概要
遊戯王オフィシャルカードゲームのデッキビルドパック「DARKWING BLAST」で初登場した、ヴィサス=スタフロストを中心としたカードの背景ストーリーに関連したカテゴリ。背景ストーリーに設定された「新世壊」に属しており、六世壊=パライゾスの住人たち、ということになっている。
属するモンスターは、クシャトリラ・ライズハート以外は全てレベル7およびランク7で統一されている。
相手のカードを裏側除外するという非常に強力な除去手段を持つものが多く、ランク7のエクシーズ召喚が狙いやすいのも特徴。
登場時に出た3種は、自分のフィールドにモンスターが居なければチェーンを組まずに特殊召喚可能で、攻撃宣言時か相手のモンスター効果の処理後に反応するので迂闊に手札誘発も投げられないというプレッシャーが付いてくる。
外見は赤を基調としている。また、下記の設定にもあるように武人集団なのだが、OCGでは戦士族のみならずサイキック族や機械族も含まれる。
背景ストーリー
ヴィサス=スタフロストから分かたれた”怒り”の化身クシャトリラ・ライズハートが率いる赤き武人集団。
首領であるライズハートはヴィサス=スタフロストが持つ分身の吸収能力を機械技術で再現しており、他のハートモンスターを吸収するために他の世壊に度々兵を送り込んでいる様子。
物語中盤でティアラメンツ・レイノハートがヴィサスによって敗れ去るとレイノハートの肉体を狙って精鋭であるクシャトリラ・ユニコーン2体が強襲。レイノハートをカプセルに収めてペルレイノから離脱し、同時に侵攻していた肆世壊=ライフォビアにて追跡してきたヴィサスと相対する。
他の世壊と比べると全体的に詳細が不明で、ライズハート以外のクシャトリラモンスターは武人である以外は何故ライズハートに従っているのか、シャングリラを含めた機械技術の由来など一切が不明。スケアクロー・クシャトリラとティアラメンツ・クシャトリラに至っては関連魔法・罠カードに登場しておらず、ザ・ヴァリュアブル・ブックEX3のストーリー解説でも触れられていない。
共通カードテキスト
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
デッキから(特定の種類の「クシャトリラ」カード)1枚を手札に加える。
(3):このカードの攻撃宣言時、または相手がモンスターの効果を発動した場合、
(特定のカード1枚を裏側表示で除外する)。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手のメインフェイズに発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、自分の手札・墓地から「クシャトリラ」カード
または(自身が所属するもう1つのカテゴリの)カード1枚を選んで除外する。
対戦環境
初登場時点でも強力なカードは多かったが、カードの種類が少なすぎてデッキが組みにくく、他のデッキでも有用なフェンリルを2枚か3枚だけ採用されただけであった。
次弾の「PHOTON HYPERNOVA」にてクシャトリラ・ライズハートを含む多数の新規カードが実装されたことによって純正デッキが成立させやすくなった。さらに相性の良いNo.89電脳獣ディアブロシスと合わせて相手フィールド5面封鎖+全体除外が出来るようになってしまう。
これにより当時の対戦環境を席巻していたティアラメンツと比較して「ティアラメンツに何とか勝てなくも無いけどクシャトリラに勝てない」というデッキを大量に作ってしまった。それだけの異常事態を引き起こせても、当時環境を制圧していたティアラメンツに有利が取れたという訳でもないが、このテーマ自身もティアラメンツ・クシャトリラの存在からティアラメンツの強化パーツと化してしまい、格差は大きく広がってしまった。
直後のリミットレギュレーションにて初出のLV7のうちクシャトリラ・フェンリルとクシャトリラ・ユニコーン、登場から2ヶ月しか経ってないフィールド魔法のパライゾスが制限カードとなり大きくパワーダウン。
その後も環境デッキとして活躍していた為、続くリミットレギュレーションでメインエンジンにして制圧要員のクシャトリラ・フェンリルが禁止カードとなり、展開力が大きく低下することとなった。
ただし後述するように明確な弱点があったことに加えて一部のカードには効果使用ターンにエクシーズ召喚縛りの制約があったこともあり、「クシャトリラには意外と製作側の理性が働いている」と評するデュエリストもいる。
これに関してはスプライトやティアラメンツがあまりにも理性が働いていなかっただけという話も…。
