ウェディングピーチ』(原作:富田祐弘、1994年~1996年)へと繋がる事となる。
作品
『ロボット8ちゃん』1981年10月 - 1982年9月
『バッテンロボ丸』1982年10月 - 1983年9月
『ペットントン』1983年10月 - 1984年8月
『どきんちょ!ネムリン』1984年9月 - 1985年3月
『勝手に!カミタマン』1985年4月 - 1986年3月
『もりもりぼっくん』1986年4月 - 同年12月
『おもいっきり探偵団覇悪怒組』1987年1月 - 同年12月
『じゃあまん探偵団魔隣組』1988年1月 - 同年12月
『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』1989年1月 - 同年7月
『魔法少女ちゅうかないぱねま!』1989年7月 - 同年12月
『美少女仮面ポワトリン』1990年1月 - 同年12月
『不思議少女ナイルなトトメス』1991年1月 - 同年12月
『うたう!大龍宮城』1992年1月 - 同年12月
『有言実行三姉妹シュシュトリアン』1993年1月 - 同年10月
関連タグ
美少女戦士セーラームーン:実は美少女仮面ポワトリンのリスペクト作品なのだが東映不思議コメディーシリーズを終わらせた(バブル崩壊もあったが)だけでなく、最終的には東映女児向け特撮番組そのものを終わらせた作品でもある。
ガールズ×戦士シリーズ:東映不思議コメディーシリーズの「美少女もの」の流れを組んでおり、随所に不思議コメディを研究した痕跡が残っている。ただし東映は一切関与していないほか、作風は全く異なる。
ロボコンシリーズ、ぐるぐるメダマン、ロボット110番:東映不思議コメディーシリーズに多大な影響を与えており、戦わない日常系で、一部のスーパー戦隊シリーズのようにヒロインの植毛ドールを発売している。
メタルヒーローシリーズ:かつて存在したシリーズ繋がり。最末期(’97~’98)は女児向けになる前の東映不思議コメディーシリーズの影響を受けていて、メタルヒーローと別枠扱いするファンも多い。浦沢義雄も書いている(もともとメタルヒーローではヒーローに助けられる幼女、ヒーローを助けて戦うヒロイン、戦わない男性ロボット、ホームドラマ要素などが出ており、若干ラブコメ化してはいた)。
忍者戦隊カクレンジャー・激走戦隊カーレンジャー:不思議コメディを意識したスーパー戦隊。戦隊がコメディ寄りにシフトする大きなきっかけとなった作品である。
TVオバケてれもんじゃ:1985年冬季にふたり鷹の全国ネット撤退(一部地域ではそのまま打ち切り)の穴埋めピンチヒッター(またはワンポイントリリーフ)としてフジテレビ系列局(一部地域を除く)で放送された特撮コメディ番組。
これも東映製作で石ノ森章太郎が原作名義の東映不思議コメディーシリーズの流れを汲む作品で、本シリーズの番外作といっても可笑しくはない。
東映少女ドラマシリーズ:昭和末期に前述の「TVオバケてれもんじゃ」の後を受けてスタートした一般ドラマで、かつて存在したシリーズ繋がり。スタッフも被っている。
スケバン刑事シリーズが有名だが、シリーズ終了後の少女コマンドーIZUMIが不発に終わり、穴埋めで藤子不二雄の夢カメラを放送し、枠移動後の花のあすか組!(ドラマ版)で終止符を打つ。
藤子不二雄の夢カメラ:BGMの一部を本シリーズから拝借。