概要
第二次連合・プラント大戦終結後、世界各地で過激化する独立運動やブルーコスモス残党の侵略行為に対処するべく、カガリ・ユラ・アスハ主導でオーブ連合首長国・プラント・大西洋連邦が共同で創設した組織。その都合上、人員や技術系統も三国のものが混合している。
正式名称はcompulsory observational making peace service(C.O.M.P.S.)。引用
意味としては強制的な平和監視活動といった所だろう。また、争いの絶えない世界を導く方位磁針の役割を担うといった意味も含まれていると考えられる。
本部はプラント最高評議会と同じくプラント首都のアプリリウス市に置かれている。
平和維持の為の実行力を保有した、非国家・非遺伝子差別的な能動的組織としてC.E.74年(物語開始時点から1年前)に設立された。主な任務は難民の救済や復興支援だが、戦禍の拡大を阻止する為に独自の戦力をもって軍事介入を行う事も認められている。その性質から広大な活動範囲を持つため、運用兵器は総じて長時間の大気圏内飛行能力を有している。
しかし、こういった作戦行動は「設立した三国からの派兵」に該当することから、地球連合加盟国でもユーラシア連邦のようにコンパスを承認していない国では、作戦行動は厳しく制限される。さらにそのような国からは「設立した三国が勢力を拡大する為の尖兵」と警戒されている。実際、プラントは言わずもがな、大西洋連邦は第一次大戦時に連合内での発言力を高めるために強引な手段を講じたことに加え、第二次大戦ではロゴスの件があって国際的信用を失っており、オーブも第二次大戦時に中立を捨てたことに加えブルーコスモスの盟主ロード・ジブリールを匿ったため信用を失っている。また、承認国における作戦行動でも事前に現地政府と通信回線を固定して、密に連絡を取り合う必要がある。
着実に功績を上げている一方で、現実世界において警察が犯罪発生の後でなければ出動できないように、治安維持を目的としたコンパスは基本的に紛争やテロが発生した後でなければ動けない故に多かれ少なかれ後手に回ってしまい、ブルーコスモス残党による神出鬼没の無差別テロに対して頭を悩ませていた。また、ブルーコスモスからの被害を受けたザフト(コーディネイター)側の過激な報復行為を強引に鎮圧することもあり、ザフト側から非難されることもある。
構成員
地球連合軍、ザフト、オーブ国防軍、ターミナルと、多様な所属・経歴の者が入り混じっている。また、正規軍に所属していた者たちは出向という形で所属しており、キラをはじめ出向元の階級を用いることがある(階級はオーブ国防軍の形式ではなく、地球連合軍やザフトの形式を採用している)。名前が不詳のクルーは割愛する。
太字は本作初登場の新キャラクター。
執務
ヤマト隊
- キラ・ヤマト:ヤマト隊隊長。ライジングフリーダムパイロット。オーブ国防軍から出向。准将(そのため組織内で最も階級が高い)。
- シン・アスカ:イモータルジャスティスパイロット。ザフトから出向。大尉。
- ルナマリア・ホーク:ゲルググメナース(専用機)パイロット。ザフトから出向。中尉。
- アグネス・ギーベンラート:ギャンシュトローム(専用機)パイロット。ザフトから出向。中尉。
ハーケン隊
- ヒルダ・ハーケン:ハーケン隊隊長。ギャンシュトロームパイロット。少佐。
- ヘルベルト・フォン・ラインハルト:ゲルググメナースパイロット。大尉。
- マーズ・シメオン:ゲルググメナースパイロット。大尉。
アークエンジェルクルー
- マリュー・ラミアス:艦長。オーブ国防軍から出向。大佐。
- ムウ・ラ・フラガ:ムラサメ改パイロット。オーブ国防軍から出向。大佐。
- アーノルド・ノイマン:操舵士。オーブ国防軍から出向。大尉。
- ダリダ・ローラハ・チャンドラII世:オペレーター。オーブ国防軍から出向。中尉。
- ヒメコ・ユリー:オペレーター
- ユウ・キリシマ:ブリッジクルー
- コジロー・マードック:メカニック。オーブ国防軍から出向。
ミレニアムクルー
- アレクセイ・コノエ:艦長。大佐。
- アーサー・トライン:副長。ザフトから出向。少佐。
- アルバート・ハインライン:技術全般責任者。オペレーター。ザフトから出向。技術大尉。
- アビー・ウィンザー:オペレーター。ザフトから出向。
- オリビア・ラスカル:オペレーター
- ジェミー・トンプソン:オペレーター
- ジム・ライアー:ブリッジクルー
- ドロシー・ブリストル:ブリッジクルー
- ヒカル・ハヤテ
- マーカス・マグダネル
- マッド・エイブス:メカニック。ザフトから出向。
- ヴィーノ・デュプレ:メカニック。ザフトから出向。