弱点
禁止・制限カードを多く輩出した2022年度に実装されたカテゴリなだけあって強力ではあるのだが、意外と穴が多いことでも知られている。
- 魔法・罠カードによる除去
まず最大の弱点がこれ。カテゴリ内のカードや展開の着地点となるランク7エクシーズモンスターに発動無効持ちカードが無い。そのため魔法・罠カードによる除去に極めて弱く、破壊耐性を持つのもクシャトリラ・シャングリラしかいない。
このため、後手の捲り札であるサンダー・ボルトやライトニング・ストーム、拮抗勝負などが非常に有効で、それらのカードを握られていたらどれだけ完璧な盤面を築けていてもあっさり盤面を更地にされてしまう事が多い。墓地からの特殊召喚手段もカテゴリ内ではクシャトリラ・バースしかないので一度全体破壊をもらってしまうとリカバリーは容易ではない。
後に相手ターンにモンスター効果を発動するとこれらの捲り札をサーチできる三戦の号の登場によってこの弱点はより顕著になっている。
一応こうした全体除去への回答としてレベル7モンスターが中心であることを活かして灰流うららなどのレベル3チューナーを通常召喚しフルール・ド・バロネスをシンクロ召喚することも可能ではあるが、一部のカードには発動後にエクシーズ縛りがつき、手札誘発と召喚権を消費した上にその後の展開を狭めてまで出すのは少々リスキーだろう。
- クシャトリラ・フェンリル
意外なことに同じテーマのクシャトリラ・フェンリルが最大の障壁となる。
こちらの効果発動をトリガーにカードを除去して展開を阻害してくる他、相手ターンにクシャトリラ・シャングリラの効果を発動してしまうと相手のフェンリルにクシャトリラ・アライズハートが重ねてエクシーズ召喚され、こちらのモンスターを攻撃。これによりエクシーズモンスターが戦闘を行ったためクシャトリラ・アライズハートに重ねて天霆號アーゼウスがエクシーズ召喚、その効果で折角築いた盤面が更地にされてしまう。しかもこの方法は途中でモンスター効果を一切用いない為、クシャトリラ・アライズハート以外のクシャトリラカードでは妨害できない。
この方法自体は初期に実装されたLv7クシャトリラであれば可能だが、特にクシャトリラ・フェンリルはその汎用性と出張性の高さからあらゆるデッキに採用されており、後にクシャトリラ・フェンリルが禁止カードに指定されるまで、手軽なクシャトリラ対策として多くのデッキで使われた。
- その他の弱み
上記以外にも主な初動であるクシャトリラ・フェンリルやクシャトリラ・ユニコーンは自分のフィールドにモンスターカードが存在しない場合にしか特殊召喚でないため、送り付け効果を持つモンスターで対策するという方法もある。
このため、一時クシャトリラへの対策札として大昔のカードであるマタンゴの採用が大真面目に検討されていた。(とは言え本来はミラーマッチを意識した採用であり、召喚権を使ってしまう点などから早々に使われなくなった)
総じて回ったときの拘束力は強いものの、これらの欠点は現代遊戯王において無視できるものではなく、結果としてクシャトリラは環境トップに立てず、常に環境トップ層の後塵を拝していたのであった。
マスターデュエル
マスターデュエルではOCGだと登場弾が分かれているテーマでもまとめて実装される事も多かったが、クシャトリラにおいてはライズハートが先行実装された以外はOCGと同じく2分割での実装となった。
『DARKWING BLAST』組の事前規制はOCGで禁止カードとなったクシャトリラ・フェンリルが準制限のみ、『PHOTON HYPERNOVA』組は六世壊=パライゾス(とティアラメンツ・クシャトリラ)が制限となったので一見緩く見えるが、代わりにNo.89電脳獣ディアブロシスが禁止カードとなっており、全盛期ほどの封鎖盤面はできなくなり、結果として環境での活躍も上位デッキではあるもののOCGと比べてもかなり控えめになっている。
それから暫くの間はこれといった規制もなかったが、2024年1月10日のリミットレギュレーションでクシャトリラ・フェンリルとクシャトリラ・バースの2枚が制限カードに指定された。前者はOCGと同様に多くのデッキに出張している点が問題視され、後者はクシャトリラの上振れ展開を抑止する目的だと思われる。
3か月後の4月11日のリミットレギュレーションでクシャトリラ・ユニコーンとクシャトリラ・バースのの2枚が準制限カードに指定された。前者はクシャトリラの初動となるカードを減らす目的があるが、後者の緩和によりピンポイントな対策を抑止する効果が見込まれる。