概要
2022年4月発売のデッキビルドパック「POWER OF THE ELEMENTS」から収録されたカテゴリ。
ヴィサス=スタフロストを中心とした背景ストーリー「新世壊」のシナリオで2番目にあたる。ヴィサスに関連するストーリーテーマのため、魔法・罠にはサーチ先や発動条件にヴィサスが含まれている。
登場から1年ほど環境を荒らし、複数回の規制を受けてなお環境トップに留まり続けたこともあって遊戯王史上最強のテーマと評価するデュエリストは多い。
共通カードテキスト
※以下はメインデッキの効果モンスターに共通
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):(固有の発動条件や処理を行った後に)
自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送る。
(2):このカードが効果で墓地へ送られた場合に発動できる。融合モンスターカードによって決められた、
墓地のこのカードを含む融合素材モンスターを自分の手札・フィールド・墓地から好きな順番で持ち主のデッキの下に戻し、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚する。
効果の傾向や戦術
主戦術は墓地で発動する融合魔法を使わない融合召喚と、それを行うための各種墓地肥やしとなっている。
モンスター効果
効果を発動したモンスターを必ず素材に組み込む必要があるものの、融合素材はデッキの一番下に戻るので息切れしにくいのも強み。
融合先及び融合前後の制約が無いので、一部のテーマを、あるいは一部のティアラメンツを出張させる事で別テーマの融合モンスターや別の召喚法のモンスターを呼び出す事も出来る。
全員が効果で墓地にカードを送り込む効果を持っているので、それらに連鎖して融合召喚を繰り返す事が出来る。
該当カードがどの領域にいるかを問わず、「効果で墓地に送られる」という緩い条件で効果発動するだけに、相手フィールドにいる数体のティアラメンツモンスターに対して全体除去を撃ったら除去した数を超える融合モンスターが湧き出してきたなんて事態も多々あった。
さらにティアラメンツ関連の魔法、罠カードには効果で墓地に送られたときにティアラメンツカードをサーチする効果もあるため、デッキの動きを円滑なものにしやすい。
要はテーマカードの大半が間接的な除去耐性を持っているようなものであり、墓地リソースを使って動くため、墓地もほぼ手札として使える上、サーチカードの多さからデッキすら手札にしてしまえる。征竜かお前ら。
モンスター以外の関連カード
これに加えてモンスター以外のテーマカードも
- ティアラメンツカードのサーチ効果に加えてティアラメンツモンスターと融合モンスターの打点を上げる上にティアラメンツモンスターがデッキかEXデッキに戻るという緩い条件で相手のフィールドのカードを破壊するフィールド魔法「壱世壊=ペルレイノ」
- 対象としたモンスターの効果を永続的に無効化する上、自分のティアラメンツモンスターを墓地に送ることで相手ターンの展開にも使える永続罠「壱世壊に奏でる哀唱」
- モンスターが召喚、特殊召喚されるとデッキのカードを墓地に落とし、相手モンスターの打点を下げる永続魔法「壱世壊を劈く弦声」
と言った他のカテゴリが羨むパワーカードが脇を固めており、その地力を底上げしている。
相手のターン中での手札からの誘発特殊召喚、各種魔法罠による墓地送りからの能動的な発動、更にイシズギミックによるブーストによって相手ターン中にも自分のターンかのごとく延々と展開することから、単なる封殺などの現代遊戯王とは少し違った意味で非常に嫌われやすいテーマでもある。
属性は闇属性・水族が主体だが、例外としてティアラメンツ・レイノハートが水属性・戦士族、ティアラメンツ・ルルカロスが水属性、ティアラメンツ・カレイドハートが悪魔族、ティアラメンツ・クシャトリラがサイキック族となっている。
メインデッキ内の水族の墓地肥やし枚数が軒並み3枚という数字だったことから、情報公開時にはドラゴンメイド・ラドリーを思い浮かべた人も多かった。
特にメイルゥは効果テキストが途中まで完全に一致しているため、無理もないと言ったところだろう。
