概要
ファンシーでほのぼのとした絵柄や名称が特徴の、メルフィーに次ぐ癒し系動物の世界観をもつカード群である。
属するモンスターは全て水属性か風属性の鳥獣族で統一されており、「渡り鳥が旅をする」というモチーフのテーマとなっている。
5chやTwitter,Youtubeなどの大手遊戯王コミュニティにおいてえんぺんはよくペンギン🐧の絵文字で表されるが、ペンギンの絵文字自体でふわんだりぃずを表すことも多い(メトニミー)。遊戯王にはペンギン自体のテーマもあるのになあ。
テーマの動き
動きとしてはカードの効果による追加の「召喚」を連続して行うという方法で展開するのが特徴のデッキとなっており、ある意味ラッシュデュエルの様にも見えなくもない。
下級モンスターの効果でサーチやサルベージ・妨害を行い、追加の召喚権を得てアドバンス召喚に繋げる……というのが基本的な展開になる。
展開の要となる下級モンスターはフィールドから離れると除外されてしまうが、除外されている状態で鳥獣族が召喚されると手札に戻ってくるのでリソースが途切れない。
この性質から
- 汎用的なメタカードが効かず、1ターンに複数のモンスターを展開出来る癖に特殊召喚をしないので増殖するGが全く効かない
- 特殊召喚やエクストラデッキへの依存度が低いのでデメリットを気にせずに強欲で謙虚な壺や金満で謙虚な壺、強欲で金満な壺を使える
- 墓地を利用しないのでディメンション・アトラクターやマクロコスモスなどの全体除外カードをデメリット無しで利用できる
のも他にない強みとなっている。
灰流うららも除外に下級ふわんだりぃずがいれば回避することも可能で、エフェクト・ヴェーラーなどの対象を取る無効効果もふわんだりぃずと旅じたくや月の書で回避することも可能な為、展開の妨害が非常に難しい。
分類としては所謂メタビートデッキに近く、主流デッキへのメタを押し付けて勝つのが理想的な動きとなる。
現代遊戯王テーマ故に相手のターンに召喚する手段がテーマ内の魔法・罠に用意されており、これによって烈風帝ライザーや霞の谷の巨神鳥などを出して展開妨害が可能。
通常召喚とは名ばかりで、効果によって連続展開しエースモンスターまで繋げ、挙句相手のターンでも「召喚」によってゆかいな仲間たちを呼び込むその様はシンクロやリンクとなんら変わりがない。このため、よくインチキ効果もいい加減にしろ!と突っ込まれている。
ふわんだりぃずのエースモンスターである、ふわんだりぃず×えんぺんはこのテーマを代表する中核カードであり、異様に高いモンスターメタ性能を持つ上に返しの捲りを妨害するための布石を呼び込めるので、ふわん自体は主流のメタを回避しつつ相手にだけ強力なメタを押し付けることが可能となっている。
そのマスコット的なかわいらしさに反して行動は凄まじくえげつない為、ギャップを面白がる意味も込めて、自然発生的に害鳥という代名詞が定着した。
他にも「糞鳥」とか「クソペンギン」とか00年代のアングラ文化を引きずるコミュニティでは散々な言いようであり、検索エンジンのサジェストも不穏で、とっても可愛いのにすがすがしい程ヒールキャラが定着しているという愉快な状況になっている。
強力なテーマ故に基本はふわんだりぃずカードとテーマ外の優秀な鳥獣族、汎用カードで固めたガチ構築で組まれるが、手札補充のしやすさやリリース素材を確保しやすい点から三幻神や三邪神、地縛神、最上級スピリットモンスターなど、通常のデッキでは出しにくいテーマ外の重量モンスターを採用したロマン構築も可能だったりと、意外と遊べるテーマでもある。
- 特殊召喚を使わないため、複雑な展開ルートが無い
- リンク召喚などのルールを覚える必要がない
- 拘らなければエクストラデッキは適当に組んでいい
- テーマ内カードであればお手頃価格で買える
などの理由から遊戯王初心者や復帰者に勧められることも多い。
だが、ミラー戦になると互いの強みを潰し合う不毛な戦いになりやすい。特に互いの場にふわんだりぃずと謎の地図がある時の動きは複雑怪奇を極める。
環境での活躍
相剣とは同期のカードであり、登場当初はその特殊な性能から環境上位に食い込んだのだが、ふわんだりぃずと謎の地図の規制に加えてスプライトやティアラメンツなどの強力なテーマの登場もあって2022年4月以降の環境での地位は落ち着き、さらに2023年1月1日改訂では烈風の結界像も失ったので制圧力も大きく低下している為、腐るカードをサイドチェンジで外せるOCG環境では以前ほどの理不尽さもパワーも無くなっている。(なお、OCGでは2024/1/1に謎の地図は無制限に戻っている)
とはいえ、回ってしまえば環境上位のデッキを食える可能性があるのも確かで、相手の対策が薄いと完封することもあるので、登場時から常に一定数は環境に存在している。
他の主流デッキとは全く違う動きをするので専用の対策が必要…という点から神碑などと並んで中堅どころの地雷デッキとしての地位を確たるものとしている。
墓地メタを組み込みやすいこともあり、墓地利用デッキが環境上位に来るとエクソシスターと共にそうしたデッキをメタるために環境上〜中位に顔を出すデッキ、という立ち位置になっている。
シングル戦では相手の特殊効果メタカードに腐らせつつ、先攻制圧盤面を作ればそのまま勝ちだが、マッチ戦では1戦目を取ってもサイドチェンジで腐っていたカードがそのまま対策札に変わるので、シングル戦の方が適性が高いと言えるだろう。