保有兵器
コンパス所属であることが一目で分かるように、目立つ場所(MSの場合は左肩前面)にコンパスの組織章がマーキングされている。
MS
艦船
余談
- ラクスを含め主要人員の顔ぶれからに事実上、歌姫の騎士団が公的な地位を得て刷新された組織と考えても良いと思われる。
- 独立運動で思い出されるのは、地球連合で過去2年近く起きている大西洋連邦やユーラシア連邦からの脱退が発生しているため、これらの対応も含まれるのだろうか。
- 当初の情報では、「大西洋連邦から出向した者も居る」とされているが、戦力面において大西洋連邦が関わってる要素はほとんど確認できなかった。共同設立の割には大西洋連邦の関連が少なく、歪な部分が垣間見えていた。
- 新キャラはアグネスがザフトレッドと設定が明るみになったのみで、ミレニアムのメンバーの人種や出身は不詳となっていた。後に公開された同艦のメンツ(副長やMSパイロット)を見るにコーディネイターが多数と言う印象がかなり強い。一方で、アークエンジェルのメンバーはナチュラルが多く、ナチュラルとコーディネイターで部隊が分けられている形に見えていた(元々アークエンジェルのクルーはキラ・ヤマト以外ナチュラルで、現在も艦に残っている面々は艦を知り尽くした人材であるためここら辺はこじつけに近いが)。
- アークエンジェルのクルーはC.E.73年12月の「オペレーション・フューリー」後にオーブ国防軍に編入しているため、オーブ国防軍からの出向扱いになっている。
- 運用するMSもオーブ連合首長国(モルゲンレーテ社)とプラント(ザフト)が新規開発やアップデートしたものしか登場していない。というのも、地球連合軍のMS技術の基礎はオーブとザフト双方が入手済み、そして前大戦時の連合は複数人で操縦する大型モビルアーマーを中核とした運用が多かったことから、あえて取り入れなかったのかもしれない。
- ミレニアムはドラマCDでの発言を加味するに、戦後にザフトで建造された新造戦艦である可能性が高い。
- 大西洋連邦は第二次連合・プラント大戦にて国力が大幅に削がれているため、「地球連合の盟主国」というネームバリューを活かした名義貸しに留まっていても不思議ではない。
- 新キャラはアグネスがザフトレッドと設定が明るみになったのみで、ミレニアムのメンバーの人種や出身は不詳となっていた。後に公開された同艦のメンツ(副長やMSパイロット)を見るにコーディネイターが多数と言う印象がかなり強い。一方で、アークエンジェルのメンバーはナチュラルが多く、ナチュラルとコーディネイターで部隊が分けられている形に見えていた(元々アークエンジェルのクルーはキラ・ヤマト以外ナチュラルで、現在も艦に残っている面々は艦を知り尽くした人材であるためここら辺はこじつけに近いが)。
- 物語開始時点から換算して、設立が1年前、フリーダム強奪事件が半年前、イモータルジャスティスやゲルググメナースが「(操縦に慣れてきたレベルで)新型」とされていたことから、設立当初は別の機体群を運用していた可能性が高い。
- ストライクフリーダムでさえ半年前まではアークエンジェルから離れていた辺り、全員でムラサメ改でも乗り回していたのだろうか?
- ファンからはそのネーミングすらディストピアらしく胡散臭いと評価している者もいるが、元々C.E.自体が人種差別を発端に始まった戦争が延々と続くディストピアと言える。
- その影響か、むしろ全体を管理する組織くらいないとこの世界はどうしようもないという意見もそれなりに存在する(極端ではあったが、かのデスティニープランが先の例であろう)。
- というかむしろ管理されなければ勝手に絶滅戦争を始めてお互い滅びる運命である(ジェネシスや核兵器などの大量破壊兵器により、これまでのSEEDシリーズにおいて人類絶滅一歩手前まで行ったケースは複数存在する)。
- そもそも現実世界にも「国連平和維持軍」という似たような国際組織が存在している。人員は派兵(出向)という形により補われ、主な任務は紛争地域での衝突防止と停戦実施の監視だが、状況によっては先制攻撃さえ視野に入れた武力介入も行う。一方、国連加盟国へ攻撃できなかったり中立性維持が念頭にあったりといった制約から、一方的に被害に遭っている現地住民を見捨てて撤退してしまうといった事も度々起こしている。
- それと比較するとコンパスは、非承認国内で作戦行動はできないものの、ラクスをトップとした一定の独自裁量の下で迅速に行動でき、場合によっては承認国への攻撃も許されるといった違いがある。