ちなみにティアラメンツモンスターの効果は「メイルゥの召喚成功時効果の墓地肥やしでシェイレーンとレイノハートが墓地に落ちたので2体の効果がそれぞれ誘発」という風に連鎖する場合がある。このため、誘発する効果の数によっては効果処理が凄まじく煩雑で、その様は「人間の処理能力への挑戦」とも評されるほど。
さらに効果処理に時間がかかるため、ティアラメンツのデュエルは結構な確率で時間切れからのエクストラターン、エクストラデュエル突入が発生するのも地味ながら面倒な点である。
有名なエピソードとして2022年の日本選手権決勝は先攻【イシズティアラメンツ】、後攻【EM竜剣士】というマッチアップになったのだが、双方が時間を消費した結果、先攻2ターン目でマッチ戦の制限時間である40分を使い切ってエクストラターンに突入し、実質1デュエルで決着したという割と笑えないものがある。
それに加えて効果が誘発すれば相手ターンにもガンガン動くので処理が重なると現在どちらのプレイヤーのターンかがわからなくなるほど。その様はあの全盛期ふわんだりぃずと同等かそれ以上と評されている。
デッキパワーに加えてこう言った面倒臭さもティアラメンツが嫌われやすい理由である。
対戦環境
- 初登場からしばらく
テーマとしては登場当初から環境クラスではあったが、それ以上に同期のスプライトが強すぎたため、烙印融合と合わせた型で2、3番手に食い込むぐらいが限界ではあった。
しかし翌月末に登場した現世と冥界の逆転関連テーマの墓地肥やしギミック、通称イシズギミックと非常に相性が良かったため、それらと組み合わせた【イシズティアラメンツ】が環境トップデッキとなった。
そして2022年10月の制限改訂にて主要パーツ共々規制され、内容もイシズ関連から制限カード3枚、ティアラメンツからも制限カード1枚、準制限カード1枚という凄まじい枚数の規制がかかった。
だが、同月発売のPHOTON HYPERNOVAにていくつかの新規カードもらった上、その中にこれまた同パックにて大きく強化されたクシャトリラとシナジーを持つティアラメンツ・クシャトリラがいたために、環境トップレベルのテーマ同士が手を結んだ【クシャトリラティアラメンツ】という悪夢のようなデッキが成立し、再び環境トップに咲いた。
と、一度の大幅規制を受けてなお環境で暴れ続けたために翌年の2023年1月の制限改訂にて禁止カード1枚、制限カード2枚とさらに厳しい規制がかかった。
- 2023年1月1日時点のリミットレギュレーション
- 禁止カード:1枚
- 制限カード:3枚
- 準制限カード:1枚
という全盛期征竜とタメを張れるレベルの厳しい規制(イシズ関連のカードも加えれば制限カードが3枚増える)を受けた。
しかし、それでもティアラメンツは環境で暴れ続けた。
制限で空いたスロットにイシズモンスターの生き残りである古尖兵ケルベクや剣神官ムドラにシャドール、融合素材代用モンスターである沼地の魔神王などと組んだ型のデッキが作られる。
規制によってティアラメンツ純正構築は戦えなったことには間違いなく、この型はティアラメンツというよりは墓地肥やしグッドスタッフと呼ぶべきものであり、安定性は前期に比べて大きく落ちた。
しかし、沼地の魔神王が入ったことで出せる融合モンスターの幅が広くなり、上振れた時の盤面の強さは前期以上とも評された。本当になんなんだお前ら。
厳しい規制を受けても環境で暴れ続ける様子はデュエリストたちから「首から下を切り落としたのに泥と沼で身体を再構築した」と評され、「令和の征竜」の称号を賜ることになった。
さらにティアラメンツが環境にいることで今後の融合モンスターのデザインに影響を与えるのではないかという懸念も生まれている。
流石にそんな状況が許されるはずもなく、手始めに海外の遊戯王TCGでは2月13日改訂にてキトカロスが禁止、シェイレーン、メイルゥ、ハゥフニスの3枚がまとめて制限、ついでにイシズモンスターも4枚まとめて制限になった。
そして遊戯王OCGでも4月1日改訂にてメイルゥとハゥフニスの2枚が制限カードになり、ケルベクとムドラも制限になった。
- 2023年4月1日時点のリミットレギュレーション
- 禁止カード:1枚
- 制限カード:5枚
と、遊戯王の歴史の中でも類を見ない厳しい規制を課されることになった。