実際、シングル戦の大会であるYCSJ大阪2022で並み居る環境デッキを薙ぎ倒して優勝を勝ち取るなど、公式大会でも実績を残した。
シングル戦ルールであるマスターデュエルでは2022/7/11に登場してからは常に環境の中心で猛威を振るっており、烈風の結界像が禁止になって以降もなおtier1〜2デッキの地位に居続けており、OCGと同様ティアラメンツやクシャトリラらが台頭するまでそんな状況が続いていた。
弱点
実際に使用するともっとも弱点として意識されやすいのは、手札事故が不可避であること。
このテーマは1枚初動こそあるものの、この点は過去のアドバンス召喚を軸にするデッキと同様避けられないものとなる。
悲しいかな、ふわんだりぃずのメタ性能の高さからやられた人にとっては記憶に残りやすいので、時々手札事故が弱点という説明を規制回避のための自虐ととらえる人もいるが、性質上何回もこのデッキで戦うとどうしても一定の割合でアドバンス召喚テーマ特有の事故が発生するのは事実である。
特に1枚初動カードであるろびーなへの依存度が大きく、これが初手に無いと誇張無しにデッキが動かない。いぐるんや謎の地図はろびーなと並ぶ重要なエンジンではあるものの、これ1枚では初動札にならず、ここを起点にして展開しようとすると2枚初動になるのがミソであり、ちゃんとした展開をするために求められる初期手札のハードルは意外と高い。
強欲で金満な壺を事実上複数積める強欲な壺として採用でき、テーマ内外でのサーチも複数あるにもかかわらず、事故が起こりやすいのは、立てるモンスターをエクストラデッキから引っ張ってこれないことや、サーチ機能のない下級モンスターカードや重要な着地点でありながらもカテゴリ内シナジーを共有できない烈風帝ライザーなどの最上級モンスターカードがまるっと事故要因になってしまうという点が理由としてあげられる。
また前述の通り妨害こそ回避しやすいものの、特殊召喚を一切使えないため、展開ルートが一本道なので一妨害が通りさえすれば、ほとんどの場合それで展開がストップするという手数の少なさも難点の一つである。
手札誘発を貫通するための手札の要求値が他テーマと比べて高く、貫通できない手札を含めると事故率は更に上がることとなる。
追加のサーチを封じるドロール&ロックバードなどのターン中の行動を縛るカードを撃たれたり、スキルドレインやNo.41泥睡魔獣バグースカと言ったフィールド全体のモンスター効果を無効化するカード出されると、テーマ内カードのみではどうやっても足を止めざるを得なくなる
それに加えて、王宮の鉄壁などで除外を封じられるとメインエンジンである下級ふわんだりぃずや展開補助を担当するふわんだりぃず魔法カード、ついでにいくつかの壺がまとめて機能停止するといった弱点も少なくない。
主流のメタが刺さりにくいだけで、やろうと思えばガッツリ対策することが可能である。
このため、先攻を取ったのに勝てないということが一定の頻度で起こりうる(キーパーツの規制後は特に)。これは現代遊戯王では無視できない弱点である。
特に、マスターデュエルでは乱数に癖があるのかシャッフルが甘く、紙では起きないようなツーペアやフルハウスの発生例もあるので気になりやすい。
設定
公開されている設定画によるとテーマ名の由来は「ふわふわ」+「ワンダー(Wonder):不思議な」+「ブリーズ(Breeze):(一般的に爽やかな)軽微な風」を組み合わせたもので、カードに移る3匹の小鳥のモチーフは北極から南極までの極めて長い距離を行き来する渡り鳥「キョクアジサシ」であるとのこと。
彼らは北極圏でスノーオウル(シロフクロウ)のすのーると別れてから南極圏を目指して旅をし、北大西洋を通ってイギリスや南米を通過し、オーストラリアを経て南極のえんぺんに出会ってハッピーエンドとなる(公式Twitter曰く「北から南へ旅に出る」「ながいながい旅」)。
このことから、テーマとしては一度完結しており、新規供給の先行きなどは不透明である。
カードテキスト
下級モンスター
このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、
この効果を発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できない。
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動できる。
(固有効果の処理)。
その後、鳥獣族モンスター1体を召喚できる。
(2):表側表示のこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。
(3):このカードが除外されている状態で、
自分フィールドに鳥獣族モンスターが召喚された場合に発動できる。
このカードを手札に加える。
カード一覧
モンスターはいずれも「ふわんだりぃず」という三匹の青い鳥たちが旅先で出会ったモンスターとともに過ごしている様子が描かれており、「ふわんだりぃず×○○(固有名詞)」のコラボカード名なのが特徴。
効果モンスター
ふわんだりぃず×すのーる……「旅じたく」のカードに出ているデカい白い鳥はこの子