- ちなみに、コズミック・イラにおける国連はC.E.70年2月5日に起こった月面都市でのテロ事件「コペルニクスの惨劇」により事務総長と首脳陣が全滅したことで崩壊しており、その2日後に大西洋連邦主導で設立された地球連合が代役を務めている。
関連タグ
ソレスタルビーイング:情報解禁されて以降何かと比較されており、共に「争いの絶えない世界に対する抑止力」という点が共通しているが、コンパスが世界に認可された合法な公的組織なのに対し、こちらは非合法の私設組織である。
プリベンター:新機動戦記ガンダムWにおけるほぼ同じポジションの組織。しかも組織が御披露目されたのが、劇場版であるのも一致している。
【警告】『機動戦士SEED FREEDOM』本編ネタバレ注意。
ファウンデーション王国にブルーコスモスを標的とした共同作戦を提案され、これに参加を決定したコンパス。しかし、この作戦はファウンデーションの罠だった。罠にかかったキラは暴走し、協定違反行為を行ってしまう。これを止めるためという名目でラクスにライジングフリーダム攻撃の許可を出させたファウンデーション宰相オルフェ・ラム・タオ。これによって行動を開始したブラックナイトスコード隊の猛攻(およびアグネスの裏切り)により、コンパスはムラサメとゲルググを複数損失、マーズとヘルベルトも戦死してしまった上にライジングフリーダムとイモータルジャスティス、そしてアークエンジェルといった主戦力の大半を失ってしまった。
核ミサイル攻撃の爆発の中命からがら逃げ延びたミレニアムとルナマリアのゲルググ。オーブに入港し、もはや存在意義を失ってしまったコンパスの現状に憂いていた。
総裁であるラクスはオルフェらと共に脱出…という体裁で宇宙に連れ去られた。彼らの目的は最初からラクスだったのである。
先のキラ暴走の一件を受け、コンパスは活動の凍結を余儀なくされた。カガリは必死に止めようとしたものの、信用失墜行為と戦力の大部分を損失したことにより、もはやそうなるのも時間の問題だっただろう。
一方、キラ達は別ルートで生還。キラとアスランとの殴り合いの末に「ラクスを救出し、ファウンデーションも止める」ことを行動指針に定め、エリカ・シモンズが改修・保管していた前大戦時の機体を受領。宇宙に上がる手段として「ハイジャック犯を装って停泊中のミレニアムを強奪し、クルーたちは死地に連れて行かず退艦させる」というエターナル以来の戦艦強盗作戦を敢行する。
...が、コノエやハインラインは最初からアークエンジェルクルーの生存を信じ、彼らがどうするかを先読みしたうえで出航の準備を整えており、ダイバースーツで素性を隠してブリッジに踏み込んできたマリューたちの正体を言い当て艦の指揮権を移譲。部隊を再編成して宇宙での最終決戦に向かった。
なお、オーブとコンパスの立場を守るため、この出撃はあくまで「ミレニアムを拿捕した海賊によるもの」という名目であったが、オーブ海軍は真相を察したうえで「わざと艦砲射撃を当てずに素通しする」トダカ仕込みの見送りを行い、一連の行為を衛星のカメラで見ていたファウンデーションもコンパスとオーブの悪あがきを察し、即座に迎撃準備を整えていた。
余談
- メンバーは癖こそ強いが実力者や天才肌の者が多く、新キャラのアグネスやハインラインの面子なども考えると、志願してきたメンバーは「元の部隊・職場で意見が合わずに実力を振るおうと、コンパスに進んで入ってきている」可能性がある。
- 逆の見方をすれば、大西洋連邦やザフトからすれば「人員は出さなくてはならないが別に失っても軍にとっては惜しくない人物」を寄越してきたように見える人事もある。状況判断とリスク管理には優れているがこれまでの2度の大戦では目立った戦功のないコノエや、ザフトの元ミネルバ隊副長という実績はあるが公式HPの紹介でも「いささか頼りない」と書かれる(周りが天才揃いだから相対的に凡人に見える)アーサーなど。
- SEED FREEDOMのオマージュ作品の一つに「逆襲のシャア」も含まれているため、「ロンド・ベル隊」もコンパスのオマージュの一つと見られる。この部隊は「本来の連邦軍部隊では厄介者として扱われる実力者たちを集めた少数の精鋭部隊」と言う側面がある。
- 福田監督曰く、ラクスの素性がアコードということが全世界に知れ渡ってしまったせいで今まで以上の危険に晒される為、記録上は彼女は最終決戦の末に生死不明扱いとして処理されているかもとのこと(ラジオ番組で一つの考えとして述べたのであって、あくまで公式設定というわけではないようだが)。ラクスが表舞台から退くにはある意味好機かもしれないが、ただでさえ戦力が半減している上にトップを失ってしまったことで、今後の活動再開の目途に支障をきたしたり、再開できたとしても組織が弱体化してしまう可能性がある。