ここまでの規制を受けてなお環境上位に居座るのであればシェイレーン、メイルゥ、ハゥフニスの共通効果持ち下級ティアラメンツ3枚全部禁止という征竜と同じ末路を辿る可能性も出てくるので、これで止まるかどうかが注目された。
なお、この状態で少なくともデッキとして成立する程度には動かせるどころか最初期環境での入賞ができる程度のパワーはあることは確認されている。
2023年7月の制限改訂で大きな動きは無かったが、新テーマ「罪宝」とのシナジーが着目され、【罪宝ティアラメンツ】が環境上位に現れる。現状一強とまでは言えないものの、環境上位には居座り続けた。
2023年10月1日改訂ではティアラメンツ・クシャトリラが新たに制限カードに指定され、2023年10月1日時点のリミットレギュレーションにおいてはテーマ内で
- 禁止カード:1枚
- 制限カード:6枚
となり、メインデッキに入るティアラメンツカード6枚全てが制限カードとなる事態に。
ティアラメンツ本体からの新規規制はこれだけなのだが、ティアラメンツの墓地肥やしを支えていたアギド、ケルベク、混沌魔龍カオス・ルーラーの3枚がまとめて禁止カードに指定され、いよいよコナミは墓地肥やしという行為そのものを潰しに来た。
カオス・ルーラーに関してはティアラメンツ以外のデッキでも多く採用されていたパワーカードなのだが、アギドとケルベクに関しては間違いなくティアラメンツでの採用が原因で禁止となったという見方が強い。
ここまでの規制に加え、新規及び他テーマの強化から流石に環境からは姿を消すこととなったが、この状態でも使おうと思えばそれなりの強さは発揮するのがティアラメンツの恐ろしい所であり、またそういったとリペア構築が考案されるほどプレイヤーに愛されたテーマとも言えるだろう。
もっともテーマギミックが墓地肥やしと墓地利用という遊戯王の根幹に関わる戦略に深く結びついている関係上、新しい墓地ギミックが出るたびティアラメンツの強化になってしまうため、規制緩和どころか追加規制もあり得てしまうテーマという立ち位置なのは今後も続くと思われる。
マスターデュエルにおいて
異例の事前規制
マスターデュエル実装前に主要カードが禁止されるという異例の事態に「そもそも実装されるのか」という懸念があったが、23年4月にキトカロスとペルレイノを制限、シェイレーン、メイルゥ、ハゥフニスを準制限という、前例のない事前規制をかけて、ダークウィングブラストまでのカードが実装されることが分かった。
そしてやはりというべきか、テーマ内URカードが6種類という露骨な販売戦略が取られた。
ただ事前規制のおかげで一部は3積みする必要がないため、EX2種を1枚ずつ、残りを最大枚数としても11枚という、実際はエクソシスターなどの他の追加テーマとほぼ変わらない予算で組むことができた。
圧倒的な人気
大方の予想通り、23年4月以降の環境はティアラメンツ一色に染まった。
まずOCGでは後発だったイシズ関連カードが(準制限だが)既に実装済みで、最初からフルパワーを出すことができた。OCGでの評判を耳にしていたMD勢はこぞってパックを剥いた。規制されているのにフルパワーというのも、おかしな話だが。
ほかOCGにおける上述の煩雑な処理をコンピュータが自動でやってくれたり、MDの追加機能である発動済み効果の可視化によって状況判断がしやすかったりと、プレイヤー側の負担がかなり減少しており、そっち方面で嫌われることが少なかったのも人気を後押しした。
加えていわゆる美少女の多いテーマもであり、デザイン面での人気が高く、勝率やランクに興味はないが世界観やキャラクターが好きというユーザからも支持を得ていた。特にOCGでは禁止によりデッキを組めないので、向こうでティアラメンツを愛でていた人にとってはMDが唯一の希望である。
結果、ガチ勢は勿論、しばらくMDから離れていた復帰勢、デザイン重視のライト勢、泣く泣くティアラメンツから撤退したOCGプレイヤー等、あらゆる層が欲しがる事態に発展した。シルバー、ゴールド帯のような比較的下位ですらティアラメンツのミラーが頻発したほど。
OCGでの前例から将来、間違いなく禁止・制限行きになる(=かけたお金が無駄になる)ことが分かり切っているのに、この盛況ぶりである。デッキ1個ぶんの無償の石がある新規アカウントならともかく、リリース初期からMDをプレイし続けているようなガチ勢は怖くないのだろうか...
