概要
学名「Nycticebus coucang」。
体長27~38cm、尾長1.3~2.5cm、体重0.4~1.7kg。
特徴&生態
虫(まれに小鳥)を捕まえる時もそろりそろりと忍び寄るが、案外気づかれにくい。(昆虫は素早く動くものにはすぐ反応するが、遅いものにはなかなか反応できないため)
- 意外にも毒をもつ唯一のサルである。毒腺は肘の下にあり、毛づくろいをすることで口の中と全身の毛にまぶし防御に使っている。この毒はヤマカガシの毒と同じで、噛まれた人間の死亡事例すらある恐ろしい代物。(ちなみに消化管に入れば無害化される)なお、誕生直後の子供は毒腺が未発達な為、親が子供に毛づくろいをしながら毒を全身に塗って保護している。
- ちなみにこの毒液、どうやら臭いらしくヤマネコやヒョウやクマでさえも避けて通るという。
- ペット目的の密猟が原因で絶滅の危機に晒されており、レッドリストによって危急種に指定されている。後述する「淫夢くん」のような、ペットとして扱われているスローロリスの動画が間接的に乱獲を後押ししているとの指摘もある(The Conversation)
- ペット化への過程で野生種を捕えて抜歯されることがしばしばある。上記の毒は噛傷が原因で罹患する可能性があることなどからの策と思われるが、これが原因で感染症を引き起こし、その場合高確率で抜歯個体が死亡するため、死亡個体の代替のための密猟が更に行われるなどの悪循環と化している。
主な種類
- ベンガルスローロリス
- スンダスローロリス
- ジャワスローロリス
- ボルネオスローロリス
- ピグミースローロリス
「淫夢くん」として
pixivでは「淫夢くん」の動画の影響で高らかに右手を上げる姿がよく描かれる。
このポーズは専門家によると「頭を保護しようとしている。明らかに嫌がっており、動物虐待に当たる」と指摘されている。
あのポーズは「俺の肘の下には毒があるんだぞ!」という敵への警告という説もある。よく誤解されるが脇ではない。決してワキガ汚物くんなのではない。
一応有毒動物であるので迂闊に触れることは人間をも死に至らしめる毒に触れる危険な行為である。くすぐる人間の手に傷なんかあった場合は、完全敗北したホモサピエンスUCになってしまう。
やめようね!そして…聖獣を大切にして…生きようね!
外部リンク:「淫夢くんの動画」動物虐待か スローロリスの研究者が警告
「くすぐりは虐待」 スローロリスのための新たなキャンペーン始まる
Ticking is Torture(くすぐりは虐待:英語ページ)
International animal rescue : Truth behind slow-loris pet trade(英語ページ)
タグについて
なお、「ニコニコ動画」でも見られるが「森のおやつ」という、食物を指すようなタグがつけられることがままある。「ニコ動」の大百科でもこれら一連のタグの記事は一律して淫夢くんの記事に自動転載されるようになっている。
これはニコ動に転載された、オランウータンがスローロリスを捕食する動画が由来とみられる。
野生下においてスローロリスを捕食する生物として、ニシキヘビやクマタカなどと共に類人猿のボルネオオランウータンが存在することが大きい。
即ち、オランウータンの愛称が「森の賢人」であること(細かいことだが「森の賢者」だとゴリラになる)、我々人類にもっとも近い種と考えられる類人猿が(俗に原猿類と呼ばれる霊長類の中では人類から最も遠いとされる種であるが)同じサルの仲間を食べるという事象自体への意外性もあるだろう。ただし、類人猿が他種の猿を食すことは他にもあり、肉食性の強いチンパンジーなどはより近似種の狭鼻類の猿(アカコロブスなど)を捕食するため衝撃性が大きい。
ネット上でのスローロリスの知名度がまだまだ低くこうした「淫夢くん」絡みで存在を知った者も一定数いること、淫夢厨のギャグセンスなどが合わさり、こうした蔑称が考え出された。
ちなみに、オランウータンがスローロリスを捕食するのは、果物の代わりにしているという説があるが、根拠はよく分からない。自然界では例えばキリンが樹上の鳩を食べたりと、一般に草食とされる動物が時に肉食に及ぶことが稀によくある(だからって飼育下の草食動物に安易に肉をあげてみるのは危険ですからやめましょう)。