概要
漫画をアニメ化したり、映画化したりといったメディアミックスは昔から盛んであり、その中で原作の内容が改変されることはよくあった。
原作に準拠した作品を作ってほしい人からすれば歓迎できない行為であり、ときに「原作レイプ」と罵られることもある。
ただし、「原作レイプ」が否定一辺倒の言葉であるのに対し、「原作クラッシャー」は文脈によっては褒め言葉として使われることもある。
- 原作通りに作るなら原作があれば十分という考えの下、原作者サイド、もしくはファンが、作り手の作家性の反映を歓迎する場合。
- メディアミックスの制約上、改変せざるを得なかった、そしてその改変が歓迎された場合。
- 時代の変化によって原作の持つ意味が変わってしまい、むしろ原作を尊重するからこそ改変される場合。
- 原作とはあえて違う展開をパラレルワールドとして描く場合。
- 古典作品を現代向けに翻案する場合。
- そもそもからして原作の出来と評判があまりにもよろしくない、要は『駄作』『クソ作品』と評される作品を大幅に改編し、それが多くの人から高評価を受けた場合。
など、いわば「大胆な再構築」と言える。要は受け入れられるか、そうでないかである。
ファンによる二次創作・パロディ・同人では頻繁に行われていることであり、それらはむしろ原作とのギャップを楽しむものになっている。
pixivでは投稿者が自分の作品に自嘲してタグ付け・コメントしている場合もある。
中には自社作品内で原作クラッシャーをしている例(Aと言う作品に対してのパロディ作品A’を自社で制作)も存在するが、こちらに関してはイレギュラーと言う事で一例には含まれない。
原作クラッシャーの例
ここでは賛否両論を巻き起こしながらも、視聴者や好意的な原作ファンから褒め言葉として呼ばれている方々を列挙する。
人物
- 石川賢(漫画家)
- 今川泰宏(アニメ監督)
- 怒涛のオーバー演出で知られる。『機動武闘伝Gガンダム』はシリーズきっての異色作。『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』はさながら「スーパー横山光輝大戦」。
- スタンリー・キューブリック(映画監督)
- 『博士の異常な愛情』はシリアスな小説をブラックコメディに翻案。『シャイニング』は原作から神秘要素を剥ぎ取り、スティーブン・キングから酷評された。しかし映画ファンからはいずれも高い評価を得ている。
- 出崎統(アニメ監督)
- テレビアニメ黎明期のカリスマ。独自の演出観で作品を再構築しヒット作を連発した。東京ムービー/Aプロでは若くして宮崎駿らよりも早く大監督枠にあり、(宮崎にとっての)リアルムスカ大佐的存在。いっぽうで晩年の原作改変はあまり評価が良くない傾向にある。
- 中島哲也(映像監督)
- CMクリエイターらしい過剰演出で、何を撮っても濃い世界観になる。
- FROGMAN(アニメ監督)
- 藤異秀明(漫画家)
- 細井雄二(漫画家)
- ポール・バーホーベン(映画監督)
- 日本のメタルヒーローを参考にした『ロボコップ』は、苛烈なバイオレンスで味付けされたお茶の間の良い子号泣シリーズ。右翼的なSF小説を映画化した『スターシップ・トゥルーパーズ』は、全体主義を揶揄したブラックコメディに改変。
制作会社
- 東映
- 『仮面ライダー』のシリーズは作品ごとに大きく違ったコンセプトを打ち出すことで知られる。特に石ノ森章太郎の手を離れた平成ライダー以降は何でもありに。仮面ライダーディケイドにいたっては他のライダーを文字通りクラッシュする「ファイナルフォームライド」を使って戦う。
- 東映アニメーション(旧東映動画)
- ジブリの二人の古巣。子供向け化するために原作を改変することがしばしばあったほか、原作のストックが尽きた際に引き伸ばすのを大変得意にしていた。原作レイパーとして批判もされたが、一方で長期シリーズ化のノウハウについては今も東映アニメーションを超えるところは無いとも言われる。