既存テーマの駆逐
性能は上述の通りで「自分は墓地を好きなだけ使うのに、相手の墓地利用は許さない」という理不尽極まりない性質により、展開に墓地を絡めるイビルツイン、ラビュリンスなどの既テーマは撤退を強いられた。
なかでも特に依存度の高かった電脳堺、ドラゴンリンク、海晶乙女、斬機に至っては壊滅状態となった。
数少ない生き残りは前世代のぶっ壊れであるスプライト、墓地に依存しないメタビートやふわんだりぃず、あるいは除外テーマのエクソシスターぐらいなもので、環境はイシズティアラメンツを使うか、イシズティアラメンツをメタるかという極端な構図になってしまった。
最初こそ何とか対策しようと頑張っていた既テーマ使い達も、あまりの戦力差に絶望し、ティアラメンツもしくは対策テーマへの乗り換えを強いられ、ますますティアラメンツの勢いは増していった。
緩い制限改訂とWCS2023
あまりの暴れぶりから多くの決闘者が「次の改訂で少なくともキトカロスは禁止だろう」と予想したのだが、実際は制限止まりで、ほとんど変化がないまま野放しにされた。
これについて禁止にしてしまうとティアラメンツ・クシャトリラなど、今後の新規カードの価値がなくなり売上が減ってしまうため、公平性よりもビジネスを優先したのではないかと邪推され、批判が殺到した。
そして荒れるのが目に見えていながら、規制が緩いまま世界大会期間に突入、案の定マスターデュエルの世界大会予選は【イシズティアラメンツ】で埋め尽くされてしまい、他のあらゆるテーマと「格が違う」ことを証明する結果となった。
- 2023年7月時点
さすがに禁止は待ったなしだろうと思いきや、2023年7月時点で規制されたのは壱世壊に奏でる哀唱のみで、あとは簡易融合などの関連カードの規制に留まった。
ティアラメンツ環境にウンザリしていた層から不満が噴出したのは言うまでもない
ただ強化されたラビュリンスや烙印ビーステッドが環境で台頭したことでティアラメンツ一強の構図が崩れており、また8月にクシャトリラが実装されたがティアラメンツ・クシャトリラやアライズハートなどは未実装であったため、実際は無難な改訂という声も。
- 2023年9月時点
ついに規制のメスが入りティアラメンツ・メイルゥが禁止、古衛兵アギドが禁止、準制限だった古尖兵ケルベクも制限となった。多くの決闘者からヘイトを集めていた「相手の墓地封じ」が難しくなり、それまで我慢を強いられていた多くのテーマ達が環境へ戻ることを許された。
墓地肥やしの効率低下、1ターン中に行える融合召喚の回数減少、以前のサリーク制限の影響などから、ティアラメンツ時代は終焉を迎えることとなった。OCGでは赦されていた下級ティアラメンツが粛清された点から、むしろMDの方が厳しいという声も。
キトカロスは制限に留まっているため、テーマそのものは破綻していないが、他の出張セットや汎用カードの力を借りないといけない状態であり、少なくとも勝率重視のガチ勢が使うデッキではなくなった。
何故メイルゥが禁止のターゲットになったのか、他の下級ティアラメンツと違って自身の特殊召喚効果は持たないのだが、レベル2であるためスプライトを展開に利用できてしまう。
マスターデュエルではOCGでは禁止のスプライト・エルフが現役で、後発のスプライト・スプリンドを使った展開ルートも強力だったので、そのままだとスプライト側も規制せざるを得ず、両者のシナジーを断ち切るためこのような手段を取った、というのが大方の予想である。
- 23年10月時点
さらに古尖兵ケルベクが禁止、ティアラメンツ・ハゥフニスも制限カードに指定された。新規カードであるティアラメンツ・クシャトリラも制限カードに指定されたうえでの実装となった。
- 24月1月時点
24年1月に混沌魔龍カオス・ルーラーが禁止となった。
あらゆる墓地肥やしの手段を封じられ、もはやかつての姿は見る影もなくなった。
...と思われた。
WCS2024~現在
なんとWCS2024・マスターデュエルの部にて【ティアラメンツ】が優勝する。
(厳密には【ホルス】との混成で、チームメンバーのうち1人が採用)
次世代のテーマであるユベル、ホルス、炎王、スネークアイなどが蔓延る中での快挙であり、改めてその強さを世界中に知らしめることとなった。
現在のティアラメンツであるが上の実績からも分かる通り、普通に実戦レベルのデッキである。
ただ他テーマや汎用カードの力を借りる都合上どうしてもUR枚数がかさむため、コスパの面で見ると微妙で、当時ティアラメンツを使っていたというヘビーユーザ or 復帰勢以外、組む理由がないというのが実情である。新規なら普通に最新パックにお金を使った方がいいだろう。
とは言えデザイン面での人気は健在で、ファンデッキとして愛用するユーザはちらほら見られる。
カード一覧
効果モンスター
融合モンスター
「ティアラメンツ」と名のついた魔法・罠カード
通常魔法
速攻魔法
永続魔法
フィールド魔法
通常罠
永続罠
カウンター罠
「ティアラメンツ」に関する効果を持つカード
その他
関連動画
ぴにき氏による「ティアラメンツは何故強いか」の解説動画